相続放棄とは?手続き方法・期限・注意点など押さえるべき基本

相続放棄とは?手続き方法と押さえておきたい全知識

相続したくない。財産の内容や相続人間の関係など理由は人それぞれですが、相続人の地位を放棄したいと考えるケースは多々あります。では、相続放棄をしようと思った時にどうすればできるのか。

本稿では、その手続き方法や、第三者への対応、また相続放棄後にも発生しやすい問題について解説していきます。知らなかったから相続放棄できなかった!というリスクを防ぐためにも、一つずつしっかりと確認していきましょう。

相続放棄とは

相続放棄とは、法定相続人が裁判所へその相続人としての地位の放棄を申請することです。この手続きを相続放棄の申述といいます。

申述の結果、裁判所が正式に受理すれば、相続放棄が成立します。相続放棄が成立すると、その法定相続人は最初から相続人ではなかった、という立場になりますので、相続に関して利益を享受することもなければ、何かしらの責任などを負うことも無くなります。

ただし、相続放棄は必ず認められるわけではないので、手続き内容や注意点をあらかじめ確認しておきましょう。

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相続放棄の手続き方法

相続放棄をする為には、自身が法定相続人であることや、相続放棄する意思を明確にすることが必要となります。相続放棄の手続きについて具体的な流れを確認しておきましょう。

必要書類を集める

まずは被相続人の最後の住所地で住民票除票もしくは戸籍の附票を取り付けます。この書類によって、被相続人の死亡が確認でき、相続が発生していることが確認できます。さらに、被相続人の出生から死亡までの戸籍謄本等(除籍、改正原戸籍含む)を、役所で取り付けます。この作業によって被相続人の人生の流れを網羅し、法定相続人を確定させることができます。そして、最後に相続放棄する本人の戸籍謄本を添付します。これは、申請者が法定相続人であり、存命していることの確認になります。

上記の住民票除票や戸籍謄本等についてはすべて各市町村の役所で取り付けることが可能です。被相続人の出生から死亡までの戸籍謄本が必要であることを、被相続人の本籍地の市役所で伝えましょう。戸籍の異動状況によっては、いくつかの市町村から郵送によって取り付けることが必要になります。

上記添付書類が集まったら、相続放棄をしたいという意思を伝えるための申述書を作成しましょう。相続放棄申述書は裁判所のホームページに雛形が掲載されています。

家庭裁判所に必要書類を提出する

前述で解説した必要書類が準備出来たら、家庭裁判所へ一式提出することになります。書類を提出するのは、最寄りの家庭裁判所ではなく、被相続人の最後の住所地にある家庭裁判所でなければなりません。管轄外の裁判所へ提出した場合には、書類の差し戻しとなります。

提出は窓口への持ち込みでも、郵送でも構いません。提出するときには書類だけでなく収入印紙800円と郵便切手を納める必要があります。切手の金額や内訳は各裁判所で異なるので、あらかじめ管轄の裁判所へ問い合わせしておきましょう。

家庭裁判所から届いた書類に回答し、返送する

家庭裁判所へ必要書類を提出したのち、1か月以内に裁判所から相続放棄照会書が届くことがあります。これは、相続放棄の手続きにあたって、裁判所として確認すべき事項(相続の開始を知った時期など)の問い合わせです。必ず内容を確認し同封の回答書へ記入の上、返送しましょう。

もし、回答書の内容に不足があると相続放棄の審理に影響することになるので、不安であれば専門家へ確認した方が良いでしょう。ただし、この相続放棄照会書は必ず送られてくるとは限りません。省略されることもありますが、受理通知書もなかなか届かないといった状況であれば、申述を行った裁判所へ問い合わせてみましょう。

返送期限内に回答書を送れない場合

前述の相続放棄照会書には回答の期限が指定されています。返送期限内に回答書が送れない場合には必ず、管轄の家庭裁判所へ連絡しましょう。その際、送られてきた相続放棄照会書に記載されている事件番号(令和●年(家)第●●号など)を伝えると、担当部署へすぐに繋げてもらえるので、やりとりがスムーズです。

もし、連絡なく返送期限を超過し、回答書を返送しなかった場合には、相続放棄の申述が却下とされる恐れもあります。回答書は必ず返送しましょう。

相続放棄申述受理通知書が届いたら手続き完了

相続放棄の申述書類の内容に特に問題等なければ、家庭裁判所から「相続放棄申述受理通知書」という書類が送られてきます。この書類は相続放棄が成立していることを公的に証明できる書類になりますので、破棄せず大切に保管しておきましょう。もし、破棄してしまったとしても再発行できませんので十分注意してください。

相続に関する債権者などから弁済について連絡が来た際には、この書類を見せることで相続放棄が成立しており、弁済義務がないことを証明できます。

相続放棄の期限は3ヶ月

相続放棄はいつでもできるわけではありません。相続放棄を選択できるのは相続を知った時から3か月以内(熟慮期間)という期限があります。

期限内に前述の必要書類を家庭裁判所へ提出すればよいので、手続きの最中に3か月が超過してしまっても問題ありません。しかし、3か月で相続財産調査を行いながら前述の必要書類をすべて手に入れようと思うと、かなりスムーズに手続きをこなす必要があります。

もし、この期間内に必要書類の一部が整わないのであれば、相続放棄の申述書と揃っている添付書類をまず提出し、残りの必要書類については後から追加提出する旨を家庭裁判所へ伝えましょう。

3ヶ月の期限を過ぎそうな場合

相続放棄が可能な期間は3か月と短期間です。しかし、相続財産調査でプラス財産とマイナス財産が判明していなければ、どの相続方法を選択するべきか決断するのは難しいでしょう。

もし、3か月以内に結論を出すのが難しいのであれば、期限内に家庭裁判所へ「相続の承認または放棄の期間の伸長」を申立てましょう。必ず認められるとは限りませんが、この申立てを行うことで、更に3か月、事案によっては1年など、熟慮期間が延長される可能性があります。

3ヶ月の期限を過ぎてしまった場合

通常、何の手続きもせずに相続の開始から3か月が過ぎると、相続人はすべてを相続する単純承認を選んだとみなされることになります。

しかし、例外的に3か月を過ぎた後の相続放棄の申述が認められることもあります。例えば、相続財産や債務の存在を知らなかった場合など、相続放棄を3か月におおなわなかったとしても、やむを得ないと認められた場合には受理されることになります。ただし、期限内に申述した場合に比べて相続放棄が認められる可能性は低くなりますので、専門家へ手続きを依頼した方が良いでしょう。

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相続放棄の申し立ては一度しかできない

熟慮期間内であれば、相続放棄の申述が家庭裁判所で否認されたとしても、再度やり直すことはできるでしょうか。実は、相続放棄のチャンスは一度きりとなっています。そのため、家庭裁判所が相続放棄は認められないと結論付けると、その決定について高等裁判所へ不服申し立てを行うことはできますが、新たに再度相続放棄の申述をすることはできません。

やり直しの聞かない手続きですので、戸籍等の必要書類の収集や、相続財産調査といった相続開始段階で経験のある弁護士に依頼することが相続放棄の確実性を高めることに繋がります。

相続放棄が無効・取り消しになるケースがある

相続放棄の手続きが済んでも、あとから相続放棄が無効となったり取り消される場合があります。

これは、相続財産を処分するなど、実態上は相続して自己の財産として取り扱ったケースなどが該当します。このような行為は、債権者などからみすると、相続をしたと思わせ、弁済を期待させるものです。そのような期待をもった債権者は保護する必要があるので、相続放棄を認めるのは相当ではないとして無効もしくは取り消しとなり、相続人としての義務を負う事になります。

後から財産がプラスだと分かっても撤回できない

相続放棄後に無効になるケースはありますが、では、相続人側から相続放棄を撤回することは出来るでしょうか。相続財産調査で判明していなかった大きなプラス財産が判明したなどの事情があれば、相続放棄を撤回したいと思うこともあるでしょうが、相続人が相続放棄の決定を覆すことはできません。相続に関しての情報が足りていない場合には、後から不利益が発生することもあるので、相続放棄を行うには慎重に検討する必要があります。

相続放棄は一人でもできるがトラブルになる場合も…

相続放棄は、各相続人が単独で行うことができます。そのため、手続き上は他の相続人に知らせる必要はありませんが、対人問題としてはあらかじめ相続放棄することを伝えておかないとトラブルになるケースもあります。

明らかに相続放棄したほうがいい場合

相続財産にマイナス財産、つまり負債が多額にあるケースでは相続放棄を行うのがベストな選択であることが多いでしょう。

このような遺産内容で、相続人が相続放棄を行うと、弁済の義務は残った相続人のみに課されるため、当初想定しているよりも弁済の按分割合が大きくなります。負担する弁済の割合が変わることは相続において大きな問題なので、他の相続人からすると、相続放棄することをなぜ言わなかったのかと不満が発生するでしょう。このようなケースでは、相続放棄をするにも、相続人間でしっかりと話し合ったうえで、全員で相続放棄を選択するのが最も平和的解決といえます。

把握していない相続人がいる場合がある

特定の相続人に相続財産の大部分を引き継がせるなどの目的で、その他の相続人が相続放棄を行うことがあります。この場合、法定相続人がしっかりと把握できている状態で行うのであればよいのですが、よく知る親族だけが相続人だと思い込んで相続放棄を行ってしまうと危険です。

あとから把握していなかった法定相続人がいた場合、特定の相続人に相続財産を集中させることができず、本来の目的が達成できないまま、相続財産が分散してしまう恐れがあります。

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相続放棄後の相続財産について

相続放棄すると、被相続人の財産と完全に関係性が無くなると思われがちですが、実は遺産の中には相続放棄をしていても受け取れるものや義務が残るものがあります。

墓や生命保険など、相続放棄しても受け取れるものはある

相続放棄をしていても、そもそも相続財産とは性質が異なる遺産については受け取ることができます。

お墓や仏壇等に関しては、民法上、その家の祭祀承継者に受け継がれるものとされており、一般的な相続財産とは異なり、相続放棄をしていても影響がありません。

また、死亡保険金についても保険金受取人に指定されていれば、その死亡保険金は相続財産ではなくなるため、相続放棄をしたとしても、固有の財産として、相続放棄した者でも受け取ることが可能です。

全員で相続放棄をしても家や土地の管理義務は残る

見落とされがちですが、相続人が全員相続放棄をしたとしても、法律上は相続財産である家や土地に対しての管理義務が相続人に残ります。もっとも、相続放棄をした後に、その不動産に起因して損害が発生したという相談を、私自身は聞いたことがありません。

実際この管理義務から完全に脱するためには、家庭裁判所へ相続財産管理人の選定を申立てする必要があり、確定するまでの間は、相続人らがその財産を管理しなければなりません。

管理にあたっては、自己の財産と同様に財産価値の減少が起こらないよう注意することが求められます。もし、杜撰な管理によって第三者へ損害が発生した場合には、損害賠償請求される可能性もあります。

相続放棄したのに固定資産税の請求がきたら

固定資産税の請求については、その年の1月1日時点での所有権者に対して行われます。そのため、相続放棄をしたとしても、その年の1月1日時点で、被相続人の登記のままであり、相続放棄の手続きが完了していなければ、納税に関する通知が届くことがあります。

では、この場合にはどのように対処すればよいでしょうか。まずは、相続放棄申述の受理証明書を市役所等の担当者へ提示することが考えられますが、原則的には1月1日時点で、手続きが完了していなければ、市役所等は請求を取り下げない場合がほとんどでしょう。その場合には、一旦納税を行ったうえで、本来の所有権者に対して立替えた納税額を請求することが一般的な方法となります。

相続放棄手続きにおける債権者対応

相続放棄を申述したとしても、債権者からすると一見して分かるわけではありませんので、債権者から弁済の請求がくることもあります。そのときの対応を間違えると大きな問題になりますので注意点を確認しましょう。

「とりあえず対応しよう」はNG

債権者からの請求に対して、被相続人の遺産で返済できそうだから、とりあえず対応しておこうと軽く考えてしまうと相続放棄が出来なくなる可能性があります。

相続放棄をしていても債権者に弁済するという行為は、その負の遺産について相続したと相手に錯覚させてしまいます。そうなると、期待した債権者の保護が相続放棄の決定を上回り、相続放棄が無効とされ、単純承認が成立する可能性があります。その場合には相続人として、すべての債権に対して弁済の義務が発生することになります。

「利子だけ払っておこう」はNG

借金の元金部分までは対応できないけれど、利子だけなら、と支払ってしまうと前述と同じく、相続放棄から単純承認へ切り替わる可能性があり得ます。

返済原資が被相続人の遺産ではなく、相続人の固有財産からであれば単純承認にはならないとされていますが、あえてリスクを負う必要はありません。相続放棄が受理されるまで、たとえ少額の利子であったとしても返済はしないと考えておく方が良いでしょう。

サインはしないようにしましょう

債権者から債務に関する承認の書面が送られてくるケースも多々あります。相続放棄をしていても、書面にサインなどすれば、その書面内容に合意し、単純承認を選択したとみなされる可能性があります。どういった内容であれ、債権者からの書面に安易にサインするのはやめましょう。

対応に悩んだら書面を持参して、すぐに弁護士へ相談しましょう。

遺産に触れないようにしましょう

相続放棄をしたら、相続財産には手を付けてはいけません。処分することも使用することも相続放棄の取り消しに繋がる可能性があると考えておくべきです。

被相続人の自宅を例に考えてみましょう。被相続人の死亡によって団体信用生命保険が適用され住宅ローンが完済となるので、ローンの支払いなくその家に住み続けることができます。しかし、住宅ローンが完済されてもあくまでその不動産は相続財産であるため、居住するなど所有の意思表示ととれるような行為をすれば、単純承認したとみなされ、相続放棄が無効となる可能性があります。

相続放棄に関するお悩みは弁護士にご相談下さい

相続放棄は相続人としての地位を無くすものです。非常に強い効力が発生する手続きですので相続放棄を選択するべきなのかは慎重に行いたいところです。そして、相続放棄は手続きをすれば終わりというものでもありません。その後の行動にも気を付ける点が多々あるなど、一筋縄ではいきません。

相続放棄を検討することになったら迷わず弁護士へご相談ください。相続放棄の手続きを任せられるだけでなく、相続放棄がベストな選択であるかも法律家の観点としてのアドバイスを受けられます。まずはお気軽にご連絡ください。

 

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弁護士法人ALG 執行役員 弁護士 谷川 聖治
監修 :弁護士 谷川 聖治 弁護士法人ALG&Associates執行役員

保有資格 弁護士(東京弁護士会所属・登録番号:41560)

東京弁護士会所属。私たちは、弁護士名、スタッフ名(司法書士1名を含む)を擁し()、東京、宇都宮、埼玉、千葉、横浜、名古屋、神戸、姫路、大阪、福岡、バンコクの11拠点を構え、全国のお客様のリーガルニーズに迅速に応対することを可能としております。