家宅捜索とは?家宅捜索の条件やタイミング、捜索後の対応について

家宅捜索とは?家宅捜索の条件やタイミング、捜索後の対応について

監修
監修福岡法律事務所 所長 弁護士 谷川 聖治 弁護士法人ALG&Associates

家宅捜索という言葉を、ニュース等でお聞きになったことがあると思います。今回は、家宅捜索について、解説します。

家宅捜索とは

家宅捜索は、警察などの捜査機関が犯罪事実に関する証拠品の発見、保全のためにおこなうものです。家宅捜索の際、捜査機関は、容疑者や関係者の住居に赴き、犯罪事実に関する証拠品を捜索します。

家宅捜索は拒否できない

家宅捜索は、警察等の国家権力が個人の住居に立ち入るものですので、個人のプライバシー制約の程度が大きいこともあり、原則として、裁判所の令状が必要な強制捜査にあたります。

任意捜査ではなく、強制捜査にあたる以上、家宅捜査は拒否できません。

家宅捜索の条件

家宅捜索は、比較的、捜査の初期の段階におこなわれることが多いです。
上述したように、家宅捜索を実施するには、裁判官が発布した捜索差押許可状が必要です。

警察の捜査が始まるきっかけ

被害届が提出された

警察等の捜査機関は、犯罪を覚知する何らかのきっかけが無ければ捜査を開始することはないでしょう。
例えば、被害届等が提出されて、初めて事件や被害の存在を捜査機関が把握することが多いでしょうから、被害届の提出は、捜査が始まるきっかけの典型例となります。

通報された

事件の被害者や目撃者が110番通報することも、警察が事件を覚知するきっかけの典型例ですので、警察への通報も、捜査が開始される典型例の1つです。

告訴・告発された

刑事訴訟法242条には、告訴または告発を受けた時には、速やかに検察官に事件を送検しなければならない旨、規定されています。事件を送検するには、当該事件の入念な捜査が必要となると思われるため、告訴や告発も、捜査が開始されるきっかけとなります。

職務質問を受けた

警察官は、日々の職務の一環として、適宜、職務質問をおこなっています。職務質問に付随する行為として、所持品検査がおこなわれる場合があり、所持品検査の結果、違法薬物が発見され、違法薬物の所持の現行犯として逮捕されるといったっことありえます。

家宅捜索のタイミング

家宅捜索は、犯罪にかかわる証拠の発見を目的として行われます。犯罪にかかわる証拠の収集状況を踏まえて、検察官は、被疑者の起訴不起訴を決めますので、通常、家宅捜索は、起訴前の捜査段階でおこなわれることが多いと思われます。

事前に予告すると罪証隠滅行為をされることにつながりかねないため、家宅捜索は、予告無しに行われることが多いと思われます。

家宅捜索の対象

捜索差押するには裁判官が発布した捜索差押許可状が必要で、捜索差押許可状には、捜索すべき場所、差押えるべき物、有効期限等が記載されています。

したがって、差押えることができるのは、裁判官が発布した捜索差押許可状に記載された場所、差押できる物に限られます。

捜索差押許可状の内容の確認

前述のように、捜索差押することができるのは、裁判官が発布した捜索差押許可状に記載された場所、差押できる物に限られます。

ですので、捜索差押許可状の差押ができる場所、差押えることができる物を確認し、捜索差押許可状に記載の無い場所の捜索を受けたり、捜索差押許可状に記載の無い物の差押がなされないかについて、注意する必要があります。

差し押さえられたものの返却について

家宅捜索の結果、差押えられた証拠品は、一定期間の捜査機関に保管されます。

捜捜査機関に返還するように求めた場合、証拠品として保管の必要が無くなったものについては、返還してもらえることも多いですが、返還を求める物、裁判が予定されている事件か否か等、ケースバイケースです。

家宅捜索されることが多い犯罪

家宅捜索は、多くの事件でおこなわれています。特に、覚醒剤取締法違反、大麻取締法違反などの、薬物事件を担当すると、ほぼ全ての事件で家宅捜索が行われているという印象です。

薬物事件では、自宅に違法薬物自体が保管されていることも多いですし、パケや注射器等、覚醒剤を使用したことを推測される証拠物が発見されることが多いからでしょう。

家宅捜索に弁護士の立ち会いは可能か

家宅捜索には、立会人が必要です。例えば、被疑者の住居の家宅捜査に、被疑者本人や被疑者の同居の親を立会人にすることがあります。

弁護士も、被疑者や被疑者の両親から委託された立会いの代理人として、家宅捜索に立ち会うことは可能と思われます。

家宅捜索での対応と弁護士ができること

弁護士は、家宅捜査で違法な捜査がおこなわれていないかをチェックし、違法捜査が行われていた場合、検察官に不起訴とするように交渉することが考えられます。

また、家宅捜索後に、できる限り、逮捕、勾留といった身柄拘束をされないように、身元引受人を準備する、被疑者に逃亡・証拠隠滅をしないように誓約させるなどして、弁護士が捜査機関と交渉することが考えられます。

家宅捜査を受けた場合は、早期に弁護士へ相談を

家宅捜索を受けた場合、何らかの犯罪の嫌疑がかけれられている可能性が高いです。

捜査機関が家宅捜索し、証拠を収集した結果、嫌疑が固まれば、逮捕されるということもありえます。

被害者がいる犯罪であれば、示談をする必要がありますし、逮捕されないように、捜査機関と交渉する必要がありますので、家宅捜索を受けた場合は、早急に弁護士にご相談ください。

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監修

監修 : 福岡法律事務所 所長 弁護士 谷川 聖治 弁護士法人ALG&Associates

保有資格弁護士(福岡県弁護士会所属・登録番号:41560)

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