接見禁止を解除したい
家族が逮捕されてしまった場合、面会できるかについて、逮捕段階と勾留後の段階に分けて考える必要があります。
逮捕段階では、弁護士でなければ接見できませんと説明がされることが多いと思われます。
確かに、種々の事情から逮捕段階での面会が実現できない場合も多いとは思いますが、実際には、弁護士でなくとも、逮捕段階での面会が可能な場合はあります。
逮捕後の勾留段階では、接見禁止とならない限りは、面会は問題なく可能です。
以下、接見禁止となってしまったら、どうすればよいかについて解説します。
目次
接見禁止とは?
逮捕された後、検察官が勾留請求して、裁判官が勾留を決定すると検察官が勾留請求をした日から10日間、留置施設に身柄拘束されます。
接見禁止とは、勾留が決定した際に、身柄拘束されるだけにとどまらず、弁護人以外との面会及び文書の授受も禁止されることを言います。
接見禁止は、検察官が勾留請求する際に、併せて接見禁止も請求し、裁判官が勾留すべきかどうか、勾留するとしても接見禁止にもすべきかどうか判断します。
接見禁止となるのはなぜか
勾留されて身柄拘束されていれば、被疑者による直接の証拠隠滅は防止できるはずです。
身柄拘束されている被疑者でも証拠隠滅を図ることができるとすれば、面会の時のやりとりや、手紙を出すなどで外部とのやりとりを通じてです。
例えば、面会の際に、物的な証拠隠滅を頼んだり、被疑者に有利なるような証言を頼んだりするといったことが考えられます。
このように、被疑者の身柄拘束をしていてもなお、証拠隠滅のおそれがある事件では、接見禁止となることがあります。
接見禁止となることが多いのは、共犯者を含む事件関係者が多数存在する事件、例えば、高齢者を対象とした特殊詐欺のような欺組織的な犯罪です。
接見禁止の期間
接見禁止となる場合、接見禁止は、起訴されるまでという形で期間が限定されているのが通常です。
起訴された後も、接見禁止が必要であると検察官が考えるならば、検察官は、起訴とともに、起訴後も接見禁止とするように裁判官に請求します。
接見禁止で制限されること
弁護士以外との面会禁止
裁判官が勾留を決定すると同時に、接見禁止にもなると、弁護士以外との面会及び文書のやりとりが禁止されます。
なお、接見禁止となっても、金銭、衣類は差入可能であり、また、本は差入可能なことが多いです。
手紙のやり取りの禁止
接見禁止となると、文書の授受が禁止されるため、弁護人以外の者に手紙を出すこともできません。
何か伝えたいことがある場合、内容によっては、弁護士を通じてやりとりができる場合があります。
生活必需品以外の差し入れ禁止
接見禁止となると、文書の授受が禁止されます。ただし、接見禁止でも金銭や衣類の差入れは可能です。
また、接見禁止となっても、公刊されており、かつ、書き込みのない新聞、書籍等は、文書の授受の禁止の対象から外されるという運用がなされていることが多く、実際、書籍はよく差入されています。
接見禁止でも弁護士は接見可能
弁護士は、逮捕直後から被疑者と接見可能です。
弁護士以外は、逮捕段階では原則面会できないと言えますし、勾留後は面会できますが、弁護士による接見と違って、種々の制限があります。
時間制限、回数制限なく面会できる
弁護士は、留置されている被疑者と時間制限、回数制限なく、接見できます。
一般方の面会は、平日の日中の時間帯のみで、面会時間も20分程度なので、話せる内容も限られてくると思われます。
警察官の立ち合いはない
弁護士以外の一般面会であれば、面会の際、留置係の職員の立ち合いがあります。留置係の職員から、面会の際、事件のことは話さないように指示されることもあるようです。
それに対して、弁護士の接見においては、留置係の職員の立ち会いはありません。
接見禁止を解除する方法
準抗告・抗告
準抗告とは、第1回公判期日前に裁判官がした裁判や捜査機関の処分に対する不服申立のことを言います。
準抗告の対象としてよく申立てられるのは、裁判官が勾留決定をしたり、接見禁止決定をしたり、第1回公判期日前に保釈を却下したことに対する準抗告です。
抗告は、裁判所がした裁判に対する不服申立のことです。第1回公判期日後に保釈が却下された場合、準抗告ではなく、抗告によって不服申立をすることになります。
接見禁止処分の一部解除申し立て
接見禁止となると、一般的に、弁護人以外とは面会は一律で禁止されます。
しかし、被疑事実とは無関係で、面会を認めても証拠隠滅につながるおそれが低く、また、親族等、面会を認める必要性が高い場合、特定の者とのみ面会したい旨、裁判所に申請した場合、裁判官が面会を許可することがあります。
接見禁止となっていても、例えば、両親、妻といった親族であれば、裁判官が面会を許可することが多いといえます。
勾留理由開示請求
勾留理由開示は、公開の法廷で、勾留されている理由について裁判官に説明を求める手続きです。勾留されている理由について、具体的な質問事項を記載した求釈明書を提出することも多いです。
裁判官による勾留理由の説明、求釈明書に対する回答後、被疑者及び弁護人は、意見を述べることができます。勾留理由開示において述べた意見は、裁判所の書記官によってに記録されます。
ですので、違法不当な取り調べを受けているなどと被疑者が意見陳述で述べた内容は、後々に有力な証拠となりえます。
接見禁止になっても弁護士なら被疑者との面会や接見禁止解除の働きかけができます。
勾留されて身柄拘束されるだけでも、社会生活上大きな不利益を受け、精神的、肉体的にも苦痛を受けます。
接見禁止にまでなると、両親、妻、恋人、友人らと留置場内での面会すらできません。接見禁止となった場合でも弁護士ならば、面会は可能ですので、外部との連絡の橋渡しになることが可能です。
また、接見禁止について、裁判所に不服申立をしたり、接見禁止となっていること自体は受け入れるとしても、両親等、特定の者とは面会を認めるよう、裁判所に申請することもできます。
このような不服申立や申請を的確におこなうために、専門家である弁護士に依頼すること必須となるでしょう。