非上場株式の買い方は?購入するメリット・デメリット、注意点など

監修
弁護士 家永 勲

弁護士法人ALG&Associates執行役員

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非上場会社の株式は、上場会社と違い、取引市場には流通していません。

そのため、非上場株式を取得するには、直接交渉やM&A、ストックオプションなどの方法をとらなければなりません。

市場価格のない非上場株式の取得には、適正額を算定しなければならないなど様々な注意点があります。

本稿では、非上場株式の取得方法やメリット・デメリット、評価額の算定方法などについて分かりやすく解説していきます。

非上場株式とは

非上場株式とは、証券取引所に上場されていない株式をいいます。

市場で取引されないため、時価となる市場価格がない、当事者の合意によって取引される点などが非上場株式の大きな特徴です。

非上場株式は、上場株式や非公開株、譲渡制限株式とは異なるポイントが多数あります。

各株式と非上場株式の違いについて、以下の順で解説していきます。

  1. 上場株式との違い
  2. 非公開株との違い
  3. 譲渡制限株式との違い

上場株式との違い

非上場株式と上場株式の最も大きな違いは、取引市場で売買できるかという点です。上場株式は証券会社を通せば誰でも売買が可能なため、流動性が高く、資金調達の面で有利といえます。

ただし、非上場であることが直ちに不利となるわけではありません。上場株式と違い、非上場株式は限られた取引形態となるため、株主が限定されます。

多様な株主構成となる上場株式に比べると、非上場株式では比較的、株主の関与は限定的となるでしょう。

経営方針の自由度や迅速な意思決定という点については、非上場株式に利があるともいえます。

未公開株との違い

未公開株は、証券取引所に上場していない株式であって、店頭取引もされていない株式をいいます。

上場予定のない非上場株式に比べると、上場を予定している未公開株は多くの投資家に注目されやすいでしょう。

IPOによって資本を強化できれば、事業の拡大にも繋がり株式価値の上昇が見込まれます。未公開株はIPOによる将来的なリターンを期待して取得される傾向にあります。

譲渡制限株式との違い

非上場株式は、譲渡制限株式であるケースが一般的ですが、非上場株式=譲渡制限株式というわけではなく、両者は異なる概念による呼称です。

譲渡制限株式は、その性質上、特に非上場の中小企業で用いられますが、非上場会社に限定された仕組みではないため、上場会社でも活用されるケースはあります。

非上場株式は、上場していないため市場性の低い株式ですが、原則として自由に譲渡することが可能です。

対して、譲渡制限株式とは、株式の譲渡に制限を設けた株式です。
譲渡するには会社の承認を得る必要があり、会社は経営に望ましくない第三者の介入を防ぐことができます。

譲渡制限株式について詳しく知りたい方は、以下のページをご確認ください。

さらに詳しく譲渡制限株式とは?

非上場株式の5つの買い方

非上場株式を購入する主な方法は以下のとおりです。

  • M&A
  • 直接交渉
  • ストックオプション
  • 相続・贈与
  • 投資型クラウドファンディング

①M&A

M&Aの株式譲渡は、非上場株式を購入する方法の1つとして挙げられます。

株式譲渡とは、会社の株主が買い手と売買契約を締結して株式を移行させ、株主の地位や経営権などを承継させる手法です。
株主構成は変わりますが、会社はそのまま存続します。

M&Aによって非上場株式を購入する目的は、事業拡大や新たな技術の導入など様々です。株式の売買価格は会社の価値や将来性を見積もって交渉する必要があるため、契約前にはデューデリジェンスの実施が不可欠といえます。

②直接交渉

非上場株式は当事者間による直接交渉で購入することもできます。
直接交渉する相手としては、会社の既存の株主から買い取る方法が一般的でしょう。

市場価格をもたない非上場株式の直接交渉は、売却条件の設定が肝となります。

当事者間で設定できるため、自由度が高い点はメリットともいえますが、反面、適正な条件を引き出すには高度な交渉力が求められます。

③ストックオプション

社内制度としてストックオプションが導入されている会社の場合、その対象者となれば株式を取得できます。

ストックオプションとは、主に従業員に対して、あらかじめ定められた価格で株式を取得できる権利を付与する制度です。

定められた価格よりも株式価値が高まれば得られる報酬が多くなるため、従業員のモチベーション向上にも繋がります。従業員のやる気によって会社が成長し、従業員へ還元される仕組みとなっています。

ストックオプションによる非上場株式の取得は比較的リスクが低い方法ですが、設定価格や権利行使の条件は会社が設計できるため、詳細を確認することが大切です。

譲渡制限付株式とストックオプションの違いは、以下のページで解説しています。

さらに詳しく譲渡制限付株式(RS)とストックオプション(SO)の違いとは?

④相続・贈与

非上場株式の取得は、売買によらず、相続・贈与によって取得する場合もあります。

相続・贈与は、既存の株主が死亡した場合、もしくは生前に特定の人物へ無償譲渡することで株式が移転します。
相続・贈与による取得は、主に事業承継の手段として行われます。

相続や贈与については、売買ではないため対価の支払いはありませんが、相続税や贈与税が必要となる可能性があります。

相続税や贈与税は株式の評価額を基に算出されますが、市場価格をもたない非上場株式の評価額の算出は困難といえるでしょう。

相続や贈与による株式の取得には、各種法律や税務の専門知識が必要とされるため、専門家へ相談するなどの事前対策が大切です。

非上場株式の相続についての詳細は、以下のページよりご確認ください。

さらに詳しく非上場株式の相続における注意点

⑤投資型クラウドファンディング

投資型クラウドファンディングは、インターネット上のプラットフォームを通じて、非上場株式を取得する投資手法です。

比較的少額からの投資設定となっているため、多くの投資家から支援を募ることができます。スタートアップなどの会社が資金調達のために利用しているケースが多いでしょう。

ただし、投資リスクを踏まえて購入を決定しなければ、想定外の損害が生じる可能性もありますので注意しましょう。

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非上場株式を購入するメリット・デメリット

非上場株式を購入すると、どのようなメリット・デメリットがあるでしょうか。
上場株式とは異なる注意点もあるため、購入前には必ず確認しておくべきです。

メリット・デメリットの両方を踏まえた上で、購入するか否かを決定しましょう。

  • メリット
  • デメリット

メリット

非上場株式購入の最大のメリットは、将来的な上場など、今後の成長による大きな投資リターンの可能性がある点です。

市場に公開されていないため、非上場株式は比較的低価格に設定されています。
独自の魅力をもつ会社が躍進し、株価が大きく上昇するなどがあれば、通常の株式投資以上の成果を得られるかもしれません。

ただし、低価格で購入できればリスクが低いというわけではありません。
非上場株式の購入は、投資リスクも踏まえて判断しましょう。

非上場株式の購入メリットは金銭的なリターンだけではありません。
今後成長を期待する会社へ資金を投入し、株式を購入すれば、会社の成長を応援することに繋がります。

非上場会社は資金調達手段が限られているため、株式購入による支援は大きな発展に結びつく可能性もあり、貢献感が得られるでしょう。

非上場株式の購入には以上のようなメリットがあると考えられますが、下記のリスクも把握したうえで購入を検討する必要があります。

デメリット

非上場株式の購入における最大のデメリットは、株式の流動性の低さにあります。

株式市場で自由に売買できないため、売却したいと考えても買い手を見つけることが難しく、換金できないリスクがあります。

また、非上場株式では、株式投資の利益である配当金が支払われない可能性もあります。

加えて、非上場会社では限られた株主が経営権を牛耳る体制も多く、少数株主では経営に関与できないといったデメリットも考えられます。

市場に公開されていない非上場株式では、情報が限定的であり、未公開株商法等、投資詐欺に遭うリスクもあります。
購入の際は、可能な限り調査し、専門家のアドバイスを受けるようにしましょう。

非上場株式における少数株主についての詳細は、以下のページをご参考ください。

さらに詳しく少数株主が非上場株式を抱えるリスク

非上場株式の取得価額の決め方と計算方法

非上場株式には、上場株式のような市場価格(時価)がありません。
取引の際は、当事者間で適正な評価額を算定し、合意する必要があります。

非上場株式の代表的な3つの計算方法は表のとおりです。
いずれの算定方式にもメリット・デメリットがあるため、会社の状況や事情に応じて採用しなければなりません。

ただし、株価を算定する際には高度な会計・法律・税務等の知識が必要となります。弁護士などの専門家に依頼し、客観的にも適正な評価額を算定すべきでしょう。

類似業種比準法 類似する上場会社の株価を参考にして、「配当」「利益」「純資産」を比べ、その上場会社の株価との差を調整して算出する方法。
純資産価額方式 会社が持つ全資産の時価から負債の時価総額を差し引いた「純資産の金額」に基づいて株価を算出する方法。「会社を今解散したら残るお金」という基準で株式を評価する。
配当還元方式 会社から受け取った配当金の合計額を元にして、評価額を算出する方法。

非上場株式の売買価格についての詳細は、以下のページで解説しています。

さらに詳しく非上場株式の売買価格はどう決まる?

非上場株式を購入する際の注意点

不十分な情報で株式を取得すると、思わぬ費用やトラブルが生じるおそれがあります。非上場株式を購入する際は、以下のような注意点を踏まえて検討しましょう。

  • 譲渡価額によって税金額が変わる
  • 売りたいときに売れるわけではない
  • 購入時はデューデリジェンスを徹底する

譲渡価額によって税金額が変わる

非上場株式を譲渡した場合、譲渡価額から必要経費を差し引いて利益が生じれば、譲渡所得となります。

譲渡所得=譲渡価額―必要経費(取得費+譲渡費用)

譲渡所得にかかる税率は、個人の譲渡による譲渡所得税と、法人の譲渡による法人税の場合で税率が異なります。

個人の譲渡で生じた譲渡所得については、税率は20.315%(所得税15%、住民税5%、復興特別所得税0.315%)となります。
一方、法人の譲渡については会社規模等によって異なります。

税金の対象となるのは譲渡による取得に限りません。相続や贈与で取得した場合についても、株式の評価額に応じた各種税金が課される可能性があります。

株式を取得する際は、取得によって生じる税金についても考慮し、原資を準備しておくことが大切です。

非上場株式の取得によって発生する主な税金は、取得方法にもよりますが、以下のとおりです。

  • 譲渡所得税
  • 法人税
  • 住民税
  • 相続税
  • 贈与税
  • 寄付金課税

売りたいときに売れるわけではない

非上場株式は、いつでも現金化できるわけではないという点を念頭においておきましょう。

非上場株式は、株式市場で取引ができないため、売りたいときに売れるわけではなく、自ら買い手を探す必要があります。

買い手がなかなか見つからない、買い手がいても条件が折り合わないなどがあれば、株式をスムーズに現金化できない可能性があります。

資金計画の一部に非上場株式を含めるとリスクに繋がりますので、購入前には十分に検討しましょう。

また、非上場株式は譲渡制限が設けられているケースも多々あります。
譲渡制限株式とは、譲渡について会社に承認を得る必要がある株式をいいます。

買い手がみつかっても、会社が譲渡を承認しなければ譲渡することはできず、会社の承認を得ないまま譲渡すると会社との関係では無効になるなどトラブルに繋がりかねません。

非上場株式を投資として取得する場合には、流動性の低さも踏まえた上で資産構成を考える必要があります。

購入時はデューデリジェンスを徹底する

非上場株式は上場会社に比べると、公開情報が少なく投資判断には不十分なケースがあります。

もし、会社の価値を毀損するような情報を見逃していれば、株式価値を正しく評価できず、大きな損害に繋がるおそれもあるでしょう。

非上場株式を取得する際は、リスクを低減するためにデューデリジェンスの実施を徹底すべきです。

デューデリジェンスとは、財務報告書や契約書など様々な情報を基に、財務・法務・税務などの面から、会社の潜在的な問題点を明らかにする調査です。

可能な限り情報を収集することで、デューデリジェンスの精度が高まり、リスク軽減に繋がります。

デューデリジェンスには専門的な知識を踏まえた分析が必要となるため、弁護士等への依頼が必須といえるでしょう。

非上場株式の買い方に関しては弁護士法人ALGにご相談ください

非上場株式の購入は、上場株式の購入とは様々な点で異なります。

取得する際に、売り手と直接交渉したり、評価額を算定することなどは非上場株式ならではといえます。

しかし、交渉等の対応には法律や税務などの専門知識が必要となります。

もし、知識が不足していれば思わぬ投資トラブルに遭うおそれも考えられるでしょう。弁護士に依頼すれば、購入の直接交渉や株式の価格算定のサポートなどを受けることができます。

弁護士法人ALGでは、企業法務に精通した弁護士が在籍しており、非上場株式に関連したご相談に対応しています。
非上場株式の買い方に不安があれば、ぜひ私どもにご相談ください。

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保有資格
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