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交通事故に遭い後遺症が残ってしまったら、後遺症によって生じた損害の賠償を請求できます。
ただし、そのためには後遺障害等級認定を受けて、「後遺症が後遺障害にあたること」を認定してもらわなければなりません。
後遺症に苦しむ被害者の受け取れる損害賠償金は、「後遺障害等級認定の認否」そして、「認定される等級」によって目を見張る金額の差が出てきます。症状に苦しんでいるなか、正当に賠償を受けたいと思われるのも当然です。
本記事では、そもそも後遺障害や等級認定とは何なのか、なぜ等級認定の申請が必要なのか、具体的な申請方法など、後遺障害等級認定を正当に受けるために必要な知識をわかりやすく解説していきます。
適切な認定を受けられずに損することがないよう、後遺障害や等級認定について正しく理解しましょう。
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目次
後遺障害とは、医学的に交通事故が原因だと認められる後遺症のうち、自賠責保険が定める基準にあてはまる程度に労働能力を低下・喪失させているものをいいます。
具体的には、下記の条件をすべて満たしている場合に後遺障害があると認められます。
①事故による怪我や病気の治療後も症状が残っている
⇒後遺症が残ったということです。
②残った症状の原因が交通事故にあると医学的に認められる
⇒後遺症と事故に因果関係があると医学的に証明できなければなりません。
③残った症状によって労働能力が低下・喪失している
⇒後遺症が日常生活や仕事に影響しているということです。
④労働能力の低下・喪失の程度が自賠責保険の定める基準にあてはまる
⇒日常生活や仕事に及ぼす影響の程度が一定以上でないと、後遺障害として認められません。
広い意味でいう後遺症の一部にあたるのが後遺障害です。つまり、どんな後遺障害も後遺症といえますが、すべての後遺症が必ず後遺障害にあたるわけではありません。
広い意味でいう後遺症とは、これ以上治療しても回復が見込めないと医学的に判断されて治療を終了することになった時点(症状固定時)で残っている症状です。
そして、後遺障害とは、交通事故を原因とする後遺症のなかでも、自賠責保険が定める基準に当てはまる程度に労働能力に影響を与えている症状を指します。
後遺障害とまではいえない単なる後遺症だと判断されてしまうと、後遺障害を根拠とする損害の賠償請求が認められなくなってしまいます。それぞれの違いをしっかりと理解しておくことが重要です。
後遺障害等級認定とは、交通事故により残ってしまった後遺症が後遺障害にあたるかどうかを判断し、14の等級に分類する手続をいいます。
後遺障害として認定されるためには、この手続を申請する必要があります。
認定手続で分類される等級とは、後遺障害の症状の種類や重さに応じて決められる、全14段階の区分のことです。自動車損害賠償保障法施行令の別表に基準が定められており、これに従って1~14級までに分類されます。
なお、自賠責基準を使うときには、介護の必要性によってさらに2段階の区分が加わります。
それぞれの等級には独自の基準があり、これを満たさなければその等級の後遺障害として認められません。
つまり、交通事故による後遺症であっても、症状の種類や重さによっては等級認定を受けられない場合があるということです。
正式公開ではないものの、損害保険料率算出機構※1の統計などから、後遺障害等級が認定される確率は約5%程度だといわれています。
そして、認定された件数のうち最も多くを占めるのが一番軽度の等級である第14級で、全体の認定件数の約60%を占めています。
※1:後遺障害の審査・認定を行う第三者機関であり、自動車保険の概況に関する統計データ等を公開しています。
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そもそも、なぜ後遺障害等級の認定を受ける必要があるのでしょうか?それは、適正な賠償を受けるためです。
後遺障害等級認定を受けられなければ、後遺障害を根拠とする損害への賠償である後遺障害慰謝料や後遺障害逸失利益を請求できません。
また、認定された等級によって賠償金の額も変動するので、適正な賠償を受けるためには、症状に見合った正しい等級認定を受ける必要があります。
後遺障害慰謝料とは、後遺障害が残ったことにより受けた精神的な苦痛に対する賠償金です。
後遺障害の14ある等級ごとに慰謝料額の目安が定められていますので、認定された等級に定められた金額を参考に、個別の事情を考慮しながら慰謝料額を決定することになります。
後遺障害逸失利益とは、後遺障害が残らなければ得られたはずの収入・利益に対する賠償金をいいます。
金額の計算では、被害者の性別や年齢、職業、実際に得ている収入等のほか、後遺障害によってどれだけ労働能力が低下・喪失したかといった事情も考慮されます。詳しい計算方法等は、下記の記事でご確認ください。
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後遺障害等級は、数字が小さいほど重度になっていきます。つまり、第1級が一番重度で第14級が最も軽度ということになります。
下記の表は、等級ごとの認定基準をまとめたものです。基準にあてはまる症状がみられる場合に、その等級の後遺障害が残ったと認定されます。
なお、自賠責基準を適用して慰謝料を算定する場合、日常生活に介護が必要かどうかで参考にする表を使い分ける必要があります。
具体的には、介護が必要な後遺障害の場合には【介護を要する後遺障害】専用の表を参照して、第1級と第2級の2段階に区分することになります。
等級 | 介護を要する後遺障害 |
---|---|
第1級 | 1. 神経系統の機能又は精神に著しい障害を残し、常に介護を要するもの 2. 胸腹部臓器の機能に著しい障害を残し、常に介護を要するもの |
第2級 | 1. 神経系統の機能又は精神に著しい障害を残し、随時介護を要するもの 2. 胸腹部臓器の機能に著しい障害を残し、随時介護を要するもの |
等級 | 後遺障害 |
---|---|
第1級 | 1. 両眼が失明したもの 2. 咀嚼及び言語の機能を廃したもの 3. 両上肢をひじ関節以上で失つたもの 4. 両上肢の用を全廃したもの 5. 両下肢をひざ関節以上で失つたもの 6. 両下肢の用を全廃したもの |
第2級 | 1. 一眼が失明し、他眼の視力が〇・〇二以下になつたもの 2. 両眼の視力が〇・〇二以下になつたもの 3. 両上肢を手関節以上で失つたもの 4. 両下肢を足関節以上で失つたもの |
第3級 | 1. 一眼が失明し、他眼の視力が〇・〇六以下になつたもの 2. 咀嚼又は言語の機能を廃したもの 3. 神経系統の機能又は精神に著しい障害を残し、終身労務に服することができないもの 4. 胸腹部臓器の機能に著しい障害を残し、終身労務に服することができないもの 5. 両手の手指の全部を失つたもの |
第4級 | 1. 両眼の視力が〇・〇六以下になつたもの 2. 咀嚼及び言語の機能に著しい障害を残すもの 3. 両耳の聴力を全く失つたもの 4. 一上肢をひじ関節以上で失つたもの 5. 一下肢をひざ関節以上で失つたもの 6. 両手の手指の全部の用を廃したもの 7. 両足をリスフラン関節以上で失つたもの |
第5級 | 1. 一眼が失明し、他眼の視力が〇・一以下になつたもの 2. 神経系統の機能又は精神に著しい障害を残し、特に軽易な労務以外の労務に服することができないもの 3. 胸腹部臓器の機能に著しい障害を残し、特に軽易な労務以外の労務に服することができないもの 4. 一上肢を手関節以上で失つたもの 5. 一下肢を足関節以上で失つたもの 6. 一上肢の用を全廃したもの 7. 一下肢の用を全廃したもの 8. 両足の足指の全部を失つたもの |
第6級 | 1. 両眼の視力が〇・一以下になつたもの 2. 咀嚼又は言語の機能に著しい障害を残すもの 3. 両耳の聴力が耳に接しなければ大声を解することができない程度になつたもの 4. 一耳の聴力を全く失い、他耳の聴力が四十センチメートル以上の距離では普通の話声を解することができない程度になつたもの 5. 脊柱に著しい変形又は運動障害を残すもの 6. 一上肢の三大関節中の二関節の用を廃したもの 7. 一下肢の三大関節中の二関節の用を廃したもの 8. 一手の五の手指又はおや指を含み四の手指を失つたもの |
第7級 | 1. 一眼が失明し、他眼の視力が〇・六以下になつたもの 2. 両耳の聴力が四十センチメートル以上の距離では普通の話声を解することができない程度になつたもの 3. 一耳の聴力を全く失い、他耳の聴力が一メートル以上の距離では普通の話声を解することができない程度になつたもの 4. 神経系統の機能又は精神に障害を残し、軽易な労務以外の労務に服することができないもの 5. 胸腹部臓器の機能に障害を残し、軽易な労務以外の労務に服することができないもの 6. 一手のおや指を含み三の手指を失つたもの又はおや指以外の四の手指を失つたもの 7. 一手の五の手指又はおや指を含み四の手指の用を廃したもの 8. 一足をリスフラン関節以上で失つたもの 9. 一上肢に偽関節を残し、著しい運動障害を残すもの 10. 一下肢に偽関節を残し、著しい運動障害を残すもの 11. 両足の足指の全部の用を廃したもの 12. 外貌に著しい醜状を残すもの 13. 両側の睾丸を失つたもの |
第8級 | 1. 一眼が失明し、又は一眼の視力が〇・〇二以下になつたもの 2. 脊柱に運動障害を残すもの 3. 一手のおや指を含み二の手指を失つたもの又はおや指以外の三の手指を失つたもの 4. 一手のおや指を含み三の手指の用を廃したもの又はおや指以外の四の手指の用を廃したもの 5. 一下肢を五センチメートル以上短縮したもの 6. 一上肢の三大関節中の一関節の用を廃したもの 7. 一下肢の三大関節中の一関節の用を廃したもの 8. 一上肢に偽関節を残すもの 9. 一下肢に偽関節を残すもの 10. 一足の足指の全部を失つたもの |
第9級 | 1. 両眼の視力が〇・六以下になつたもの 2. 一眼の視力が〇・〇六以下になつたもの 3. 両眼に半盲症、視野狭窄又は視野変状を残すもの 4. 両眼のまぶたに著しい欠損を残すもの 5. 鼻を欠損し、その機能に著しい障害を残すもの 6. 咀嚼及び言語の機能に障害を残すもの 7. 両耳の聴力が一メートル以上の距離では普通の話声を解することができない程度になつたもの 8. 一耳の聴力が耳に接しなければ大声を解することができない程度になり、他耳の聴力が一メートル以上の距離では普通の話声を解することが困難である程度になつたもの 9. 一耳の聴力を全く失つたもの 10. 神経系統の機能又は精神に障害を残し、服することができる労務が相当な程度に制限されるもの 11. 胸腹部臓器の機能に障害を残し、服することができる労務が相当な程度に制限されるもの 12. 一手のおや指又はおや指以外の二の手指を失つたもの 13. 一手のおや指を含み二の手指の用を廃したもの又はおや指以外の三の手指の用を廃したもの 14. 一足の第一の足指を含み二以上の足指を失つたもの 15. 一足の足指の全部の用を廃したもの 16. 外貌に相当程度の醜状を残すもの 17. 生殖器に著しい障害を残すもの |
第10級 | 1. 一眼の視力が〇・一以下になつたもの 2. 正面を見た場合に複視の症状を残すもの 3. 咀嚼又は言語の機能に障害を残すもの 4. 十四歯以上に対し歯科補綴を加えたもの 5. 両耳の聴力が一メートル以上の距離では普通の話声を解することが困難である程度になつたもの 6. 一耳の聴力が耳に接しなければ大声を解することができない程度になつたもの 7. 一手のおや指又はおや指以外の二の手指の用を廃したもの 8. 一下肢を三センチメートル以上短縮したもの 9. 一足の第一の足指又は他の四の足指を失つたもの 10. 一上肢の三大関節中の一関節の機能に著しい障害を残すもの 11. 一下肢の三大関節中の一関節の機能に著しい障害を残すもの |
第11級 | 1. 両眼の眼球に著しい調節機能障害又は運動障害を残すもの 2. 両眼のまぶたに著しい運動障害を残すもの 3. 一眼のまぶたに著しい欠損を残すもの 4. 十歯以上に対し歯科補綴を加えたもの 5. 両耳の聴力が一メートル以上の距離では小声を解することができない程度になつたもの 6. 一耳の聴力が四十センチメートル以上の距離では普通の話声を解することができない程度になつたもの 7. 脊柱に変形を残すもの 8. 一手のひとさし指、なか指又はくすり指を失つたもの 9. 一足の第一の足指を含み二以上の足指の用を廃したもの 10. 胸腹部臓器の機能に障害を残し、労務の遂行に相当な程度の支障があるもの |
第12級 | 1. 一眼の眼球に著しい調節機能障害又は運動障害を残すもの 2. 一眼のまぶたに著しい運動障害を残すもの 3. 七歯以上に対し歯科補綴を加えたもの 4. 一耳の耳殻の大部分を欠損したもの 5. 鎖骨、胸骨、ろく骨、けんこう骨又は骨盤骨に著しい変形を残すもの 6. 一上肢の三大関節中の一関節の機能に障害を残すもの 7. 一下肢の三大関節中の一関節の機能に障害を残すもの 8. 長管骨に変形を残すもの 9. 一手のこ指を失つたもの 10. 一手のひとさし指、なか指又はくすり指の用を廃したもの 11. 一足の第二の足指を失つたもの、第二の足指を含み二の足指を失つたもの又は第三の足指以下の三の足指を失つたもの 12. 一足の第一の足指又は他の四の足指の用を廃したもの 13. 局部に頑固な神経症状を残すもの 14. 外貌に醜状を残すもの |
第13級 | 1. 一眼の視力が〇・六以下になつたもの 2. 正面以外を見た場合に複視の症状を残すもの 3. 一眼に半盲症、視野狭窄又は視野変状を残すもの 4. 両眼のまぶたの一部に欠損を残し又はまつげはげを残すもの 5. 五歯以上に対し歯科補綴を加えたもの 6. 一手のこ指の用を廃したもの 7. 一手のおや指の指骨の一部を失つたもの 8. 一下肢を一センチメートル以上短縮したもの 9. 一足の第三の足指以下の一又は二の足指を失つたもの 10. 一足の第二の足指の用を廃したもの、第二の足指を含み二の足指の用を廃したもの又は第三の足指以下の三の足指の用を廃したもの 11. 胸腹部臓器の機能に障害を残すもの |
第14級 | 1. 一眼のまぶたの一部に欠損を残し又はまつげはげを残すもの 2. 三歯以上に対し歯科補綴を加えたもの 3. 一耳の聴力が一メートル以上の距離では小声を解することができない程度になつたもの 4. 上肢の露出面にてのひらの大きさの醜いあとを残すもの 5. 下肢の露出面にてのひらの大きさの醜いあとを残すもの 6. 一手のおや指以外の手指の指骨の一部を失つたもの 7. 一手のおや指以外の手指の遠位指節間関節を屈伸することができなくなつたもの 8. 一足の第三の足指以下の一又は二の足指の用を廃したもの 9. 局部に神経症状を残すもの |
事故によりむちうちを受傷して後遺症が残ってしまった場合、14級9号または12級13号が認定される可能性があります。
しかし、比較的軽傷で済むことが多いむちうちは、自覚症状を裏づける検査結果や画像所見といった他覚的所見がみられず、症状を医学的に証明しにくい場合が多いです。
そのため、症状を医学的に説明できることを示して、等級認定を目指すことになるケースがほとんどです。
なお、むちうちの場合にもらえる慰謝料の金額や認定を受けるためのポイント等の詳細は、下記の記事でご確認ください。
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後遺障害をはじめ、交通事故の損害賠償金を計算する際には算定基準を利用します。算定基準には3種類ありますが、どれを利用するかで金額は大きく変わってくるので注意しましょう。
自賠責基準 | 車両を所有している人全員が加入しなければならない、自賠責保険で利用されている基準です。基本的に、被害者の損害を最低限補償する金額しか算定されません。 |
---|---|
任意保険基準 | 任意保険会社がそれぞれの会社ごとに設定している基準です。自賠責基準よりは高額になりやすいといわれています。 |
弁護士基準 | これまでの裁判例を参考にして作られた基準です。弁護士に依頼しないと利用することは難しいですが、通常、最も高い金額が算定されます。 |
では、利用する基準によって実際にどれくらいの差が生まれるのでしょうか?次項では、自賠責基準と弁護士基準の相場を比較してみます。(任意保険基準は会社ごとに相場が異なるので省略します。)
下表は、自賠責基準と弁護士基準、それぞれを利用した場合の後遺障害慰謝料の相場をまとめたものです。弁護士基準のほうがかなり高額になっていることが一目瞭然です。
一般的に最も高額な金額を算定できるのは弁護士基準なので、弁護士に依頼し、弁護士基準で計算した慰謝料を請求されることをおすすめします。
後遺障害等級 | 自賠責基準 | 弁護士基準 |
---|---|---|
第1級 | 1650万円(1600万円) | 2800万円 |
第2級 | 1203万円(1163万円) | 2370万円 |
後遺障害等級 | 自賠責基準 | 弁護士基準 |
---|---|---|
第1級 | 1150万円(1100万円) | 2800万円 |
第2級 | 998万円(958万円) | 2370万円 |
第3級 | 861万円(829万円) | 1990万円 |
第4級 | 737万円(712万円) | 1670万円 |
第5級 | 618万円(599万円) | 1400万円 |
第6級 | 512万円(498万円) | 1180万円 |
第7級 | 419万円(409万円) | 1000万円 |
第8級 | 331万円(324万円) | 830万円 |
第9級 | 249万円(245万円) | 690万円 |
第10級 | 190万円(187万円) | 550万円 |
第11級 | 136万円(135万円) | 420万円 |
第12級 | 94万円(93万円) | 290万円 |
第13級 | 57万円 | 180万円 |
第14級 | 32万円 | 110万円 |
※()は旧基準の金額であり、2020年3月31日以前の事故に適用
後遺障害等級認定は、治療が終了した後、次のような流れで申請します。
①医師に後遺障害診断書を作成してもらう
等級認定を申請するにあたっては、まず、医師に後遺障害診断書(後遺障害の詳しい症状について証明するための書類)の作成を依頼しましょう。等級認定には、この後遺障害診断書が欠かせません。
②相手方が加入する自賠責保険会社、または任意保険会社に必要書類を提出する
後遺障害診断書のほか、後遺障害が存在することを証明するための資料※といった必要書類を用意し、後遺障害等級認定の申請書と一緒に保険会社に提出します。
なお、2通りある等級認定の申請方法のどちらを選択するかで、提出先の保険会社が変わってきます。
※レントゲン写真やMRI画像、神経学的検査結果など
③損害保険料率算出機構が審査・認定を行う
提出された書類は、保険会社から損害保険料率算出機構の自賠責損害調査事務所へ送られ、本当に等級に該当するだけの後遺障害が残ったのかどうかが判断されます。
④保険会社から結果が通知される
最後に、保険会社を通して等級認定の結果が通知されます。
事前認定とは、加害者が任意に加入している保険会社に申請を任せる、後遺障害等級認定の申請方法です。次のようなメリット・デメリットがあります。
メリット
保険会社が手続を代わってくれるため、時間や手間がかからない
医師に後遺障害診断書を作成してもらい、相手方の任意保険会社に提出すれば、被害者のするべき手順は終わりです。他の必要書類は提出先の任意保険会社がそろえてくれますし、手続にかかる時間やお金を最小限に抑えることができます。
デメリット
手続が不透明
手続を任せる保険会社は被害者に保険金を支払う立場にあるので、こちらの利益を追求してくれるような親身な対応は期待できません。また、申請手続の詳細な過程を知ることもできません。
不当な結果になる可能性がある
提出する書類や資料の準備をほとんど保険会社に任せるので、不備や不足があっても修正されず、結果として適切な認定を受けられない可能性があります。
保険金の先払いを受けられない
事前認定で申請した場合、賠償金(保険金)は示談成立後に一括で支払われることになります。被害者請求のように、示談が成立する前に先払いをしてもらうことはできません。
被害者請求とは、被害者が自分で(または代理人の弁護士が)すべての手続を行う、後遺障害等級認定の申請方法です。
被害者請求のメリットとデメリットは、事前認定のメリット・デメリットとほぼ正反対です。
メリット
手続の透明性が高く、後遺障害認定に有利
自分ですべての書類や資料を準備するため、認定率を高めるための努力ができます。例えば、書類に不備や不足があったとしても対応できますし、認定を受けるうえで有利に働く資料を追加で提出することもできます。
また、どのような経緯で手続が行われたのかもはっきりしているので、結果に納得できる可能性が高いでしょう。
保険金の先払いを受けられる
保険会社によっては、示談が成立する前に、認定された等級に応じた金額の保険金を支払ってもらえる場合があります。そのため、金銭的な心配を減らして治療に専念することができます。
デメリット
かなりの手間や費用がかかる
被害者自身で書類を作成したり、様々なところから書類や資料を集めたりする必要があるほか、保険会社との煩雑なやりとりを省くこともできません。
時間や手間に加えて、書類を発行してもらうための手数料等がかかる場合もあるので、金銭的にも負担となります。
後遺障害の症状の内容や程度によっては、大きな負担になる可能性があります。
後遺障害等級認定は、症状固定の診断が下された後でなければ申請できません。
症状固定とは、治療を継続したとしても、それ以上症状が改善しないだろうと医学的に考えられる状態を指します。
治療を受け持った医師が、「今後回復する可能性がない」と判断した時点で診断されます。
そもそも後遺障害等級は、事故により残ってしまった症状が改善しないことを前提に、その種類や重さを審査するものです。
症状が変わってしまう可能性があるうちは審査することができないので、症状固定と診断されて回復する見込みがなくならない限り、等級認定の申請は受け付けてもらえません。
たとえ示談が成立した後であっても、後遺症が残っていたことがわかった場合には、後遺障害等級認定を申請できる可能性が高いです。
ただし、示談は基本的にやり直すことができません。そのため、示談内容に「この他に損害賠償請求はしません」といった清算条項を設けている場合、下記の条件を満たさない限り、新たに後遺障害に伴う損害賠償を請求することはできません。
一般的に、必要書類の収集から結果が出るまでは1~2ヶ月ほどかかります。
ただし、提出した書類に不備や不足があり修正が必要な場合や、複数の後遺症が残っていたり、症状の判断が難しい後遺症が残っていたりする複雑な事案の場合には、通常よりも時間がかかる可能性があります。
例えば、脳の損傷により、注意力・記憶力の低下や感情をコントロールする能力に問題が生じる高次脳機能障害が残ったケース等です。
高次脳機能障害は時間とともに症状が軽くなっていくこともあり、後遺症の程度の判断には経過観察が必要なため、審査結果が出るまでに半年以上、長い場合には数年かかることもあります。
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後遺障害等級認定を申請するうえで、特に重要なのが後遺障害診断書です。
後遺障害診断書とは、後遺症についての具体的な内容やその程度を証明するための書類のことで、内容に誤りがあると適切な認定を受けることが難しくなってしまうので、とても大切な書類といえます。
後遺障害診断書を作成できるのは医師だけなので、それまでの治療を担当してくれた医師に作成を依頼するのが基本です。
複数部位を怪我して別々の医師に診てもらっている場合は、それぞれの部位別に後遺障害診断書を作成してもらうので、複数枚の診断書ができ上がることになります。
なお、医師は等級認定の手続の専門家ではありませんから、不備や不足のない診断書を作成してもらうためにも、以下のポイントに注意して依頼する必要があります。
自覚症状を詳しく伝える
医師との間で症状についての認識にズレがあると、誤った内容が記載されてしまいます。普段から十分にコミュニケーションをとっておき、しっかりと相談できる関係性を築いておくことが大切です。
不備や不足がないか必ず確認する
全体の記載はもちろん、特に症状固定日や入院開始日といった、結果に大きく左右する部分が正確かどうか確認しましょう。疑問に思う箇所があれば、医師に確認して不明点をなくしておくことをおすすめします。
弁護士に確認してもらう
専門的な観点から診断書の不備・不足を確認してもらうためにも、等級認定の手続に詳しい弁護士に一度チェックしてもらうと良いでしょう。
後遺障害診断書の作成にかかる費用は、病院や医師によっても違いますが、大体1通あたり5000~1万円が相場です。
また、作成には2週間程度かかる場合が多いです。
後遺障害等級の認定を受けること自体にデメリットはありません。
確かに、適切な認定を受けるためには結構な時間や手間がかかりますが、申請手続に精通した弁護士に依頼すればその点をカバーすることができます。
弁護士に依頼するとなると高額な費用がかかるイメージがあるかもしれませんが、任意保険の特約である弁護士費用特約を使えば、基本的にご負担なく弁護士への相談・依頼ができます。
等級認定で後遺障害として認定されない場合、非該当と判断されます。
非該当となる理由としては、
など、様々なものが考えられます。
非該当とならないようにするための対処法等、詳しい内容は下記の記事でご確認ください。
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等級認定の結果に納得できなければ、異議申立てを行うことができます。
異議申立てとは、後遺障害等級認定の結果に納得がいかない場合に行う、不服申立ての手続のことです。具体的には、後遺障害等級認定の申請を行った保険会社に対して、等級認定を再び審査するよう、書面をもって求めます。
異議申立てをしても納得できる結果が得られなかった場合には、最終的に裁判を起こして後遺障害について争うことになります。詳しくは下記の記事をご覧ください。
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後遺障害等級認定では、治療経過も重視されます。そのため、適切な通院・治療をしていないと正しい認定が受けられない可能性があります。
では、具体的にどのような点に注意すれば良いのでしょうか?以下、詳しく説明します。
交通事故に遭ったら、すぐに受診して検査を受け、必要な治療を始めるべきです。
なぜなら、事故から初診までに期間が空いてしまうと、本当に事故を原因とする怪我や症状なのかが疑われてしまい、事故と後遺症の因果関係を否定されてしまう可能性が高くなるからです。
確かにむちうち等の場合には、事故後しばらくしてから症状が出るケースもあります。
しかし、そのようなケースでも、事故で首に衝撃を受けたこと、首回りに違和感があること等を初診時に伝えておけば、その後症状が出てきたときに「事故時から一貫した症状があった」と認められやすくなります。
症状固定と診断されるまで、適切な頻度で通院することも大切です。あまりに通院頻度が低いと、後遺障害が残るほどの怪我ではなかったと判断されてしまう可能性があるからです。
とはいえ、闇雲に通院すれば良いというわけではありません。骨折等、怪我の種類や治療経過によっては、あまり通院する必要がないケースもあります。
医師と相談しながら、月10日以上を目安に通院すると良いでしょう。
ここで、弁護士法人ALGがご依頼を頂戴して後遺障害等級認定の申請を行った、実際の事例をご紹介します。
対向車線からセンターラインをオーバーしてきた相手方車両に衝突された依頼者(40代男性)は、半年以上通院を続けたにもかかわらず、むちうち後の首の痛みや右腕のしびれといった症状に悩まされていました。
そこで、後遺障害等級認定の申請を希望されて相談にいらっしゃいました。
受任後、約8ヶ月通院した後に弊所が後遺障害等級認定の申請を行ったところ、首の痛み等について14級9号が認定されました。
また、保険会社が当初提示した賠償案は弁護士基準を大きく下回るものでしたが、弊所が交渉を続けた結果、入通院慰謝料・後遺障害慰謝料は弁護士基準でいう9割が、逸失利益は請求したほぼ満額が認められ、最終的に自賠責保険からの保険金を含めて455万円で示談することができました。
後遺障害等級認定には専門的な知識が必要なので、一般的に、ご自分の後遺症が何級に相当するのか、賠償金はいくらもらえるのかといった判断を適切に行うことは難しいでしょう。
そこで、弁護士に相談してアドバイスを受けることをおすすめします。
後遺障害等級認定の申請をはじめ、交通事故事案を扱った経験が豊富な弁護士に依頼することで、ご依頼者様に有利な等級認定を導くことができます。
また、適切な認定を受けるためには相応の時間や手間をかける必要がありますが、弁護士に依頼すれば手続のすべてを任せられるので、治療に専念することが可能です。
さらに、最も高額の賠償金が算定できる弁護士基準で損害賠償を請求することもできるようになります。
このように弁護士に依頼するメリットはたくさんあるので、ぜひご相談・ご依頼されることをご検討ください。
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