裁判員裁判の判決の決め方は?無罪獲得の可能性や弁護活動など
裁判員裁判とは、国民の関心が高い重大犯罪(殺人罪や強盗致死傷罪等)について、一般市民が裁判員として裁判に参加する制度です。
裁判官だけでなく、一般市民が審理に加わる裁判員裁判では、判決をどのように決めるのか気になる方も多いでしょう。
この記事では、裁判員裁判の判決の決め方や判決が出るまでの流れ、裁判員裁判で無罪や執行猶予を目指すための弁護活動などについて、詳しく解説していきます。
目次
裁判員裁判の判決はどのように決まるのか?
裁判員裁判では、裁判官3名と一般市民から選ばれた裁判員6名が話し合って判決の内容を決めます(評議)。
話し合う内容は、「被告人を有罪とするのか、無罪とするのか」「量刑はどうするか」などです。評議では裁判員の意見も尊重され、1票の重さも裁判官と変わりません。
判決の内容を決めるための話し合いは、法廷での審理とは異なり、非公開で行われます。また、事件を整理しながら進めるといった配慮もなされるため、裁判員は事件の概要を理解しやすく、意見も述べやすいでしょう。
裁判に一般市民の声を届け、司法の透明性・信頼性を向上させることが、裁判員裁判の目的といえます。
全員の意見が一致しない場合は多数決となる
話し合いがまとまらない場合は、多数決で結論が出されます。
ただし、裁判官のみ・裁判員のみの意見で被告人を有罪にすることはできません。
被告人を有罪にするには、裁判官と裁判員それぞれ1名以上を含む過半数の賛成が必要です。
この条件を満たさない場合、判決は無罪となります。
例 <有罪か無罪かの判断>
有罪:裁判官2名+裁判員4名(計6票)
無罪:裁判官1名+裁判員2名(計3票)
➡ 過半数(6票)かつ裁判官・裁判員双方に賛成者がいるので 有罪が確定
有罪:裁判員6名(全員)+裁判官0名(計6票)
無罪:裁判官3名(全員)(計3票)
➡ 裁判官側に有罪賛成者がいないため、無罪が確定
裁判員裁判の判決が出るまでの流れ
裁判員裁判の判決が出るまでの流れは、主に以下のとおりです。
- ① 裁判員の選任
裁判員候補者が抽選で選ばれ、質問票や面接によって裁判員が決まります。 - ② 公判前整理手続
裁判員・検察官・弁護人が証拠や争点を整理します。 - ③ 公判期日
冒頭手続や証拠調べ、証人尋問などが行われます。
検察官から最後の意見が述べられ、相当と思われる刑の適用を求められたら(論告・求刑)、弁護人も最後に意見を述べます(最終弁論)。 - ④ 評議
裁判官と裁判員が話し合い、判決内容が決まります。 - ⑤ 判決宣告
裁判官から判決が言い渡されます。
裁判員裁判の流れについて、さらに詳しく知りたい方は、以下のページをご覧ください。
裁判員裁判の流れとは?かかる期間や弁護士の重要性などを解説判決が出るまでの期間
裁判員裁判では、初公判から判決までの期間は比較的短く、多くの事件が4~7日以内で結論に至ります。
重大事件であっても、証拠調べや評議などの手続きが効率的に進められるため、長期化するケースは少ないのが特徴です。
ただし、事件の内容や証人の数によっては、さらに日数がかかるケースもあるため、あくまで目安に留めておきましょう。
裁判員裁判にかかる期間について、さらに詳しく知りたい方は、以下のページをご覧ください。
裁判員裁判にかかる期間は?裁判の流れや弁護活動などを解説逮捕後72時間以内の弁護活動が運命を左右します
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裁判員裁判で無罪や執行猶予を目指すことはできるか?
裁判員裁判の対象でも、検察側の証拠や証言などが信用性に欠ける場合、無罪や執行猶予を目指せます。
刑事事件では、検察側が証拠によって“合理的な疑いを入れない程度”に証明しない限り、有罪判決は下せません。
これは、「疑わしきは被告人の利益に」という無罪推定の原則に基づくものです。
簡単にいうと、検察側が被告人の犯罪事実を十分に立証できない限り、無罪となるのが基本ルールです。
検察側の証拠や証言に不備があることを主張・立証できれば、無罪を獲得できる可能性があります。執行猶予を狙う場合は、被告人にとって有利な情状の主張や、更生環境の整備などが有効です。
裁判員裁判における弁護活動
裁判員裁判で無罪獲得や減軽を目指すには、刑事事件の経験が豊富な弁護士による弁護活動が重要です。
裁判員裁判は一般市民が裁判に参加するため、証拠や事実関係、被告人の反省、再犯防止策などをわかりやすく説明しなければなりません。
裁判員は法律の専門家ではないので、弁護人は難しい法律用語の使用を避け、馴染みのある言葉で伝えることが重要です。
刑事事件に精通した弁護士であれば、検察側に証拠の開示を請求し、反論の余地がないかをあらゆる角度から確認できます。
被害者との示談成立や再犯防止策の準備も並行して進めるため、被告人にとって有利な情状の主張・立証もしやすくなります。
裁判員裁判で無罪となった判例
令和4年(合わ)44号 東京地方裁判所 令和5年7月28日判決
<事案の概要>
被告人は、氏名不詳者らと共謀し、営利目的で香港から覚せい剤を日本に密輸したとして、覚せい剤取締法違反、関税法違反に問われました。
※被告人は、捜査機関によるライブ・コントロールド・デリバリー(あえて薬物の運搬を認める手法)により、配送業者と落ち合い貨物を受け取ろうとしたところ、検挙されました。
<裁判所の判断>
裁判所は、以下の事情を踏まえて、「被告人が密輸品と認識していたとは認められない」と判断し、被告人に無罪判決を言い渡しました。
- 被告人が運転するトラックやフォークリフトを、常連のレンタカー店で実名かつ運転免許証を提示して借りていた行動は、本件が発覚しないように意識したものとはいえない
- 被告人が「キムラ」と名乗ったことは、受取人の知人が「キムラ」であると被告人が認識していた可能性が高く、偽名を使ったとはいえない
- 被告人が「危ういことに巻き込まれているかもしれない」と逃走したことは、一般人よりも過敏に警察を警戒する暴力団構成員である被告人からすれば、不自然とはいえない
- 関係者であるEの供述は大きく変わっており、信用性に欠ける
裁判員裁判の判決を覆すことはできるか?
裁判員裁判の判決は、「控訴」「上告」「再審請求」などの申立てによって、覆せる可能性があります。
実際に、控訴などの申立てによって判決が覆った事件も少なくありません。
控訴とは、第一審で下された判決に対する不服申立てを、上級裁判所に行うことをいいます。控訴審で新たな証拠や法解釈の誤りが認められれば、無罪判決や減刑を獲得できる可能性が高まります。
ただし、判決が確定した後の対応には専門的な知識が求められるため、刑事事件に詳しい弁護士への相談がおすすめです。第一審と同じ主張や立証を繰り返すだけでは、控訴審で判決を覆すのは難しいでしょう。
裁判員裁判の弁護活動は刑事事件に強い弁護士法人ALGにご相談ください
裁判員裁判は、通常の刑事裁判とは弁護活動のポイントが異なります。
弁護人は、裁判員に配慮するだけでなく、裁判員裁判特有の戦略を立てなければなりません。早口や専門用語を多用すると裁判員が理解しづらく、誤解や反感を招くおそれがあるため、避けるべきでしょう。
裁判員裁判で納得のいく判決を得るには、刑事事件に強い弁護士の存在が重要です。
弁護活動を効率的に進めることや、裁判員が理解しやすいように主張・立証することは、裁判を有利に進めるための重要なポイントとなります。
弁護士法人ALGには、豊富な経験と知識を兼ね備えた弁護士が複数名在籍しておりますので、ぜひお気軽にご相談ください。
