弁護士依頼前
約360万円
交通事故に遭った時、事故の相手方に請求できる損害の費目にはさまざまなものがありますが、その中に休業損害があります。
休業損害とは、休業したことによる収入の減少をいうため、会社員などのように、現実に収入を得ていなければ、請求できないと思うかもしれません。
しかし、現実には収入のない、主婦や無職者であっても、休業損害を請求できる場合があります。
もっとも、職業によって計算方法が違うため、注意が必要です。
この記事では休業損害の計算方法について詳しく解説しています。
弁護士依頼前
約360万円
弁護士依頼後
約950万円
約590万円の増加
目次
休業損害とは、交通事故で負った怪我が原因で、仕事を休んだことにより、減少した収入に対する補償です。休業損害は、加害者が加入する自賠責保険または任意保険から支払われます。
休業損害とよく似た言葉に、「休業補償」という言葉があります。
休業補償とは、業務または通勤中に怪我をしたことで、仕事を休んだ従業員に支払われる補償です。
休業補償は、勤務先が加入する労災保険から受け取ります。そのため、勤務中や業務中の怪我により仕事ができなくなった時に限られます。
以下に休業損害と休業補償の違いをまとめます。
では、休業損害と休業補償はどちらも受け取ることができるのでしょうか。
例えば、通勤中に交通事故に遭い、仕事を休まざるを得なくなったとします。この場合、休業損害と休業補償を二重取りすることはできません。
しかし、労災保険から支給される休業補償のうち、特別給付金(給付基礎日額×20%)は相殺されず受けることができます。
休業損害と休業補償はどちらかしか受け取れませんが、プラスして労災保険の特別給付金はそのまま受け取ることができるのです。
休業損害の基本の計算式は以下のとおりです。
●休業損害=1日当たりの基礎収入×休業日数
上記の計算式のうち基礎収入については休業損害の計算に用いる算定基準ごとに異なります。
算定基準については次項で解説していきます。
休業損害の計算には以下の3つの基準が用いられます。
また、以下の順に金額が大きくなります。
休業損害はどの基準を用いるかによって計算方法が異なりますが、弁護士基準が最も高額になります。
以下、それぞれの基準での計算方法について解説していきます。
自賠責基準の計算式は以下の通りです。
一日当たりの収入の減少が6100円を超えることを証明できる場合には、日額1万9000円を上限として支払ってもらうことが出来ます。
しかし、休業し続ければずっとこの金額が貰えるかというと、そうではありません。
自賠責保険には、休業損害のほか、治療費などを含む傷害部分の損害について、支払い総額の上限120万円という枠があるので、その範囲内で支払われることになります。
また、会社員であれば有給休暇の消化で通院することもあるのではないでしょうか。
この場合も、本来であれば自由に使う予定であった有給休暇を損失したことになるので、休業損害の休業日数にカウントして請求できます。
任意保険基準での休業損害の計算は、任意保険会社によって基準はさまざまですが、
この2つのどちらもあり得ます。
しかし、任意保険会社が、自賠責と同様に1日当たり6100円の計算方法を提示してきた場合には、多くの場合、実際の収入を基準として計算された休業損害の金額よりも低額になってしまいます。
弁護士基準が使えれば、休業損害の金額は、自賠責保険や任意保険基準よりも高額になります。
次項では弁護士基準について解説していきます。
弁護士基準で計算する場合には以下の計算式を使います。
自賠責基準の場合と違い、1日当たりの基礎収入の計算に使うのは、被害者の事故前の現実の収入です。
直近の現実の収入に基づき計算するので、実態に沿った、最も適正な金額になります。
また、改行上限金額の設定もありません。
休業損害の計算式に含まれる「休業日数」は、基本的に入通院のために休んだ日となります。そのため、自己判断で休業した日は該当しません。
治療期間中、休んだ日数がそのまま、休業損害の休業日数となるわけではないため、注意しましょう。
もっとも、怪我の状態や、仕事の内容、就労環境によっては、通院日以外でも休業が必要な場合があります。
通院日以外にも仕事を休む場合には、休業の必要性を証明する必要があるので、医師に、仕事ができない期間などを記載した診断書や意見書の作成を依頼しましょう。
会社員など給与所得者であれば、勤務先に作成してもらう休業損害証明書に休んだ日付を記載してもらう事で、具体的な休業日を証明することができます。
一方、自営業や専業主婦(夫)は、会社員のような勤怠管理がないため、診療報酬明細書や診断書から入通院日数を確認することになるでしょう。
土日であっても元々出勤日だったならば休業日数に含まれますが、土日を休日としている会社であるなら、基本的に、土日に通院しても休業日数には含まれません。
しかし、休業の初日から連続した入通院日数に土日が含まれている場合には、土日を休業日数としてカウントできる場合があります。
弁護士基準では、前述のとおり、実稼働日数を計算に採用しているので、上記のように、土日が連続休日に含まれていても、休業日数には含めません。
通院や怪我の療養のために有給休暇を取る場合もあるでしょう。
その場合、有給休暇は休業損害として認められるのでしょうか。
基本的に、怪我の治療や療養のために有給休暇を取得した場合、休業損害の日数として計算されます。
有給休暇は給与が発生しているため、被害者に減収はありません。
しかし、本来自由に使えるはずだった有給休暇を事故の怪我のために使わなければならなかったのですから、休業損害の日数に加算することができるのです。
また、半休をとった場合も同様に、半休分が日数に加算されます。
治療のために遅刻や早退をすることもあるのではないでしょうか。
その場合にも、治療による遅刻・早退で減収が生じたら、その分を「休業損害」として請求できます。
その際、休業損害証明書には遅刻・早退で業務に従事できなかった時間数も記載してもらうようにしましょう。
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休業損害は職業によって計算方法が異なります。
次項からは職業別に休業損害の計算方法について解説していきます。
また、以下のような場合には、事故の怪我を原因として休業したことにより、損失が生じたこと(因果関係)を証明することができれば、休業損害として認められます。
確定申告をしていない、過少申告をしていたような場合は、ほかに収入を立証できる資料(預金通帳や伝票等)や扶養家族の人数、生活実態などを考慮し、賃金センサス(厚生労働省が発表している平均賃金)を適用して、基礎収入を算定することが多くあります。
女性労働者の全年齢平均賃金は「賃金センサス」という厚生労働省が実施している統計から算出します。
2019年から2021年の賃金センサスから算出した日額は以下のとおりです。
2019年 | 約1万410円 |
---|---|
2020年 | 約1万465円 |
2021年 | 約1万575円 |
また、家事労働では怪我の状況により、家政婦や家事代行サービスを依頼することもあるでしょう。
その場合、怪我の状況から、家政婦などに家事を依頼する必要性があったことを証明できれば、支払った金額が休業損害として認められる可能性もあります。
しかし、主婦の休業損害との二重取りはできないので注意しましょう。
学生は収入がないので、基本的に休業損害は認められません。
ただし、アルバイトとして働いていた場合や既に就職先が内定していた場合、留年や就職活動ができなかったことにより、就職が遅れた場合などは、一定の期間、休業損害が認められる可能性があります。
失業中の場合、基本的に休業損害を請求することはできません。
ただし、すでに就職先が決まっていた場合や、就職活動をしており、事故に遭わなければ働いていた可能性が高いといえる事情があれば、内定先の収入や賃金センサスを参考に休業損害が認められる可能性があります。
適切な休業損害を獲得するためには、現実の収入を正しく証明することが大切です。
しかし、収入額を証明する方法は職業によって異なります。
以下では職業別に収入を証明する方法についてまとめています。ご参考ください。
会社員 | ・休業損害証明書(勤務先に作成してもらう) ・事故前の源泉徴収票 ・給与明細 ・賞与減額証明書 |
---|---|
会社役員 | ・休業損害証明書 ・事故前年の源泉徴収票 ・会社の決算書類など |
自営業 | ・税務申告書類(事故前年の確定申告書、納税証明書) ・帳簿、領収証など |
専業主婦 | なし |
兼業主婦 | 会社員と同様 |
学生 | アルバイトをしていた場合 ・会社員と同様 就職内定取り消し、就職遅れの場合 ・内定通知書 ・留年や内定取り消しにより就職が遅れたことがわかる書類 |
失業者 | 就職先が内定していた場合 ・就職先の雇用契約書 求職中で、就職の可能性が高い場合 ・失業前の源泉徴収票 ・給与明細 |
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これまでの解説を踏まえた休業損害の計算例をご紹介します。
自賠責基準と弁護士基準の両方について解説しますので、どの程度の差が出るのか確認しましょう。
月ごとに日数の差がありますが、ここでは稼働日数は1ヶ月=20日として計算します。
例 事故前3ヶ月間の給料総額120万円・休業日数30日
自賠責基準では簡単な計算方法となりますが、弁護士基準では、まず事故前3ヶ月の給料総額を稼働日数で割って、1日当たりの基礎収入額を算出します。
それに休業日数を掛けて休業損害の金額を計算します。
自賠責基準では休業損害の日額が決められているため、簡単な計算方法となりますが、弁護士基準では、事故前3ヶ月分の給与合計額を稼働日数で割り、1日当たりの基礎収入額を求めます。
その後、求めた基礎収入額に休業日数を掛けて休業損害を計算します。
自営業者の基礎収入には、基本的に前年度の確定申告所得を採用します。
家賃や人件費といった固定の経費については事業を営むのに必要不可欠であれば、所得額に合算し、基礎収入を算出します。
過少申告していた場合に、実収入を基礎収入とするためには、帳簿や領収書、通帳の写しなどの資料を根拠に、実収入を得ていたことを主張立証しなければいけません。
また、これらの資料があるからといって、必ずしも主張が通るわけではないので、専門家へ相談が必要な事案といえるでしょう。
自賠責基準ではどのような職業でも日額は変わりません。
一方、弁護士基準では主婦の日額は賃金センサスの女性学歴計全年齢平均賃金を用いて算出されます。
弁護士基準の場合、基礎収入には家事労働と、パートの実収入のどちらか高い金額を用いて計算します。
アルバイトの場合は、不定期な勤務が多いため、特に、基礎収入の計算に歴日数と稼働日数のどちらを使うかで金額に大きな影響がでます。弁護士基準では、稼働日数を用います。
アルバイトをしているのが主婦であれば、上記の兼業主婦の時と同様に、賃金センサスとの比較検討を行います。 また、上記のとおり、アルバイトの場合は、基礎収入が低額となることがあり、自賠責基準の方が高額となる場合があります。
休業損害を弁護士に相談するメリットは以下のとおりです。
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弁護士費用特約については以下のリンクで詳しく解説してきます。ご参考ください。
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休業損害の計算に関する質問にお答えしていきます。
副業による収入があり、事故によって副業の収入に支障が出た場合は休業損害の対象となります。
しかし、副業での収入額について証明する必要があります。
ただし、副業として株や家賃収入を得ていた場合は、休業の有無は関係がなく、休業損害は認められません。
休業損害は、事故によって収入が減ったことに対する補償です。
そのため、産休・育休中に会社から給与が出る場合は、事故があってもなくても支給は変わらないため、会社員としての休業損害は請求できません。
しかし、産休・育休中に会社から給与が全く出ない場合や、出る場合でも、家事労働に支障があったことを具体的に立証することができれば、家事労働者をベースに休業損害を請求できる可能性があります。
交通事故が原因で退職せざるを得なくなった場合、退職と事故との因果関係を証明できれば、退職後の一定期間も休業損害が認められる可能性があります。
退職と事故との因果関係が認められるかについては以下のような事実が判断基準となります。
・交通事故による怪我の程度
・仕事の内容
・自主退職か会社からの解雇か
・交通事故の怪我が理由で退職したのか
・再就職の可能性があるか
休業損害は被害者がどのような職業に就いているかによって金額が変動します。
しかし、その計算方法は複雑で、交通事故に詳しい専門家でなければ分からないことも多いでしょう。
通常、休業損害は相手方保険会社から金額の提示がありますが、相手方保険会社の提示する金額が必ずしも正しいとは限りません。
相手方保険会社から提示される金額は、自賠責基準や任意保険基準を用いて算定しているため、本来受け取るべき適正な金額ではないことが多くあります。
休業損害の金額に不安がある方は私たち弁護士法人ALGにご相談ください。
弁護士であれば「弁護士基準」を用いて休業損害を算出するため、相手方が提示する休業損害の金額より高額となる可能性が高まります。
また、示談交渉を任せることができるため、被害者に方は治療に専念することができます。
交通事故の休業損害については私たちにお任せください。
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