横領・背任に関する罪についての刑罰
横領罪
5年以下の懲役です(刑法第252条)
業務上横領罪
10年以下の懲役です(刑法第253条)
遺失物等横領罪
1年以下の懲役又は10万円以下の罰金若しくは科料です(刑法第254条)
背任罪
5年以下の懲役または50万円以下の罰金です(刑法第247条)
背任罪は、未遂も罰せられます(刑法第250条)
横領罪
5年以下の懲役です(刑法第252条)
業務上横領罪
10年以下の懲役です(刑法第253条)
遺失物等横領罪
1年以下の懲役又は10万円以下の罰金若しくは科料です(刑法第254条)
背任罪
5年以下の懲役または50万円以下の罰金です(刑法第247条)
背任罪は、未遂も罰せられます(刑法第250条)
刑法252条1項は「自己の占有する他人の物を横領した者は、5年以下の懲役に処する」として単純横領罪を規定しています。
同法253条は「業務上自己の占有する他人の物を横領した者は、10年以下の懲役に処する」として業務上横領罪を規定しています。
同法247条は「他人のためにその事務を処理する者が、自己若しくは第三者の利益を図り又は本人に損害を加える目的で、その任務に背く行為をし、本人に財産上の損害を加えたときは、5年以下の懲役又は50万円以下の罰金に処する」と規定しています。
横領罪における「自己の占有」には財物に対する事実的支配のみならず、法律的支配をも含みます。具体的には不動産の登記名義人、銀行に預金をしている者等です。
横領罪は法的保護に値する委託者の利益を守るための規定なので、委託者との間で委託信任関係がなければ横領罪は成立せず、遺失物等横領罪(254条)が成立します。
「横領」とは不法領得の意思の発現行為であり、不法領得の意思とは他人の物の占有者が委託の趣旨に背いて、その物につき権限がないのに、所有者でなければできない処分をする意思とするのが判例です。
背任罪の主体は「他人のためにその事務を処理する者」に限定されています。事務の内容は、背任罪が財産犯ですので、財産上の事務に限定されています。
同罪は図利・加害の目的が必要ですので目的犯です。この目的がない場合には背任罪は成立しません。
「任務に背く行為」とは行為者が事務処理上有している権限を濫用して、本人に財産上の損害を加えることをいい、無担保若しくは十分な担保なしに貸し付ける不正貸付行為が典型例です。
背任罪も財産犯ですので、財産上の損害の発生が必要ですが、背任罪における財産上の損害の有無は経済的見地から判断されます。例えば、銀行が1000万円の融資をした場合、法律的には1000万円の貸金債権を有していますが、十分な担保がない場合、経済的には1000万円の回収可能性が十分ではないので、財産上の損害があるといえます。
横領罪と背任罪は、いずれも他人から何らかの委託を受けた者が委託の趣旨に反して行う犯罪であるという共通点があります。
横領罪が自己の占有する他人の物を領得する行為であるのに対し、背任罪は他人の事務を処理する者が任務に背く行為とされていますが、他人の事務を処理する者が自己の占有する他人の物を不法に処分した場合のように、横領罪と背任罪の両方が成立するように思われる場合もあり、両者をどのように区別するかが問題となります。
この点については、横領罪と背任罪が重なり合う場合には、横領罪だけが成立するというのが判例の考え方です。
つまり、先に横領罪にあたるかどうかを検討し、横領罪には当たらない場合に背任罪にあたるかを検討することになります。
ある会社で経理を担当している従業員が、自分が管理している会社のお金を使ってしまった場合を例に考えてみましょう。
従業員が会社のお金をつかって高価な応接セットを注文し、自宅に搬送させて使用したような場合、自己の占有する他人の物を領得したといえるので(業務上)横領罪が成立します。
この場合、会社の経理という他人の事務処理をする者が、自分のために会社のお金をつかうという任務違背行為をしていますが、横領罪が成立するので、背任罪は成立しません。
他方、この従業員が社長から受けたパワハラの恨みをはらすため、会社に損害を与えてやろうと考え、社長に無断で会社に不相応な高価な備品を次々に注文して会社の経営状態を悪化させたような場合、従業員が領得したとはいえないので横領罪は成立せず、背任罪が成立することになります。
横領・背任で逮捕されてからの72時間以内は、逮捕者との接見・面会は弁護士にしか認められていません。
逮捕された場合、逮捕から勾留の決定が下されるまで原則として最大72時間は弁護人以外は、家族であっても面会は困難な状況になります。
さらに、警察・検察等の捜査機関の請求により、裁判所が接見禁止の決定(組織的犯罪、否認など)を出せば、勾留中も外部と遮断された拘束が続きます。
しかし、弁護士である弁護人は、逮捕直後からの接見・面会が可能で、例え接見禁止が付いていても関係なく接見・面会ができます。
祝祭日や深夜・早朝でも、1日何回でも、時間の制限なく、警察官の立ち会いなしで、接見・面会し、逮捕者とご家族様の精神的な支え、架け橋になる事ができます。
弁護士法人ALGの横領・背任における弁護活動方針
横領・背任はともに財産上の被害を与えたことに着目して処罰する犯罪であるため、その被害が填補されているか否かが、処分を決定するにあたって重要な考慮要素になります。
捜査段階では被害者への被害弁償等によって被害者の財産上の損害を補填することで、検察官が不起訴処分とする可能性が高まります。そのため依頼者の方とは被害者への被害弁償ができるかを検討していきたいと思います。
不起訴処分になれば、刑事裁判手続きに移行しませんので前科がつきません。その事を踏まえれば、捜査段階では被害弁償等をすることがとても重要です。
他方で、横領・背任の事実に争いがある場合には、金銭の使途やその他の周辺状況を把握し、そもそも横領、背任が成立するような状況であったのかを検討します。
横領については、お金がどこから出て、どこに入って、どのように使われたのかという全体の流れを正確に把握して主張を繰り広げる必要があり、最終的には、お金を本当に自分のものにするつもりではなかった等の主張をしていくことになるものと考えられます。
背任については、背任に該当するかは、そもそもどこまでの権限を有していたのか、それが委任者にとって本当に不利益になり財産上の損害を生ぜしめるのか、
といったことを総合的に検討していく必要があります。
いずれの罪も、窃盗・強盗のような単純な犯罪ではなく、様々な観点からの分析が必要になります。弁護士法人ALGは、過去のノウハウを活かし、横領・背任事件についても最善の主張・弁護を目指して参ります。
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