親告罪

親告罪とは

親告罪とは、告訴権者(被害者、法定代理人など)の告訴がなければ検察官が公訴を提起することができない犯罪のことをいいます。
このような制度を設けたのは、
①犯罪の被害が軽微であって、被害者が望まない場合にまであえて刑罰を科す必要がないと考えられる場合(器物損壊罪など)
②被害者の名誉、秘密にかかわる場合(強制わいせつ罪など)
③家族関係を尊重し、家族間の処理に委ねることが望ましい場合(親族間の窃盗など)
があるためといった説明がなされています。

Point

告訴権者とは、告訴ができる人を言います。
告訴できる人は、被害者本人、法定代理人、被害者が死亡している場合(刑訴法231条2項)、被害者の配偶者、直系親族、兄弟姉妹などです。
また、告訴については年齢制限の規定がないため未成年でも告訴することが可能です。

告訴とは

告訴とは、犯罪の被害者その他一定の者が、捜査機関に対し、犯罪事実を申告し、犯人の訴追を求める意思表示を言います。
告訴ができる者(告訴権者)の範囲は法律(刑事訴訟法)で定められています。

これに対して、告訴権者及び犯人以外の者が、捜査機関に対し、犯罪事実を申告し、犯人の訴追を求める意思表示のことを、告発といいます。

告発は誰でも行うことが可能で、公務員は職務上犯罪が行われたことを知った場合には、告発をする義務を負います。

被害届とは

告訴とよく似たものに、被害届があります。

被害届とは、捜査機関に対し、犯罪事実を申告することをいいます。
この点では告訴と共通しますが、被害届には犯人の訴追を求める意思表示が含まれていません。

そのため、親告罪について被害届を提出した場合、犯人を訴追するには被害届とは別に告訴権者の告訴が必要になります。

被害者以外の告訴権

被害者以外の告訴権者は、次のように定められています(刑事訴訟法231条~233条)。
①被害者の法定代理人※ただし、法定代理人が被疑者である場合などは、被害者の親族
②被害者が死亡したときは、被害者の配偶者、直系親族(祖父母、父母、子、孫など)、兄弟姉妹
③死者の名誉を毀損したときは、死者の親族または子孫

告訴可能な期間

告訴期間は、原則として犯人を知った時から6ヶ月です。

ただし、強制わいせつ罪、わいせつ目的誘拐などの性犯罪には、この制限はありません。
したがって、これらの罪については、犯人を知った時から6ヶ月が経過した後も、告訴をすることができます。

もっとも、公訴時効が完成すると公訴の提起ができなくなるので、それまでに告訴をする必要があります。

絶対的親告罪と相対的親告罪の違い

親告罪は、絶対的親告罪と相対的親告罪の2つに分けることができます。

絶対的親告罪とは

絶対的親告罪とは、告訴があることが常に訴訟条件とされている犯罪のことをいいます。

絶対的親告罪に適用される罪名

絶対的親告罪の代表的なものとして、次のような犯罪があります。
・強制わいせつ罪
・過失傷害罪
・名誉毀損罪
・器物損壊罪

相対的親告罪とは

相対的親告罪とは、通常は親告罪ではないが、犯人と被害者との間に一定の身分関係がある場合にのみ、親告罪となるものをいいます。

相対的親告罪に適用される罪名

親族との間で、
・窃盗罪
・不動産侵奪罪
・詐欺罪
・恐喝罪
・横領罪
などの犯罪が行われた場合が、相対的親告罪にあたります。
これらの財産に関する罪については、家庭内での秩序の回復が可能であるならば、国家の刑罰権をあえて行使する必要がなく、被害者が訴追を求める場合にのみ訴追することとしたのです。

親告罪で示談できる可能性

親告罪のうち、犯罪の被害が軽微であることを理由に親告罪とされているもの(過失傷害罪、器物損壊罪など)については、一般的には示談ができる可能性が比較的高いといえるでしょう。

また、親族間の財産犯についても、親族間の話し合いにより解決することは十分に期待できるでしょう。
問題は、名誉毀損罪、秘密漏示罪など被害者の名誉、秘密を理由とする親告罪です。

この場合、被害者の被害感情が厳しいことから、示談ができない場合も少なくありません。
もっとも、示談をせずに告訴をすると、捜査機関による事情聴取を受けたり、場合によっては裁判所で証言したりする必要が生じるため、被害者にとっては大きな精神的負担となりますし、かえって被害者の名誉、秘密が害されるおそれもあります。

そのため、これらの罪についても、示談に応じてもらえる可能性はあります。

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親告罪で示談するメリット

親告罪で示談をすることの最大のメリットは、告訴をしないことを約束してもらうこと、あるいはすでにした告訴を取り消してもらうことにあります。

告訴を取り消した場合、改めて告訴をすることができなくなるので、親告罪については起訴されることはなくなります。 そのため、逮捕勾留といった身柄拘束を受けていても、告訴の取消があればそれ以上捜査が継続されることはなく、身柄を解放されます。 これが示談のメリットです。

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