2024.11.29
2024年11月における法律アップデート
洪水により被害を受けた投資奨励事業(BOI 事業)を営む会社に対する救済措置、投資奨励(BOI)を受けた外資法人の会社事務所及び社宅としての使用を目的とした土地所有許可に関する基準、投資奨励恩典を受けた外資法人の会社事務所及び作業員の住居をして使用することを目的とした土地所有許可に関する基準及び条件、デジタルノマド・リモートワーカー向けビザ(Destination Thailand Visa(DTV))申請に関する基準及び条件
Topic 1 最新法律アップデート
Topic 1. 最新法律アップデート。
官報に掲載された最新のビジネス関連法律は、以下の通りです。
所轄官庁 | 題名 | 通達日 | 適用日 | |
---|---|---|---|---|
1 | 投資委員会(BOI) | 首相長通達第380/2567号 主題:国家電気自動車方針委員の選任について |
2024年10月25日 | 2024年10月1日 |
2 | 投資委員会(BOI) | 投資委員会通達第15/2567号 主題:洪水により影響を受けた投資奨励恩典取得者の援助措置 |
2024年11月1日 | 2024年11月1日 |
3 | 投資委員会(BOI) | 投資委員会通達第16/2567号 主題:投資奨励恩典を受けた外資法人が会社事務所及び住居として使用することを目的とする土地の所有許可に関する基準 |
2024年11月1日 | 2024年11月1日 |
4 | 投資委員会(BOI) | 投資委員会通達第ポー7/2567号 主題:投資奨励恩典を受けた外資法人が会社事務所及び投資奨励事業に従事する作業員の住居として使用することを目的とする土地の所有許可に関する基準及び条件 |
2024年11月4日 | 2024年11月4日 |
5 | 保健省 | 仏歴2567(2024)年保健省通達 主題:外国人の健康診断サービスの水準について※(ラオス、カンボジア、ミャンマー及びベトナム国籍が対象) |
2024年9月30日 | 2024年9月30日 |
6 | 陸運局 | 仏歴2567年陸路運送局通達 主題:運転免許証の新規取得及び更新申請者の講習及び身体検査に関する基準、手続き及び条件(第3号) |
2024年10月24日 | 2024年10月24日 |
7 | エネルギー省 | 仏歴2565年燃料コストの伴わないグループを対象とした2022年~2030年間におけるFeed-in Tariff形式による再生可能エネルギーからの電力調達に関するエネルギー事業監督委員会規則 | 2024年9月13日 | 2025年1月1日 |
※調査対象は、歳入局、投資委員会(BOI)、関税局、財務省、タイ工業団地公団(IEAT)、入国管理局、労働省、労働福祉保護委員会、商務省、国防省、農業・協同組合省、運輸省、天然資源・環境省、エネルギー省、工業省、内務省(ビジネス関連のみ)、タイ中銀、デジタル経済社会省を範囲としております。
Topic 2 トピックス・ニュース
1.洪水により被害を受けた投資奨励事業(BOI事業)を営む会社に対する救済措置(投資委員会(BOI)通達第15/2567号
投資委員会(BOI)は、洪水による被害を受けた投資奨励事業者に対する救済措置を定める通達を発布しました。その内容の要旨は、以下の通りです。
- 1.1 救済措置を受ける権利を有する事業:2024年以降に、洪水災害区域として通縦うされた区域で洪水による影響を受けた投資奨励事業者
- 1.2 申請期限
- 本通達発布前に洪水の影響を受けた場合は、通達日から6ヶ月以内
- 本通達発布後に洪水の影響を受けた場合は、水害事態の終了が宣言された日から6ヶ月以内
- 1.3 恩典の内容
- 洪水により損害を受けた機械の置換えに対する輸入関税の免除(新品及び使用済みであるが10年以内の機械に限る)
- 税務上の負担なく、損害を受けた機械を機械リストから除去することが認められる。
- 税務上の負担なく、損害を受けた原材料を原材料リストから除去することが認められる。
条件:輸入を申請する機械は、信用ができる機関から品質及び効率認証書が発行された機械であること。
本措置は、洪水により影響を受けた投資奨励事業者の救済するものであり、損傷した機械の置換え用の機械に対する税務上の負担、さらに生産能力の向上及び損傷した原材料の原材料リストからの除去を支援するものである。
2.投資奨励恩典を受けた外資法人の会社事務所及び作業員の住居として使用することを目的とした土地所有許可に関する基準及び条件(投資委員会通達第16/2567号)
投資委員会(BOI)は、投資奨励恩典を受けた外資法人による土地所有の関する条件を、現在の情勢に同調させるための通達を発布しました。
その通達の要旨は、以下の通りです。
- 2.1 資格
投資奨励恩典を受けた外資法人で、且つ払込済資本金が5千万バーツ以上であること。 - 2.2 所有の条件:土地所有の条件
- 会社事務所としての使用:5ライ以内
- 住居用:オペレーティングレベルの作業員用で、建物として利用する場合は20ライ以内
- 会社事務所及び住居用の土地の各々は、同一の場所であるか否かは問わない。
- 2.3 土地の売却又は譲渡
- 当該外資法人が被投資奨励者と地位を喪失した場合は、1年以内に当該土地を売却又は譲渡しなければならない。
- 2.4 追加条項
- 投資委員会(BOI)は、業種、事業からの距離、個室の規模など、ケースバイケースで適応させるために、追加の通達を発布することがある。
同通達は、2024年11月1日から適用される。
3.投資奨励(BOI)を受けた外資法人の会社事務所及び作業員の住居としての使用を目的とした土地所有許可に関する基準(投資委員会通達第ポー8/2567号)
投資委員会は、投資奨励事業を営む外資法人の会社事務所及び作業員の住居として使用することを目的とした土地所有許可における基準及び条件を定める通達を発布しました。本通達は、上記の通達の内容と重複するように見えますが、主に作業員の住居としての土地使用許可における基準及び条件を定めております。
同通達の要旨は、以下の通りです。
- 2.1 資格
- 投資奨励を受けた外資法人であること。
- 登録資本金が5千万バーツ以上であること。
- 2.2 対象の土地
- 会社事務所及び作業員の住居用として所有できる土地の面積は、1法人につき20ライを超えないものとする。
- 投資奨励事業に従事する作業員の住居に限り使用することができる。
- 作業員の住居が事業場の近距離でない場合は、事業場からの距離は10キロ以内とする。
- 2.3 許可の基準及び条件
- 1法人あたり20ライのみ所有可
- 土地においては、投資奨励事業に従事する作業員の住居用の建物を有しなければならない。
- 投資委員会は、その土地の敷地内に敷地内に駐車場、保健室、調理室及びその他の施設を設けることを許可することがある。
- 作業員の住居における個室数は、投資奨励事業に従事する作業員の人数と合わなければならない。
- 2.3 禁止及び拘束事項
- 道徳及び慣習に反する目的で当該土地を使用してはならない。
- 職員による土地使用状況の調査において便宜を図らなければならない。
- 条件違反を犯した場合は、権利がはく奪され、1年以内に当該土地を売却しなければない。
同通達は、2024年11月1日から適用される。
5.デジタルノマド・リモートワーカー向けビザ(Destination Thailand Visa(DTV))申請に関する基準及び 条件
タイ政府は、デジタルノマド、リモートワーカーフリーランス及びタイ国において一部の活動への参加者のタイ滞在を対象としたビザDestination Thailand Visa (DTV)を発表しました。
同ビザの申請条件は、以下の通りです。
- 申請対象者
- デジタルノマド、リモートワーカー及びプリ―ランス
- 以下のような一部の活動に参加する者。例えば、
ムエタイ
タイ料理コース
スポーツ練習
治療
セミナー
音楽フェスティバル
- DTVビザ保持者の配偶者及び子供が申請する場合の必要書類
- パスポート又は渡航書類
- 直近の証明写真
- 現住所の証明書
- 最低50万バーツ以上を有することが証明できる書類(例えば、口座残高証明書、給与明細、雇用者からの証明書類)
- 渡航目的
- Workcation:雇用契約書、又はリモートワーク又はフリーランスの場合はポートフォリオ
- Thai Soft Power Activities:活動への参加証明書又は医療機関からの選任書
- 配偶者又は扶養下にある子供:関係が確認できるもの(例えば、婚姻証明書又は出生証明書
- ビザの詳細
- 手数料:申請手数料は、9,337バーツ~40,931バーツまでの範囲内
- ビザの有効期間:5年間、何度でも出入国可
- 1回の入国に対する滞在期間:180日
- 滞在期間の延長:1回の延長につき180日以内であり、180日間が満了した場合、上記有効期間内のビザの利用のため、出国後に再入国する。
DTAビザは、上記の通り、ノマドワーカ―などには一定便利な制度と言えます。
しかしながら、現在のところ、DTAビザ保有者に対して、LTRにあるような17%の個人所得税税率恩典やタイ国外所得をタイ国内に持ち込んだ場合の個人所得税免税恩典は付与されていません。
DTAビザの滞在可能期間は180に以内で5年年以内なら何度もタイへの再入国し180日以内の滞在が可能となりますが、カレンダー上の年度(1月1日から12月31日)までの間で通算でタイの滞在が180日を超えた場合、タイの居住者扱いとなります。
従って、上記年度を通じてタイの滞在が通算で180日以内であれば、タイ国外所得については、仮にタイに持ち込んだとしても法律の規定通りタイでの個人所得税は免税となりますが、180日を超えて滞在した場合には、他のタイの居住者と同じく、タイに持ち込んだタイ国外所得に対しても個人所得税が課税される点、ご留意ください。また、タイ国内の事業者に対して勤務などを行う場合には、Bビザへの変更及びワークパーミットの取得が別途必要となる点にも注意が必要です。