勾留とは?勾留の流れや期間、対応策について


目次
勾留とは
勾留は、逮捕に引き続いて行われる身柄拘束のことをいいます。
勾留されると原則として10日間留置されますが、実務上、10日間では終わらず、勾留延長という手続きがとられ、勾留期間は20日間になることも多々あります。
そして、勾留期間満了日に合わせて、検察官が起訴、不起訴の判断をします。
勾留される要件
犯罪の嫌疑があることを前提に、住居不定の場合、罪証隠滅のおそれがある場合、逃亡のおそれがある場合のうち、いずれかに該当すれば勾留される可能性があります。
実務上、罪証隠滅のおそれ及び逃亡のおそれの2つが認定されて勾留されることが多いです。
罪を犯したと疑うに足りる相当な理由がある
「罪を犯したと疑うに足りる相当な理由」
勾留は、犯罪捜査のためにおこなわれるものですから、犯罪の嫌疑があるというのは、勾留をするために当然に要求されます。
捜査機関は、一定の証拠を収集して被疑者を捜査の対象としているのですから、勾留の要件の判断の際、罪を犯したと疑うに足りる相当な理由すらないと判断されることは、ほとんど無いと思われます。
住居不定である
逮捕前に、ホームレス状態であったり、ネットカフェ暮らしをしていたりすると、住居不定と認定されるでしょう。
住居不定の被疑者は、釈放した場合に所在不明となるおそれが大きく、捜査及び刑罰権の行使に支障をきたすおそれが大きいため、行使住居不定であれば、勾留されることを避けることは困難でしょう。
証拠隠滅のおそれがある
証拠隠滅は、物的な証拠隠滅、例えば、盗んだものを捨てるとか、盗撮した画像をスマホ内から消去するなどがありえます。
証拠隠滅の対象はそのような物的証拠にとどまらず、人的証拠も含まれます。
例えば、事件に関して共犯者と口裏合わせをする、事件の目撃者に自己に有利な証言をするように働きかけるなどです。
逃亡のおそれがある
逃亡のおそれは、まず、被疑者が犯したと疑われている罪の重さ、具体的には、起訴されて有罪になった場合に、実刑となる見込みがあるならば、逃亡のおそれがあると判断される可能性が高いでしょう。
実刑となることが想定されない事件の場合、被疑者の身上関係から判断されることが多いです。
勾留と拘留の違い
勾留は、逮捕に引き続いて行われる身柄拘束であったり、起訴後、裁判中の身柄拘束のことをいいます。
拘留は、刑事裁判を経て有罪判決を受けたものに科される刑罰の一種です。
拘留は懲役刑等と同様に自由刑の一種ですが、刑事施設に収容するのは1日以上30日未満と短期のものとなっています。
勾留までの流れ
被疑者が逮捕されると、48時間以内に被疑者は検察庁に送致されます。
検察官は、被疑者を勾留請求するか、釈放するかを判断します。
検察官が勾留請求した場合、裁判官が検察官の勾留請求を認めて被疑者の勾留を決定するか、被疑者を釈放するかを判断します。
勾留決定された場合の勾留期間は、検察官が勾留請求をした日から10日間となるのが原則です。
勾留請求
勾留請求は、検察官が裁判所に対して、逮捕後に送致された被疑者を10日間留置することを求める請求のことです。
検察官が勾留請求をしなければ、被疑者は釈放されますので、検察官が勾留請求しないように求めることが重要となります。
勾留質問
勾留質問は、検察官が勾留請求した被疑者について、検察官の勾留請求を認めるか、認めず被疑者を釈放するかを決定するため、裁判官が被疑者の話を聞く手続きです。
検察官が勾留請求をしても、裁判官が勾留請求を却下することもありえます。
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勾留後の処分
勾留後、捜査が10日間で終わらないと検察庁が判断した場合、裁判所に申請することにより、勾留期間が延長されることがあります。
実務上、かなり多くの事件で勾留延長がおこなわれているのが現状です。
不起訴、または、略式起訴であれば、勾留満期に釈放となりますが、公判請求(正式裁判請求)された場合は、起訴後も勾留が続きます。
釈放と保釈
釈放は、身柄拘束を解かれること全般を指します。
保釈は、起訴後に請求可能となる身柄釈放に関する手続きであり、裁判所が保釈すること相当と認めた場合、裁判所が決定する保釈金保証金を納めることにより、身柄が釈放されます。
勾留の期間
起訴前の勾留
起訴前の被疑者の勾留期間は。原則として10日です。
10日以内に釈放されることは無いかというとそうではなく、例えば、比較的軽微な事件であれば、被害者と示談すること等により、10日以内に釈放されることもありえます。
勾留期間は原則10日といいますが、実際は、勾留期間は最大20日まで延長されることがしばしばあります。
起訴後の勾留
起訴後の被告人勾留の期間は、起訴されてから2か月です(刑事訴訟法60条2項)。
もっとも、勾留の期間は1か月ごとに更新可能であり(刑事訴訟法60条2項)、実務上、裁判が継続する限りは、勾留期間も延長され続けることが通常です。
起訴後の勾留から解放されるには、起訴後から認められる保釈請求等の手続きが必要です。
勾留の延長
勾留延長の「やむを得ない事由」
刑事訴訟法208条2項によれば、勾留延長を認めるには、「やむを得ない事由」が必要です。
やむを得ない事由が認められるには、被疑者の処分の決定には引き続き捜査を継続する必要があること、10日の勾留期間では必要な捜査が終了しないこと等の事情が必要とされますが、実際のところ、検察庁が勾留延長を請求した場合、裁判所が却下することは、あまりないというのが実情です。
勾留中の面会
接見禁止処分がされていない場合、弁護士以外の一般人も被疑者、被告人と面会、差入れが可能です。
接見禁止がされている場合、一般人の面会及び文書の授受は禁止されますが、お金、衣類等の差入れは可能です。
勾留を回避するためには
逮捕されたら、48時間以内、具体的には、翌日か翌々日には検察庁に送致され、検察官が勾留請求するか否かを判断します。
検察官が勾留請求をしないように、検察官が勾留請求したとしても裁判官が勾留請求を認めないという判断をするために、被疑者に有利な証拠を集めるには、迅速に対応できる弁護士へ相談することが必要です。
勾留決定に納得がいかない場合の対応
勾留決定に対する準抗告は、勾留決定をした裁判官の判断が不当であることを主張し、勾留決定された判断の変更を求める、勾留決定を争う不服申立の手続として、よく申立てることがあります。
勾留取消請求は、勾留決定後の事情の変化を理由として、事後的に勾留を取消してもらう手続きです。
例えば、勾留決定後に被害者と示談が成立したことを理由に、勾留取消請求をすることが考えられます。
勾留された場合の弁護活動について
勾留された場合、勾留決定自体が不当といえる事案であれば、準抗告を申立て、身柄の釈放を目指します。
被害者が存在する場合、被害者と示談することで、最終的な処分が不起訴など被疑者に有利になるに留まらず、身柄の釈放につながることが多いので、被害者との示談は、きわめて重要な弁護活動です。
勾留されたまま起訴された場合、速やかに保釈請求をして、一日も早い社会復帰を目指します。
勾留を回避したい、釈放・保釈してほしい場合は、早急に弁護士へ相談を
逮捕された場合、勾留されないことが極めて重要です。
勾留されると、10日間は拘束されることを覚悟しなければならず、社会生活上の不利益は甚大なものとなります。
勾留されないように、被疑者に有利な証拠を収集して、検察官や裁判官に勾留しないように働きかけることができるのは、弁護士だけです。
また、勾留されたまま起訴されてしまった場合、勾留が続いてしまうので、速やかに保釈請求をしなければなりませんが、保釈請求を的確におこなうには、弁護士の関与は不可欠といえるでしょう。
身柄事件は、時間との勝負です。家族が逮捕されてしまった場合、早急に弁護士に相談してください。