法定相続人とは?範囲や順位・割合など図解でわかりやすく解説
この記事でわかること
人が亡くなると相続が始まりますが、「誰が法定相続人になるのか」を正しく理解している方は意外と多くありません。
例えば、「子供のいない方が亡くなった場合、兄弟姉妹は相続人になれるのか?」など疑問を抱く場面もあるでしょう。
この記事では、相続がはじめての方でも安心して読み進められるよう、図を使いながら「法定相続人とはなにか」「法定相続人の範囲はどこまでか」をわかりやすく解説していきます。
目次
【動画で解説】法定相続人とは?誰に相続権があるのかをわかりやすく解説
法定相続人とは
法定相続人とは、民法で定められた、被相続人の遺産を相続する権利を持つ遺族のことです。
配偶者・子供・父母・兄弟姉妹が対象で、誰が相続権を持つかも順位が決まっています(民法887条~890条)。
相続人は、被相続人が死亡して相続が開始された時点で、遺産の一切の権利・義務を引き継ぎます(民法896条)。
遺言書がある場合は、その内容に従って相続が行われるため、法定相続人以外が遺産を引き継ぐこともあります。
一方で遺言書がない場合は、法定相続人同士で遺産の分け方について話し合う遺産分割協議が必要です。
法定相続人と相続人の違い
法定相続人は「民法が相続する権利があると定めた人」で、相続人は「実際に遺産を相続する人」という違いがあります。
法定相続人であっても、相続放棄をすれば相続人にはなりません。
また、遺言書の内容によっては、法定相続人ではない人が遺産を相続するケースもあります。
このように、法定相続人と相続人が同じになるとは限りません。
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【図解】法定相続人の範囲と順位
法定相続人になれる親族の範囲は、配偶者、子供、父母や祖父母、兄弟姉妹が一般的ですが、全員が常に法定相続人になるわけではなく、優先順位が定められています。
まず、被相続人に法律上の配偶者がいる場合、配偶者は必ず相続人となります。
その他の血族は、次の優先順位により相続人となります。
- 第1順位 子供
- 第2順位 父母や祖父母(直系尊属)
- 第3順位 兄弟姉妹
基本的には第1順位(子供)から相続し、前順位の相続人がいない場合は次の順位へ相続権が移ります。そのため、1人でも前順位の相続人がいると、次順位の人は相続人になることはできません。
相続人となるはずの人がすでに死亡している場合は、その子供が代わりに相続人となる「代襲相続」が適用されます。
子供が亡くなっている場合は孫へ、孫も亡くなっていればひ孫へと、相続権が引き継がれます。
配偶者は必ず相続人になる
被相続人の配偶者は、最優先で法定相続人となります(民法890条)。
被相続人の死亡時に法律上の配偶者がいれば、どの順位の血族がいても、必ず配偶者と一緒に法定相続人になります。
ただし、事実婚や内縁関係にある方や、元配偶者は法定相続人になれません。
被相続人に配偶者がいない場合や、被相続人の死亡時に配偶者がすでに亡くなっていた場合は、子供・父母・兄弟姉妹といった血族だけが優先順位に従って法定相続人となります。
配偶者の父母や兄弟姉妹が相続することはないので注意しましょう。
第1順位:子供・孫など
被相続人の子供は、第1順位の法定相続人です(民法887条)。
被相続人に配偶者と子供がいる場合、他に親族がいても法定相続人となるのは「配偶者と子供」のみです。子供が未成年者でも、扱いは変わりません。
「被相続人の子供」には、婚姻中の実子だけでなく、元配偶者との間に生まれた子供・認知した非嫡出子・養子縁組した子供も含まれます。
また、胎児も法定相続人として扱われますが、死産の場合は法定相続人になれません。
| 被相続人の子供に含まれる | 被相続人の子供に含まれない |
|---|---|
|
|
※非嫡出子:法律上の婚姻関係にない男女の間に生まれた子供のこと
通常、被相続人の孫は法定相続人に含まれませんが、被相続人と孫が養子縁組をしているケースや、代襲相続が発生するケースでは、孫が法定相続人になります。
孫が法定相続人になるケース
被相続人の孫が法定相続人になる(代襲相続が発生する)のは、以下のようなケースです。
- 相続開始時点で、本来の相続人である子供(被相続人の子)がすでに死亡している
- 相続開始時点で、本来の相続人である子供(被相続人の子)が相続欠格・相続廃除で相続権を失っている
被相続人の養子の子供は、養子縁組の後で生まれた子供のみ代襲相続することができます。
養子縁組の前に生まれていた子供は代襲相続できないので、注意しましょう。
孫への遺産相続について詳しく知りたい方は、以下の記事をご覧ください。
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第2順位:父母・祖父母など
被相続人に子供がいないケースや、子供がいても相続する権利を失っているケースでは、第2順位である被相続人の父母が法定相続人となります。
法定相続人になるのは、あくまで被相続人の両親だけであり、被相続人の配偶者の両親(義父母)は法定相続人にはなりません。
また、被相続人の父母の両方が亡くなっており、祖父母が生きている場合は、祖父母が法定相続人となります。
複数の祖父母が健在であれば、その全員が同じ順位の法定相続人として扱われます。
一方、父母の片方が亡くなっているケースでは、亡くなった側の祖父母には相続権が移らず、生きている父または母が単独で法定相続人となります。
第3順位:兄弟姉妹・甥姪など
被相続人に子供がおらず、父母などの直系尊属もすでに亡くなっている場合、第3順位の兄弟姉妹が法定相続人になります。
兄弟姉妹には、異母兄弟や異父兄弟も含まれます。
そのため、相続人調査では、被相続人の父母の出生から死亡までの戸籍謄本をしっかり確認しましょう。
配偶者と兄弟姉妹が法定相続人となる場合は、普段あまり交流がなく、疎遠であるケースも少なくありません。
相続をきっかけにトラブルに発展しないよう、生前の対策が重要です。
甥・姪が法定相続人になるケース
甥・姪が法定相続人になるのは、被相続人に子供がいない、父母等もすでに亡くなっている、法定相続人になるはずだった兄弟姉妹が相続発生の段階ですでに亡くなっていたようなケースです。
これらの場合、被相続人の兄弟姉妹の子供、つまり被相続人の甥・姪が代襲相続して法定相続人の地位を獲得することになります。
甥・姪が相続人になるケースについて詳しく知りたい方は、以下の記事をご覧ください。
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法定相続人の相続割合は?
| 法定相続人の構成例 | 法定相続分 | ||||
|---|---|---|---|---|---|
| 配偶者 | 子供 (第1順位) |
父母 (第2順位) |
兄弟姉妹 (第3順位) |
||
| 配偶者のみ | 1 | – | – | – | |
| 子供(第1順位) がいる |
配偶者あり | 1/2 | 1/2 | – | – |
| 配偶者なし | – | 1 | – | – | |
| 子供(第1順位) がいない |
配偶者あり | 2/3 | – | 1/3 | – |
| 配偶者なし | – | – | 1 | – | |
| 子供(第1順位) 父母(第2順位) がいない |
配偶者あり | 3/4 | – | – | 1/4 |
| 配偶者なし | – | – | – | 1 | |
法定相続分は、表のように定められています。子供や父母、兄弟姉妹が複数存在する場合は、法定相続分を人数によって等分します。
例えば、配偶者と2人の子供がいるケースでは、配偶者と子供の法定相続分はそれぞれ1/2なので、子供2人の相続分は1/4ずつとなります。
法定相続分について詳しく知りたい方は、以下の記事をご覧ください。
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法定相続人を調べる方法
被相続人が亡くなったとき、誰が法定相続人であるか調べる方法は、被相続人が生まれてから亡くなるまでのすべての戸籍を確認することが挙げられます。
まずは被相続人が死亡したことが記載されている戸籍謄本を取得してから、被相続人が生まれるまでの戸籍謄本や除籍謄本などをさかのぼって取得していくのが通常です。
法定相続人になる者は、漏れなく把握するようにしましょう。
古い戸籍が現存しない場合、廃棄証明書や焼失証明書といった書類を発行してもらえば、戸籍を取得できないことを証明できます。
相続人調査について、さらに詳しく知りたい方は以下の記事をご覧ください。
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法定相続人でも相続人にならないケース
法定相続人に該当する立場の者でも、「相続欠格」や「相続廃除」によって相続権を失っている場合は、相続人にならない可能性があります。
| 相続欠格 |
本来であれば法定相続人になった者が、一定の行為をしたことにより自動的に相続権を失う制度です。 次のような行為をすると相続欠格になります。
|
|---|---|
| 相続廃除 |
本来であれば法定相続人になった者の相続権を、被相続人の意思によって失わせる制度です。次のような行為をした者について、相続廃除が認められる可能性があります。
|
相続欠格や相続廃除によって相続権を失っても、その子供が代襲相続することは可能です。
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法定相続人がいない場合はどうなる?
被相続人に法定相続人が1人もいない場合、「相続人不存在」として扱われます。
相続人不存在で遺産の管理や処分が必要なときは、利害関係者が家庭裁判所に申し立てることで相続財産清算人が選任されます。
清算人は、弁護士や司法書士などの専門家が選任されることも少なくありません。
遺産を整理して債権者への弁済や受遺者・特別縁故者への財産分与を行い、財産が残れば国庫へ帰属します。
相続人不存在となるのは、次のようなケースです。
- もともと法定相続人に該当する人がいない
- 法定相続人全員が相続放棄した
- 法定相続人全員が相続欠格や相続廃除で相続権を失っている
ただし、相続財産清算人の申立てには予納金などの費用がかかるため、実務上あまり利用されていないのが現状です。
相続人がいない場合の手続きについて詳しく知りたい方は、以下の記事をご覧ください。
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法定相続人が相続放棄する方法
相続放棄とは、相続人としての立場を放棄し、遺産に関する一切の権利や義務を手放すことです。相続放棄をするためには、家庭裁判所での手続きが必要です。
相続人が集まり、「この人は遺産を相続しない」と取り決めをしただけでは、法律上相続分の放棄として扱われます。相続分の放棄は相続放棄とは異なり、相続人ではない第三者に対しては効力がありません。
そのため、被相続人に金銭などを貸していた者から返済を求められるおそれがあります。
相続放棄をした者は最初から相続人でなかったとみなされ、代襲相続も発生しないため、次順位の相続人などに相続権が移ることがあります。
相続放棄の理由が「被相続人の莫大な借金」などの場合は、他の相続人に相続放棄した事実を伝えないとトラブルになるおそれがあるため注意しましょう。
相続放棄の手続きについて詳しく知りたい方は、以下の記事をご覧ください。
合わせて読みたい関連記事
法定相続人の調査など相続に関するお悩みは弁護士にご相談ください
法定相続人の範囲は決まっていますが、ご自身のケースで漏れなく把握するのは簡単ではありません。
「親戚との付き合いが多いから問題ない」と思っても、相続人調査によって新たな事実が判明することもあります。
例えば、被相続人の出生からの戸籍をすべて確認したところ、会ったこともない子供がいたというケースは決して少なくありません。
法定相続人を正確に把握することは、遺産分割協議を進めるうえでの絶対条件です。
しかし、実際は相続人調査がスムーズに進まなかったり、膨大な資料に困惑したりすることも十分想定されます。
相続問題は親族だけで解決するのが難しいケースも多いため、お悩みの方は一度弁護士にご相談ください。
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保有資格 弁護士(福岡県弁護士会所属・登録番号:41560)









