2025.2.17
2025年1月における法律アップデート
最低賃金の引き上げ、グローバルミニマム課税(トップアップ課税に関する緊急勅令)、労働者援護基金関連法令、職業紹介業のサービス料に関する法令改正
Topic 1 最新法律アップデート
Topic 1. 最新法律アップデート。
官報に掲載された最新のビジネス関連法律は、以下の通りです。
所轄官庁 | 題名 | 通達日 | 適用日 | |
---|---|---|---|---|
1 | 財務省 | 歳入局通達 主題:外国通貨のタイ国通貨換算について |
2025年1月2日 | 2025年1月2日 |
2 | 財務省 | 所得税に関する歳入局長通達(第454号) 主題:Thai Mutual Funds for Sustainability基金の投資単位の購入代金として支出した金額と相当する所得に対する所得税免除に関する基準、手続き及び条件について |
2025年1月2日 | 2025年1月2日 |
3 | 財務省 | 仏歴2568(2025)年免税に関して規定する歳入法典に基づく省令第397号 主題:Easy R-Receipt 2.0税務措置 |
2025年1月7日 | 2025年1月16日~2025年2月28日 |
4 | 財務省 | 所得税に関する歳入局長通達(第455号) 主題:物品又は役務の購入に対する所得税免除に関する基準、手続き及び条件について |
2025年1月14日 | 2025年1月16日 |
5 | 財務省 | 所得税及び付加価値税免除に関する財務省通達(第834号) 主題:Chongjint Chatralekawanich Foundation財団を、歳入法典第47条(7)(b)に定める公共慈善団体又は機関、診療所及び教育機関として追加する旨の通達 |
2024年12月16日 | 2024年度の課税所得又は2024年12月度における事業者の課税所得を対象 |
6 | 投資委員会(BOI) | 投資委員会通達第ポー11/2567号 主題:公認会計士による免税恩典の行使を申請する企業の奨励事業の監査に関する基準、手続きに関する通達の添付資料の改訂 |
2024年12月20日 | 2024年12月20日 |
7 | 投資委員会(BOI) | 投資委員会通達第ポー12/2567号 主題:製造により喪失した又は低品質の原材料検査業務の遂行を、民間に誘致する旨の通達 |
2024年12月20日 | 2024年12月20日 |
8 | 投資委員会(BOI) | 投資委員会通達第ポー13/2567号 主題:外国人専門家の入国及び労働許可申請のスクリーニング業務の移譲を受けた法人 |
2024年12月20日 | 2024年12月20日 |
9 | 投資委員会(BOI) | 投資委員会通達第ポー1/2568号 主題:電子システムを介した代替エネルギーの仕様による能率向上措置に基づく太陽光発電設備据付プロジェクトを対象とした投資奨励恩典の申請に関する基準及び手続きについて。 |
2025年1月2日 | 2025年1月2日 |
10 | 投資委員会(BOI) | 首相命令第1/2568号 主題:国家半導体及び高度な電子産業方針委員会の委員の選任命令の改訂 |
2025年1月2日 | 2025年1月2日 |
11 | 保健省 | 仏歴2567(2024)年保健省通達 主題:紛争解決のための調停において必要な報酬及びその他費用の申請について |
2024年12月27日 | 2024年12月28日 |
12 | 保健省 | 仏歴2567(2024)年保険省通達 主題:仏歴2562(2019)年紛争解決のための調停法に基づく調停を行う組織について |
2024年12月27日 | 2024年12月28日 |
13 | 保健省 | 仏歴2567(2024)年保険省通達 主題:仏歴2562(2019)年紛争解決のための調停法に基づく調停を行う組織について |
2024年12月27日 | 2024年12月28日 |
14 | 財務省及び内務省 | 財務省及び内務省通達 主題:複数の種類の用途に供する土地又は建物を対象とする土地又は建物税の徴収に関する基準及び手続き(第2号) |
2025年1月9日 | 2025年1月1日 |
15 | 個人情報保護委員会(デジタル経済産業省) | 仏歴2567(2024)年個人情報保護委員会通達 主題:小規模企業である個人情報処理者の個人情報処理記録の作成及び保管の免除について |
2024年12月26日 | 2025年1月9日 |
16 | 個人情報保護委員会(デジタル経済産業省) | 仏歴2567(2024)年個人情報保護委員会通達 主題:小規模企業である個人情報管理者の個人情報管理記録作成の免除について |
2024年12月26日 | 2025年4月7日 |
※調査対象は、歳入局、投資委員会(BOI)、関税局、財務省、タイ工業団地公団(IEAT)、入国管理局、労働省、労働福祉保護委員会、商務省、国防省、農業・協同組合省、運輸省、天然資源・環境省、エネルギー省、工業省、内務省(ビジネス関連のみ)、タイ中銀、デジタル経済社会省を範囲としております。
Topic 2 トピックス・ニュース
1.最低賃金の引き上げ
賃金委員会は、現在の経済状況及び物価の高騰化に適応させるために、2025年1月1日から最低賃金の引き上げる旨の賃金委員会通達(第13号)(主題:最低賃金について)を発布しました。引き上げ率は17に分けられ、従前の賃金率より1日当たり7~55バーツ(平均2.9%)となっております。地域別の賃金率は、以下の通りです。
1日400バーツに引き上げられる県
県名 | 引き上げ前の賃金(単位:バーツ) |
---|---|
チャチュンサオ県 | 350 |
チョンブリ県 | 361 |
プーケット県 | 370 |
ラヨーン県 | 361 |
スラータニー県 (サムイ島のみ) |
345 |
1日380バーツに引き上げられる県
県名 | 引き上げ前の賃金(単位:バーツ) |
---|---|
チェンマイ県 (ムアンチェンマイ郡のみ) |
350 |
ソンクラー県 (ハートヤイ郡のみ) |
345 |
1日372バーツに引き上げられる県
県名 | 引き上げ前の賃金(単位:バーツ) |
---|---|
バンコク都 | 363 |
ナコンパトム県 | 363 |
ノンタブリ―県 | 363 |
パトゥムタニー県 | 363 |
サムットプラカーン県 | 363 |
サムットサコーン県 | 363 |
1日359バーツに引き上げられる県
県名 | 引き上げ前の賃金(単位:バーツ) |
---|---|
ナコンラーチャシーマー県 | 352 |
1日358バーツに引き上げられる県
県名 | 引き上げ前の賃金(単位:バーツ) |
---|---|
サムットソンクラーム県 | 351 |
1日357バーツに引き上げられる県
県名 | 引き上げ前の賃金(単位:バーツ) |
---|---|
コンケーン県 | 350 |
チェンマイ県(ムアンチェンマイ郡以外の区域) | 350 |
プラチンブリ―県 | 350 |
アユタヤ県 | 350 |
サラブリ県 | 350 |
1日356バーツに引き上げられる県
県名 | 引き上げ前の賃金(単位:バーツ) |
---|---|
ロッブリ―県 | 349 |
1日355バーツに引き上げられる県
県名 | 引き上げ前の賃金(単位:バーツ) |
---|---|
ナコーンナヨック県 | 348 |
スパンブリー県 | 348 |
ノーンカイ県 | 348 |
1日354バーツに引き上げられる県
県名 | 引き上げ前の賃金(単位:バーツ) |
---|---|
クラビー県 | 347 |
トラート県 | 347 |
1日352バーツに引き上げられる県
県名 | 引き上げ前の賃金(単位:バーツ) |
---|---|
カンチャナブリ―県 | 345 |
チャンタブリ―県 | 345 |
チェンライ県 | 345 |
ターク県 | 345 |
ナコンパノム県 | 345 |
ブリラム県 | 345 |
プラチュワップキリカン県 | 345 |
パンガー県 | 345 |
ピサヌローク県 | 345 |
ムックダ―ハーン県 | 345 |
サコンナコン県 | 345 |
ソンクラー県(ハートヤイ郡以外の区域) | 345 |
サケーオ県 | 345 |
スラータニー県(サムイ島以外の区域) | 345 |
ウボンラチャターニー県 | 345 |
1日351バーツに引き上げられる県
県名 | 引き上げ前の賃金(単位:バーツ) |
---|---|
チュムポーン県 | 344 |
ペッブリー県 | 344 |
スリン県 | 344 |
1日350バーツに引き上げられる県
県名 | 引き上げ前の賃金(単位:バーツ) |
---|---|
ナコンサワン県 | 343 |
ヤソートン県 | 343 |
ランプーン県 | 343 |
1日349バーツに引き上げられる県
県名 | 引き上げ前の賃金(単位:バーツ) |
---|---|
カラシン県 | 342 |
ナコンシータマラート県 | 342 |
ブンカーン県 | 342 |
ペッチャブーン県 | 342 |
ローイエット県 | 342 |
1日348バーツに引き上げられる県
県名 | 引き上げ前の賃金(単位:バーツ) |
---|---|
チャイナ―ト県 | 341 |
チャイヤプーム県 | 341 |
パッタルン県 | 341 |
シンブリー県 | 341 |
アントーン県 | 341 |
1日347バーツに引き上げられる県
県名 | 引き上げ前の賃金(単位:バーツ) |
---|---|
カムペンペット県 | 340 |
ピチット県 | 340 |
マハーサラカーム県 | 340 |
メーホンソーン県 | 340 |
ラノーン県 | 340 |
ラチャブリ県 | 340 |
ランパーン県 | 340 |
ルーイ県 | 340 |
シーサケート県 | 340 |
サトゥ―ン県 | 340 |
スコータイ県 | 340 |
ノーンブワランプー県 | 340 |
アムナートチャルーン県 | 340 |
ウドンタニ―県 | 340 |
ウッタラディット県 | 340 |
ウタイタニ―県 | 340 |
1日345バーツに引き上げられる県
県名 | 引き上げ前の賃金(単位:バーツ) |
---|---|
トラン県 | 338 |
ナーン県 | 338 |
パヤオ県 | 338 |
プレー県 | 338 |
1日337バーツに引き上げられる県
県名 | 引き上げ前の賃金(単位:バーツ) |
---|---|
ナラーティワート県 | 330 |
パッタニー県 | 330 |
ヤラー県 | 330 |
2.グローバルミニマム課税に関する緊急勅令(仏歴2567(2024)年トップアップ税に関する緊急勅令)
タイにおいて、多国籍企業を対象とした新税制度が発表されました。同税制度は、2025年1月1日より適用されます。
同緊急勅令は、海外に進出しているタイの多国籍企業(Multinational Enterprises:MNEs)又はタイに進出している外国の多国籍企業で、親会社の連結財務諸表上の収入が過去4年間のうち2年間に亘って7億5千万ユーロ以上の多国籍企業から課税することを目的としており、当該企業には15%の税率によるグローバルミニマムタックスが課税されます。
グローバルミニマム課税による影響としては、現在のタイにおける法人所得税の税率は20%ですが、投資委員会(BOI)より所得税の減免の恩典を受けた企業については、実際に15%以下の税率が適用されることとなりますので、当該企業は15%の最低税率が課税されることとなります。
3.労働者援護基金関連法令
タイ国において、2025年10月1日から労働者援護基金制度適用されることとなりました。同基金は、福利に供するため、仏歴2541(1998)年労働者保護法基づき設立されたものであり、労働者が以下のような問題又は支援が必要な状況に陥っている場合に支援することを目的としております。
- 失業
- 死亡
- その他援護基金委員会の定めるところによる。
積立金の拠出率は、2025年10月1日~2030年9月30日までは雇用者と労働者が各々0.25%拠出することとなっており、2030年10月1日以降においては、雇用者と労働者が各々0.50%拠出することとなっております。
プロビデントファンドに加入していない雇用者については、労働者援護基金に拠出金を納付しなければなりません。
労働者が解雇され、雇用者が当該解雇に伴う補償金を支給しなかった場合、労働者は、労働基準監督官が雇用者に対して解雇補償金の支給を命じ、期限以内に支給されなかったときに労働者は基金から支援金の給付を受けることができます。また、雇用者が賃金を支払わない、又はその他労働者保護法に定める金銭を支給しない場合においては、労働基準監督官が雇用者に対して支払いを命じ、その期限以内に支払われていない場合に労働者は基金から支援金を受取ることができます。但し、雇用者が労働基準監督官から当該命令を受けてから30日以内に異議申し立てをした場合はこの限りではありません。
支援金の申請は、労働基準監督官が雇用者に対して支給する旨を命じた日から1年以内に行うことが必須です。
4.職業紹介業のサービス料に関する法令改正
職業紹介業の許可証を有する業者は、法律によってサービス料の料率が定められており、以下の場合に分類されます。
- 4.1 国内における職業紹介業を営む許可を受けた者のサービス料は、求職者が最初の月に受給する月給の25%を超えてはならない。
- 4.2 海外における職業紹介業を営む許可を受けた者のサービス料は、現在の情勢に適応させるために、以下の通り料率を改正する。
旧規定 | 新規定 |
---|---|
就労者が最初の月に受給する月給の1倍以内で、その他の費用については受給する月給の3倍を超えてはならない。 | 就労者が最初の月に受給する月給の1倍以内で、その他の費用については受給する賃金の2倍を超えてはならない。 |
イスラエル、韓国及び台湾に派遣する場合は特別の料率を適用する。 | 廃止 |
なし | 雇用者が求職者に代わってサービス料を負担する場合は、雇用者の負担によるものとするが、全額負担ではない場合は、その不足分につき、求職者が支払うものとする。 |
しかしながら、実務上、タイ国内における人材派遣業の大半は、法に定める職業斡旋許可を取得していないので、本規則の適用対象外となります。