協議離婚で弁護士に相談・依頼するべきケースやメリット、費用など
協議離婚とは、調停や裁判などの法的手続きを使用せず、夫婦の話し合いで離婚するのかどうか、離婚の条件などを決めることです。
お互いが離婚に納得しており、離婚の知識も豊富であれば、揉めることも少なくスムーズに進めることができますが、実際のところ相手から「離婚したくない」と言われたり、離婚の条件について適切であるかどうか分からなかったりすることも多く、もめてしまうケースも多くあります。
そのため、協議離婚をスムーズに進めるためには弁護士に相談・依頼することをおすすめします。
この記事では、協議離婚を弁護士に依頼するべきケースやメリットなどを解説していきます。
目次
協議離婚を弁護士に相談・依頼すべきケース
協議離婚を弁護士に相談・依頼すべきケースには、以下のようなものが挙げられます。
- 話し合いが進まない
- 相手が話し合いに応じない
- 相手がDVやモラハラの加害者
- 相手が弁護士を立てた
このような場合は、なぜ弁護士に相談・依頼した方が良いのでしょうか。
次項からそれぞれについて解説していきます。
話し合いが進まない
離婚は離婚条件についても話し合わなければならず、お互いに譲れない条件があると話し合いが進まないことがあります。
特に、以下のような金銭面や子供のことはお互いが譲れないことも多く、話し合いが長引く傾向にあります。
- 金銭面:慰謝料、財産分与、養育費
- 子供のこと:親権、面会交流
もめてしまう場合に弁護士に依頼することで、法的な観点から、離婚条件についての適切な意見や最終的な落としどころ、解決の見通しを提案することができるため、話し合いがスムーズに進む可能性が高まります。
相手が話し合いに応じない
離婚したいことを配偶者に伝えた際、必ずしも相手がすぐに応じてくれるわけではありません。
配偶者が離婚を拒否することで、話し合いに応じなかったり、親族が出てきて離婚に対し口を挟んできたり、話し合いが思ったように進まないケースもあります。
このように離婚の話し合いがスムーズに進まず、あなたが心身ともに疲れてしまう前に、弁護士に相談しましょう。離婚の問題は、当事者だけで解決する必要はありません。
弁護士であれば、あなたの代理人として配偶者と離婚や離婚条件などについて交渉することができます。
また、弁護士から配偶者に連絡することで、離婚に対し本気であることを示すことができるでしょう。
相手がDVやモラハラの加害者
配偶者からDVやモラハラを受けている場合、恐怖心から離婚を切り出すことや離婚条件について、自分の主張をうまく伝えられないこともあるでしょう。
そのような場合には、ご自身の身の危険を冒してまで配偶者と話し合う必要はありません。
まずは、シェルターなどで安全を確保し、その後に弁護士の相談・依頼をしましょう。弁護士であれば代理人として配偶者と連絡を取り、交渉していきます。
弁護士に依頼することで、配偶者と顔を合わせる心配がなく、ご自身の意思を主張できるでしょう。
相手が弁護士を立てた
相手が弁護士を立てた場合は、離婚条件で不利な交渉にならないようこちら側も弁護士に依頼すべきでしょう。
弁護士は法律の専門家であり、交渉のプロでもあります。
弁護士相手では、簡単に相手方のペースに持ち込まれ、不利な条件で離婚が成立してしまう可能性が高まってしまいます。
このような事態を避けるためにも、こちら側も弁護士に依頼した方が良いでしょう。
弁護士同士で交渉をする方が、離婚条件について熟知しているため、スムーズに話がまとまりやすいこともあります。
協議離婚の代理交渉を弁護士に任せる7つのメリット
離婚問題については、弁護士以外にも、行政書士や司法書士といった士業の方が法律相談を受けているケースもあります。そのため、どこに離婚問題を相談するべきか迷われる方もいらっしゃるでしょう。
離婚に関してすべて任せたい。と思っている方は、弁護士に相談することをおすすめします。なぜなら、離婚事件において、依頼者の代理人となって相手方と交渉できるのは、基本的に弁護士に限られるからです。
協議離婚を弁護士に依頼すると、以下のようなメリットがあります。
- 相手が話し合いに応じやすい
- 話し合いに同席・代理交渉をしてもらえる
- 依頼者が望む条件で離婚が成立しやすい
- 早期解決が期待できる
- 対応をすべて任せられるためストレスから解放される
- 離婚協議書や公正証書の作成をサポートしてくれる
- 調停や裁判に進んだ場合も対応をしてくれる
次項からそれぞれについて詳しく解説していきます。
相手が話し合いに応じやすい
当事者同士では、配偶者が離婚に反対していたり、離婚条件について納得ができなかったりすると、話し合いに応じてくれず離婚までの道のりが長くなってしまう場合があります。
弁護士に依頼した場合、交渉は全て代理人として弁護士が行います。弁護士名義で書類が届いたり、連絡したりすることによって、離婚に対し本気であることを示すことができ、配偶者が話し合いに応じてくれる可能性が高まります。
話し合いに同席・代理交渉してもらえる
弁護士に依頼した場合、相手との交渉は全て弁護士が代理してくれますが、相手方から当事者間で顔を合わせて話し合いをしたい、と要求されることもあるでしょう。
このような場合には、弁護士に交渉の一環として「同席」を依頼できることがあります。
協議の場に同席してもらうことで、相手から不当な離婚条件を出された場合、弁護士に法的な観点から拒否してもらうことができます。
妥協すべき点についてもアドバイスしてくれるため、一方が不利になりすぎない、当事者にとって最善な内容で離婚を目指すということも可能でしょう。
依頼者が望む条件で離婚が成立しやすい
離婚条件については、譲れない部分もあるでしょう。しかし、ご自身で交渉すると相手が同意してくれる可能性も低くなってしまいます。
弁護士であれば、法的な観点から適切な水準を熟知しており、また依頼者の望む条件で離婚できるよう尽力し、交渉していきます。
その結果、ご自身の望む条件に近い形で離婚が成立できる可能性が高まります。
早期解決が期待できる
協議離婚は、相手との話し合いで合意が取れれば離婚できる方法です。しかし、離婚問題は話し合いが長引きやすく、調停や裁判になることもあります。その場合はさらに長期化することが懸念されます。
そのため、協議離婚で離婚が成立することが望ましいでしょう。
弁護士に依頼した場合、弁護士は法的な観点から相手を説得し、交渉していきます。
その結果、早期に離婚問題が解決することが期待できるでしょう。
対応をすべて任せられるためストレスから解放される
協議離婚では、話し合いで離婚や離婚条件について決めていくため、どうしても配偶者と顔を合わせたり、連絡を取ったりしなければなりません。
離れたいと思っている相手と話したり会ったりすることは、少なからず精神的ストレスとなるでしょう。
弁護士に依頼することで、相手との交渉や対応をすべて任せることができます。
特にDVやモラハラを受けていて、相手と顔を合わせるのが怖いなど、配偶者と会いたくない方は弁護士に相談すると良いでしょう。
離婚協議書や公正証書の作成をサポートしてくれる
離婚や離婚条件について定めたことは、離婚協議書または公正証書に残しておくことをおすすめします。
「離婚協議書」とは、夫婦間で離婚する条件を整理して確認する合意書です。相手が金銭の支払いを滞らせた場合は、裁判で離婚協議書を証拠として提出することで、双方が離婚協議書の内容に合意したことを立証することができます。
一方、「公正証書」とは、公証役場で作成される公文書です。公正証書の原本は公証役場で保管されるため、改ざんなどの恐れがありません。また、「強制執行認諾文言付き公正証書」にすることで、支払いが滞った場合は、裁判をスキップして強制執行の申立てをすることができます。
このような背景から、離婚協議書や公正証書は重要な役割がありますが、法的に適切な書類を作る必要があります。作成したことがないとどのように記載すればいいか、漏れや不備はないか心配になることでしょう。
弁護士であれば、法的に適切な離婚協議書を作成し、不備や不足がないか確認することができます。
調停や裁判に進んだ場合も対応をしてくれる
弁護士が根気よく交渉を行っても、頑なに離婚に応じなかったり、話し合いに応じなかったりするケースもあります。その場合は、離婚調停や離婚裁判に移行することになりますが、弁護士に依頼していれば、調停を申し立てるタイミングの判断や準備を一任することができます。
初めての調停や裁判の手続きで不安も多いかと思いますが、弁護士は法律の専門家として調停や裁判の手続きにも慣れています。また、調停や裁判にも同席し、代理人として主張することができるので、安心して臨めるでしょう。
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協議離婚の弁護士費用はいくら?
協議離婚を弁護士に依頼することは、多くのメリットがありますが、気になるところは「弁護士費用」でしょう。
実際に、協議離婚を弁護士に依頼すると費用はどの程度になるのでしょうか。気になる弁護士費用の相場について見ていきましょう。
協議離婚の弁護士費用については、通常、着手金として20万~30万円程度が多く、成功報酬金も同程度が多いかと思われます。
内訳について見ていきましょう。
相談料 | 弁護士に相談する際に発生する費用。1時間0~5000円程度であることが多い。 |
着手金 | 実際に弁護士に依頼する際に必要になる費用(相場は30万円程度) |
成功報酬金 | 依頼した内容の成果に対する費用 (例:協議離婚なら協議離婚が解決した場合に支払う) 相場は30万円前後+経済的利益の10%程度 |
ただし、この相場は事務所や依頼内容によって料金が異なりますので、事前に見積もりを取るなどして確認することをおすすめします。
離婚弁護士の費用については、以下のリンクで詳しく解説しています。ご参考ください。
合わせて読みたい関連記事
協議離婚する際の弁護士の選び方
協議離婚する際に弁護士に依頼しようと思っている場合は、協議離婚に強い弁護士を選ぶ必要があります。
では、どのような点を重視したら良いでしょうか。見ていきましょう。
経験や実績が豊富な弁護士を選ぶ
弁護士にも得意・不得意な分野があり、離婚問題にあまり詳しくない弁護士もいます。そのため、ホームページを見て解決実績が豊富に掲載されている弁護士を選びましょう。
自分との相性が良い弁護士を選ぶ
弁護士も人であるため、合う・合わないがあります。相性が悪い弁護士では、聞きたいことを聞けなかったり、解決の方向性が違ってきたりと弁護士に相談したことを後悔してしまうケースもあります。
無料相談などを活用し、信頼できる弁護士を選びましょう。
料金体系が明確な弁護士事務所を選ぶ
弁護士費用には主に、相談料・着手金・成功報酬金などがかかりますが、高すぎても安すぎても安心できません。弁護士費用の算出基準や支払い方法など説明を受け、不明瞭な部分がないようにしましょう。
弁護士に依頼する際は、これらに注意し、まずは無料相談などを活用して実際に弁護士に会ってみましょう。複数の弁護士を比較することで、信頼できる弁護士を選ぶことができるでしょう。
協議離婚について弁護士に無料相談するには?
無料相談では、協議離婚のポイントやアドバイス、解決方法など様々なことを相談することができます。
しかし、どこで相談できるか分からず、お悩みの方も多いのではないでしょうか。
無料相談を利用するには、以下のような方法があります。
●お住いの自治体の無料法律相談会
自治体によっては、弁護士による無料相談を定期的に行っています。相談時間や日程などは各自治体に問い合わせてみると良いでしょう。ただし、弁護士に相談してもその弁護士に依頼できない場合もあります。
●法テラス
法テラスでは、民間扶助制度として無料の法律相談や弁護士費用の立替制度を行っているため、経済的に余裕がない方でも利用しやすいのがメリットでしょう。
原則として「1案件につき30分の相談」を3回受けることができます。
●弁護士事務所
弁護士事務所によっては、初回相談料無料や30分無料などで相談を受けているところもあります。ホームページを確認し、問い合わせてみましょう。
無料相談では、話したいこともたくさんあったり、なにを聞いたらいいのか分からなくなってしまったりすることもあるでしょう。そのため、無料相談の前には、以下のポイントを押さえておきましょう。
- 自分がどうしたいか決めておく
- 具体的な質問を考えておく
- 質問の優先順位を決めておく
- 時系列や関係している人物を整理しておく
- 対面での相談なら証拠を持参する
これらの要点をまとめておくことで、時間内で効率的に相談できるでしょう。
弁護士の介入により協議離婚が成立した弁護士法人ALGの解決事例
次項からは、弁護士法人ALGによる協議離婚が成立した解決実績をご紹介します。 また、ホームページにはこの他にも解決実績を多数掲載していますので、ぜひご覧ください。
弁護士が離婚拒否する相手方へメリットを提示し、早期に協議離婚が成立した事例
【事案の概要】
両親の介護について価値観の違いが生じたために、夫から妻に離婚を求めた事案です。すでに当事者同士で離婚調停を行っていましたが、相手方が離婚を拒否し、調停も欠席していました。そこで、依頼者は離婚訴訟を起こすべく、当事務所にご依頼くださいました。
【担当弁護士の方針】
裁判を進めていけば、離婚成立ができる案件でしたが、依頼者が調停段階において、相場よりも好条件を相手方に提示していたため、担当弁護士は協議離婚成立の可能性もあると考え、裁判の手続きは進めつつも、並行して協議離婚も行っていくこととしました。
【担当弁護士の活動】
相手方は離婚後の生活の不安から頑なに離婚を拒否していましたが、こちらが提示している条件は相場よりも好条件であること、裁判よりもメリットがあることを具体的な数字とともに相手方に提示しました。
【解決結果】
相手方は、最終的に自ら離婚に応じることを決断し、協議離婚が成立しました。
弁護士の介入により1ケ月半と早期に離婚を成功させた事例
【事案の概要】
相手方の不貞(不倫)が発覚したため、依頼者が離婚を決意し、不貞慰謝料を請求したうえで、離婚を求めた事案です。
【担当弁護士の方針】
依頼者は早期の離婚を希望していたため、相手方との交渉で離婚を進めることになりました。
【担当弁護士の活動】
相手方にも弁護士が就いたため、相手方弁護士と養育費や慰謝料等の争点について交渉していきました。争点について、相手方は低い金額を提示してきたため、担当弁護士が、依頼者の離婚後に現実的に見込める収入の額や、金額の相当性を重点的に主張しました。
【解決結果】
こちらに有利な離婚条件で、1ヶ月半という早期に充実した離婚の合意内容を獲得することができました。
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※事案により無料法律相談に対応できない場合がございます。※法律相談は、受付予約後となりますので、直接弁護士にはお繋ぎできません。
協議離婚と弁護士に関するQ&A
協議離婚と弁護士に関する質問にお答えしていきます。
協議離婚には弁護士は必要ですか?
協議離婚は当事者同士でも行うことができますが、離婚条件について知識がないと金銭面や条件で不利な離婚となってしまう場合や、話し合いが長引いて離婚までに時間がかかってしまう場合があります。
そのため、弁護士に依頼することをおすすめします。
離婚に詳しい弁護士であれば、離婚の条件や相場について熟知しており、不当な条件にならないよう相手方と交渉していくことが可能です。
その結果、早期に協議離婚が成立する可能性が高まります。
離婚するのに弁護士が必要かについては、以下のリンクで詳しく解説しています。ご参考ください。
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離婚届の証人を弁護士に依頼することはできますか?
協議離婚が成立した場合、離婚届には2名の証人の署名が必要です。これは、虚偽の離婚届出や気軽な気持ちで離婚することを防ぐために必要となります。
協議離婚の証人は、離婚する夫婦以外の成人であれば誰でも構いません。家族や親せきでも、全く知らない人でも証人になることができます。
離婚届の証人になったといっても、その人に法的な権利や義務が生じることはなく、ただ単に、「当事者の離婚を見届ける」という役割のみです。
弁護士に証人を依頼することも可能ですが、引き受けてくれるかは弁護士次第です。
協議離婚の弁護士費用は誰が払うのですか?
協議離婚で弁護士をつけるかどうかの判断は自由意思であるため、基本的に弁護士費用はご自身の負担となります。
裁判でも、弁護士に依頼しなくとも訴訟は可能であるため、基本的に弁護士費用はご自身の負担となります。ただし、例外的に、認められた金額の10%を弁護士費用として相手に請求できることもあります。
しかし、協議離婚は当事者同士でもできるものと考えられているため、相手の合意なく弁護士費用を支払ってもらうことは難しいでしょう。
弁護士費用を支払うことが難しい場合は法テラスを活用したり、弁護士事務所に分割払いができたりしないか確認してみましょう。
【まとめ】協議離婚の早期解決や有利に進めるためには弁護士にご相談ください
離婚する方法には、協議離婚のほかに調停や裁判の手続きがありますが、このなかでも協議離婚は時間がかからず、望む条件で離婚しやすいという特徴があり、なるべく協議離婚で離婚成立を目指すことをおすすめしています。
しかし、相手方が離婚に応じなかったり、話し合いに応じなかったりする場合は協議離婚が長期化してしまう場合もあります。
早期に離婚を成立させたい場合は、私たち弁護士法人ALGにご相談ください。
私たちは離婚問題や夫婦問題に詳しい弁護士が多数在籍しており、協議離婚の解決実績も豊富です。
弁護士がご依頼者様の代理人として相手方と交渉していくことで、不利な条件を避け、早期に離婚が成立する可能性が高まります。
離婚は、気力が必要となり、相手方と話し合うことは少なからずご自身に精神的ストレスを与えます。
おひとりで悩まず、まずは一度私たちにご相談ください。
離婚のご相談受付
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保有資格 弁護士(福岡県弁護士会所属・登録番号:41560)