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警察庁によると、2020年に発生した死亡事故の件数は、年間“2784件”にものぼります。
突然の交通事故によって、愛する家族を亡くした遺族の悲しみは計り知れません。慣れない示談交渉や手続きに追われ、精神的に参ってしまうこともあるでしょう。
また、ご家族を亡くしたことで、将来への不安を抱える方もいらっしゃいます。
そんな状況を少しでも乗り越えるため、適切な損害賠償金を受け取ることはとても重要です。
そこで本記事では、死亡事故で受け取れる賠償金の内容や相場、損害賠償請求をする際のポイントや注意点などを解説します。示談交渉を進めるにあたり、ぜひ参考になさってください。
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目次
死亡事故で請求できる損害賠償金は、以下のものがあります。
このうち、死亡慰謝料・死亡逸失利益・葬儀費用は、死亡事故の場合にのみ請求できます。それぞれ詳しくみていきましょう。
また、入通院慰謝料・休業損害の詳細は以下のページで解説していますので、ぜひご覧ください。
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交通事故で被害者が死亡した際に支払われる慰謝料を、死亡慰謝料といいます。
死亡慰謝料には2種類あるのがポイントです。
被害者本人の慰謝料
被害者本人が負う、「交通事故で死亡した精神的苦痛」の補償として支払われるお金です。
亡くなった被害者も事故による精神的苦痛を負うと考えられるため、慰謝料を請求できます。
ただし、亡くなった被害者本人が直接請求することはできないため、基本的に相続人である遺族が請求します。
なお、相続人にあたるのは、基本的に被害者の配偶者・子供・親・兄弟姉妹です。
死亡事故では、大切な家族の命を奪われた遺族も多大なる精神的苦痛を負います。
このことが考慮され、被害者本人の他に“遺族に対する慰謝料”として「遺族固有の慰謝料」の請求が認められています。
なお、遺族固有の慰謝料を請求する権利があるのは、基本的に被害者の配偶者・被害者の子供・被害者の親です。
ただし、同居しているのが祖父母しかいなかった、幼い被害者に仲のいい兄弟姉妹がいたなど、被害者との深い関係性が認められる事情があれば、祖父母や兄弟姉妹といった属性の方々にも請求権が認められることもあります。
死亡逸失利益とは、被害者が、交通事故で死亡していなければ将来得ていたであろう収入や利益のことで、損害賠償金のひとつとして請求できます。
死亡慰謝料の金額は、被害者の属性によって異なります。例えば、被害者が会社員・主婦・子供・高齢者のケースでは、金額が大きく変わります。
というのも、死亡逸失利益の計算には、被害者の収入・立場・年齢などがかかわってくるためです。
逸失利益の具体的な計算方法は、以下のページでわかりやすく解説していますので、ぜひご覧ください。
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葬儀費用として、通夜・葬儀・火葬・墓石などにかかる費用を請求できます。
ただし、交通事故の損害賠償金にはいくつか算定基準があり、自賠責保険が算定に用いる自賠責基準か、弁護士や裁判所が算定に用いる弁護士基準かによって、支払われる金額が異なります。
それぞれの算定基準で支払われる葬儀費用は、以下のとおりです。
※自賠責基準は新基準を適用しています。令和2年4月1日より前に発生した事故の場合は、旧基準が適用されます。詳しくは、以下のページをご覧ください。
死亡事故で請求できる死亡慰謝料や死亡逸失利益の計算方法は複雑なため、ご自身で適切な金額を求めるのは困難です。
弊所の「損害賠償計算ツール」では、いくつかの項目を入力するだけで、慰謝料や逸失利益を簡単に計算できます。ぜひご活用ください。
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死亡事故の場合、亡くなった被害者本人から加害者に損害賠償請求することができません。
そのため、被害者の配偶者・子供・親・兄弟姉妹といった法定相続人が損害賠償請求をすることになります。
法定相続人とは、亡くなった方の遺産を相続できると民法で定められた人のことで、それぞれの優先順位によって遺産の取り分が異なります。
慰謝料には3つの算定基準があり、どれを用いるかで金額が大きく異なります。
一般的に、
自賠責基準 < 任意保険基準 < 弁護士基準
の順で高額になります。
自賠責基準
自賠責保険が、慰謝料を算定するのに用いる基準です。交通事故の被害者を最低限補償するための基準ですので、3つの基準のうち最も低額になるのが一般的です。
任意保険基準
任意保険会社が、自賠責保険ではカバーしきれない損害を支払う際の基準です。任意保険会社が独自で定めており、詳細は非公表ですが、自賠責基準に少し上乗せした程度の金額になることが多いです。
弁護士基準
弁護士や裁判所が慰謝料の算定に用いる基準です。過去の裁判例をもとに作られているため、3つの基準のうち最も高額になるのが一般的です。
なお、それぞれの基準における慰謝料の計算方法は、以下のページで詳しく解説しています。ぜひ併せてご覧ください。
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自賠責基準 | 死亡慰謝料 |
---|---|
被害者本人 | 400万円 |
請求者1人 | 550万円 |
請求者2人 | 650万円 |
請求者3人以上 | 750万円 |
被扶養者がいる場合 | 200万円 |
自賠責基準では、被害者本人の慰謝料として、一律400万円※が支払われます。
一方、遺族固有の慰謝料は、請求者の人数や被害者による扶養の有無によって、上表のように金額が異なります。
では、具体例をもとに、実際に死亡慰謝料を計算してみましょう。
【例:被害者に配偶者1人、未成年の子供1人がいる場合】
※自賠責基準は新基準を適用しています。令和2年4月1日より前に発生した事故の場合は、旧基準が適用されます。
弁護士基準 | 死亡慰謝料 |
---|---|
一家の支柱 | 2800万円 |
母親・配偶者 | 2500万円 |
その他 | 2000万~2500万円 |
弁護士基準では、被害者本人の慰謝料と遺族固有の慰謝料を合わせた金額が上表の相場となります。自賠責基準と比べて、大きく増額するとおわかりいただけるでしょう。
また、被害者の属性や家庭での役割によって金額が異なるのがポイントです。被害者が家計を支える立場だったり、子育てや家事を担ったりしている立場だと高額になります。なお、「その他」とは、独身の男女や子供、高齢者などです。
ただし、弁護士基準で慰謝料を請求できるのは基本的に弁護士のみですので、増額交渉は弁護士にご相談ください。
死亡慰謝料は、事故状況などによって増額できる場合があります。
具体的に増額し得るのは、以下のような事情がある場合です。
なお、実際の増額幅は、事情の程度によって異なります。
被害者が遺族にとって唯一の幼い子供である場合、両親が負う精神的苦痛は一際大きいと考えられるため、死亡慰謝料が増額されやすいです。
また、幼いころの兄弟姉妹の結びつきは強く、突然失った苦痛は相当なものとみなされるため、被害者に幼い兄弟姉妹がいる場合も、遺族固有の慰謝料が認められる可能性があります。
さらに、被害者が妊婦で、胎児も一緒に亡くなった場合も、死亡慰謝料が増額する事情として認められ得ます。
法的に、胎児に対する慰謝料は認められていませんが、その分、妊婦である被害者本人の死亡慰謝料を増額することがあるためです。
死亡慰謝料が減額されるケースとして、
が考えられます。
また、遺族固有の慰謝料として、相続人や親族ではなく、内縁関係にあった者も状況に応じて認められますが、法律婚の配偶者に比べて慰謝料が減額される傾向にあるようです。
ただし、内縁者は相続人とならないことから、裁判所によっては、内縁者の遺族固有の慰謝料として、1000万円を超える請求を認めているケースもあります。
死亡事故の損害賠償金額は、通常の事故より高額になるのが一般的です。そのため、加害者は自身の支払いを減らそうと、被害者の過失割合を高く主張してくることが多いです。
また、死亡事故では、被害者が事故状況について証言できないため、証拠がなければ事故状況が不明確となり、加害者の言い分が通りやすいのが現実です。
例えば、過失割合の重要な判断材料になる実況見分調書や供述調書も、加害者の証言にもとづいて作成されます。
被害者が適切な過失割合を認めてもらうには、客観的証拠を揃えて主張することが重要です。
客観的証拠としては、ドライブレコーダー・防犯カメラの映像・目撃者の証言などが有効です。
とはいえ、「証拠の集め方がわからない」「効果的な主張ができるか不安」といった方が多いでしょう。
そこで、以下のページでは、過失割合に納得できない場合の対処法を詳しく解説していますので、ぜひ参考になさってください。
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被害者が高齢者だからといって、それだけの理由で死亡慰謝料が相場より減額されることはありません。家庭での役割等によって相場の金額が決まる傾向にあります。
また、高齢者でも死亡逸失利益を受け取ることができます。例えば、被害者が仕事をしていた場合、実収入や年齢をもとに逸失利益を計算します。
また、無職でも年金を受給していれば、年金を基礎収入とみなして逸失利益を請求できます。
また、被害者が主婦だった場合、家事や介護の大半を担っていれば、主婦の逸失利益が認められる可能性があります。
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死亡事故の逸失利益は、以下の計算式で求めます。
基礎収入額×(1-生活費控除率)×就労可能年数に対応するライプニッツ係数
なお、逸失利益の詳細は、以下のページでも解説しています。ぜひ併せてご確認ください。
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ここで、具体例を用いて、弁護士基準における死亡逸失利益を計算してみましょう。
被害者が、以下のような方だったと仮定します。
【例:会社員、事故前年度の年収800万円、40歳男性、配偶者1人と子供1人】
計算式にあてはめると、死亡逸失利益は以下の金額になります。
800万円×(1-0.3※1)×18.327※2=1億263万1200円
※1:被害者が一家の支柱で、被扶養者が2人だった場合の生活費控除率
※2:就労可能年数を、67歳までの27年とした場合のライプニッツ係数
なお、ライプニッツ係数は新基準を反映しています。令和2年4月1日より前に発生した事故の場合は、旧基準が適用されます。
死亡逸失利益を増額するには、基礎収入額・生活費控除率・ライプニッツ係数を正しく計算するのがポイントです。
これらの計算には被害者の職業・年齢・学歴・家族構成等 さまざまな要素が絡んできますが、相手方保険会社は、被害者に不利な計算をしてくることがあるため注意が必要です。
この点、弁護士に依頼すれば、被害者の属性や個別事情に応じて適切な逸失利益を計算できます。
また、被害者に有利なポイントを抑えて請求できるため、増額につながります。
死亡事故の示談交渉は、葬儀費用を含む損害額がすべて確定してから始めます。よって、四十九日法要後から行うのが一般的です。
加害者側と過失割合や示談金額について合意できたら示談成立となり、その後1~2週間で示談金が支払われます。
もっとも、死亡事故の損害賠償金は高額になりやすく、示談交渉で加害者と揉める傾向にあります。提示された金額に納得できない場合、安易に示談せず、弁護士にご相談ください。
また、示談交渉の詳しい流れやポイントは、以下のページで解説しています。併せてご確認ください。
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死亡事故の加害者が起訴されると、刑事裁判が行われます。刑事裁判では、裁判所が、加害者の有罪・無罪や罰則の程度を量刑します。
注意すべきなのは、「刑事裁判の前に示談が成立すると、加害者の量刑が軽くなる可能性がある」ということです。
なぜなら、示談成立後に裁判をすると、加害者は「示談が成立したため、遺族の被害感情は癒えている」と主張できてしまうからです。
そのため、遺族の聴取が行われる際は、事故や加害者に対する気持ちをしっかり主張することが重要です。
人身事故の損害賠償請求権には時効があり、民法724条で定められています。
時効成立後は、基本的に損害賠償請求ができなくなるため注意しましょう。
死亡事故における時効までの期間は、以下のとおりです。
相続人 | 相続の割合 |
---|---|
配偶者と子供 | 配偶者1/2、子供1/2 |
配偶者と親 | 配偶者2/3、親1/3 |
配偶者と兄弟姉妹 | 配偶者3/4、兄弟姉妹1/4 |
親と子供 | 子供のみ |
親と兄弟姉妹 | 親のみ |
配偶者のみ | 配偶者のみ |
子供のみ | 子供のみで均等に分ける |
親のみ | 親のみで均等に分ける |
兄弟姉妹のみ | 兄弟姉妹のみで均等に分ける |
相続人が受け取った賠償金は、それぞれの法定相続分にしたがって分配するのが基本です。
法定相続分は、上表のとおりです。
また、相続人には優先順位があり、法定相続人であっても賠償金を受け取れない可能性があるため注意しましょう。
ただし、相続人の間で合意があれば、上表にかかわらず自由に相続分を決めることができます。
例えば、相続人のひとりが全額を受け取るという選択も可能になります。
しかし、実際に賠償金を分配する際は、相続人の人数や相続分で揉めるケースが多いです。適切な賠償金を受け取るためにも、相続にも強い弁護士に相談されることをおすすめします。
死亡事故で支払われる賠償金は、基本的に非課税です。
なぜなら、賠償金は事故による損失を補填するものであり、利益ではないからです。
ただし、例外的に以下のようなお金は利益とみなされ、税金がかかる場合があります。
過剰な慰謝料や見舞金
損害賠償の範囲を超える高額な慰謝料を受け取った場合、贈与税がかかり得ます。
給与とみなされるような見舞金
加害者側から支払われる休業損害や逸失利益とは別に、勤務先から給与の補填とみなされるような見舞金を受け取った場合、所得税がかかり得ます。
人身傷害保険からの過失相当分の保険金
過失相殺によって減額した賠償金を補填するため、被害者が加入する人身傷害保険から過失相当分の保険金を受け取った場合、所得税がかかり得ます。
人身傷害保険からの死亡保険金
被害者の人身傷害保険から死亡保険金を受け取った場合、契約者(保険料負担者)と受取人の関係によって、以下の税金がかかり得ます。
○所得税:契約者=受取人 ○相続税:契約者=被保険者 ○贈与税:契約者≠被保険者≠受取人
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【さいたま地方裁判所 平成24年10月22日判決】
被害者が、自転車で歩道を走行中、前方から左折してきた相手方の自動車と衝突して死亡したという交通事故です。
裁判所は、「被害者が亡くなったことによる夫や両親の精神的苦痛は相当なものであること」「加害者が謝罪や献花を一切せず、不誠実な態度をとっていること」を事実として認めました。
これを踏まえ、死亡慰謝料について、被害者本人の慰謝料として“2400万円”、遺族固有の慰謝料として被害者の夫に“200万円”、被害者の両親にそれぞれ“150万円”が相当だと判断しました。
また、死亡逸失利益についても認められています。具体的には、「被害者が近い将来専業主婦になっていた蓋然性が認められる」として、基礎収入を賃金センサスにおける女性の全年齢平均賃金で、生活費控除率を30%で計算し、逸失利益は“3999万708円”が相当だと判断しました。
被害者が歩いて横断歩道を横断中、後方から右折してきた相手方の自動車に衝突されたという交通事故です。被害者は事故の衝撃によって重傷を負い、搬送先の病院で亡くなりました。
被害者のご遺族は、相手方保険会社への損害賠償請求について弊所に相談されました。
相手方保険会社との交渉では、被害者が年金受給者だったため、逸失利益の計算に用いる基礎収入や生活費控除率について争いとなりました。
弊所の弁護士は、被害者の収入や生活状況を細かく調べ、基礎収入や生活費控除等について、一般的な事案とは異なる考慮が必要であると主張しました。また、過去の裁判例を踏まえて主張したのもポイントです。
その結果、各損害項目において、裁判をした場合と同等かそれ以上の金額が認められ、合計“約5500万円”の賠償額を受け取ることができました。
交通事故で、愛する家族を亡くした悲しみは計り知れません。そんな中、ご遺族が慣れない示談交渉をするのはストレスがたまってしまいます。
また、相手方保険会社が提示する賠償金額が適正かわからず、不安を抱えることもあるでしょう。
そこで、ぜひ弁護士にご相談ください。弁護士に依頼すれば、相手方保険会社との示談交渉をすべて任せることができます。
そのため、ご遺族は落ち着いて心の整理ができるだけでなく、葬儀などの慌ただしい手続きに専念でき、負担の軽減につながります。
また、弁護士は、弁護士基準という高額な算定基準を用いて請求するため、賠償金の増額も見込めます。
死亡事故による悲しみを乗り越え、将来の不安を減らすためにも、ぜひ弁護士法人ALGにご相談ください。
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