裁判員裁判の流れとは?かかる期間や弁護士の重要性などを解説
刑事事件で起訴されると、「裁判員裁判」という形で裁判が行われることがあります。通常は裁判官が判決を決めますが、裁判員裁判の対象に選ばれた場合は、一般市民も裁判に参加します。
「裁判員裁判」という制度自体は広く知られていますが、流れや進め方まで深く理解されている方は少ないでしょう。
この記事では、裁判員裁判に着目し、裁判員裁判の流れや要する期間などについて、詳しく解説していきます。
目次
裁判員裁判とは?
裁判員裁判とは、一定の重大事件において一般市民が裁判に参加し、裁判官と一緒に判決を決める制度です。裁判員となる一般市民はランダムに選ばれ、裁判官3名と裁判員6名(合計9名)で構成されます。
裁判員裁判は、一般市民が参加するため注目度が高く、報道されやすいのが特徴です。判決は多数決で決まりますが、訴訟手続きに関する問題や法律的な部分の解釈などについては、裁判官が担当します。
裁判員裁判について、また、裁判員に選ばれる人についてさらに詳しく知りたい方は、以下のページをご覧ください。
裁判員裁判とは? 裁判員裁判の裁判員に選ばれるのはどんな人?裁判員裁判の対象事件
裁判員裁判の対象となるのは、主に人の生命や身体に重大な被害を及ぼすような事件に限ります。例えば、以下のような事件が対象となり得ます。
- 殺人
- 強盗致死傷
- 放火
- 身代金目的の誘拐
- 危険運転致死
- 薬物犯罪
など
一定の重大事件に限られるのは、裁判員となる一般市民の負担を軽減するためとされています。
裁判員裁判の対象事件について、さらに詳しく知りたい方は、以下のページをご覧ください。
裁判員裁判の対象事件とは?裁判員裁判の流れ
裁判員裁判は、主に以下のような流れで手続きが進んでいきます。
- 1.公判前整理手続
- 2.公判期日
- 3.評議
- 4.判決宣告
裁判員裁判は「公判前整理手続」から始まり、証拠や争点を整理したうえで公判期日を迎えます。その後は、裁判を重ねていき、裁判官と裁判員が評議して判決の内容を決定するため、事前準備をきちんと行うことが重要です。
公判前整理手続
公判前整理手続とは、第一回目の公判期日の前に、事件の争点や証拠を整理するための手続きです。
あらかじめ争点や証拠を整理・厳選することで、裁判を円滑に進め、長期化を防ぐことを目的としています。
公判前整理手続は、以下のような事件に限り行われます。
- 被害者や被告人が複数いる事件
- 裁判員裁判事件
- 否認事件
争点の整理
争点の整理では、起訴された事実を認めるのか、否認するのかを明確にします。
否認する場合は、その理由や証拠を提示する必要があるため、事前準備が大切です。弁護人は、検察側の主張に対抗するための戦略を立て、裁判員に分かりやすく伝える準備を行い、円滑に争点を絞り込めるようにします。
検察側と弁護人側それぞれの主張や争点となる部分をあらかじめ明らかにしておけば、裁判の方向性を大まかに把握することが可能です。
証拠の開示・整理
証拠の開示・整理では、立証責任を負っている検察官が、必要な証拠の取調べを裁判所に請求します。弁護人は、検察官に対して証拠を開示するよう求めるのが一般的です。
裁判員裁判の場合、証拠が多いと裁判員の負担が大きくなるため、事前に証拠を厳選しておくのが基本です。
裁判員が容易に争点を理解できるよう、裁判所・検察官・弁護人が一緒になり、適切な証拠を開示・整理します。
取り調べる証拠の決定
事前にどの証拠を取り調べるのかを決定しておくことで、よりスムーズな審理が可能です。
弁護人は、検察官や裁判官と交渉し、弁護人側の証拠を採用させる一方で、検察側の不当な証拠請求を防ぐ役割があります。交渉次第では、裁判員に提示される情報が大きく変わる可能性があるため、弁護人の経験と戦略は重要といえます。
できるだけ有利に進めるためにも、刑事事件に詳しい弁護士へ相談するのが良いでしょう。
スケジュールの決定
公判を円滑に進めるため、証拠調べや証人尋問などの日程を事前に細かく調整します。
裁判員裁判は、裁判員の負担を減らすため、短期間で集中的に行うのが基本です。準備不足は進行を遅れさせる原因となるため、あらかじめ綿密な計画が立てられます。
弁護人は、被告人に有利な証拠や証人が確実に反映されるよう、弁護方針を検討しなければなりません。
裁判の進行に関する事項は、裁判官・検察官・弁護人が話し合い、決定するのが通常です。
公判期日
公判期日は、事件の内容や争点によって異なりますが、数日から1週間程度の間に集中して開かれることが多いです。
裁判員裁判では、公判前整理手続において、裁判官・検察官・弁護人があらかじめ事件の争点を明確にし、証拠の整理も行っています。そのため、短期間に集中して公判期日を開き、スピーディーに裁判が行われます。
冒頭手続
冒頭手続とは、刑事裁判の最初に行われる以下4つの手続きを指します。
- 人定質問
裁判官が被告人に氏名・住所・生年月日・職業などを質問し、起訴された人物と同一であることを確認します。 - 起訴状朗読
検察官が起訴状を読み上げ、裁判の対象となる事件の内容(公訴事実、罪名、罰条)を明らかにします。 - 権利告知
裁判官が被告人に黙秘権などの権利を告げます。 - 被告事件についての陳述(罪状認否)
裁判官が被告人に起訴状の内容について認否を尋ねます。「認めます」「違います」など簡潔に答え、争点を明らかにします。
冒頭手続での対応は、裁判員に与える印象にも影響するため、弁護人の助言が重要です。
証拠調べ
証拠調べでは、検察官が事件の全体像を物語式で説明し、証拠に基づき事実を明らかにします(冒頭陳述)。
裁判員裁判では、検察官のあとに弁護人も冒頭陳述を行い、被告人の視点から事件の概要を説明するのが特徴です。
その後は検察官・弁護人が証拠調べの請求を行い、裁判所は被告人側の意見も踏まえて証拠を採用するか判断します。証拠は、証人・証拠書類・証拠物の3つに分類され、以下の方法で取調べが行われます。
- 証人 → 「証人尋問」
- 証拠書類 → 「朗読または告知」
- 証拠物 → 「展示」
弁護人は被告人の立場から反論するだけでなく、証人尋問も的確に行わなければならないため、優れた尋問技術が求められるでしょう。
検察官の論告・求刑
検察官の論告・求刑は、刑事裁判の終盤に行われる重要な手続きです。
証拠調べが終わると、検察官がこれまでの審理で明らかになった事実や証拠をもとに、法律の適用についての意見を述べます(論告)。
意見の内容は、簡単にいうと、「どの事実が証拠により認められるのか」「どの法律を適用するのか」「被告人に科すべき刑罰内容はどうするのか」などです。
論告の最後には、被告人に科すべき刑罰内容を求める「求刑」が行われます。
弁護人の最終弁論
弁護人の最終弁論では、それまでの審理をふまえ、被告人側の立場から裁判のポイントを整理し、裁判員に分かりやすく伝えます。
被害者が参加している場合、意見が述べられることもあります。また、被告人が最後に自分の言葉で訴える機会もあるため、印象を左右する重要な場面です。
弁護人が説得力のある主張をすることで、判決に大きな影響を与える可能性もあるため、効果的に反論するための準備が必要となるでしょう。
評議
評議では、審理で得た証拠や証言をもとに、裁判官と裁判員が議論して判決の内容を確定します。
評議中は、裁判官が進行役を務め、裁判員も積極的に発言します。意見が分かれた場合は多数決となりますが、量刑の判断には専門的な知識が必要なため、裁判官の助言が重要です。
評議までに、弁護人がどれだけ説得力のある主張を展開できるかがポイントとなるでしょう。
なお、評議の内容については守秘義務があるため、裁判員が外部に漏らすことはありません。
裁判員裁判における判決の決め方について、さらに詳しく知りたい方は、以下のページをご覧ください。
裁判員裁判の判決の決め方は?判決宣告
判決宣告では、裁判官と裁判員が話し合って決定した判決の内容を、裁判長から被告人に伝えます。
判決宣告は数分から10分程度で終わることが多いですが、社会的な注目度が高い事件では通常よりも時間がかかる場合があります。
判決に不服がある場合、被告人や検察官は2週間以内であれば控訴することが可能です。
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裁判員裁判にかかる期間
裁判員裁判が終わるまでにかかる期間は、事件の性質によって異なりますが、1~2週間程度とされています。
裁判員裁判は、裁判員の負担を抑えるため通常の刑事裁判よりも短期間で進む傾向にあります。
公判前整理手続の後は集中審理で行われますが、事件の内容や証拠の量によっては、さらに長引く可能性もあるため注意が必要です。
裁判員裁判にかかる期間について、さらに詳しく知りたい方は、以下のページをご覧ください。
裁判員裁判にかかる期間は?裁判員裁判における弁護士の重要性
裁判員裁判では、一般市民の見解が判決に影響するため、専門的な法律用語ではなく、分かりやすい言葉で説明・説得することが重要です。
弁護人は、証拠や事実を整理し、裁判員が理解しやすい形で被告人の主張を伝えなければなりません。短期間で進む裁判員裁判では、迅速かつ的確な戦略の構築が不可欠といえるでしょう。
裁判員裁判では、刑事事件に精通した弁護士に相談・依頼のうえ、適切な弁護活動を受けることが重要です。
刑事事件に精通した弁護士であれば、豊富な経験や知識を活かして対応できるため、被告人にとって有利な判決につながる可能性があります。
裁判員裁判の弁護活動については刑事事件に強い弁護士法人ALGにご相談ください
裁判員裁判は、短い審理期間の中で、一般市民である裁判員に分かりやすい説明・説得をしなければなりません。
難しい専門用語や法律用語は避けつつ、事実の背景や被告人の反省、更生の可能性などを丁寧に示すことが大切です。
裁判員裁判を適切かつ円滑に進めるには、刑事事件に強い弁護士による弁護活動がとても重要です。
裁判員裁判に限らず、弁護士の初動が早ければ早いほど証拠の確保や弁護方針の構築に余裕が生まれるため、早い段階で相談することをおすすめします。
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