交通事故の過失割合で揉めやすい4つのパターンとその対処法について詳しく解説

交通事故の過失割合で揉めやすい4つのパターンとその対処法について詳しく解説

交通事故に遭うと、加害者、被害者ともに過失があることがほとんどですが、過失割合は揉めることが多いです。

過失割合は被害者が受け取れる損害賠償金額に大きな影響があります。被害者の過失割合が大きくなればなるほど受け取れる損害賠償の金額が少なくなってしまうからです。

また、事故状況については双方で言い分に食い違いがあることが多く、警察も過失割合の判断には積極的に介入してくれません。
そのため過失割合は揉めることが多く、示談交渉の中で大きな争点となります。

この記事では「過失割合とは」という基本的なところから、「過失割合で揉めたらどうするか」といったところまで詳しく解説していきます。

交通事故の過失割合とは?

交通事故の事故形態は加害者側が100%悪いもらい事故だけではありません。
加害者:被害者が、「9:1」「8:2」など、被害者であっても過失が生じることがあります。

【過失割合とは】
事故の原因となった「被害者の過失(責任)」と「加害者の過失(責任)」を割合で表したものをいいます。交通事故が起きると

  • 事故状況はどのようなものだったか
  • 事故の当事者双方にどのくらいの交通違反があったか
  • どの程度不注意があったのか

などから、事故原因となった責任の大きさが判断されます。

過失割合はどうやって決まる?については以下のリンクで詳しく解説しています。ご参考ください。

過失割合で揉める理由

過失割合で揉める理由は以下の3つが考えられます。

  • ①損害賠償の金額に影響があるから
  • ②警察は過失割合に関与しないから
  • ③事故状況の食い違いがあるから

それぞれについて、以降で詳しく解説していきます。

①損害賠償の金額に影響があるから

自分に過失が全くなければ、損害賠償額をすべて相手方保険会社に請求できます。

しかし、過失が少しでもある場合は、自分の過失分を過失相殺されるため、すべてを請求することはできません

過失割合は最終的に受け取る損害賠償の金額を大きく左右するものなので、過失割合が大きくなれば過失相殺される金額も大きくなり、受け取れる金額が少なくなってしまいます。

以下の表では、被害者に過失がある場合の過失相殺の例を表しています。
本来100万円の損害賠償を受け取れるはずでしたが、被害者にも20%の過失があるため、損害賠償の金額が80万円に少なくなってしまっているのがわかります。

例.損害賠償金額100万円、加害者側80:被害者側20の場合

加害者 被害者
過失割合 80% 20%
損害賠償額 100万円
相手に請求できる金額 80万円
(100万円×80%)

②警察は過失割合に関与しないから

交通事故が起きた時には必ず警察に届ける義務があるため、過失割合は警察が決めると思っている方もいらっしゃるかもしれません。しかし、過失割合は警察が決めるものではありません。

では、過失割合は誰が決めるのでしょうか?
交通事故の過失割合は当事者または当事者の代理人が示談交渉の中で決めていくのが基本です。

被害者にも過失割合がある場合は双方の保険会社が示談交渉で話し合って決めるのが一般的です。

つまり、過失割合について双方が主張するため、大きな争点となるのです。

③事故状況の食い違いがあるから

事故状況は被害者と加害者で認識が違うことが多くあります。

交通事故の場合には、警察によって「実況見分調書」が作成されます。
実況見分調書」は、被害者と加害者に事故について話を聞き、作成されるものです。

しかし、例えば大きな事故で被害者が重傷を負い、救急車で運ばれた場合は、加害者の意見に基づき実況見分調書が作成されるため、被害者にとっては内容が違う可能性があります。

入院などで実況見分に立ち会えなかった場合は、後日警察が相手の意見をもとに作成された「実況見分調書」を持って署名・捺印を求めに訪れます。
その時に内容を読み、自分の意見をしっかりと伝えましょう。

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料金について、こちらもご確認ください。
  • ※諸経費20,000円( 税込22,000円 )がかかります。
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過失割合について揉めやすい4つのパターンと対処法

  • ①交通事故に関する証拠がない
  • ②損害賠償額が大きい
  • ③どちらが悪いか判断しにくい
  • ④駐車場で起きた事故

以下でそれぞれについて詳しく解説していきます。

①交通事故に関する証拠が無い

過失割合は事故状況により決まるため、以下のようなものが重要な状況証拠となります。

【交通事故状況を示す証拠】

  • ドライブレコーダーの記録
  • 事故現場付近の監視カメラの記録
  • 目撃者の証言
  • 事故直後に撮影した事故現場、車などの写真
  • 事故の実況見分調書
  • 交通事故証明書

当事者であっても、事故の瞬間を正確に認識しているとは言えないため、このような証拠がないと双方の言い分に食い違いが生じ、過失割合について揉めやすくなります。

証拠が無い場合の対処法

証拠がない場合は、目撃者の情報や取得可能な書類などをできる限り集めることが重要です。

自分の車にドライブレコーダーを搭載していなくても、相手の車にドライブレコーダーが付いている可能性があります。
加害者はあえて自分のドライブレコーダーの記録を提出しない可能性もあるので、被害者側から確認しましょう。

以下の証拠は集めることが可能なものです。できる限りそろえておきましょう。

証拠
実況見分調書 警察が事故現場で事故の当事者立ち会いのもと、事故現場の状況や発生状況を調査し、その内容をまとめた刑事記録
供述調書 警察が事故当事者から事故状況について聞き取った内容を記録したもの
診断書 怪我の大きさや負傷した箇所から事故状況をある程度推測できる
車両修理見積書 車両の損傷具合や損傷個所から事故状況をある程度推測できる

②損害賠償額が大きい

例えば、過失割合が「1(被害者):9(加害者)」の場合、損害額が100万円だったとすると、10万円減額されるだけとなりますが、損害額が1億円だった場合は1000万円も減額されてしまいます。
同じ過失割合であったとしても、損害賠償額が大きければその分減額は大きくなります。

とくに、損害額が大きい交通事故では、過失割合によって保険会社の支払い額も大きく変わってくるため、相手側保険会社は被害者の過失割合が少しでも大きくなるように多少強引に主張してくる可能性もあります。

では、損害賠償額が大きい事故で、被害者自身にも過失がついている場合はどうしたらいいのでしょうか。
以下で、対処法などについて詳しく解説していきます。

損害賠償額が大きい場合の対処法

示談交渉では、一般的に相手側保険会社から損害賠償額や過失割合について提示されます。

提示されたらそれを読み、過失割合をどのように出したのか、過去の判例をどのように参考にしたのか、書面で回答してもらってください
相手方の提示の根拠がわかれば、その提示が正しいのか判断できますし、おかしな点があればそれを指摘することができるからです。

しかし、被害者の方にとって、過失割合の根拠が正しいか判断することは簡単ではないと思います。
相手側保険会社から書面にて回答をもらったら、それが正しいのか、弁護士に確認してもらいましょう。

交通事故で弁護士を相談するのは大袈裟かな、と思うかもしれませんが、交通事故で弁護士に相談・依頼している方はたくさんいらっしゃるので安心してください。
弁護士事務所によっては、無料相談を行っているところがありますし、弁護士費用特約があれば相談料は10万円まで無料となります。

弁護士に書面をみせることで、相手側の不適切な主張がわかり、過失割合を修正できる可能性が高まります。

③どちらが悪いか判断がしにくい

当事者双方に過失がある場合は、どちらかの過失が大きいのか判断が難しい場合があります。
例を2つ挙げてみます。

  • ①同一方向に走行していた車同士が同時に車線変更しようとして衝突した事故
  • ②信号機もなく道幅も同じ交差点での出合い頭の事故

双方が悪い場合、5:5で話がまとまれば良いのですが、お金の問題や、感情的な対立により、話し合いがまとまらないことは少なくありません。

お互いに、少しでも自分の過失を減らしたいと考え、譲らない場合には話し合いが平行線となり、過失割合についていつまでも話がまとまらなくなってしまいます。

判断がしにくい場合の対処法

では、判断がしにくい事故の場合はどうしたらよいのでしょうか。

まずは、ドライブレコーダーや目撃者の証言、実況見分調書など、事故状況のわかる証拠を集めましょう。

それでもお互いに話が平行線の場合は、弁護士に相談することをおすすめします。

④駐車場内で起きた事故

駐車場内で起きた事故は過失割合が揉めやすいとされています。

理由として、「別冊判例タイムズ」に記載されている事故類型は道路上での事故を想定しており、駐車場での事故に用いるデータが不足しているからです。

駐車場での事故の対処法はどうしたらいいのでしょうか。以下で解説していきます。

駐車場内の事故の対処法

駐車場内の事故の対処法として、「別冊判例タイムズ」に該当しない事故である場合は、まず、交通事故に詳しい弁護士に相談してみましょう。

「別冊判例タイムズ」に該当しない事故である場合は、事故様態が類似している事故の過失割合や過去の判例などを参考に、過失割合を導き出すことになります。

しかし、どのようなものが類似事故といえるのか、考慮すべき過失の修正要素は何か、参考になる判例は何かといった法的知識と判断が必要となります。

弁護士に相談することで、法的な観点から、正しい過失割合を相手側に主張することができます。

駐車場で起きた事故を8対2から0対5に修正できた解決事例

相手方保険会社から過失割合2(相手方):8(依頼者)とされていたところ、最終的に5(相手方):0(依頼者)とした事案です。

依頼者が駐車場から出ようと出口付近で停車していたところ、駐車場内の駐車スペースに停車しようとした相手方が接触した事故で、双方の車両が損傷し、物損に関する交渉が進んでいました。

相手側は過失割合2(相手方):8(依頼者)と提示してきたため、過失割合の交渉についてご依頼を受けました。

当方弁護士は、事故状況に関する追加の証拠を集めたうえで改めて過失割合について相手方保険会社と交渉を重ね、最終的に5(相手方):0(依頼者)という過失割合で賠償交渉することについて合意に至りました。

交通事故の過失割合で揉めた場合の代表的な対処法

これまで過失割合が揉めやすい4パターンの対処法をみてきましたが、それでも解決できない場合、早く示談を終わらせたいと思っても、過失割合で揉めていたままで前に進みません。

そこで、その他の代表的な対処法について、以降で詳しく解説していきます。

相手の保険会社への苦情を申し入れる

相手が任意保険に加入している場合、示談交渉の相手は相手方保険会社となります。

保険会社は示談交渉のプロであり、自社の損失を少なくしたいため、被害者に不利な過失割合を強引に押し付けてくることもあります。

そんなときは、「そんぽADRセンター」に相談しましょう。
「そんぽADRセンター」とは、保険会社と被害者との間の、交通事故や損害保険に関する相談を受け付けている紛争解決機関です。

損害保険会社とのトラブルについて無料で対応していて、和解案などの提示などを行ってもらえます。

ただし、和解案には保険会社側を強制的に従わせる力はありません。

ADRを利用する

【ADRとは】

裁判外で紛争解決手続きを行ってくれる機関。
法律相談のほか、示談や和解あっせんを行ってくれるところです。代表的なものに交通事故紛争処理センターがあります。

ADRへ紛争解決を申し立てると、中立公平な立場で、交通事故や損害賠償の専門家に、和解のあっせんや、賠償額の裁定を行ってもらう事ができます

しかし、裁判と同様にいずれのADRセンターも過去の類似事件を参考に、中立・公平に過失割合に関する和解あっせん案、裁決を示すため、必ずしも自分が納得できる結果になる保証はありません。

なお、仲裁手続きとはいえ、保険会社はADRセンターの決定に従わないといけない仕組みになっています。

弁護士に相談・依頼する

過失割合で揉めている場合は、弁護士に相談すると良いでしょう。

弁護士に相談することで、相手方の主張が正しいのか、過失割合についてどの解決方法があっているのかアドバイスを受けることができます

また、弁護士に依頼することで、示談交渉を任せることができます。
弁護士も示談交渉のプロであることから、過失割合について法的知識を加えながら主張・立証していきます。

弁護士に依頼することで、費用面について心配な方は、加入している保険に「弁護士費用特約」が付いているか確認しましょう。
弁護士費用特約はさまざまな保険に付帯していたり、家族に加入者がいたりする場合に使えます。

また、弁護士費用特約がなくても、弁護士費用より損害賠償額が高額になることもあります。まずは、弁護士に相談してみましょう。

弁護士費用特約や弁護士費用については以下の各リンクで詳しく解説しています。ご参考ください。

妥協案として片賠償を受け入れる

双方でどうしても、過失割合について合意ができない場合は「片側賠償」とすることも考えられます。

【片側賠償とは】
双方に過失があるものの、一方だけが損害賠償責任を負うという示談方法です。
例えば過失割合が1(被害者):9(加害者)と提示されていても、被害者が0(被害者):10(加害者)と譲らない場合に、双方協議のうえで0(被害者):9(加害者)とすることです。

【片側賠償のメリット・デメリット】

〈メリット〉

  • 被害者が加害者に賠償金を支払う必要がない
  • そのため、保険の等級が下がらないで済む
  • 相手方と早期に折り合いをつけられる

〈デメリット〉

  • 受け取れる損害賠償額が減額される

調停を利用する

調停とは、裁判所の調停委員会が仲立ちし、話し合いで法律的な問題を解決することをいいます。

調停はあくまでも「話し合い」によって問題を解決する手続きです。調停のメリットとして4つ挙げられます。

  • 早期解決が見込める
    調停委員が双方の言い分を確認したうえで合意案を探るため、当事者だけで行う示談交渉より早期解決が見込めます。
  • 第三者に間に入ってもらえる
    当事者同士では感情的になったり、一方が主張を譲らなかったりする場合があっても、調停委員が間に入ることで、冷静になったり、相互に譲歩したりすることで話し合いがまとまることが期待できます。
  • 公平な解決が期待できる
    調停では、中立的な第三者である調停員や裁判官が間に入るため、公平な解決が期待できます。
  • 強制執行が可能
    調停案の内容に双方が合意して、調停が成立した場合には、裁判所により「調停証書」が作成されます。
    これにより、相手方が支払いを滞らせた場合、財産を差し押さえる強制執行が可能となります。

裁判で解決する

ADRや調停など、第三者を交えた「話し合い」でも解決しなかった場合は、裁判を起こすことも考えられます。

裁判とは、当事者双方の主張や証拠に基づいて事故状況を認定し、裁判官が判決により、最終的な過失割合の判断を示すことで、紛争を解決することです。

裁判所の判決がでれば、当事者はそれに従う必要があるので、当事者間で合意することが難しい場合には、非常に有効な手段と言えます。

裁判官は証拠に基づいて判断をするため、裁判では、主張を裏付ける証拠を集めることが重要なポイントです。

交通事故の裁判については以下で詳しく解説しています。ご参考ください。

交通事故の過失割合について揉めている場合はすぐに弁護士にご相談ください

交通事故の過失割合は示談交渉の中で最も争点になりやすく、相手方保険会社を相手に自身で交渉していくのは難しいでしょう。

加害者の過失が大きくなると相手方保険会社の損失が大きくなるため、相手方保険会社に言いくるめられてしまったり、不利な過失割合を強引に押し付けられたりすることがあります。
そういったことでお困りの方は弁護士にご相談ください。

弁護士であれば、相手方保険会社が提示する過失割合が正しいのか判断できますし、弁護士に依頼することで示談交渉を任せることができます
弁護士であれば、示談交渉のなかで、過去の判例に基づいた正しい過失割合を主張・立証することが可能です。

また、損害賠償額も最高額の「弁護士基準」で算出するため、相手方保険会社が提示した金額より高額になる可能性もあります。

私たち弁護士法人ALGは交通事故に詳しい弁護士が多く在籍しています。過失割合でお困りの方は私たちにご相談ください。

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料金について、こちらもご確認ください。
  • ※諸経費20,000円( 税込22,000円 )がかかります。
  • ※死亡・後遺障害等級認定済みまたは認定が見込まれる場合
  • ※事案によっては対応できないこともあります。
  • ※弁護士費用特約を利用する場合、別途の料金体系となります。
  • ※法律相談は、受付予約後となりますので、直接弁護士にはお繋ぎできません。
弁護士法人ALG 執行役員 弁護士 谷川 聖治
監修 :弁護士 谷川 聖治 弁護士法人ALG&Associates執行役員

保有資格 弁護士(東京弁護士会所属・登録番号:41560)

東京弁護士会所属。私たちは、弁護士名、スタッフ名(司法書士1名を含む)を擁し()、東京、宇都宮、埼玉、千葉、横浜、名古屋、神戸、姫路、大阪、福岡、バンコクの11拠点を構え、全国のお客様のリーガルニーズに迅速に応対することを可能としております。