遺言書の作成は弁護士に依頼すべき?7つのメリットや費用を詳しく解説
遺言書は自分で作成できますが、形式的なミスをしてしまうと無効になるおそれがあります。また、複数の解釈が可能な文言を記載する等内容に不備があると、遺言書が無効になってしまうおそれもあります。
そこで、遺言書の作成について不安がある場合には、弁護士に相談してサポートを受けることが有効です。
この記事では、遺言書の作成について弁護士に依頼するメリットや依頼した場合の費用、他の専門家と弁護士との違い等について解説します。
目次
遺言書の作成を弁護士に依頼する7つのメリット
遺言書は自分で作成することもできますが、形式的なミスなどによって無効となるリスクや、遺言書の内容によってトラブルを引き起こすリスク等があります。
そこで、遺言書を有効に作成し、トラブルを引き起こしにくい内容とするために、弁護士に相談することをおすすめします。
遺言書の作成について弁護士に依頼するメリットを、次項より解説します。
なお、遺言書について詳しく知りたい方は以下の記事を併せてご覧ください。
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有効な遺言書を作成できる
遺言書は、作成方法について法律で厳密に定められており、自分で作成するとミスに気づくことができず無効となるリスクがあります。
また、複数の意味に解釈できる文言があると、その文言を巡って争いが発生し、結果的に遺言書が無効となってしまうリスクもあります。
弁護士に確認してもらえば法的に正しく混乱を招きにくい遺言書を作成できるので、遺言書が無効となるリスクは格段に下がります。
遺言書が無効となるケースについて詳しく知りたい方は、以下の記事をご覧ください。
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遺言書を作成する手間が省ける
遺言書を作成するときには、かなりの手間がかかります。遺言書の文面を作成する必要があるだけでなく、自身の財産の資料を集めて評価額を把握するのは一苦労です。
公正証書遺言であれば、自分で文面を作成する必要はありませんが、公証人との事前の打ち合わせや証人の用意、作成してもらった遺言書の確認等の手間がかかります。
公証役場での手続きのために、基本的には平日の日中に赴く必要があります。
弁護士に依頼する場合には、必要な書類の収集や財産の評価額の算出、公証役場での多くの手続き等を任せることができます。
適切な遺言方法を選択できる
自筆証書遺言 | 財産目録を除く全文を自筆して、日付を自筆により記入した上で署名押印した遺言書 |
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秘密証書遺言 | 全文を自筆またはパソコン等を用いて作成し、封筒に入れて封印した上で、公証人により存在を確認してもらった遺言書 |
公正証書遺言 | 作成したい遺言書の内容を公証人に口授して、その内容により公証人が作成した上で、2人以上の証人によって確認された遺言書 |
遺言書には表記載の3種類あります。これらのうち、どの遺言書を作成すべきか適切に選択しなければなりません。
弁護士であれば、最適な遺言書の形式をアドバイスすることができます。
なお、秘密証書遺言は作成する人が少ないため、次項からは省略いたします。
自筆証書遺言
自筆証書遺言とは、財産目録を除く全文と日付を自筆で記入した上で署名押印した遺言書です。
弁護士に作成依頼すると次のメリットがあります。
- 遺言書が無効になるリスクを抑えられる
- 遺留分を侵害する等、トラブルを招くような内容になっていないかを確認できる
- 誤解を招く表現をしていないかを確認できる
- 遺言執行者になってもらうことができる
- 検認手続きを任せることができる
検認とは、裁判所が相続人に遺言の存在と内容を知らせるとともに、遺言書の偽造や変造を防止するための手続きです。
公正証書遺言
公正証書遺言とは、作成したい遺言書の内容を公証人に口授して、その内容をもとに公証人が作成し、2人以上の証人によって確認された遺言書です。
公正証書遺言の作成にあたって弁護士に依頼すると、次のようなメリットがあります。
- 必要書類の収集等の手続きを任せることができる
- 公正証書遺言を作成するために必要な証人を確保してもらえる
- 遺留分を侵害する等、トラブルを招くような内容になっていないかを確認できる
- 遺言執行者になることを依頼できる
相続財産を正確に調べることができる
遺言書を作成するときには、作成時点の自身の財産を調査する必要があります。なぜなら、重要な財産の記載漏れがあると、被相続人の死後、相続人間でその財産を奪い合う等のトラブルが発生するおそれがあるからです。
また、相続税が予定以上にかかることによって、相続人等に迷惑をかけてしまうおそれもあります。
弁護士に相続財産調査を依頼すれば、面倒な財産調査をスピーディかつ正確に行ってもらうことができます。さらに、財産目録(財産の内訳等をまとめた書類)の作成を任せることも可能です。
加えて、骨とう品等のような評価額の分かりづらい財産の評価や、不動産のような分配しにくい財産の分け方等についても相談できます。
遺留分に配慮した遺言書を作成できる
遺言書によって特定の相続人に多く相続させる場合は、遺留分を侵害された相続人との間でトラブルに発展するおそれがあります。
遺留分とは、兄弟姉妹以外の法定相続人に保障されている相続財産の最低限の取り分です。遺言書によって分配される相続財産の金額が、遺留分の金額に届かなければ、不足分について他の相続人等に請求することができます。この請求を遺留分侵害額請求といいます。
弁護士であれば、遺留分権利者に配慮しながら、どのように分配すればトラブルを回避できる可能性が高いかについてアドバイスできます。
遺言書を作成するときに注意するべき遺留分について知りたい方は、以下の記事をご覧ください。
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弁護士を遺言執行者に指定できる
遺言書の作成と併せて遺言執行者になることを弁護士に依頼し、遺言書にその旨を明記すれば、遺言書の内容を実現するための手続きを任せることができます。
遺言執行者とは、遺言を実現する権利と義務を与えられた人をいい、主に以下のような職務があります。
- 相続人が誰であるかを調べる
- 就任通知書を作成して相続人に交付する
- 相続財産の内容を調べる
- 財産目録を作成して相続人に交付する
- 遺贈や相続登記等の手続きを行う
- すべての手続きが終わったら任務の完了を報告する
相続トラブルになったときも対応できる
遺言書の内容に注意しても、相続人の感情的な問題等によってトラブルになるケースは少なくありません。場合によっては、裁判にまで至ってしまうおそれもあります。
裁判に代理人として対応できるのは、少額の請求を除けば弁護士だけです。そのため、弁護士に前もって依頼しておくと、いざという時の心強い存在になるでしょう。
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遺言書の作成を弁護士に依頼した場合の費用
遺言書の作成を弁護士に依頼すると費用がかかります。具体的な金額は弁護士事務所によって異なります。また、遺言者の財産によって依頼料が変動します。加えて、実費がかかるケースもあります。
主にかかる費用として、以下のようなものが挙げられます。
- 法律相談料
- 遺言書の作成費用
- 遺言執行費用
- 遺言書の保管費用
法律相談料
弁護士に遺言書等について相談する場合、相談料がかかります。弁護士への相談料は、一般的に30分あたり5000円程度です。
しかし、初回の相談料を無料とする事務所もあるため、事前に費用を確認の上、積極的に相談することをおすすめします。
遺言書の作成費用
弁護士に遺言書を作成してもらったときにかかる費用は10~20万円程度であることが多いです。
ただし、遺言書の内容が複雑な場合や財産の種類が多い場合、遠方に不動産等が存在する場合等では費用が多くかかり、50万円を超えるケースもあります。
遺言執行費用
弁護士に遺言執行を依頼したときにかかる費用は、遺産の○%+○万円という形で設定される場合が多いです。
財産が少ない場合の相場は30万円程度であることが多く、依頼した事務所が作成していない遺言書については追加費用がかかる場合もあります。
不動産の相続登記をしなければならないケース等では、さらに追加費用がかかることもあり、相続財産が多いと100万円以上かかる場合もあります。
遺言書の保管費用
弁護士に遺言書を保管してもらったときにかかる費用は、1年あたり1万円程度であることが多いです。
遺言書の保管は自宅等でも可能ですが、紛失するリスクや、相続人等に発見されて破棄されるリスク、改ざんされてしまうリスク等があります。また、遺言書が発見されないリスクもあります。
そのため、信頼できる弁護士に預けることによって、遺言書の内容を実現できる可能性が高まります。
遺言書の作成における弁護士と他の専門家との違い
遺言書の作成は、弁護士以外の法律の専門家にも依頼できます。
しかし、弁護士と司法書士や行政書士とでは、専門分野が異なるため依頼できる内容が変わります。遺言書の作成はなるべく弁護士に依頼しましょう。
それぞれの専門家について、次項より解説します。
司法書士
司法書士とは、法的な書面の作成や、法律上の手続き等を代行する専門家です。特に、不動産登記や商業登記を行うことを得意としています。
相続においては、書類の作成や相続登記等の手続きを依頼することが可能です。
ただし、司法書士には代理権がないため、相続人等の間でトラブルが発生すると対応してもらうことができません。また、相続税の申告は税理士に依頼する等の必要があります。
行政書士
行政書士とは、官公署への提出書類や権利義務に関する書類などの作成等を行う専門家です。特に、許認可に関する書類を作成することを得意としています。
相続においては、書類の作成や指導者の名義変更手続き等を依頼することが可能です。
ただし、行政書士は相続人等の間で発生したトラブルには対応できません。また、相続登記は司法書士に、相続税の申告は税理士に依頼する必要があります。
他にも、遺言書の検認は相続人に行ってもらう等の必要があります。
トラブルが予想されるなら「弁護士」がおすすめ
相続トラブルになった場合、代理人として対応できるのは弁護士だけです。そのため、なるべく弁護士への依頼をおすすめします。
司法書士や行政書士は弁護士と比べて費用が比較的安いです。しかし、他の相続人等とトラブルになった場合には、解決のために新たに弁護士へ依頼しなければならず、余計なコストがかかります。
つまり、相続トラブルになるリスクが少しでもあるのなら、最初から弁護士に依頼することをおすすめします。
弁護士に遺言書の作成を依頼する流れ
弁護士に遺言書の作成を依頼するときの流れは、主に以下のように進みます。
- 弁護士を探す
- 初回の面談
- 遺言書の作成
- 遺言書完成後のサポート
この流れについて、次項より解説します。
①弁護士を探す
まずは、インターネットや知人の紹介等によって弁護士を探します。そして、いくつかの弁護士事務所を比較して依頼するべき相手を決めましょう。
遺言書について依頼する弁護士を選ぶときには、実績の有無を確認すると良いでしょう。
依頼しても良いと思える弁護士を見つけたら、電話する等して相談を申し込みましょう。
②初回の面談
弁護士と遺言書について相談するときには、主に以下のようなことを確認されるため、事前に資料等をまとめておきましょう。
- 遺言書を作成しようと思った動機
- 家族構成
- 財産の状況
- 遺言書の作成等の予算
- 大まかな相続財産の分配方法の予定
1回の相談で計画等がまとまらなければ、2回目以降の相談を行います。分からない点については積極的に質問しましょう。
③遺言書の作成
遺言書の作成等をする契約を交わしたら、書面の作成を行います。このとき、希望する遺言の内容を弁護士にしっかりと伝えましょう。
弁護士は、依頼者が希望している遺言の内容で問題となりやすい点等についてアドバイスするので、それに従って作成すればトラブルを予防できる可能性が高まります。
自筆証書遺言を作成する場合には、依頼者が自分で手書きする方法で作成します。弁護士は、その内容や形式等に問題がないかをチェックします。
公正証書遺言を作成する場合には、弁護士が公証人と調整を行い、弁護士の立ち会いのもとで作成します。基本的には、依頼人は公証役場に赴くことになります。
なお、費用はかかりますが、公証人に出張してもらうことは可能です。
④遺言書完成後のサポート
遺言書を作成しても、何回でも書き直すことは可能です。これは、自筆証書遺言であっても、公正証書遺言であっても同様です。
また、完成した遺言書の保管や遺言執行等、契約によって様々なサービスを受けることが可能です。
遺言書の作成をお考えの方は相続問題に精通した弁護士にご相談ください
法律の知識の少ない方が自分だけで遺言書を作成すると、形式的なミスで無効となるリスクがあるだけでなく、複数の解釈が可能な文言になってしまったり、遺留分を侵害したりしてトラブルを招くリスクもあります。
そこで、有効な遺言書を作成して確実に意思を伝え、なるべくトラブルを招くのを防止する必要があります。
また、費用を抑えようとしても、相続人間のトラブルが発生すれば弁護士に依頼する必要が生じるおそれもあります。
相続人間のトラブルに対応できるのは基本的には弁護士だけなので、最初から弁護士に依頼した方が結果的には費用が抑えられる可能性があります。
加えて、複数の不動産を保有している方は、評価額を確認しなければ分配や相続税への配慮等が困難です。不安を解消して手厚いサポートを受けるために、ぜひ弁護士法人ALGにご相談ください。
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保有資格 弁護士(福岡県弁護士会所属・登録番号:41560)