殺人未遂における裁判員裁判|弁護活動や刑罰、流れなどを解説
殺人未遂として起訴された場合は、裁判員裁判の対象となるため、裁判には一般市民が参加します。
法律の専門家ではない一般市民が「裁判員」として裁判官と一緒に審理を行う以上、弁護人は通常の刑事裁判とは異なる弁護活動を行う必要があります。
この記事では、殺人未遂における裁判員裁判に着目し、弁護活動のポイントや裁判員裁判の流れなどについて、詳しく解説していきます。
目次
殺人未遂は裁判員裁判の対象事件
殺人未遂で起訴された事件は、裁判員裁判の対象となるのが原則です。
殺人未遂とは、「人を殺そうとしたが結果的に死亡しなかった」場合に成立する重大な犯罪行為を指します。
例えば、相手を殺害するつもりで首に包丁を刺したが、怪我を負うだけで相手が死ななかったケースなどが該当します。
裁判員裁判の対象となるのは、以下のような事件です。
- 死刑または無期拘禁刑(懲役・禁錮)に当たる罪に係る事件
- ①を除く法定合議事件(裁判官3名による審理が必要な事件)
- 故意の犯罪行為により被害者を死亡させた罪に係る事件
殺人未遂の裁判員裁判は弁護活動が重要
殺人未遂で逮捕された場合は、早急に弁護士に相談し、弁護活動を依頼する必要があります。
弁護士は被害者との示談交渉を進めたり、取り調べでの対応についてアドバイスしたりすることが可能です。
取り調べでの不利な供述を防ぎ、被害者への謝罪や示談交渉を適切に進めることで、被害届の取り下げや不起訴処分、減刑や執行猶予の可能性を高めることができます。
また、一般市民が「裁判員」として審理に参加するため、わかりやすい主張と立証を行うことが大切です。
裁判員裁判における弁護活動について、さらに詳しく知りたい方は、以下のページをご覧ください。
裁判員裁判における弁護士の重要性取り調べや裁判での対応についてアドバイスできる
弁護士は、捜査機関からの取り調べや裁判での対応について、具体的かつ適切にアドバイスできます。
殺人未遂事件では、殺意の有無や動機、犯行に至った経緯などが厳しく問われるため、捜査機関に合わせて供述すると、不利な証拠として扱われる危険があります。
凶器の種類や攻撃した回数、場所、計画性なども量刑の判断材料となるため、慎重に供述しなければなりません。
弁護士であれば、取り調べや尋問での対応方法を事前に伝えることが可能です。
不利益を避けるためにも、自己判断による供述は行わず、弁護士のアドバイスを受けて対応するようにしましょう。
弁護士は、供述の一貫性を保ち、裁判で不利にならないようにサポートしてくれます。
被害者への謝罪や示談交渉を行う
被害者がいる刑事事件では、被害者との示談成立が量刑に大きな影響を与えます。
裁判が始まっていても、被害者との示談が成立すれば、裁判員に反省の意思が伝わるでしょう。
また、被害者が被告人に対して「嘆願書(寛大な処分を求める書面)」を作成してくれた場合は、より減刑や執行猶予となる可能性が高まります。
ただし、示談交渉は被害者の感情を逆なでする可能性もあるため、慎重に対応しなければなりません。適切な距離感を保ち、法と証拠に基づいた主張が求められます。
弁護士であれば、被害者の心情に配慮しながら示談交渉を適切かつ円滑に進めることが可能です。
裁判員にわかりやすい主張・立証活動を行う
裁判員裁判では、法律の専門家ではない一般市民が審理に関わるため、通常の刑事裁判とは異なる方法で主張・立証する必要があります。
たとえば、難しい法律用語を多用せず、わかりやすい言葉で説明する力が求められます。裁判員に誤解を与えないように証拠や供述をあらかじめ整理し、反省の意を示すことも大切です。
裁判員裁判では、裁判官と裁判員が話し合って判決の内容を決めます。
裁判員の意見は、裁判官と同じ重さで扱われるため、裁判員にわかりやすい主張・立証ができれば、量刑判断によい影響を与えられるでしょう。
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裁判員裁判で殺人未遂罪が成立するとどうなる?
殺人未遂罪が成立すると、たとえ相手が死亡しなくても、殺人罪と同様に「死刑または無期もしくは5年以上の拘禁刑」に処される可能性があります(刑法第203条)。
ただし、殺意の有無によっては殺人未遂罪が成立しないケースもあります。
例えば、「殺すつもりはなく、殴った結果怪我を負わせてしまった」場合は、殺人未遂罪ではなく、傷害罪が成立するのが基本です。
殺意の有無については、被告人の供述や凶器の種類、犯行態様などから判断されます。
弁護人の主張・立証次第では、殺人未遂罪が不成立となる可能性もあるため、早急に弁護士に相談し、弁護活動に着手してもらうことが大切です。
特に裁判員裁判では、一般市民が量刑の判断に関わるため、より細やかな弁護活動ができる弁護士に相談する必要があるでしょう。
殺人未遂の裁判員裁判の流れ
殺人未遂事件にかかわらず、裁判員裁判は、主に以下のような流れで手続きが進みます。
- ① 裁判員の選任
裁判員候補者が抽選で選ばれ、質問票や面接によって裁判員が決定される。 - ② 公判前整理手続
裁判官・検察官・弁護人が証拠や争点を整理する。 - ③ 公判開始
冒頭手続や証拠調べが行われる。 - ④ 検察官の論告・求刑、弁護人の最終弁論
検察官が意見を述べたうえで、相当と思われる刑を適用するように求める(論告・求刑)。
論告後に弁護人は、最後の意見を述べる(最終弁論)。 - ⑤ 評議
裁判官と裁判員が話し合い、判決の内容を決定する。 - ⑥ 判決宣告
裁判長から被告人に判決が言い渡される。
より詳しい流れについては、以下のページをご覧ください。
裁判員裁判の流れとは?殺人未遂の裁判員裁判に関する判例
令和4年(わ)15号 京都地方裁判所 令和4年9月15日判決
<事案の概要>
被告人は、被害者である妻の首を絞めて殺害しようとしましたが、傷害を負わせるにとどまりました。
<裁判所の判断>
裁判所は、以下の事情を踏まえ、被告人に対して「懲役2年6ヶ月」の判決を言い渡しました。
- 無防備な被害者の後方から突然首にタイツを巻き付けて引き倒し、意識を失うまで首を絞め続けた行為は、生命に対する危険性の高いものである
- 被害者が意識を回復した後も両手で首を絞める追撃に及んでいる犯行態様は、執拗で悪質である
- 被害者は、約5日間の安静加療を要する傷害結果だったが、被害者の生命に及ぼした危険性を考えると、結果を軽視できない
- 2分半程度首を絞め続けた点や追撃に及んでいる点から、殺意があったと認められる
- 被害者が被告人の親友と不貞関係にあり、離婚の意思を告げられた腹いせによる犯行は、正当化できない
なお、判決の理由には、「被告人が事実関係を認めて反省の意思を示している」「被告人の監督を妹が約束している」などの事情が考慮されています。
殺人未遂の裁判員裁判における弁護活動や示談交渉は、弁護士法人ALGにご相談ください
殺人未遂事件は、裁判員裁判の対象となる重大犯罪であり、殺意の有無について激しく争われる可能性があります。
対応を誤れば、今後の人生に大きな影響を及ぼしかねません。
刑事手続きでは、取り調べや裁判での供述、被害者との示談交渉、裁判員への説明など、専門的な判断が求められる場面が数多くあります。
各場面で適切な対応を行うことが、不利益を最小限に留めるための重要なポイントです。
弁護士法人ALGは、刑事事件に精通した弁護士が早期対応から判決確定まで徹底的にサポートします。
裁判員裁判で無罪や減刑、執行猶予を目指したい方は、まずはお気軽にご相談ください。
