逮捕直後から最大3日間(72時間)の
刑事弁護が運命を左右します
警察官は、被疑者を逮捕してから48時間以内に、検察官へ送致する手続をしなければなりません。
警察官は、この制限時間内に、取調べや実況見分等の証拠収集を行います。
検察官は、警察官からの送致を受けてから24時間以内に、勾留請求または被疑者の釈放のいずれかをしなければなりません。
つまり、警察、検察を含む捜査機関は、被疑者の身体拘束をしてから72時間以内に、被疑者の身体拘束を継続するかどうかを判断することになります。
事件が検察官に送致された場合、被疑者は、検察で取調べを受けることになります。
検察官は、送致された事件の記録を読み、警察官に対し、補充捜査を求めたり、独自に証拠を収集したりします。
そして、被疑者の取調べの内容、証拠の内容、事件の重大さ等を考慮し、勾留の要件が存在するか検討し、勾留請求をするか、釈放するかを判断することになります。
勾留の要件は下記のとおりです。
- 被疑者が住居不定である
- 被疑者が罪証隠滅を図るおそれがある
- 被疑者が逃亡するおそれがある
という要件の内、①ないし③の1つが認められかつ罪を犯したことの相当の理由が認められかつ勾留の必要性が認められる必要があります。
捜査担当の検事がこの要件があると判断した場合、上席検事に決済を取りにいくことになります。上席検事の決裁が認められた場合、裁判官に対し、勾留請求をすることになり、これが認められると、被疑者は勾留されます。
【動画で解説】逮捕後72時間以内が勝負
逮捕できる人は
逮捕する権限を有する者は、警察官に限られず、検察官、検察事務官も被疑者を逮捕することが可能です。現行犯逮捕の場合は、一般市民も被疑者を逮捕することができます。
逮捕には、通常逮捕、現行犯逮捕、緊急逮捕があります。
通常逮捕は、いわゆる逮捕令状に基づく逮捕です。
①逮捕の理由及び②逮捕の必要性が必要です。
この要件が欠けることが疑われる場合、弁護人は争っていくことになります。
緊急逮捕が認められるための要件としては、①一定の重罪事件、②高度の嫌疑、③緊急性、④事後の令状請求が求められます。
この要件が欠けることが疑われる場合、弁護人は争っていくことになります。
現行犯逮捕は、テレビ等でもよく出てくるのでイメージがしやすいと思います。
現行犯逮捕が認められるためには、一般的に、①犯罪及び犯人の明白性、②犯罪の現行性・時間的接着性の明白性、③逮捕の必要性が必要です。
これらの要件が欠けているにもかかわらず、捜査機関が現行犯逮捕をする場合もありうるので、それが疑われる場合、弁護人は争っていくことになります。
警察官が逮捕した場合
警察官が、被疑者を逮捕した場合、48時間以内に検察官に事件を送致する手続きをするか否か判断をします。
検察官が公訴権限を全て握っており、その公訴権者にすべての判断を委ねようという趣旨で、事件は検察に全て送致するという原則がとられています。
もっとも、検察官の処理能力にも限界があり、軽微な事件についてもすべて送致されると、検察がパンクしてしまいます。
そこで、軽微な事件については検察官には送致せず、身柄を釈放することがあります。
送検された場合には、検察官が、被疑者を受け取ったときから24時間以内かつ被疑者が身体を拘束された時から72時間以内に勾留請求をするか否かを判断し、勾留請求をしない場合は釈放することになります。
検察官が逮捕した場合
検察官が被疑者を逮捕した場合は、48時間以内に勾留請求をするか否かを判断し、勾留請求をしない場合は、被疑者を釈放することになります。
もっとも、検察官が被疑者を最初に逮捕することは時間制限の観点等からもあまりなく、警察官が最初に逮捕することになるのが通常です。
勾留されてしまうと最大で20日間の身柄拘束に
なります。
裁判官が勾留決定を出した場合は10日間勾留されます。
検察官が、さらに、勾留の必要があると認め、勾留の延長の請求をし、裁判官が勾留の延長の決定を出した場合、原則として、最大で10日間延長されることになります。
すなわち、原則として、1つの事件について、最大20日間勾留されることになります。
この20日の間に検察官は、被疑者を、起訴するか否かを判断し、公判請求をするか、釈放するかの決定を基本的にすることになります。
裏を返せば、この期間内にいかなる刑事弁護活動をするかにより、起訴されるか否かが決定されることになります。
起訴されれば、無罪を取らない限り、前科がついてしまうことに鑑みれば、この期間は極めて重要なものといえるでしょう。