裁判員裁判とは?対象事件や流れ、被告人が伝えるべきポイントなど
裁判員裁判は、市民と裁判官が共同して刑罰の内容を決定する制度です。
選ばれた一般市民は、「裁判員」として刑事裁判に参加し、審理が行われていくため、被告人側は弁護方針や主張方法などに工夫を施さなければなりません。
この記事では、裁判員裁判に着目し、裁判員裁判の対象となる事件や流れ、被告人が伝えるべきポイントなどについて、詳しく解説していきます。
目次
裁判員裁判とは?
裁判員裁判とは、簡単にいうと、重大事件を対象に一般市民(裁判員)と裁判官が共同して審理を行い、判決や刑罰の内容を決定する制度のことです。
選ばれた一般市民は、裁判官と同じ権限をもつため、裁判員が評価した内容は、裁判官が評価したものと同等として扱われます。ただし、法律の解釈や手続きに関する判断は裁判官のみが行います。
専門家が中心となる裁判に市民が関与することで、公平性や透明性が高まり、市民の司法に対する理解が向上するようにという目的で導入されました。
裁判員の選び方
日本における裁判員の選び方は、主に以下のような流れで行われます。
- 1.裁判員候補名簿の作成
毎年10月~11月頃に、衆議院選挙権を持つ市民の中から、無作為のくじによって名簿が作成されます。 - 2.裁判員候補者への呼出
対象事件が起訴されると、候補者名簿の中からさらにくじで候補者が選ばれ、「呼出状」と「質問票」が送付されます。 - 3.選任手続期日
呼出状で指定された期日に裁判所に出頭し、裁判長や裁判官から面談を受けます。 - 4.裁判員・補充裁判員の選任
選任手続きを経た後は、公正さや辞退希望がない候補者からくじで6名が選ばれます。なお、必要に応じて補充裁判員も選任されます。 - 5.宣誓・裁判参加
選ばれた裁判員と補充裁判員は宣誓を行い、その後裁判に参加します。
裁判員裁判の対象となる事件
裁判員裁判の対象となるのは、以下のような重大事件に該当する罪です。
- 殺人罪
- 強盗致死傷罪
- 傷害致死罪
- 危険運転致死罪
- 現住建造物等放火罪
- 身代金目的誘拐罪
- 保護責任者遺棄致死罪
- 覚せい剤取締法・麻薬及び向精神薬取締法違反(営利目的の輸入など)
- 不同意性交等致傷罪(旧強姦致傷罪)・不同意性交等罪(旧強姦罪)
- 通貨偽造・同行使罪 など
裁判員裁判は、一般市民が審理に参加することで、裁判の透明性や「より納得できる判決」を目的としています。そのため、対象となるのは極めて重大な事件に限られます。
対象外となる事件
裁判員裁判の対象外となるのは、主に以下のような罪です。
- 窃盗罪
- 器物損壊罪
- 公務執行妨害罪
- 軽微な覚せい剤所持や単純使用事件
- 暴力団抗争が背景にある事件
- 裁判員やその家族に危害が及ぶ可能性がある事件 など
「軽微犯罪」や「裁判員の安全面に問題がある事件」などは、裁判官の審理のみで裁判が進みます。また、事件が著しく長期化または複雑化し、裁判員の確保や手続きの遂行が難しくなるおそれがある場合なども、対象外とされることがあります。
裁判員裁判の流れ
裁判員裁判は、主に以下のような流れで手続きが進んでいきます。
- 1.公判前整理手続
公判前整理手続は、裁判員の選任前に行われる手続きであり、裁判官・検察官・弁護人によって、争点や証拠の整理、スケジュール調整などが行われます。 - 2.裁判員の選任
公判前整理とほぼ並行して、裁判員6名と補充裁判員が選任されます。 - 3.公判
裁判員選任後は、冒頭手続→証拠調べ手続→弁論手続の順に裁判が進みます。 - 4.評議
裁判官と裁判員が議論し、有罪・無罪の判決と刑罰内容を決定します。 - 5.判決宣告
裁判長が評議の結果に基づき、法定で判決を読み上げます。ここで、裁判員としての任務が終了します。
判決が下されるまでの被告人の権利
被告人は、裁判の公平性や適正さを担保するために、日本国憲法と刑事訴訟法の規定により、さまざまな権利が保障されています。たとえば、日本国憲法では、「公平な裁判所の迅速な公開裁判を受ける権利」が保障され、刑事訴訟法では、「無罪推定の原則」の適用や「黙秘権」が与えられています。
無罪推定の原則とは、裁判で判決が下されるまでは、被告人は無罪と推定するという考えです。冤罪を防ぐためにも、検察官は、「被疑者が罪を犯したことは間違いない」と考えられる程度まで証明しなければなりません。
裁判にかかる日数
裁判にかかる日数は、事件の内容次第で異なりますが、被告人が自白している場合は2~3ヶ月程度、否認している場合は半年~1年程度が目安とされています。
被告人が罪を認めている事件の場合は、裁判を繰り返す必要がないため、事件次第では、第2回目の公判で判決が言い渡されます。ただし、あくまで目安である以上、事件内容や審理の複雑さなどにより大きく変動するのが前提です。
裁判員裁判では必ず有罪になってしまうのか?
裁判員裁判の対象事件だからといって、必ず有罪になるわけではありません。
裁判員は、裁判官とともに、「有罪か無罪か」「どのような刑罰内容が適切か」を判断しますが、その判断はあくまで証拠と法律に基づいた冷静な議論によって行われます。そのため、重大事件であっても、必ず有罪になるわけではなく、無罪となる可能性も十分にあります。実際に裁判員裁判の対象事件で、無罪判決が下された事例もニュースや新聞などで報道されています。
裁判員の感情や受けた印象などで判決が決まるわけではないことを、念頭に置いておきましょう。
裁判員裁判で被告人が伝えるべきポイント
反省していることを主張する
裁判員裁判の被告人質問において、反省の意思を示すことは、量刑の判断に大きく影響します。被告人が真摯に反省している姿勢は、裁判官や裁判員の心証を良くします。反省の姿勢を見せるには、具体的に次のような行動を起こし、それを主張する必要があります。
- 謝罪文の提出
- 被害者に対する損害賠償や慰謝料の支払い
- 更生プログラムへの参加
- 家族や支援者に協力を仰ぐ など
裁判員の感情や受けた印象が、そのまま判決内容に反映されるわけではありませんが、法律の専門家ではない裁判員は、人間的な誠意や態度を重視する傾向があります。そのため、具体的な行動や言葉で示すことが大切です。
市民感覚での合理性を主張する
一般社会における常識・倫理観・生活経験に基づく判断基準(=市民感覚)を訴えることは、裁判員裁判において重要な主張ポイントです。法律的な理屈だけでなく、被告人の背景や反省、更生への努力を市民目線で納得できるように伝えることが大切です。
たとえば、被告人に経済的困窮や複雑な家庭環境があり、犯行に至った背景が市民感覚で理解できるものであれば、量刑を軽くする要素として考慮される可能性があります。「人として理解できるかどうか」という点に着目し、適切に合理性を主張できれば、減刑が望めるでしょう。
逮捕後72時間以内の弁護活動が運命を左右します
刑事弁護に強い弁護士が迅速に対応いたします。
逮捕直後から勾留決定までは弁護士のみが面会・接見できます。ご家族でも面会できません。
裁判員裁判で弁護士に依頼するメリット
裁判員裁判における弁護士に依頼するメリットには、以下のようなことが挙げられます。
- 証拠や争点を整理し、戦略的な準備ができる
- 不起訴や減刑を目指せる
- 無罪判決を獲得できる可能性を高められる
- 充実した法的支援を受けられる など
裁判員は、法的知識を持たない一般市民であるため、日常的な言葉で訴えかける必要があります。この点、弁護士であれば、論理的かつ日常的な言葉で適切な訴えができるため、裁判員の判断が偏らずに済みます。一般市民が裁判に参加する裁判員裁判において、弁護士は「市民に寄り添い、専門性で支える存在」として必要不可欠です。
特に刑事事件に詳しく、信頼できる弁護士に依頼することは、納得のいく公正な結果を引き出すために重要となるため、弁護士を選ぶ際は慎重に判断しましょう。
裁判員裁判に関するよくある質問
裁判員裁判で裁判員から直接質問されることはありますか?
裁判員裁判で裁判員が直接被告人に質問することはあります。
ただし、裁判長に「質問したい」と申し出て、許可が下りた場合のみで、自由に質問できるわけではありません。あくまで質問の目的や必要性を裁判長に伝えて許可が下りた質問内容に限られます。
裁判員裁判に被告人として出席する場合、服装は何か決まりがありますか?
刑事事件の被告人として出席する場合は、裁判官や裁判員に「反省」と「真剣な姿勢」を示すためにも、スーツを着用するのが望ましいです。特に、裁判員裁判では一般市民が参加するため、服装選びはより慎重に行う必要があります。
裁判所の公式見解では、服装は自由としているものの、「厳粛な裁判の妨げにならないような落ち着いた服装が望ましい」としています。派手過ぎず、肌の露出やカジュアルすぎない服装を心掛けるとよいでしょう。
裁判員裁判で黙秘することはできますか?
裁判員裁判であっても、通常の裁判と同様に、被告人には黙秘権が認められています。黙秘権は、日本国憲法と刑事訴訟法の双方で保障されている権利で、いつでも行使可能です。
ただし、黙秘権は適切に活用すれば、防御の強化につながりますが、誤った活用をすると不利益を受ける可能性が高まるため、専門的な判断ができる弁護士にご相談されることをおすすめします。
裁判員裁判の弁護活動は刑事事件に強い弁護士法人ALGにご相談ください
裁判員裁判は、通常の裁判と異なり、選ばれた一般市民が裁判員として参加し、裁判官と一緒に判決や刑の重さを決めます。重大な刑事事件に関する判断を市民が担うため、裁判員にわかりやすく、誠実に説明することが重要です。
刑事事件に詳しい弁護士なら、弁護方針をしっかり立て、早めに準備を進められます。弁護士法人ALGには、刑事事件の経験が豊富な弁護士が複数在籍しており、これまでの実績で培ったノウハウを活かした弁護活動が可能です。
裁判員裁判は、人生に大きな影響を与える重大な手続きです。不安を感じている方は、まずはご相談ください。弁護士があなたの権利を守り、納得できる結果を目指して全力でサポートします。
