単独株主権と少数株主権の違い|行使できる要件や権利一覧など

監修
弁護士 家永 勲

弁護士法人ALG&Associates執行役員

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単独株主権や少数株主権として会社法に定められる権利は、株主の重要な権利です。会社の経営を公正化し、株主の利益を守るための様々な権利が設けられており、会社への影響は多様となっています。

権利が行使された場合、会社は適切に対応する義務があります。
権利ごとの違いや要件等を適切に理解しておきましょう。

本稿では、単独株主権と少数株主権の違いや主な権利内容、権利行使の要件等について解説していきます。

単独株主権と少数株主権の違いは?

会社の株式を保有する株主には、それぞれの株式に応じた権利があります。
一株でも保有していれば行使できる権利を単独株主権といいます。

また、過半数には達しないものの一定割合以上の株式を保有した場合に行使できる権利を少数株主権といいます。

単独株主権と少数株主権は、いずれも株主としての利益を守る権利であり、会社の経営を公正に保つという点で重要な役割を担っています。

特に少数株主権には、役員の解任請求や業務執行に関する検査役選任請求など、一定の強力な権利内容が含まれています。

単独株主権と少数株主権では、権利内容によって行使できる要件が異なります。

単独株主権では、一部の権利に6ヶ月以上の株式保有期間が必要とされています。
少数株主権では、保有期間だけでなく持株比率も要件となります。

単独株主権の一覧

権利 保有期間の要件
剰余金配当請求権(会社法第105条) 不要
株主総会における議決権(会社法105条) 不要
取締役会招集請求権(会社法367条) 不要
定款、株主名簿、議事録、計算書類等の閲覧請求権(会社法31条、125条等) 不要
募集株式発行、自己株式の処分及び新株予約権発行の差止請求権(会社法210条、247条) 不要
取締役の違法行為差止請求権(会社法360条) 必要
組織再編行為差止請求権(会社法796条の2等) 不要
株主総会決議取消の訴え提起権(会社法831条) 不要
会社の組織行為の無効確認訴訟提起権(会社法828条) 不要
株主代表訴訟提起請求権(会社法847条) 必要

単独株主権とは、一株以上を保有する株主が行使できる権利の総称です。

単独株主権は、株主総会における議決権といった基本的な権利だけでなく、会社の一定の行為に対する差止請求権、さらに一定の訴訟提起権までもちます。

主な単独株主権の内容は表の通りです。
一部の権利については6ヶ月以上の株式保有期間が要件とされていますが、非公開会社については、株式保有要件は対象外となります。

単独株主権については、以下の記事で詳しく解説しています。

さらに詳しく単独株主権とは?

少数株主権の一覧

権利 議決権数・株式数の要件 保有期間の要件
株主総会の議題提案権(会社法第303条)
※取締役会非設置会社では単独株主権
総株主の議決権の1/100以上
または300個以上の議決権
必要
議案通知請求権(会社法305条)
※取締役会非設置会社では単独株主権
総株主の議決権の1/100以上
または300個以上の議決権
必要
株主総会に関する検査役選任請求権(会社法306条) 総株主の議決権1/100以上 必要
業務執行に関する検査役の選任請求権(会社法358条) 総株主の議決権3/100以上
または発行済株式の3/100以上
不要
会計帳簿閲覧請求権(会社法433条) 総株主の議決権3/100以上
または発行済株式の3/100以上
不要
役員解任請求権(会社法854条) 総株主の議決権3/100以上
または発行済株式の3/100以上
必要
役員等の責任軽減への異議権(会社法426条) 総株主の議決権3/100以上 不要
株主総会招集請求権(会社法297条) 総株主の議決権3/100以上 必要
会社解散の訴え提起権(会社法833条) 総株主の議決権1/10以上
または発行済株式の1/10以上
必要

単独株主権と同様、少数株主権にも様々な権利があります。
少数株主権の主な権利については、表の通りです。

単独株主権と異なり、少数株主権には議決権・株式数に関する要件も設定されている点に注意しましょう。

権利によって、必要となる持株比率等は異なるため、権利行使の要件を満たしているのか必ず確認しなければなりません。

一部の権利については、公開会社の場合は株式保有期間も要件とされていますので、あわせて確認しましょう。

なお、少数株主は一株以上の株式を保有しているので、単独株主権と少数株主権いずれも行使することが可能です。

少数株主権の詳細については、以下の記事をご参考ください。

さらに詳しく少数株主権とは?

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株主の権利である自益権と共益権

株主の権利は、大きく分けて自益権と共益権に分類されます。

自益権とは、株主が会社から得られる経済的な利益を目的とした権利です。
主に、配当金の受取や残余財産の分配などが自益権の行使に該当します。

共益権は、会社の経営に参加し、また権利行使の結果が株主全体の利益に影響する権利です。株主総会での議決権や会社の一定の行為に対する差止請求や訴訟提起などが共益権の行使に該当します。

共益権の一部は、権利を行使するために一定以上の株式を保有していなければなりません。

株主の株式保有状況によって、行使できる権利は異なりますが、単独株主権や少数株主権の行使を通じて、会社の運営状況の確認、監視及び是正が可能となっています。

単独株主権・少数株主権の要件

単独株主権や少数株主権を行使するには、それぞれの権利ごとに設定された要件を満たす必要があります。

公開会社、非公開会社によっても異なる部分はありますが、主に設定されている要件は以下の2点です。

  • 保有期間の要件
  • 議決権数・株式数の要件

保有期間の要件

単独株主権と少数株主権の行使には、株式の保有期間が要件となっている場合があります。

その場合、要件となる保有期間は、公開会社においては権利行使前の6ヶ月間と定められており、期間満了前の権利行使は認められません。

ただし、「権利行使前の6ヶ月間」という要件は、定款で短縮することが可能です。
権利行使を検討する際には、定款で要件となる期間が短縮されていないか確認しましょう。

なお、非公開会社については、株式の保有期間は権利行使の要件とされていません。非公開会社とは、発行する株式のすべてに譲渡制限を定めている会社です。

他方、公開会社とは、すべての株式に譲渡制限がない、もしくは一部の株式に譲渡制限の定めがない会社を指します。

公開会社と非公開会社の違いについては、以下の記事で詳しく解説しています。

さらに詳しく公開会社と非公開会社(株式譲渡制限会社)の違い

議決権数・株式数の要件

少数株主権には、権利行使の要件として一定以上の議決権数・株式数が必要とされています。権利によって必要となる割合は異なりますので、適切に要件を満たしているのか確認しましょう。

なお、この議決権数や株式数は1人の株主で充足することまでは求められていません。協力する少数株主がいる場合は、複数の株主の合計によって要件を満たせば可能とされています。

複数の株主で要件を満たす場合は、連名で権利を行使します。
なお、会社法で定められた権利行使の要件となる議決権数・株式数は定款の定めによって緩和も可能です。

権利行使の際は、会社法だけでなく定款についてもご確認ください。

単独株主権や少数株主権に関するご相談は弁護士法人ALGにお任せください

単独株主権や少数株主権は、少数派の株主であっても会社の経営を監督し、不正を防止するなどの重要な役割があります。

単独株主権や少数株主権を行使し、経営の不正によって株主全体の利益が損なわれることを防止できれば、株主の利益に繋がります。

単独株主権や少数株主権の内容は幅広く、かつ権利によって要件が異なるため、把握することは簡単ではありません。

弁護士に相談すれば、法的に適切な権利行使であるか否かを確認ができ、適切な対応についてアドバイスを受けることができます。

弁護士法人ALGでは、企業法務に見識のある弁護士が在籍しており、単独株主権や少数株主権に係るご相談に積極的に対応しております。

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