殺人事件における裁判員裁判とは?刑罰や弁護活動の重要性

殺人事件における裁判員裁判とは?刑罰や弁護活動の重要性

監修
監修福岡法律事務所 所長 弁護士 谷川 聖治 弁護士法人ALG&Associates

殺人事件は、裁判員裁判の対象となる事件の中でも特に件数が多い傾向にあります。

裁判員裁判では、一般市民が裁判員として裁判に参加するため、被害者に対する同情から「被告人には重い刑罰を科すべき」という意見も挙がりやすいです。

この記事では、殺人事件における裁判員裁判に着目し、裁判員裁判で問われる刑罰や裁判員裁判における弁護活動の重要性などについて、詳しく解説していきます。

殺人事件における裁判員裁判とは?

裁判員裁判とは、殺人罪や強盗致死傷罪などの重大な刑事事件において、ランダムで選ばれた一般市民が裁判員として刑事裁判に参加する制度です。

裁判員となった一般市民は、裁判官と一緒に有罪・無罪の判決や刑罰内容を決めます。

殺人罪は故意に他人の命を奪う犯罪であり、重大な刑事事件にあたるため、裁判員裁判で扱われる事件のうち最も件数が多いとされています。

裁判員裁判の対象となった殺人事件では、裁判員が被害者に同情の念を抱くことが多く、厳しい内容の判決が下されることも少なくありません。

裁判員裁判や、裁判員裁判の対象事件について詳しく知りたい方は、以下の各ページをご覧ください。

裁判員裁判とは? 裁判員裁判の対象事件とは?

殺人事件の裁判員裁判は弁護活動が重要

殺人事件は、“殺意の有無”や“犯行態様”によって罪名や刑罰の重さが変わるため、弁護士による弁護活動が判決に大きな影響を与えます。

特に裁判員裁判の場合、弁護士は、法律の専門家ではない裁判員でも理解できるような主張および立証を行わなければなりません。

裁判員に対して、正当防衛や責任能力の有無、犯行に至った経緯、被害者との関係性などを丁寧に説明する必要があります。

弁護士による弁護活動で得られるメリットには、以下のような点が挙げられます。

  • 無罪を獲得できる可能性が高まる
  • 減刑を目指せる
  • 執行猶予付き判決を獲得できる可能性が高まる
  • 保釈請求による釈放を目指せる など

刑事事件に詳しい弁護士に依頼すれば、より充実した法的サポート受けられるでしょう。

裁判員裁判における弁護活動について、さらに詳しく知りたい方は、以下のページをご覧ください。

裁判員裁判における弁護士の重要性

殺人事件の裁判員裁判に関する判例

平成24年(わ)127号 福島地裁郡山支部 平成25年3月14日判決

<事案の概要>

被告人は、多額の金員を入手するため民家に押し入り、家人の被害者2名を殺害して金品を強奪しました。

<裁判所の判断>

裁判所は、以下の理由から被告人に死刑判決を下しました。

  • 金を得るために他人の生命をないがしろにした本件の犯罪の性質は、極めて悪質性が高い。
  • 殺傷能力のあるペティナイフで頚部や頭部に多数回の攻撃を加えて容赦なく絶命させるなど、殺害態様が「執拗にして冷酷かつ残虐」である。
  • 犯行後、折り返しかかってきた消防からの電話に平然と対応する、現金の引き出しを図るなど、犯行後の行動が芳しくない。
  • ペティナイフの刃先を被害者の頭部ないし頚部付近に向けて突き出し、約9.8cmの深さまで突き刺していることから、殺意があったと認められる。
  • 農村地域の小規模な集落で夫婦が惨殺された事件である本件の社会的影響は大きい。
  • 「妻と共に住む家屋の購入資金等を入手するための犯行」という動機は、利欲的で身勝手である。
  • 被害者らを殺害しないで大金を入手する手立てを講じることもなく、ペティナイフを携帯して被害者宅に侵入した行為は、計画性が高いとはいえなくとも刑事責任は極めて重大である。

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殺人事件の裁判員裁判で問われる刑罰

殺人事件で問われる刑罰は、以下のようなものです。

  • 殺人罪
  • 殺人未遂罪
  • 同意殺人罪
  • 過失致死罪

殺人事件は、殺意の有無や犯行態様によって罪名や刑罰の重さが大きく変わるのが特徴です。

殺人罪

殺人罪とは、故意に他人を殺害した場合に成立する犯罪で、刑法第199条に規定されています。

殺人

第百九十九条 人を殺した者は、死刑又は無期若しくは五年以上の拘禁刑に処する。

殺人の対象は「生きている他人」であり、胎児や死体、自分は含まれません。

あくまで生きている他人を「殺してやる(確定的故意)」または「死ぬかもしれないが構わない(未必的故意)」という故意をもって殺害した場合に限られます。

犯行の動機や計画性、残虐性などが量刑の判断に大きく影響しますが、裁判員裁判では裁判員の被害者への同情から死刑となるケースも少なくありません。

弁護人側は、殺意の有無や犯行に至る経緯を丁寧に説明し、刑の軽減を目指す必要があります。

殺人未遂罪

殺人未遂罪とは、殺意を持って他人を殺害しようとしたものの、被害者が死亡しなかった場合に成立する犯罪で、刑法第203条に規定されています。

未遂罪

第二百三条 第百九十九条及び前条の罪の未遂は、罰する。

法定刑は、殺人罪と同じく「死刑または無期もしくは5年以上の拘禁刑」と非常に重いものです。

ただし、裁判官の裁量によって未遂であることが考慮され、減刑される可能性があります。

裁判員裁判では、裁判員に対して、犯行の動機や計画性、被害程度、被告人の情状などを丁寧に説明する必要があります。

殺人未遂事件における裁判員裁判について、さらに詳しく知りたい方は、以下のページをご覧ください。

殺人未遂における裁判員裁判について

同意殺人罪

同意殺人罪とは、被害者から「嘱託」を受けて殺害または「承諾」を得て殺害した場合に成立する犯罪で、刑法第202条に規定されています。

自殺関与及び同意殺人

第二百二条 人を教唆し若しくは幇助して自殺させ、又は人をその嘱託を受け若しくはその承諾を得て殺した者は、六月以上七年以下の拘禁刑に処する。

同意殺人罪は、嘱託殺人と承諾殺人に分類されます。

  • 被害者から殺してほしいと依頼されて殺した場合 ➡ 嘱託殺人
  • 被害者に殺していいかと確認し、同意を得て殺した場合 ➡ 承諾殺人

対象となるのは、いずれも加害者が被害者と合意のうえで犯行に及んだケースです。

裁判員裁判では、被害者の同意があっても、社会的影響や倫理的問題を重視して判決を下す傾向にあります。

過失致死罪

過失致死罪とは、不注意などの過失によって他人を死亡させた場合に成立する犯罪で、刑法第210条に規定されています。

過失致死

第二百十条 過失により人を死亡させた者は、五十万円以下の罰金に処する。

過失致死罪の特徴は、殺意がないことです。
あくまで注意義務を怠った結果、被害者が死亡したケースに限られます。

殺人罪や殺人未遂罪に比べて刑罰は軽いですが、殺意の有無や過失の程度などが量刑判断に影響します。

殺意があったと認められれば、殺人罪に切り替わるため、弁護人側は、被告人に殺意がなかったことを主張・立証しなければなりません。

殺人事件の裁判員裁判の流れ

殺人事件にかかわらず、裁判員裁判は以下のような流れで手続きが進みます。

  • ① 裁判員の選任
    裁判員候補者が抽選で選ばれ、質問票や面接によって裁判員が決定される。
  • ② 公判前整理手続
    裁判官・検察官・弁護人が証拠や争点を整理する。
  • ③ 公判開始
    冒頭手続や証拠調べが行われる。
  • ④ 検察官の論告・求刑、弁護人の最終弁論
    検察官が意見を述べたうえで、相当と思われる刑を適用するように求める(論告・求刑)。論告後、弁護人は最後に意見を述べる(最終弁論)。
  • ⑤ 評議
    裁判官と裁判員が話し合い、判決内容を決定する。
  • ⑥ 判決宣告
    裁判長から判決が言い渡される。

裁判員裁判の流れについて、さらに詳しく知りたい方は、以下のページをご覧ください。

裁判員裁判の流れとは?

殺人事件の裁判員裁判における弁護活動に関しては弁護士法人ALGにご相談ください

裁判員裁判の対象は「重大事件」に限られるため、殺人事件は特に扱われやすい傾向にあります。

裁判員裁判で執行猶予付き判決の獲得減刑を目指すには、一般市民である裁判員に対してより丁寧な弁護活動を行う必要があります。

弁護人は、殺意の有無や犯行に至った経緯などを、裁判員でも分かるような言葉で主張・立証しなければなりません。

適切かつ丁寧な弁護活動をどれだけ行えるかで結果も変わってくるため、刑事事件の経験が豊富な弁護士への相談・依頼をおすすめします。

弁護士法人ALGには、裁判員裁判に詳しい弁護士が複数名在籍しています。
迅速かつ丁寧な対応が可能ですので、ぜひお気軽にご相談ください。

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監修 : 福岡法律事務所 所長 弁護士 谷川 聖治 弁護士法人ALG&Associates

保有資格弁護士(福岡県弁護士会所属・登録番号:41560)

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