医療過誤の態様

代表執行役員 弁護士 金﨑 浩之

監修医学博士 弁護士 金﨑 浩之弁護士法人ALG&Associates 代表執行役員 弁護士

一般的には医療ミスと呼ばれている医療過誤は、医療従事者の過失によって引き起こされます。医療過誤は許せないと思うのは当たり前のことですが、ミスのなかった医療事故と見分けにくいケースも少なくないため、その区別をつけることが重要となります。そのためにも、ここではどのようにして医療過誤が発生するのかについて解説します。

医療過誤とは

医療過誤とは、医療従事者の過失によって発生した医療事故のことであり、医療事故とは「医療に起因する(と疑われる)患者にとって悪しき結果のうち予期されていなかったもの」のことです。

事故という言葉を聞くと、交通事故を思い浮かべる方が多いのですが、医療事故は医療従事者がミスをしていなかったとしても発生するので、ミスが原因であるものに限定された医療過誤と区別する必要があります。

医療過誤の原因

医療過誤が発生する原因として、医療者の多忙や気の緩み、勉強不足、伝達ミスといったものが考えられます。また、薬品の名称が類似していることや、医療の高度化・複雑化による影響も指摘されています。

医療過誤の態様

医療過誤の態様には、大きく分けて以下の3種類があります。

  • 治療不実施型
  • 治療加害型
  • 治療管理型

それぞれについて、以下で解説します。

治療不実施型

治療不実施型とは、医師が患者の症状を重大なものだと考えず、経過観察等とすることによって適切な治療が行われないことにより、基礎疾患が悪化したり、合併症を発症したりする等、悪しき結果を招く医療過誤の態様です。

医療機関が治療不実施型の医療過誤を防ぐためには、病状や経過、患者および家族の病歴について、適切な問診を行うことが大切です。また、問診の結果、何らかの疾患の発症が疑われるのであれば、必要な検査・治療を行うべきであると考えられます。

治療不実施型の医療過誤で損害賠償請求をする場合には、主に以下のような点が問題となります。

  • 診断や治療が適切に行われたか
  • 傷病を治療すれば後遺症の残存や死亡を避けられたか

これらについて、医療機関等による反論としては、以下のようなことが予想されるので、対応するための準備が必要となります。

  • 診断当時、当該傷病の診断は不可能であった
  • 後遺症の残存や死亡の原因は他の原因によるものである

治療加害型

治療加害型とは、医師による検査、投薬、手術等の医療行為における過失によって、元の症状が悪化したり新たな傷病が生じたりする医療過誤の態様です。医療行為は一定の危険を伴うものであるため、医療過誤とそうでないものの区別をつけにくいという問題があります。

治療加害型の医療過誤で損害賠償請求をする場合には、主に以下のような点が問題となります。

  • 医師の医療行為にどのような問題があったのか
  • 事後の処置等は適切であったか

これらについて、医療機関等による反論としては、以下のようなことが予想されるので、対応するための準備が必要になります。

  • 医師の医療行為の問題点が特定されていない
  • 医師の医療行為や事後の処置等は適切であった

施設管理型

施設管理型とは、医療施設内での療養等を行う際の患者の管理に起因して生じる医療過誤の態様です。施設管理型で問題となることが多いのは、患者が病院のベッドからの転落や、病院の廊下での転倒等によって負傷する事案です。

医療機関において患者が転落や転倒した事案で損害賠償請求する場合には、主に以下のような点が問題となります。

  • 転倒転落防止策が講じられていたか
  • 事故の予見可能性はあったか

これらについて、医療機関等による反論としては、以下のようなことが予想されるので、対応するための準備が必要になります。

  • 転倒転落アセスメントを行い、転倒転落防止策を適切に講じていた
  • 転落等を予見することができなかった

この記事の執筆弁護士

弁護士 渡邊 悦子
弁護士法人ALG&Associates 弁護士 渡邊 悦子
東京弁護士会所属
弁護士法人ALG&Associates 代表執行役員 医学博士 弁護士 金﨑 浩之
監修:医学博士 弁護士 金﨑 浩之弁護士法人ALG&Associates 代表執行役員
保有資格医学博士・弁護士(東京弁護士会所属・登録番号:29382)
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