交通事故の過失相殺とは?計算方法をわかりやすく解説

過失相殺とは?賠償金が減る?仕組みを分かりやすく解説!

何らかの交通事故に遭った時には必ず「過失割合」が付きます。一般的な交通事故のほとんどで被害者にも過失割合が付きます。 「過失割合7:3」や「過失割合8:2」などよく耳にするのではないでしょうか。 この過失割合をもとに過失相殺を行い、損害賠償の金額に大きく関わってきます。 この記事では「過失相殺ってなに?」「過失相殺の計算方法は?」といった項目について解説していきます。

過失相殺とは

過失相殺とは

過失相殺(かしつそうさい)とは、交通事故の過失が被害者側にも認められる場合に、その過失割合を考慮して、被害者が受け取る損害賠償額が減額されることをいいます。 これは、被害者にも過失がある場合には、損害を公平に分担しようという観点から、加害者にすべての損害を負担させるのは適切ではないと考えられていることによります。民法722条によって定められています。なお、過失割合は事故の様態によって定められています。

過失相殺と過失割合の違い

交通事故において「過失割合」と「過失相殺」は同じ意味で扱われることも多いですが、実際には異なる意味を持っています。 過失割合と過失相殺について解説していきます。

過失割合

過失割合とは、事故における被害者と加害者の責任割合のことです。 交通事故は双方の過失によって起こることが多くあります。この責任の大きさを数値で表したものが「過失割合」です。

過失相殺

過失相殺とは、過失割合に従って、それぞれの損害額を双方に負担させることをいいます。被害者にも事故の責任があれば、被害者も事故の損害を負担すべきという考え方から、加害者に対する損害賠償請求額から、被害者の過失割合分を差し引かれます。

過失割合は誰がどう決める?

交通事故の過失割合は、事故の当時者または代理人によって示談交渉の中で決まるのが通常です。 示談交渉は、車の修理費や怪我の治療費など損害額が確定してから始まります。 示談交渉の際には、被害者の方でも相手方、または相手方保険会社と示談交渉することができますが、多くの被害者、加害者の方は自身の加入している任意保険に任せていると思います。 そのため、実際には、保険会社から過失割合が「○対○になりますよ」と打診されることがほとんどです。ただ、保険会社が適当に過失割合を決めているわけではありません。過失割合は、事故の内容から類型的に基本過失割合というものを決め、そこに修正要素を加えることにより決められています。 しかし、保険会社がきめた過失割合に納得できない場合もあるでしょう。保険会社の決めた過失割合は、絶対的なものではありません。むしろ、協議や交渉により前後することもあります。過失割合に納得できない場合は弁護士に相談することをおすすめします。

過失割合について以下のリンクで詳しく解説しています。ご参考ください。

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子供が被害者の場合の過失

過失相殺をするためには、被害者にも「過失」があることが前提となります。 しかし、よく問題となるのは被害者が「子供」の場合です。被害者の過失を決める際に、被害者に「責任能力」が必要かどうかという点が重要です。 被害者の過失を決める際に、問題となる能力について以下の表にまとめます。

被害者の能力 要・不要 能力が備わる年齢 備考
責任能力 不要 12歳程度 責任能力とは、物事の善悪を分別し、それに従って自分の行動を制御する能力のことです。
事理弁識能力 7歳程度 事理弁識能力とは、道理をわきまえる能力という意味です。つまり、物事の良し悪しが一定程度わかるということです。

過失相殺の計算方法

損害賠償金に過失相殺を適用する計算式は以下のとおりです。 過失相殺後の損害賠償金=損害賠償金総額×(100%-被害者側の過失割合) 過失相殺は、損害賠償総額から請求者の過失相殺率を引いて算出します。 以下で計算例について詳しく解説していきます。

【計算例】 過失割合8対2のケース

過失割合8対2の場合の計算例を以下の表にまとめます。

加害者 (過失割合8) 被害者 (過失割合2)
損害額 100万円 300万円
相手に支払う額 240万円
(300万円の8割)
20万円
(100万円の2割)
実際に受け取る額 0円
(20万円-240万円)
220万円
(240万円-20万円)

加害者の損害額100万円被害者の損害額300万円だとします。 まず相手に支払う額として、相手の損害額に自分の過失割合を掛けます。 加害者は相手に支払うため、実際に受け取る金額はありません。 被害者が実際に受け取れる金額は、被害者の損害額から2割差し引かれた240万円から、加害者の損害の2割部分を負担しなければならないため、被害者には本来300万円の損害があったところ、220万円しか受け取れない計算となります。 つまり、加害者側の損害の負担を一部しなければならないため、自身の損害額に過失割合を掛ければよいという単純なものではないということが分かると思います。 なお、相手方の損害部分について、自身の保険を利用する場合は、対物保険・対人保険により支払われます。

【計算例】 被害者側が賠償金を支払うケース

事故を起こした相手の車が高級車の場合には、同じ程度の損傷でも高い修理費がかかってしまう場合には、「過失相殺」をしても、以下の計算例のように被害者が賠償金を払わなければならないケースもあります。

【過失割合8対2の例】
加害者 (過失割合8) 被害者 (過失割合2)
損害額 500万円 100万円
相手に支払う額 80万円
(100万円の8割)
100万円
(500万円の2割)
実際に受け取る額 20万円
(100万円-80万円)
0円
(80万円-100万円)

過失割合に納得いかない場合は交渉をする

相手方保険会社から提示された金額に納得ができない場合もあるのではないでしょうか。 そのような場合には、安易に受け入れず、正しい過失割合を主張して交渉しましょう。 決まった過失割合に対して、意見を言ってもいいのかと不安になるかもしれませんが、必ずしも提示された金額が正しいとは限りません。交渉をせず言いなりになってしまうと、受け取れる賠償金が少なくなってしまう可能性があります。 しかし、一口に「間違っている」と主張しても受け入れられることは難しいでしょう。 交渉には、自分の主張する過失割合が正しいという証拠や事故の知識が必要です。 怪我を負いながら、仕事をしながらだと証拠を集めたり、交通事故の知識入れたりすることは難しいことでしょう。 そこで弁護士に相談することをおすすめします。次項では、弁護士に依頼するメリットを解説していきます。

交通事故の過失割合に納得がいかない場合は以下のリンクで詳しく解説しています。ご参考ください。

過失相殺について弁護士に依頼するメリット

弁護士に依頼するメリットとして、交通事故に詳しい弁護士であれば、過失割合に関して熟知しており、過去の判例から適正な割合を法的な観点から主張できます。適切な過失割合となることで損害賠償額の増額が見込めます。 被害者の方に代わって、示談交渉を任せることができるので、被害者の方がストレスなく、示談交渉が進みます。もちろん、進め方や損害賠償額を勝手に決めることはなく、被害者の方と話し合って進めていくので弁護士に任せる安心感が生まれます。

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過失相殺(過失割合)についての事例

過失相殺(過失割合)についての事例を紹介します。

過失割合を5:5から2:8に下げ、示談成立した事例

【事故の概要】 被害者運転の自転車が路地の曲がり角付近を走行中、進行方向から相手方自動車が曲がり角を曲がってきてそのまま走行し、衝突した事故です。この事故で被害者は、鋤骨骨折、腰椎捻挫等の傷害を負いました。 【事件の経過】 ①過失割合について当方にご相談いただき、当方弁護士は、事故状況等を詳細に聴取し、具体的な事故の状況を踏まえ、まずは物損の交渉に当たりました。 ②すると、相手方保険会社からは過失割合5:5と提示されました。 ③しかし、具体的な事故状況を踏まえ適切な過失割合について相手方保険会社と協議を重ねた結果、2:8という割合で賠償交渉することについて合意に至りました。 ④残存症状につき、後遺障害等級認定を得られたこと及び物損と同様に有利な過失割合で示談に至った点で被害者の方にもご満足いただける形で示談に至ることができました。

被害者が意識不明の状態で過失割合を1:9に修正した事例

横断歩道がない道路を横断していた被害者が、その道路を走行していた自動車に轢かれ、意識不明で、全く意思疎通ができなくなりました。 成年後見人を選任された後、後遺障害等級の申請を行ったところ、後遺障害等級別表第1第1級が認定されました。それをもとにして、損害額の計算を行い、保険会社と交渉を開始しました。 この交渉で大きな争点となったのは、過失割合であり、相手方保険会社は20(被害者):80(加害者)という主張を行っていました。 当方弁護士は、加害者の警察に対する説明をもとに過失割合を検討し、弁護士紹介を利用して警察の記録を入手し、そこで意見書を作成し、加害者の責任を加重できる部分があることを説明しました。 すると相手方保険会社はこの意見書を踏まえ過失割合が10(被害者):90(加害者)に応じてきたことから示談が成立しました。

【まとめ】過失相殺について分からないこと、お困りごとがありましたら、弁護士にご相談ください

過失割合や過失相殺については交通事故の知識に秀でてないと分からないことだらけだと思います。 相手方保険会社が提示する過失割合が正しいのかどうなのか分からず、安易に言いなりになると、損害賠償を受け取るときに損をしてしまうこともあります。 過失相殺について分からないことは弁護士にご相談ください。 交通事故に詳しい弁護士ならば、過失相殺についてわかりやすく説明します。 また、もらい事故など、被害者の方に過失割合が無い場合には、被害者の加入する保険会社は弁護士法により、示談交渉ができません。そのような場合にも弁護士であれば、しっかりと示談交渉のサポートをしていきます。 弁護士に相談することは費用が気になり、一歩踏み出せないという方もいらっしゃるかもしれません。 そんな時には自身の加入している保険に「弁護士費用特約」が付いていないか確認してみてください。 弁護士費用特約が付いていれば、費用面で安心でき、被害者の方が弁護士事務所への相談に一歩踏み出してくれることで、被害者の方と弁護士の距離が縮まります。 弁護士はあなたが思うより身近な存在で、いつでもあなたの味方です。 過失相殺でお困りの際は私たち弁護士法人ALGにご相談ください。

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弁護士法人ALG 執行役員 弁護士 谷川 聖治
監修 :弁護士 谷川 聖治 弁護士法人ALG&Associates執行役員

保有資格 弁護士(東京弁護士会所属・登録番号:41560)

東京弁護士会所属。私たちは、弁護士名、スタッフ名(司法書士1名を含む)を擁し()、東京、宇都宮、埼玉、千葉、横浜、名古屋、神戸、姫路、大阪、福岡、バンコクの11拠点を構え、全国のお客様のリーガルニーズに迅速に応対することを可能としております。