勾留とは?要件や期間、流れなどを弁護士がわかりやすく解説
勾留(こうりゅう)とは、簡単にいうと、警察に逮捕された後に身柄を拘束される手続きのことです。
勾留されると最大で20日間身柄を拘束され、仕事や家庭、社会生活に大きな影響を及ぼす可能性があります。
そのため、勾留回避や早期釈放を目指し、できるだけ早く弁護士へ相談することが重要です。
本記事では、勾留の要件や期間、逮捕から勾留までの流れなどをわかりやすく解説します。
勾留とは?
「勾留」とは、逮捕された人の身柄を一定期間、刑事施設で拘束する手続きです。
例えば、逃亡や証拠隠滅のおそれがある場合や、被害者に危害を加える可能性があると判断された場合に行われます。
勾留が認められると、被疑者は留置場などに収容されるため、行動が大きく制限される点に注意が必要です。
勾留には、起訴前の被疑者勾留と起訴後の被告人勾留の2種類があります。
拘束は長期間に及ぶこともあるため、仕事や家庭、社会生活に大きな影響を与える可能性があるでしょう。
勾留と拘留の違い
勾留と拘留はどちらも「こうりゅう」と読みますが、勾留は「手続き上の身柄拘束」で、拘留は「刑罰としての身柄拘束」という違いがあります。
勾留
逮捕後、逃亡や証拠隠滅のおそれがある場合に、裁判所の許可を得て被疑者・被告人を一定期間、刑事施設に身柄拘束する手続き。
拘留
有罪判決が確定した後、裁判所が刑法に基づき、被告人を1日以上30日未満の期間で刑事施設に身柄拘束する刑罰(自由刑)の一種。
勾留と逮捕の違い
勾留と逮捕の違いは、身柄を拘束する順番と拘束できる期間です。
まず警察などが被疑者を逮捕し、その後も身柄拘束が必要と判断された場合は、検察官の請求に基づいて裁判官が勾留を決定します。
逮捕
被疑者に対して最初に行われる身柄拘束です。拘束期間は最大72時間と比較的短く、その間に検察官が勾留請求するかを判断します。
勾留
逮捕後に検察官が勾留請求を行い、裁判官が認めた場合に行われる身柄拘束です。拘束期間は起訴前で最大20日間、起訴後で最大2ヶ月間が原則です(延長される場合もあります)。
逮捕について詳しく知りたい方は、以下のページをご覧ください。
逮捕にはどんな種類がある?勾留の要件
勾留の要件は、被疑者または被告人に「罪を犯したと疑うに足りる相当な理由」があり、以下のいずれかに該当することです。
- 住居不定である
- 証拠隠滅のおそれがある
- 逃亡のおそれがある
身柄拘束は人の自由を奪う重大な行為なので、場合によっては人権侵害につながるおそれもあります。
そのため、勾留は法律で定められた要件を満たした場合に限り、認められるのが基本です。
住居不定である
住居不定の被疑者は、釈放すると所在不明になる可能性が高く、捜査や刑罰権の行使に支障をきたすおそれがあるため、勾留が認められやすいといえます。
逮捕前、次に挙げるような居住先がはっきりしない状態だった場合は、住居不定と認定されるでしょう。
例
- ホームレス状態であった
- ネットカフェ暮らしをしていた
- 住居を転々としていた
証拠隠滅のおそれがある
証拠隠滅のおそれがある場合、事件の真相解明の妨げとなる危険があることから、勾留される可能性が高いといえます。
証拠隠滅の対象は物的証拠にとどまらず、人的証拠も含まれます。
例
- 盗んだものを捨てる
- 盗撮した画像をスマホから消去する
- 事件に関して共犯者や被害者と口裏合わせをする
- 事件の目撃者に対し、自身に有利な証言をするよう働きかける
逃亡のおそれがある
被疑者や被告人に逃亡のおそれがある場合、所在不明となり捜査や手続きに支障をきたす可能性があるため、勾留が認められやすいといえます。
逃亡のおそれがあるかどうかは、次のようなさまざまな事情を総合的に考慮して判断されます。
例
- 被疑者や被告人の状況
- 犯した罪の重さ
- 共犯者の有無
逮捕から勾留までの流れ
逮捕から勾留までは、①送致→②勾留請求→③勾留質問→④勾留の流れで進みます。
-
① 逮捕後48時間以内に送致
⇩ ※送致後、24時間以内 -
② 勾留請求
⇩ ※同日中が一般的 -
③ 勾留質問
⇩ ※勾留質問後すぐ~当日 - ④ 勾留
この流れに沿って、各手続きを詳しくみていきましょう。
①逮捕後48時間以内に送致
被疑者は、原則として逮捕後48時間以内に送致されます。
送致とは、警察が被疑者の身柄と事件の資料を検察に引き継ぐことです。
逮捕後48時間については、被疑者は留置場に収容され、警察の取り調べを受けるのが通常です。
②勾留請求
検察官は、送致後24時間以内に「勾留請求」を行うかどうか判断します。
勾留請求とは
勾留請求とは、検察官が裁判官に対して、被疑者の勾留(原則10日間の身柄拘束)を求める手続きです。
送致後の検察官の取り調べにおいて、引き続き被疑者の身柄拘束が必要と判断された場合、検察官から裁判官に対して勾留請求が行われます。
なお、検察官が勾留請求しなければ、被疑者は釈放されます。
そのため、長期間の身柄拘束を避けるためには、検察官に対して「勾留請求は不要である」と主張することが重要です。
③勾留質問
検察官が勾留請求を行った場合、裁判官は勾留の可否を判断するため、被疑者に対して「勾留質問」を行います。
勾留質問は、裁判官が被疑者本人から事情を聞き取る手続きであり、内容によっては勾留請求が却下されることもあります。
勾留請求が却下されると、基本的に被疑者は釈放されますが、その後は在宅捜査が継続されるケースも多いです。
④勾留
裁判官が勾留請求を認めた場合、原則10日間の勾留が実施されます。
捜査状況次第では10日間の延長が認められるため、最大で20日間、身柄拘束が続く可能性があります。なお、逮捕から勾留決定までの期間は、最長で約72時間です。
起訴前の勾留期間はどのくらい?
起訴前の勾留期間は、基本的に「勾留請求した日から10日間」です。
捜査状況によっては10日間延長され、最大20日間となる可能性もありますが、10日以内に釈放されるケースもみられます。
起訴前の勾留は、警察に逮捕されてから起訴されるまでの身柄拘束なので、基本的に短期間となります。
例えば、比較的軽微な犯罪では、被害者との示談成立などにより、勾留されても10日以内に釈放される可能性があるでしょう。
勾留期間が延長される理由とは?
勾留期間を延長するには、刑事訴訟法第208条第2項が定める「やむを得ない事由」が必要です。
具体的には、次のような「捜査を続けるためにどうしても時間が必要な場合」に認められます。
- 共犯者や関係者がいて捜査範囲が広い
- 関係者が多い・犯行場所が複数にわたるなど、証拠収集に時間を要する
- 共犯者の身柄確保が遅れている
- 被疑者と関係者の供述に食い違いがある
- 被疑者が罪を認めていない・黙秘しているなど、事実関係の解明に時間を要する
- 余罪がある
- 証拠の分析に時間がかかる
こうした事情がある場合、検察官は、勾留期間の満了前に裁判官へ「勾留延長」を請求するのが一般的です。
通常、勾留延長の可否は満了日当日かその直前に決まり、裁判官が認めると最大10日間延長されます。
重大事件や組織的な犯罪では、関係者への取り調べや証拠収集に時間がかかるため、勾留延長が認められやすい傾向にあります。
勾留中に面会や差し入れをすることはできる?
勾留中でも、基本的に面会(接見)や差し入れは可能です。
面会(接見)
家族や親族だけでなく、友人や知人も面会(接見)できるのが基本です。
ただし、時間・人数・回数などには制限があり、原則として警察官が立ち会います。
差し入れ
現金・衣類・手紙などを差し入れできる場合があります。
ただし、施設ごとにルールや制限があり、食べ物や危険物などは原則差し入れできません。
一方、接見禁止の処分が出されている場合は、弁護士以外の人との面会(接見)や連絡が禁止されます。
差し入れは一部可能なことも多いですが、手紙や写真などは制限されるため注意しましょう。
拘置所で面会する際のルールを詳しく知りたい方は、以下の記事をご覧ください。
勾留期間が終わるとどうなる?
勾留期間満了日までに、検察官が起訴(正式起訴・略式起訴)・不起訴・処分保留のいずれかを決定します。
これにより、勾留期間が終わった後も身柄拘束が続くのか、または釈放されるのかが決まります。
- 正式起訴 ➡ 身柄拘束が続く
起訴後、公開の法廷で刑事裁判が行われます。
起訴後は原則2ヶ月間の被告人勾留が続きますが、その後も1ヶ月ごとに更新される場合があるため、保釈が認められない限り、裁判終了まで身柄拘束が続きます。 - 略式起訴 ➡ 釈放される
起訴後、書類審査のみで刑罰(罰金・科料)が決まる手続きです。
略式命令の手続きに移行後、身柄は釈放されます。 - 不起訴 ➡ 釈放される
刑事裁判にかけられないため、前科はつかず、身柄も釈放されます。 - 処分保留 ➡ 釈放される
勾留期間中に起訴・不起訴の判断がつかない場合、処分保留の決定後に一旦釈放されます。ただし、起訴の可能性は残るため注意が必要です。
起訴の流れを詳しく知りたい方は、以下のページをご覧ください。
逮捕後72時間以内の弁護活動が運命を左右します
刑事弁護に強い弁護士が迅速に対応いたします。
逮捕直後から勾留決定までは弁護士のみが面会・接見できます。ご家族でも面会できません。
勾留の回避・早期釈放に向けて弁護士に相談するメリット
勾留の回避や早期釈放に向けて、弁護士に相談するメリットは次のとおりです。
- 勾留直後から接見できる
- 被害者がいる場合は示談交渉を任せられる
- 不起訴処分獲得の可能性が高まる
- 準抗告・勾留取消請求や保釈請求を行うことができる
勾留直後から接見できる
弁護士は勾留直後から本人と接見(面会)し、適切な対応方針を検討することができます。
刑事事件の手続きは限られた時間の中で進められるため、勾留直後の対応が結果を左右することも少なくありません。
不利な状況を防ぐため、勾留直後の接見で、事件の内容や取り調べの状況を弁護士と共有することが大切です。
早い段階で弁護士から今後の対応や供述について助言を受けることで、勾留の長期化や起訴のリスクを抑えられる可能性があります。
接見について詳しく知りたい方は、以下のページをご覧ください。
被害者がいる場合は示談交渉を任せられる
被害者がいる事件では、弁護士に示談交渉を任せられることもメリットの一つです。
被害者の中には、加害者本人とやり取りすることに不安や苦痛を感じる方も少なくありません。弁護士であれば、被害者の心情に配慮しながら、冷静かつ適切に示談交渉を進められます。
示談が成立すれば、「被害者から一定の宥恕(許し)が示された」と評価され、不起訴処分や量刑の軽減につながる可能性が高まります。
さらに、法的知識や交渉経験が豊富な弁護士に対応を任せることで、逮捕された本人やご家族の負担を軽減でき、安心につながるでしょう。
刑事事件の示談交渉について詳しく知りたい方は、以下のページをご覧ください。
不起訴処分獲得の可能性が高まる
弁護士が対応することで、不起訴処分を獲得できる可能性が高まります。
不起訴となれば、勾留の長期化を回避して早期釈放につながるだけでなく、前科がつくことも回避できます。
被害者との迅速な示談交渉だけでなく、検察官に対して反省の意思や再発防止策をまとめた意見書を提出するなど、法的な観点から有利な事情を主張することも可能です。
弁護士の幅広いサポートにより、不起訴処分獲得や早期の身柄解放につながる可能性が高まるでしょう。
「不起訴にしたい」「前科をつけたくない」とお考えの方は、以下のページもご覧ください。
準抗告・勾留取消請求や保釈請求を行うことができる
弁護士は、「準抗告」や「勾留取消請求」、「保釈請求」など、身柄解放に向けた手続きを行うことができます。
準抗告
準抗告は、勾留の必要性がない場合に、勾留決定の判断が不当であるとして、裁判所に勾留の取り消しや変更を求める「不服申立て」の手続きです。準抗告が認められると、被疑者は原則釈放されます。
勾留取消請求
勾留取消請求は、勾留決定後に示談が成立したなど、事情が変わって勾留の理由や必要性がなくなった場合に、身柄の解放を求める手続きです。
請求が認められると勾留が取り消され、釈放されます。
保釈請求
保釈請求は、起訴後に保釈金を納付することで、一時的な身柄の解放を目指す手続きです。請求が認められると、裁判が終わるまでの間、身柄を拘束されずに生活できます。
保釈が認められる条件を詳しく知りたい方は、以下のページをご覧ください。
勾留に関するよくある質問
未決勾留とはなんですか?
「未決勾留」とは、逮捕・勾留された人が、刑事裁判で判決が出るまでの間、刑事施設に身柄拘束されている状態のことです。
未決勾留の日数は、実際に身柄を拘束されていた期間を基準に数えられ、一般的には勾留開始日から判決宣告日の前日までが対象です。
そのため、起訴前の「被疑者勾留」と起訴後の「被告人勾留」が含まれます。
なお、刑事裁判で有罪判決を受けた場合、未決勾留日数の全部または一部が刑期(刑務所で過ごす期間)に含まれる場合があります。
勾留中の生活は何をして過ごすのでしょうか?
勾留中は、起床や食事、入浴、就寝時間などが細かく定められた環境で生活します。
自由時間や外部との接触は制限され、読書や面会(接見)、取り調べなども施設のルールに従わなければなりません。
携帯電話やインターネットの使用、外部との自由な連絡も原則禁止されているため、勾留中は不安や孤独を感じやすいでしょう。
さらに、裁判所から「接見禁止処分」が出された場合は、弁護人以外との接見が禁じられ、解除されるまで外部との接触が大きく制限される状態が続きます。
勾留される場所はどこになりますか?
勾留される場所は、起訴前と起訴後で異なるのが一般的です。
起訴前は主に警察署内の「留置場」、起訴後は法務省が管轄する「拘置所」に収容されます。
留置場は各警察署に多く設置されており、身柄の一時的な拘束に使われます。一方、拘置所は全国に限られた数しかなく、起訴された被告人や死刑囚などが収容される施設です。
ただし、地域によっては拘置所が遠方にあるため、起訴後も引き続き留置場に収容されるケースもあります。反対に都市部では、勾留が決定するとすぐに拘置所へ移送されることが一般的です。
また、拘置所の収容人数が限界に達している場合は、例外的に留置場が代用されることもあります。
留置場について詳しく知りたい方や、拘置所との違いを知りたい方は、以下の記事をご覧ください。
勾留中にスマホを使うことはできますか?
勾留中は、スマホを使うことができません。
スマホや携帯電話などの通信機器は、電話・メール・SNSなど外部との連絡手段となるため、証拠隠滅や関係者との口裏合わせを防ぐ観点から、所持・使用が厳しく制限されています。
そのため、留置場や拘置所にスマホを持ち込むことはできません。
所持しているスマホは、施設で保管されるのが通常です。
勾留中は外部との連絡も自由にできず、基本的には弁護士との接見か、許可された範囲での手紙のやり取りや面会に限られます。
勾留の取り消しはできますか?
法律上、勾留の取り消しは可能です。
勾留決定後に、勾留の理由や必要性がなくなった場合、裁判所に「勾留取消請求」を行うことができます。
勾留取消が認められる可能性がある事情
- 身元引受人が確保された
- 重要な証拠がすでに保全されている
- 証拠隠滅のおそれがなくなった
- 被害者との示談が成立した
など
裁判所が「勾留を継続する必要性がない」と判断した場合は、勾留が取り消されて釈放されます。
ただし、実務上は簡単に認められるものではなく、刑事事件に精通した弁護士による適切な主張や証拠の提出が重要です。
なお、勾留決定そのものに不服がある場合は、勾留決定に対して準抗告を申し立て、取り消しを求める方法があります。
勾留と留置の違いはなんですか?
勾留と留置は、どちらも逮捕した人物の身柄を拘束する措置ですが、身柄拘束の期間と決定を下す者に違いがあります。
- 勾留
勾留は、検察官の請求と裁判官の決定によって行われる長期間の身柄拘束を指します。 - 留置
留置は、逮捕された被疑者に対して警察が行う一時的な身柄拘束を指します。
留置は警察が単独で行う一時的な身柄拘束なので、裁判官の承認を得る必要はありません。
また、身柄は原則として警察署内に収容されます。
留置は、被疑者が逮捕後に警察の下にいる最大48時間まで可能とされているため、検察に送致されるまで(逮捕後48時間以内)に終了するのが基本です。
勾留された・勾留されそうな場合は早急に弁護士法人ALGにご相談ください
逮捕や勾留によって身柄が拘束されると、仕事や学校、家庭生活などに大きな影響が及ぶことがあります。
そのため、できる限り勾留を避けること、そして一日でも早く釈放を目指すことが重要です。
弁護士法人ALGでは、刑事事件に関する豊富な経験を活かし、身柄解放に向けた弁護活動や示談交渉、不起訴獲得に向けたサポートを迅速に行っています。
ご本人はもちろん、ご家族の不安や疑問にも丁寧に対応し、今後の見通しや必要な手続きについてわかりやすく説明することが可能です。
刑事事件では、逮捕・勾留後の初期対応が結果を大きく左右します。
勾留されている場合や勾留のおそれがある場合は、できるだけ早く弁護士へご相談ください。早期の相談が、より良い解決につながります。
