BOI企業における外国人雇用の要件|改訂ポイントと実務対応 | タイ法務 | タイ法律相談 | 弁護士法人ALG&Associates
コラム

コラム

タイ税務サポート

更新日: 2026年7月17日

BOI企業における外国人雇用の要件|改訂ポイントと実務対応

監修弁護士 川村 励 弁護士法人ALG&Associates バンコクオフィス 所長

タイ投資委員会(BOI)は、タイへの投資促進を目的とする公的機関です。

BOIの認可を受けた企業は、法人税の免除といった税制面における優遇だけでなく、外国人事業法の適用免除や外国人雇用の人数制限の緩和など、様々なメリットを享受できます。

ただし、BOIが定める要件を遵守できなければ思わぬ税務リスクに繋がる可能性があります。

本稿では、2025年以降に施行された最新のBOI企業の雇用基準や最低給与額、実務上の注意点、要件を満たさない場合の税務リスク等について分かりやすく解説します。

BOI企業における外国人雇用

タイにおける外国人雇用には、通常「タイ人従業員4名につき外国人1名」という比率制限があります。

しかし、BOIの認可を受けた企業については、この人数制限が緩和されるため、日本人駐在員や高度な専門人材を柔軟に配置することが可能です。

ただし、この優遇措置を受けるためには、BOIが定める要件を満たす必要があります。新規申請事業については2025年1月1日から、既存の事業については2026年1月1日より新基準が適用されていますので注意しましょう。

タイにおけるBOI会社の設立については、以下の記事をご参考ください。

タイにおけるBOI会社の設立

BOI企業の外国人雇用要件と改定ポイント

2025年6月、BOI告示により外国人雇用要件が改定されました。主な変更点は、以下のとおりです。

  • 最低給与基準の設定
  • 外国人の雇用比率

これらはBOI恩典の維持に直結する重要な改定ポイントとなりますので、必ず確認しておきましょう。

最低給与基準の設定

職位 最低年齢 条件 平均月収(THB)
経営層 27歳 5年以上 150,000
管理職 27歳 5年以上 75,000
ITスペシャリスト・研究者 22歳 関連分野の学位があれば2年以上(なければ5年以上) 75,000
エンジニア 22歳 関連分野の学位があれば2年以上(なければ10年以上) 75,000
オペレーション 22歳 関連分野の教育を受けていれば2年以上(なければ5年以上) 50,000
オペレーター(BPO・TISO・IBPO) 22歳 訓練証明書の保有 35,000

BOI企業が外国人のビザや労働許可証を取得・更新する際、役職に応じて一定以上の給与を支払うことが義務化されています。

この最低給与基準は、高度専門職の人材獲得やタイ人従業員の能力向上を推し進めることが目的です。そのため、対象となるのは管理職、ITスペシャリスト、研究者、エンジニア等の高度な専門性をもつ人材です。

原則として高い給与水準が求められますが、申請者が従事する業務に直接関連する分野の学士号以上を保持している場合には、最低月額基準が50,000バーツに緩和されます。

なお、短期プロジェクトへの参画など、雇用期間が6カ月未満の外国人労働者については、この最低給与基準の規定は対象外となります。

職位 最低年齢 関連分野における最低職歴 平均月収(THB)
経営層 27歳 5年以上 150,000
管理職レベル 27歳 5年以上 75,000※
オペレーションレベル 22歳 関連分野の教育を受けていれば2年以上、そうでなければ5年以上 50,000
エンジニア 22歳 関連分野の学位があれば2年以上、そうでなければ10年以上 75,000※
ITスペシャリスト・研究者 22歳 関連分野の学位があれば2年以上、そうでなければ5年以上 75,000※
ワークステーションオペレーター 22歳 訓練証明書 35,000

※業務に関連する分野の学士号を保持する場合は、最低月収は50,000THBに緩和される。

タイにおける賃金についての詳細は、以下の記事をご参考ください。

タイにおける賃金について

外国人の雇用比率

製造業に従事するBOI企業のうち、従業員数が100名を超える大規模な組織においては、全従業員の70%以上をタイ人とする雇用比率の維持が義務付けられました。

一方で、従業員数が100名未満の企業やサービス業に関しては、現在のところ、この規定の対象外とされています。

ただし、極めて高度な技術を要するプロジェクトなど、事業の性質上どうしても外国人専門家の比率が高まらざるを得ないケースでは、個別審査により比率の緩和申請が認められるケースもあります。

施行日と猶予期間

2025年6月5日以降に投資奨励を受けた新規事業については、同年10月1日から新基準が適用されています。

一方、6月4日以前の既存事業には3ヶ月の猶予が与えられ、2026年1月1日から適用となりました。現在は全てのBOI企業で新基準の遵守が必要です。

BOI外国人雇用で企業が取るべき実務対応

BOI企業が外国人雇用でとるべき対応策は、主に以下の3点になります。

  • 雇用時や更新時の確認
  • 税務申告との突合確認
  • 既存従業員への対応

雇用時や更新時の確認

外国人従業員の雇用時や更新時には、役職に応じた最低給与基準をクリアしているか確認する必要があります。

特に管理職や研究者などの場合、学士号の有無によって最低給与基準額が異なるため、契約締結の際は業務に直結しているか確認し、書類を保管しておきましょう。

あわせて、製造業等の場合はタイ人雇用比率(70%以上)が維持できているか、最新の従業員名簿で確認します。

これらの要件は、採用時だけでなく労働許可証の新規取得や更新時にも審査されます。これらの基準を満たしているかどうかについては、給与支払いを証明する源泉徴収申告書や社会保険納付証明などが求められますので、日頃から労務・税務両面から書類を整備しておくことが大切です。

税務申告との突合確認

BOIの要件遵守を証明する上で、税務申告データとの整合性は重要なチェックポイントといえます。

具体的には、月次および年次の源泉徴収申告書(個人所得税の申告書類)に記載された給与額が、雇用契約書の給与額と一致しているか確認しましょう。

特に、各種手当やボーナスが課税所得に含まれていないケースが散見されますので注意が必要です。もし申告内容と実態に不一致がある場合は、速やかに修正申告を行うか、正当な理由を説明できる補足書類(給与明細や銀行振込記録等)を準備し説明体制を整えなければなりません。

既存従業員への対応

新ルールは新規採用者だけでなく、既存の外国人従業員にも適用されます。

そのため、該当従業員の給与額が基準を下回っている場合は、速やかに新基準に合わせた給与体系の見直しなどの対応が必要です。

新基準への適用を怠ると労働許可証の更新が困難になるなど様々な影響が生じるため、早期の点検と雇用契約の更新などが急務となります。

よくある質問

BOIの外国人雇用要件を満たしていない場合、ビザにも影響しますか?

はい、重大な影響を及ぼす可能性があります。

BOIの定める外国人雇用の要件を満たしていない場合、BOI企業としての労働許可証の申請や更新は不許可となり、就労ビザの更新にも支障が出るでしょう。

なお、BOI基準は満たしていなくても、一般枠の要件に達していれば、一般のビザ等への切替えは可能と考えられます。一般枠の要件も満たせなければ、最悪の場合、不法滞在や不法就労となるおそれがあるため、要件確認は極めて重要です。

タイの入国ビザと労働許可証については、以下の記事で詳しく解説しています。

タイの入国ビザと労働許可証について

タイ人従業員数はどのような書類で証明しますか?

主に社会保険料納付書によって証明します。

そのほか、場合によっては最新の労働者名簿や源泉徴収申告書の提出を求められることも考えられます。社会保険料納付書以外にも補足資料の提出が必要になることも踏まえて、日頃から税務・労務関連書類を整理しておきましょう。

税務調査で外国人雇用に関する指摘を受けた場合、どう対応すれば良いですか?

まずは、P.N.D.(個人所得税)申告書、給与台帳、雇用契約書などの証憑を速やかに整理し、給与支払いの事実を客観的に立証できる体制を整えることが先決です。これらと併せて、タイ国内の署名権者による証明書も準備し、申告内容の正当性を主張します。

指摘内容が複雑な場合や、要件の解釈に相違がある場合は、専門知識を持つ弁護士と連携することをおすすめします。不備が認められる場合は、速やかに修正申告や補足説明書を提出しましょう。

BOI企業の外国人雇用や税務でお困りの際はALGにご相談ください

タイ進出企業にとって、BOIの外国人雇用要件は法改正もあり複雑化しているといえます。

現地法制度を正しく理解しないまま判断すると、税務・労務面で不備が生じ、多額の追徴課税やビザの失効といった事態を招くおそれがあります。BOIにおける外国人雇用や税務については、事前に専門家によるリーガルチェックを受けることをおすすめします。

弁護士法人ALGでは、タイ現地法務に精通した弁護士が、雇用契約の整備から税務申告との突合、BOI要件の確認まで一気通貫でサポートします。

BOI企業の外国人雇用や税務で少しでもお困りごとがあれば、ぜひお気軽にご相談ください。

お問い合わせ

まずは専任の受付職員が丁寧にお話を伺います。

日本国内からのお問い合わせ

0120-529-006

タイ国内からのお問い合わせ

+662-254-5788

受付時間平日10:00〜20:00/土日祝10:00〜18:30

メール相談予約受付

※日本語、タイ語、英語のサポートをご利用いただけます。

執筆弁護士

弁護士法人ALG&Associates タイオフィス 所長

弁護士川村 励

プロフィールはこちら

カテゴリー