【後遺障害診断書】もらい方や記載内容など基礎知識

【後遺障害診断書】もらい方や記載内容など基礎知識

交通事故に遭い後遺症が残った場合は、後遺障害等級認定を申請し、後遺障害として認定してもらう必要があります。
しかし、この申請をしたからといって、誰もが後遺障害に認定されるわけではありません。

後遺障害等級申請が認定されるためには、後遺障害診断書がなにより重要となります。

この記事では「後遺障害診断書」に着目し、後遺障害診断書とは何か、作成時の注意点などについて解説していきます。


後遺障害診断書等の見直しによる異議申立てで12級相当が認定され、賠償金約630万円の増額を引き出した事例
  • 症状:難聴に伴う耳鳴
  • 等級:12級相当

弁護士依頼前

95万円

弁護士介入

弁護士依頼後

725万円

約630万円の増額


弁護士依頼前

14級相当

弁護士介入

弁護士依頼後

12級相当

適切な等級の認定

後遺障害診断書とは

後遺障害診断書とは、交通事故で負った怪我が完治せず残存した場合に、後遺障害等級認定申請の手続きに必要な書類です。正式には“自動車損害賠償責任保険後遺障害診断書”といいます。

後遺障害等級認定手続きは基本的に書面審査で行われるため、後遺障害診断書の内容が等級認定されるかどうかを左右する大事な書類となります。

そのため、後遺障害診断書に何を記載すればいいのかを知っておくことは、とても重要なポイントでしょう。

後遺障害診断書の作成費用

後遺障害診断書の作成費用は、病院が自由に決められるため、金額が定まっているわけではありません。

一般的には、一通5000円~1万円程度に設定している病院がほとんどですが、なかには2万円を超える作成料を設定している病院もあります。

この費用は後遺障害等級が認定されなかった場合には被害者負担となりますので、まずは通っている病院に事前に確認しておくと良いでしょう。

後遺障害診断書を作成するタイミング

もし、担当医に症状固定と診断されたら、そのときが後遺障害診断書を作成するタイミングです。
症状固定とは、まだ症状が残っているものの、これ以上治療をしても症状が良くならない状態のことをいいます。

例えば、むちうちの症状である場合、むちうちが自覚症状によるものが多く、客観的には捉えにくい症状のため、事故から3~6ヶ月程度の治療を経て症状固定となるのが一般的です。

医師や相手方保険会社より、そろそろ症状固定してはどうかと言われ、後遺症があるため後遺障害等級認定を受けたいと思っている場合には、医師に後遺障害診断書の作成を依頼しましょう。

そして、医師の指示に基づいて後遺障害診断書を作成するための検査や診断を受けたり、自覚症状を詳細に医師に伝えたりするようにしましょう。

後遺障害診断書のもらい方

後遺障害診断書のもらい方は2通りです。

  • 保険会社か自賠責保険会社から書式を取り寄せる
    後遺障害診断書書式は、保険会社か自賠責保険会社の担当者に請求すると送ってもらえます。
  • インターネットで書式をダウンロードする
    すぐに書式が必要な場合は、インターネットから書式をダウンロードすることができます。

取り寄せた書式を医師に渡し、作成を依頼しましょう。

後遺障害診断書の記載内容とチェックポイント

後遺障害等級認定申請では、後遺障害診断書の記載内容をもとに後遺障害等級に該当するかが判断されます。そのため、後遺障害診断書の内容に不備・不足があると、適切な等級が認定されないおそれもあります。

以下では、後遺障害診断書の記載内容や押さえておきたいチェックポイントについて解説していきますので、確認していきましょう。

後遺障害診断書のサンプル

被害者の基本情報

後遺障害診断書には、まず基本情報として、患者の氏名・性別・生年月日・住所・職業を記載する欄があります。申請者の特定に繋がる情報ですので、正確な情報が記載されているか、ご自身でも確認しましょう。

受傷年月日

受傷年月日が、交通事故の日と一致しているか確認しましょう。
初回の診察時に誤って記録されている可能性もあります。交通事故発生日と一致していないと、当該事故の後遺障害として審査されない可能性があります。

入院期間・通院期間

入院と通院期間については、後遺障害診断書を作成する病院での入通院期間が記載されます。他院を含めた総治療期間が記載されるわけではないので注意しましょう。

傷病名

傷病名は実際に症状固定時に残っている症状についての傷病名のみになります。途中で完治した傷病については記載されません。「~等」ではなく全ての傷病名が具体的に記載されているか確認しましょう。

既存の障害

今回の事故発生前に、被害者の精神や身体にあった障害のことになります。既存障害の記載漏れがあると、あとから保険会社とトラブルになる可能性があります。今回の後遺障害に既存障害が影響しているかも書いてもらうと良いでしょう。

自覚症状

自覚症状については、日々の診察で医師に伝えていた内容をもとに記載されます。
そのため、以下の内容が詳細に記載されているか確認しましょう。

  • どの部分で症状が残っているか
  • 症状の程度や頻度
  • 症状がどの程度日常生活や仕事に支障があるのか

不備がある場合には再度、医師へ自覚症状を伝え、内容を修正してもらう必要があります。
自覚症状の部分は被害者の訴えが直接反映される唯一の項目なので、確認をしっかりと行い、納得のいく内容を記載してもらう必要があります。

自覚症状の記載に不備があり後遺障害等級が認定されないことも、多数あるため注意が必要です。

また、自覚症状の書き方ひとつで、後遺障害等級認定がされなくなるケースもあるので記載の表現には注意が必要です。

他覚症状および検査結果

他覚症状および検査結果は、適切な後遺障害等級認定を受けるためにとても重要です。

他覚症状とは、患部に刺激を与えて反応をみる神経学検査、レントゲン・CT・MRIなどの画像検査で客観的に異常所見が確認できる症状のことです。

後遺症が残存している部位ごとに必要な検査が行われているか、これらの検査結果および検査結果から明らかな他覚症状が正確に記載されているかを確認しましょう。

しかし一般の方では、後遺障害診断書の内容が適切であるかの判断は難しいと思いますので、交通事故や後遺障害等級認定申請に詳しい弁護士に確認してもらいましょう。

障害内容の増悪・緩解の見通し

残った症状が、今後、増悪・緩解の可能性があるのかという内容を記載します。

良い記入例

「症状固定」「完治せず」など今後も完治しない後遺症が残ったことがはっきりと分かる記述

悪い記入例

「予後不明」「緩解見込み」「治癒の可能性あり」など完治する可能性を含む記述は避ける

今後の見通しの記述が不適切だと、審査の際に「後遺症が残ったと言い切れないのでは」「もう少し治療をすれば完治するのでは」と判断され、認定を受けられない可能性があります。

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後遺障害診断書を作成してもらうときの注意点

後遺障害診断書の作成には、以下のような注意点があります。

  • 自覚症状の伝え方
  • 整骨院や接骨院では作成できない

それぞれどのようなことに注意すればよいでしょうか。以下で詳しく見ていきましょう。

自覚症状の伝え方

後遺障害診断書には自覚症状を記入する欄があります。自覚症状は、後遺障害等級認定申請において重要です。しかし、自覚症状は本人でなければ分かりません。

正確に自覚症状を記入してもらうには、医師に日ごろから感じている自覚症状の伝え方が大事になるでしょう。

医師への伝え方のポイントは以下の2点です。

仕事や生活への影響も合わせた自覚症状の伝え方をする

自覚症状については、「このような症状を感じる」と伝えるだけでなく、その症状によって仕事や生活に具体的にどのような影響が出ているのかを伝えることが大切です。

自覚症状の一貫性と連続性がわかる自覚症状の伝え方をする

自覚症状を医師に伝える際は、その症状が「天気や時間帯に関係なく」「受傷当時から一貫して続いている」ことを伝えましょう。
自覚症状に一貫性と継続性がないと、交通事故と症状の因果関係が疑われてしまいます。

整骨院や接骨院では作成できない

後遺障害診断書を作成できるのは医師だけです。

怪我の治療のために整骨院や接骨院に通われている方もいらっしゃるかと思いますが、整骨院や接骨院には柔道整復師しかいないため、後遺障害診断書を作成してもらうことはできません。

交通事故で怪我を負った場合は、まずは整形外科を受診し、担当医の許可を得てから整骨院や接骨院に通うようにしましょう。

また、整骨院や接骨院に通う際も月に1回は整形外科への通院を続けましょう。

医師が後遺障害診断書を書いてくれないときの対処法

後遺障害診断書は医師しか作成できません。
しかし、医師に依頼しても書けないと言われたらどうでしょうか。よくあるパターンについて、その対処法を解説します。

症状固定していない場合

医師から症状固定診断を受けていない場合はまだ後遺障害の有無を判断できません。
治療を続ければ完治する可能性もあり、まだ判断がつく段階ではありません。

医師から症状固定と診断されるまで治療を続けましょう。

また、後遺障害診断書は、神経障害や機能障害などの場合、初診から6ヶ月経過していないと書いてもらえない場合が多くあります。

治療の経過がわからないから書けないと言われた場合

転院した、整骨院のみ通っていた場合などは、治療の経過がわからず医師から後遺障害診断書の作成を拒否されることがあります。

転院をした場合は、初診病院で担当してくれた医師に後遺障害診断書の作成を依頼する、もしくは初診病院での治療記録を取り寄せ、転院先に後遺障害診断書の作成依頼をしてみましょう。

整骨院のみ通っていた場合は、柔道整復師による患者の症状を証目する書類「施術証明書」を取り寄せ、整形外科で診断や施術を受けましょう。

転院して後遺障害診断書を書いてもらう場合、医師にもよりますが、経過観察として1~2ヶ月ほど通院を指示される場合があります。

後遺症はないと言われた場合

自身は後遺症があると感じているにもかかわらず、医師から「後遺症は無い」といわれ、後遺障害診断書を作成してもらえず、患者と医師とで意思疎通ができていない場合があります。

後遺症とは、必ずしも重度の後遺障害しか認定されるものではありません。痛みやしびれが残っている状態でも、後遺障害等級に認定されることもあります。

このような場合、まずは、今の状態をそのまま書いてもらえませんか?というような言葉で医師へ作成を依頼してみましょう。

後遺障害診断書を作成したあとの流れ

記載内容に不備がないか確認する

医師から後遺障害診断書を作成してもらったら、記載内容に不備や不足がないか確認しましょう。
症状固定日や自覚症状の内容が間違っていたら、すぐに修正依頼が必要です。

検査内容等については専門的になるので判断が難しいと思いますが、受けた検査内容の記載があるかをまず確認しましょう。その上で検査内容が足りているのか不安であれば、弁護士に一度診断書を見てもらいましょう。

弁護士に依頼すれば、後遺障害診断書の内容に不備・不足がないか精査してもらえるだけでなく、再作成が必要な場合は、適切な等級認定のために必要な検査や、内容の修正を依頼してくれるので安心です。

提出方法

後遺障害診断書が作成されたら、加害者請求被害者請求によって提出します。

加害者請求

加害者の任意保険会社に後遺障害等級認定の申請を頼め、手間がかからないが、内容が不透明

被害者請求

被害者が自ら加害者の自賠責保険に提出する。書類をそろえるなど手間がかかるが、内容に透明性がある

加害者請求ならば、相手方保険会社に提出をし、被害者請求であれば、必要書類と共に相手方の自賠責保険会社に提出します。

返ってきた認定結果が非該当であったり、望む等級より低い等級であったりする場合は、異議申立てを行うことができます。

後遺障害の申請方法については以下のリンクで詳しく解説しています。ご参考ください。

後遺障害診断書の提出期限

後遺障害診断書の提出自体には期限はなく、後遺障害等級認定申請の手続きは何度でも認められています。
しかし、後遺障害に関わる後遺障害等級認定申請や損害賠償請求は、症状固定日の翌日から3年という時効があることに注意しましょう。

異議申立てや示談交渉をすることを考えると、遅くても症状固定から2年以内には後遺障害等級認定の申請を済ませると良いでしょう。

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  • ※事案によっては対応できないこともあります。
  • ※弁護士費用特約を利用する場合、別途の料金体系となります。
  • ※法律相談は、受付予約後となりますので、直接弁護士にはお繋ぎできません。

後遺障害診断書に関する弁護士法人ALGの解決事例

後遺障害診断書等の見直しによる異議申立てで12級相当が認定され、賠償金約630万円の増額を引き出した事例

事案の概要

依頼者は、本件事故の怪我で耳鳴りの症状が残存し、事前認定を受けた結果、後遺障害等級14級が認定されました。
相手方から約95万円の賠償案が提示されたものの、依頼者は後遺障害等級が適切なのか疑問に感じ、当事務所にご依頼いただきました。

担当弁護士の活動

担当弁護士が後遺障害診断書等の資料を精査したところ、耳鳴りに係る検査の記載がなく、依頼者も検査を受けたか不明の状態でした。

そこで、まずは検査を受けていただくよう助言しました。難聴域に耳鳴りが存在するとの検査結果が得られたため、この結果を添付して異議申立てを行ったところ、後遺障害等級12級が認定されました。この認定結果を踏まえ、弁護士基準に照らし、賠償額を算出し交渉に臨みました。

結果

通院日数や逸失利益が争点となりましたが、粘り強い交渉の結果、当初から約630万円増額した725万円の賠償金を支払ってもらう内容の示談が成立しました。

新たな後遺障害診断書の作成や治療経過等の説明を講じた異議申立てにより後遺障害等級14級9号が認定された事例

事案の概要

依頼者が自動車に乗っていた際、後方から相手方車両に追突され、この事故により頚椎捻挫の傷病を負いました。約1年間の通院治療後、後遺障害等級認定申請の結果、非該当となりました。
依頼者は、この結果に納得がいかず、当事務所にご依頼いただきました。

担当弁護士の活動

担当弁護士が、通院先から診療録の写しを取得して検討したところ、依頼者の自覚症状や医師の所見等の記載が少なく、受傷から症状固定まで同じ薬が処方され、リハビリの内容も変化がありませんでした。

そこで、以前の通院先とは別の病院の医師に頚椎捻挫の症状の判断に必要な検査を行ってもらうよう要請し、その検査結果が記載された後遺障害診断書を作成してもらいました。

担当弁護士も、依頼者の通院日数が少なかった経緯や、症状固定に至るまでの治療内容を説明した書面を別途作成し、異議申立てを行った結果、後遺障害等級14級9号が認定されました。

結果

その後、担当弁護士が相手方に対し、弁護士基準に照らして算出した金額を提示したところ、ほぼ当方提示額が認められる内容で示談が成立しました。

後遺障害診断書の確認から作成後の流れなど弁護士にご相談ください

後遺障害診断書の作成は医師しかできません。
しかし、後遺障害等級の認定申請の点からすると、ポイントを押さえていないと、等級獲得が困難になってしまいます。

そして、すべての医師がそれを把握しているわけではありません。
治療が終盤に入り症状固定の可能性があれば、是非弁護士へご相談ください。

早期に弁護士の専門的な目を入れることで、後遺障害診断書の内容を整えることができ、等級獲得の可能性を高めることができます。

交通事故に精通した弁護士に診断書作成のアドバイスをもらうことが、最短で最良の手段といえるでしょう。

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弁護士法人ALG 弁護士 谷川 聖治
監修 :弁護士 谷川 聖治 弁護士法人ALG&Associates

保有資格 弁護士(東京弁護士会所属・登録番号:41560)

東京弁護士会所属。私たちは、弁護士名、スタッフ名(司法書士1名を含む)を擁し()、東京、宇都宮、埼玉、千葉、横浜、名古屋、神戸、姫路、大阪、福岡、バンコクの11拠点を構え、全国のお客様のリーガルニーズに迅速に応対することを可能としております。