要チェック!交通事故の示談が進まない4つの原因と対処法
交通事故の損害賠償は示談交渉で決まることが多くありますが、示談交渉では決める項目も多く、思ったより示談交渉が進まないことがあります。
示談交渉が進まないと、示談金が受け取れないだけでなく被害者が加害者に損害賠償を請求する権利の時効が迫ってくるリスクもあります。
そのため、示談交渉が進まない理由を見つけ、対処しなければなりません。
この記事では、「交通事故の示談が進まない場合」に着目し、進まない原因や対処法について解説していきます。
目次
交通事故の示談が進まない4つの原因
交通事故の示談が進まない、長引く原因はいくつかありますが、大きくまとめると以下の4つがあります。
- ① 自分側の弁護士に原因がある場合
- ② 相手側の弁護士に原因がある場合
- ③ 加害者本人に原因がある場合
- ④ 保険会社に原因がある場合
次項でそれぞれについて詳しく見ていきましょう。
①自分側の弁護士に原因がある場合
●交通事故に詳しくない
交通事故を弁護士に依頼することはとても有益な方法ですが、どの弁護士に依頼しても同じように良い結果が得られるとは限りません。弁護士の中にも得意・不得意の分野があります。
交通事故に詳しくない弁護士だと、相手側とのやり取りに時間がかかってしまい、示談交渉が思うように進まないことがあります。
●相手との交渉を怠っている
示談交渉を弁護士に依頼した場合でも、相手の回答を待つ時間があることから、示談交渉にはそれなりの時間がかかります。しかし、長期間にわたり進捗の連絡がない場合は相手との示談交渉が滞っている場合も考えられます。弁護士に進捗を確認してみましょう。
②相手側の弁護士に原因がある場合
●相手側弁護士が強引な交渉をしてくる
示談交渉は事故が起こった状況に沿って話し合いが進められるものですが、中には事故の事実を認めないような強引な交渉をしてくる弁護士もいます。
また、事故の経緯や真実を主張しても「証拠がない」と認めない弁護士もいます。
●相手方弁護士が連絡をしてこない
示談交渉を進めようとしても相手方弁護士からなかなか連絡がなく、放置されてしまう場合もあります。
示談交渉が進まず解決できないと、被害者はストレスになりますし、また、被害者が加害者に損害賠償を請求するには時効があるため、示談交渉が進まないことは被害者にとってマイナスになってしまいます。その場合は裁判なども考えられますので、ご自身の弁護士と相談しましょう。
③加害者本人に原因がある場合
●相手が任意保険に未加入の状態
加害者が任意保険に未加入の場合は直接加害者とやり取りをする必要があります。
相手が協力的なら良いのですが、なかには非協力的な方もいます。非協力的な対応だと話し合いが進まず精神的負担を感じてしまうでしょう。
●加害者の対応が不誠実
連絡をしても無視をされたりすると、被害者の方には大きなストレスです。
また、警察や保険会社に連絡をしていないとなると、示談交渉を行うまでに時間がかかってしまいます。
示談交渉は相手のあるものなので、自分だけでは進められないことに注意しましょう。
④保険会社に原因がある場合
●過失割合で争っている
過失割合は警察が決めるものではなく、当事者同士が話し合いによって決めるものです。
そのため、双方が異なる主張をすれば過失割合が決まらず示談交渉が長引く可能性もあります。
過失割合は示談金に大きく影響するため、相手方保険会社は自社の損失を少しでも減らしたいために被害者に高い過失が付くような主張をしてくることがあります。
●相手方保険会社が提示する示談金が相場からかけ離れている
相手方保険会社は独自の算出基準を用いて示談金を算出します。
損害額が大きいほど、相手方保険会社も強気の交渉をしてくるでしょう。そのため、時間的、精神的に負担を感じてしまいがちです。
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- ※死亡・後遺障害等級認定済みまたは認定が見込まれる場合
- ※事案によっては対応できないこともあります。
- ※弁護士費用特約を利用する場合、別途の料金体系となります。
- ※法律相談は、受付予約後となりますので、直接弁護士にはお繋ぎできません。
示談が進まない場合のリスクとは?
交通事故の示談が長引くと、示談金を受け取れるまでが長引くだけでなく、被害者が加害者に損害賠償請求できる時効が迫ってしまいます。
次項で見ていきましょう。
慰謝料の受け取りが遅くなる
交通事故で受け取れる慰謝料には、以下の3つの慰謝料があります。
- ① 入通院慰謝料
- ② 後遺障害慰謝料
- ③ 死亡慰謝料
これらの慰謝料は「交通事故によって精神的苦痛を負った」ことに対し支払われます。
慰謝料とは、数ある損害賠償の中の1つです。損害賠償には慰謝料以外にも様々な項目があります。
慰謝料や損害賠償を含む示談金は示談交渉が終わってから支払われます。そのため、示談交渉が滞ってしまうと示談金の受け取りが遅れてしまいます。
しかし、それでは金銭的に負担になってしまう方もいらっしゃるでしょう。そのため、示談金の一部は示談締結前に受け取れることができます。
- 相手方自賠責保険会社に被害者請求
示談金の内、自賠責保険分の金額のみ先に請求できる - 相手方自賠責保険会社に仮渡金請求
怪我に応じて5万円、20万円、40万円のいずれかを請求できる
受け取れる損害賠償については以下の表をご参考ください。
受け取れる損害賠償 | 解説 |
---|---|
入通院慰謝料 | 事故により怪我をしたことによる精神的苦痛に対する補償 |
後遺障害慰謝料 | 事故により後遺障害が残ったことによる精神的苦痛に対する補償 |
死亡慰謝料 | 事故により死亡したことによる精神的苦痛に対する補償 |
逸失利益 | 事故の影響により将来的な収入が減ったことによる補償 |
休業損害 | 事故の影響により収入が減ったことへの補償 |
治療費 | 応急手当費、診察料、投薬料、手術料など |
交通費 | 入通院をするために発生した交通費 |
装具費用 | 松葉杖や車いす、義肢やメガネ、コンタクトレンズなど |
葬儀費用 | 通夜や葬儀などの法要、墓石や仏壇の設置にかかった費用 |
交通事故の慰謝料がいつ支払われるかについては以下のリンクで詳しく解説しています。ご参考ください。
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時効が過ぎると損害賠償請求ができなくなる
被害者の状況によって損害賠償請求の時効が変わります。具体的な時効については以下の表をご覧ください。事故日の当日ではなく翌日から起算するのは時効時間の初日を平等な時間にするためです。
損害 | 時効 |
---|---|
車の修理費 | 事故の翌日より3年 |
治療費・休業損害・入通院慰謝料 | 事故の翌日より5年 |
後遺障害慰謝料・後遺障害逸失利益 | 症状固定日の翌日から5年 |
死亡慰謝料・死亡逸失利益・葬儀費 | 死亡日の翌日から5年 |
自分側の弁護士が原因で示談が進まない場合の対処法
自分側の弁護士が原因で示談が進まない場合の対処法は以下のとおりです。
- ① 担当弁護士ではなく事務所のスタッフなどに相談する
- ② 弁護士会に相談する
- ③ 弁護士を変更する
次項でそれぞれについて見ていきましょう。
①担当弁護士ではなく事務所のスタッフなどに相談する
弁護士と電話やメールで連絡が取りにくい場合は、ダイレクトメッセージ(DM)やチャットツールを活用してみましょう。普段から、電話やメールよりもSNSを多用する弁護士であれば、電話やメールよりも連絡が取りやすくなる可能性もあります。
それでも連絡が取りにくい場合は、事務所スタッフに現状を話してみましょう。
依頼している案件の進捗が分からないことは不安なことだと思います。事務所スタッフに確認することで、少しでも安心できるのではないでしょうか。
②弁護士会に相談する
弁護士事務所に問い合わせても対応が遅い場合は、弁護士会に相談してみましょう。
弁護士会とは、弁護士法により定められた組織で、弁護士や弁護士法人の指導や連絡、監督を行っています。
全国の弁護士会には「市民窓口」が設けられています。弁護士の活動で不満がある場合はまずはその弁護士が所属する弁護士会の市民窓口へ相談してみましょう。
③弁護士を変更する
一度委任契約を結んで、着手金を支払った弁護士だとしても、事件の途中で自由に弁護士を変更することはできます。
ある程度サポートをしてもらった弁護士を変えることは心が痛むかもしれませんが、弁護士を変えることに遠慮をする必要ありません。
しかし、弁護士を変える場合、一度支払った着手金などは戻ってきませんので注意しましょう。また、新たに委任する弁護士には新たに着手金を支払う必要があります。費用がかさんでしまうことはデメリットといえるでしょう。弁護士特約がある場合には、弁護士を変更する際に、変更後に費用が支払われるのかについてご自身の保険会社にお問い合わせください。
相手側の弁護士が原因で示談が進まない場合の対処法
ご自身が弁護士に依頼していない場合は交通事故の示談交渉は交通事故に詳しい弁護士に依頼しましょう。
弁護士は法律の専門家であり、交渉にも長けています。法律の専門家を相手に一般の方が対応することは意見を受け入れてもらいにくく困難なことです。専門用語などを使い言いくるめられてしまう可能性もあります。そのため、弁護士に依頼することで、示談交渉を任せることができ、精神的負担が軽くなるでしょう。
また、弁護士に依頼することで法的な観点から主張・立証していき正しい過失割合を主張できるだけでなく、示談金も相手方保険会社の算出基準から弁護士基準となり、相手方保険会社が提示する金額より高額となる可能性も高まります。
加害者が原因で示談が進まない場合の対処法
加害者が原因で示談が進まない場合の対処法は以下のとおりです。
- ① 加害者に内容証明郵便を送る
- ② 加害者の自賠責保険に被害者請求をする
- ③ 仮渡金を請求する
- ④ 自分の保険会社に保険金を請求する
次項でそれぞれについて解説していきます。
①加害者に内容証明郵便で請求書を送る
加害者が話し合いに応じないなど被害者の連絡に対し無視する場合は、内容証明郵便を使って損害賠償請求を行ってみましょう。
内容証明郵便とは?
「いつ、どこで、誰が、誰に、どのような内容」を郵便局が証明してくれる制度です。
損害賠償の請求金額や支払い期日、支払われない場合に訴訟を検討することなどを記載した文章を送ることで、示談を行いたいという意思を証拠として残すことができます。
内容証明郵便は話し合いに応じない加害者に対し、心理的な圧力をかけることが期待されます。
②加害者の自賠責保険会社に被害者請求する
被害者請求とは、被害者が加害者側の自賠責保険会社に直接損害賠償金を請求する方法です。
加害者側との示談交渉を始める前でも、損害賠償金の支払いを受けられるのが被害者請求のメリットです。しかし、被害者請求を行う場合、請求内容について審査する期間が必要であるため、直ちに支払われるわけではないことに注意しましょう。
請求費目によっては請求から1~2ヶ月かかることもあるでしょう。
被害者請求の限度額
- 傷害分:120万円
- 後遺障害分:75万~4000万円
- 死亡分:3000万円
③仮渡金を請求する
仮渡金とは、損害額が確定しない段階に自賠責保険に対して請求できる前払い金です。自賠責保険では、仮渡金の請求が行われた場合は、速やかに支払わなければならないことが明記されています。
そのため、交通事故によって怪我の治療や当面の生活費の工面が必要な場合に有効な手段です。
また、仮渡金の金額は怪我によってあらかじめ定められており、死亡の場合は290万円、怪我の状態によって5~40万円を受け取ることができます。
しかし、仮渡金の請求ができるのは1回限りとなっていますので注意が必要です。
④自分の保険会社に保険金を請求する
交通事故の被害者は、相手方の任意保険や自賠責保険だけでなく、ご自身の任意保険から保険金を受け取れるケースもあります。
特に加害者が任意保険に未加入の場合に、自身の車両保険や人身傷害保険などの任意保険を使うことで、治療費等の損害について自己負担することなく、保険会社から支払ってもらうことができます。
加害者が任意保険に入っておらず、何も支払う意思が無いような状況であれば、一度ご自身の保険内容をご確認ください。
ただし、任意保険ごとに様々な保険・特約・プランがありますので、保証の限度額や支払い条件は保険会社によって異なります。
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保険会社が原因で示談が進まない場合の対処法
自分の保険会社、加害者側の保険会社に問題がある場合の対処法は以下のとおりです。
- ① お客様センターに相談する
- ② 弁護士に相談する
- ③ ADRを利用する
次項でそれぞれについて見ていきましょう。
①お客様センターに相談する
相手方の保険会社やご自身の保険会社の担当者の対応が遅れている場合はお客様センターに相談しましょう。
また、その際担当者を変更することも視野に入れましょう。
お客様センターに相談することで対応が改善する可能性も期待できます。
②弁護士に相談する
保険会社に対し、最も効果的なのは弁護士に相談することです。弁護士であれば、法律の専門家としてだけでなく交渉のプロとして相手方保険会社に引けを取らず交渉していきます。法的な観点から正しい過失割合を主張できるだけでなく、損害賠償も「弁護士基準」で算出するため、相手方保険会社の提示する金額より高額となる可能性も高まります。
また、弁護士に相談する際は交通事故に詳しい弁護士に相談しましょう。相談しようと思っている弁護士が交通事故に詳しいかどうかを見極めるには、ホームページに記載してある解決事例を参考にしましょう。
③ADRを利用する
ADRとは、「裁判外紛争手続」ともいい、起こった問題について、裁判を起こさずに解決する方法を指します。
具体的には、交通事故紛争処理センターや日弁連交通事故相談センターがあり、同センターをはさんで話し合いをすることにより和解(示談)があっせんされます。
裁判外紛争手続きで下された結論は、相手方保険会社はその判断を尊重するものとされており、事実上、意思を拘束しますので、相手方保険会社の対応が悪く、解決に至らない場合はADRの利用を検討すべきでしょう。
なお、交通事故紛争処理センターの利用の申し込みは、無料です。
交通事故に詳しい弁護士に示談を相談するメリット
交通事故に詳しい弁護士に示談を相談するメリットは以下のとおりです。
- 示談交渉を任せられる
弁護士に示談交渉を任せることにより、スムーズに示談交渉が進む可能性が高くなるだけでなく、被害者の負担を減らすことができます。 - 示談金を増額できる可能性がある
弁護士に依頼することで最も高額となる「弁護士基準」で示談金を算出します。そのため、示談金が増額する可能性が高まります。 - 「弁護士費用特約」が使える
「弁護士費用特約」を使用することで、相談料10万円まで、弁護士費用300万円までを保険会社が負担してくれます。そのため、費用倒れをする可能性が低くなります。
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交通事故の示談が進まない場合は弁護士法人ALGにご相談ください
交通事故の示談が進まないことは、示談金を受け取れないだけでなく被害者が加害者に損害賠償請求を行える時効が迫っているため、焦ってしまうことでしょう。
交通事故の示談が進まない理由にはいくつかありますが、ご自身で対応するのは難しいことだと思います。
交通事故の示談が進まない場合は私たち弁護士法人ALGにご相談ください。
私たちは交通事故を専門に取り扱うチームを設置しており、交通事故の経験が豊富な弁護士が多数在籍しております。交通事故に関する多くの知識やノウハウを蓄積しているため、ご相談者様にとって最善の対策をご提案し、解決に導いていきます。
弁護士に依頼することは費用面でご心配の方もいらっしゃると思いますが、私たちは費用倒れ(利益が出ないこと)になる場合、必ずお伝えしておりますので、安心してご相談ください。
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