ニューズレター

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2024.11.29

2024年10月における法律アップデート
付加価値税(VAT)7%適用期間の据置き措置、デジタルトークンの保有による利益分配金に対する所得税の免除、電気自動車普及のための支援金(EV3.5)の支給に関する物品税局の規則、結婚平等に関する法案の官報掲載

Topic 1 最新法律アップデート

Topic 1. 最新法律アップデート。

官報に掲載された最新のビジネス関連法律は、以下の通りです。

所轄官庁 題名 通達日 適用日
1 財務省 仏歴2567(2024)年付加価値税の減額に関して規定する歳入法典に基づく勅令(第790号)
主題:勅令第646号の改正、付加価値税減額措置の延長
2024年9月19日 2024年10月1日
2 財務省 仏歴2567(2024)年付加価値税の免除に関して規定する歳入法典に基づく勅令(第788号)
主題:仮想通貨又はデジタルトークンに対する付加価値税(VAT)の譲渡取引に対する付加価値税の免除
2024年9月24日 2024年1月1日
3 財務省 仏歴2567(2024)年所得税の免除に関して規定する歳入法典に基づく勅令
主題:投資目的のデジタルトークンからの利益分配金に対する所得税の免除
2024年9月24日 2024年1月1日
4 財務省 歳入局長通達
主題:仏歴2566(2023)年租税に関する国際協定順守のための情報交換を定める省令に定める年金基金の情報報告に関する基準、手続き、条件及び形式について
2024年9月25日 2024年9月25日
5 投資委員会(BOI) ポテンシャルを有する外国人の誘致による経済及び投資刺激措置を促進する委員会通達第2/2567号
主題:政府認定LTRビザ代理人グループ2の決定
2024年9月30日 2024年9月30日
6 投資委員会(BOI) 投資委員会通達第ポー4/2567号
主題:民間に対して、製造により損失した又は品質不良の原材料検査業務に参加させる許可
2024年10月3日 2024年10月3日
7 投資委員会(BOI) 投資委員会通達第ポー5/2567号
主題:民間に対して、製造により損失した又は品質不良の原材料検査業務に参加させる許可
2024年10月10日 2024年10月10日
8 投資委員会(BOI) 投資委員会通達第ポー6/2567号
主題:民間に対して、製造により損失した又は品質不良の原材料検査業務に参加させる許可
2024年10月10日 2024年10月10日
9 投資委員会(BOI) 投資委員会通達第ポー7/2567号
主題:タイ衣料品製造者協会に対して衣類及び鞄製品を対象として製造フォーミュラの検査及び認証業務を委任する件
2024年10月15日 2024年10月15日
10 内務省 内務省通達
主題:特別に入国が許可された外国人に対する出入国時の入国カード(TM.6)提出の免除
2024年10月15日 2024年10月16日~2025年4月30日
11 保健省 仏歴2567(2024)年保健省通達
主題:医療器具許可のための審査行程における保管による金銭の収受及び支払に関する基準、手続き及び条件について
2024年9月19日 2024年9月20日
12 保健省 仏歴2567(2024)年保健省通達
主題:学術的資料の評価、分析、事業場又は医療器具の検査業務に従事する国内外の専門家、専門家組織、政府組織又は民間組織から徴収する最高登録料の料率について
2024年9月19日 2024年9月20日
13 保健省 仏歴2567(2024)年保健省通達
主題:医療器具製品の審査行程における申請者から徴収する登録料の料率の上限について
2024年9月19日 2024年9月20日
14 関税局 仏歴2567(2024)年保健省通達
主題:食品の審査行程における申請者から徴収する利用の料率について
2024年10月11日 2004年10月12日
15 タイ中央銀行 タイ中央銀行通達第ソーノーソー5/2567号
主題:金融機関及び特別金融機関の2025年度における祝祭休日について
2024年8月13日 2025年1月1日
16 タイ中央銀行 タイ中央銀行通達第ソーノーソー6/2567号
主題:バーチャルバンクの監督基準について
2024年9月10日 2024年9月10日
17 タイ中央銀行 タイ中央銀行通達第ソーローコー3/2567号
主題:資産管理会社によるタイ中央銀行に対する報告書の提出について
2024年9月10日 2024年9月10日
18 エネルギー省 仏歴2565(2022)年燃料コストを有しない2022年~2030年におけるFeed-inTariff(FIT)形式による流動エネルギーによる電力調達に兼エネルギー事業監督委員会規則 2024年8月13日 2025年1月1日

※調査対象は、歳入局、投資委員会(BOI)、関税局、財務省、タイ工業団地公団(IEAT)、入国管理局、労働省、労働福祉保護委員会、商務省、国防省、農業・協同組合省、運輸省、天然資源・環境省、エネルギー省、工業省、内務省(ビジネス関連のみ)、タイ中銀、デジタル経済社会省を範囲としております。

Topic 2 トピックス・ニュース

1.付加価値税(VAT)7%適用期間の据置き措置

仏歴2567(2024)年勅令第790号が発布され、付加価値税率の7%適用期間が、2025年9月30日まで延長されました。

歳入法典第80条では、物品の販売、役務の提供及び全種の輸入について、2017年10月1日から2025年9月30日まで、税率が6.3%に減額されています。本減税措置は、国内における経済の刺激及び消費の促進における、企業及び国民の税務負担を軽減することを目的としております。

2.投資目的で保有するデジタルトークンから生ずる利益分配金又はその他同様のの便益を対象とする個人所得税の免除

所得者が歳入法典第40条(4)(C)に基づき、投資目的によるデジタルトークンの保有による利益分配金又はその他同様の便益を取得し、支払者が歳入法典第50条に基づきその利益分配金又はその他同様の便益の15%の額による源泉徴収を受けた場合、課税所得に関する申告の際に当該利益分配金又はその他同様の便益を、所得税計算上の課税所得に算入することが免除されます。
本所得税免除の条件は、以下の通りです。

  • 2024年1月1日以降に取得していること。
  • 源泉徴収された額につき、これの還付請求をしていない又は一部又は全体であるかにかかわらず、その源泉徴収された金額について全額控除を受けていないこと。
3.仮想通貨又はデジタルトークンの譲渡を対象とする付加価値税(VAT)の免除

仏歴2567(2024)年勅令第788号において、仮想通貨及びデジタルトークンの譲渡を対象とする付加価値税の免除措置が発表されました。同勅令は、2024年1月1日から適用されます。

仮想通貨又はデジタル通貨は、一般の通貨と同様に、交換機能として設計されたデジタル資産で、無形資産に該当します。デジタルトークンは、保有者に合意に基づく製品又は役務を受取る権利を与えるものです。

本付加価値税免除措置は、デジタル資産売買センター、取引仲介人又は取引代理人を経由した譲渡を対象としており、タイ国内におけるデジタル資産ビジネスの成長を促進することを目的としたものです。

4.EVパッケージ、EV3.5を対象とする補助金に関する規則

物品税局は、電気自動車普及支援策のための補助金支給に関する規則を発布しました。補助金は、以下の内容により支給されるとのことです。

乗用車(価格2百万バーツ以内)
  1. 補助金の内容
    -バッテリーの容量が10キロワット以上50キロワット以内の場合、1台につき、2万から5万バーツ
    -バッテリーの容量が50キロワット以上の場合、1台につき5万バーツ~10万バーツ
  2. 2024年~2025年に輸入した車両を対象として40%以内の輸入関税免除
  3. 2024年~2027年において、物品税を8%から2%に減税
乗用車(2百万バーツ以上7百万バーツ以内) バッテリー容量が50キロワット以上の車両は、物品税を8%から2%に減税
ピックアップトラック -バッテリー容量が50キロワット以上で、価格が2百万バーツ以内の国産車は、10万バーツの補助金が支給される。
-物品税は、2024年~2025年は0%、2026年~2027年は2%
二輪車 -バッテリー容量3キロワット以上で、価格が15万バーツ以内の国産車は、1トン当たり1万バーツが支給される。
-物品税は、2024年~2027年に0%を適用

補助を受けた者は、タイにおける投資の刺激、及びタイを電気自動車製造の中心とするために、2026年以内に、2024年~2025年に輸入した台数の2分の1の台数の車両を製造しなければならない。若しくは2027年に3分の1の台数の車両を製造しなければならない。

5.結婚平等に関する法案の官報掲載

2024年9月24日、官報は仏歴2567(2024)年民商法典改正法(第24号)を発表しました。同法は「結婚平等法案」とも呼ばれております。重要な改正部分は男女間のみに制限しない個人間の婚姻を認めるものであり、多様な性別が存在する現在の社会情勢に合わせることを目的として、民商法典の関連規定を変更するものです。また、多様な性別を有する個人は、婚約及び婚姻をすることが可能となり、これによって男女である婚姻当事者と同一の権利、義務及び家族を生じさせるものとなります。同法で興味深い点は、同法の適用後にある同性愛者が婚姻手続きをした際、「配偶者」又は「夫婦」の権利を定めるその他の法律に基づく権利、義務又は恩典を享受することができる点です。尚、民商法典第1458条で採用される文言についても、「男女」から「2名の個人」へと変更をしています。従って、登記官の面前での婚姻手続きは、性別を特定することを要さずに行うことができます。同法の適用後(2025年1月22日以降)には、婚姻を届け出た同性愛者は、「配偶者」又は「夫婦」の権利について定める他の法律に基づく権利、義務又は恩典が受けられるようになります。その恩典は、例えば、以下のようなものがあります。

  • 配偶者の姓を使用する権利:仏歴2505(1962)年個人の名前に関する法律第12条では、結婚当事者は、他方の姓又は自分の姓を私用する権利を有する旨、定められている。
  • 治療を承諾する権利:仏歴2550(2007)年国家健康法第8条は、治療の承諾に関する規定であり、患者が治療の意思決定のために自分の健康状態を認識できる状態でないときは、民商法典に定める法定相続人に対して通知しなければならないとされており、配偶者もこれに含まれる。(第1629条第2項)
  • 税務上の恩典:配偶者より受け取った金銭のうち、年間で2千万バーツを超える部分につき、個人所得税の計算への算入の免除(歳入法典第42条(27))及び配偶者控除6万バーツ(歳入法典第47条(1)(b)
  • 配偶者が相続した遺産に対する相続税の免除:仏歴2558(2015)年相続税法第3条(2)では、配偶者から相続した遺産に対して同法を適用しない旨、定められていることから、死亡した配偶者から取得した遺産に対しては、相続税の納付を要しない。
  • 性別の制限がなくなるので、配偶者が他人を情婦の様に扶養していた場合に、離婚訴訟及び慰謝料請求をすることが可能となる。改正後の第1516条(1)では、「配偶者の他方が、「他者」を配偶者又は不倫相手であるかの様に扶養していた、他者と常習的に性交をしていた場合、一方の配偶者は他方に対して離婚訴訟を提訴することができる。裁判所が上記の事由による離婚を認めた場合は、同法1523条に基づき、他方の配偶者及びその配偶者から扶養を受けていた又は遇されていた者から慰謝料請求をすることができる規定となっている。結論として、平等結婚法案では、同法の原則に基づき、すべての姓を対象に網羅するため、文言が、「妻/夫を侵害した者」を、「配偶者を侵害した者」に変更され、妻と夫の異なる条件がなくなるものとなる。

改正の要旨は、以下の通りです。

内容 従来の民商法典 結婚平等を前提として改正した民商法典
婚約-婚姻 男-女 個人-個人
婚約、婚姻が可能な制定年齢(20歳未満の婚約/婚姻は、両親から承諾を得なければならない) 17歳 18歳
タイ法律に基づいて外国人と結婚 男女のみ可能
共同で養子を受ける
法定相続人として遺産を相続する権利
配偶者の姓を使用する権利
配偶者本人が治療を受ける意思決定ができない場合の治療の承諾
個人所得税の配偶者控除などの税務上の恩典

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