留置場(留置所)とは?拘置所との違いや期間、生活、対処法まで解説
逮捕されると、まず警察署内の留置場(留置所)に収容され、警察から取り調べを受けることになります。家族が突然逮捕された場合、「面会や差し入れはできるのか」「家族に何ができるのか」と不安を抱かれる方は多いはずです。また、拘置所との違いが分からずに戸惑われる方もいらっしゃるでしょう。
そこで本記事では、留置場と拘置所との違いをはじめ、留置場での生活や面会のルール、釈放を目指すための方法などについて、詳しく解説していきます。
目次
留置場(留置所)とは?
留置場(留置所)とは、警察が刑事事件の被疑者を一時的に身柄拘束するための施設のことをいいます。留置場は、被疑者の逃亡や証拠隠滅を防ぐためを目的とし、全国の警察署内に設置されています。
そのため、留置場は警察の管轄となります。刑事事件で逮捕された人は、留置場に収容されながら警察からの取り調べを受け、勾留や釈放の判断を待ちます。
なお、留置場の正式名称は留置施設であり、一般的な呼称が留置場とされています。しかし、留置所と記載されることもあります。
留置場は、あくまで捜査段階での収容場所であるため、有罪が確定してから入る刑務所とは異なります。したがって、生活環境や面会の可否などについて知っておくべきルールが多い点に注意が必要です。
留置場に入る主な理由
あくまで犯罪の疑いがあるという状態であり、警察は、逃亡や証拠隠滅を防ぐために被疑者の身柄を拘束して、容疑の詳細を確認するための取り調べを行います。
起訴され、裁判所が有罪判決を下さない限り、有罪は確定しないため、弁護士による法的サポートにより、不起訴や釈放の可能性を高めることが大切です。
留置場と拘置所・保護室・刑務所の違い
留置場と混同しやすい施設には拘置所が挙げられますが、その他にも保護室や刑務所などがあります。それぞれの施設は、管轄や役割が異なります。では、留置場とどのように異なるのかを、拘置所・保護室・刑務所に分けて、それぞれを以下で詳しく解説していきます。
違いが分からず戸惑われている方は、ぜひご参考になさってください。
拘置所
拘置所は、起訴された被告人や死刑が確定した人などを収容する施設で、法務省が管理しています。ここに収容されるのは、裁判の判決がまだ出ていない未決拘禁者や、死刑が確定した人が中心です。ただし、まれに刑の執行を待っている人が一時的に収容されることもあります。
拘置所には、警察官による取り調べは行われず、全国に8ヶ所しかありません。一方、留置場は全国に1100ヶ所以上あり、逮捕された直後は通常、留置場に収容されます。起訴された後に拘置所へ移されるのが一般的ですが、拘置所の数が限られているため、起訴後も留置場にとどまるケースもあります。
このように、拘置所の収容人数に限りがあることから、留置場が代わりに使われることがあり、これを代用刑事施設と呼びます。
保護室
保護室は、自分自身や他人に危害を加えるおそれのある被疑者を一時的に収容する保護施設で、警察署内に設けられています。事件性はないものの、保護して安全を確保する必要があると判断された場合に利用されます。
収容の対象となるのは、泥酔や精神錯乱状態など、自力で安全を保てない者です。そういった者による自傷行為や他害行為を防ぐことを目的としており、刑事事件とは関係なく、一時的に保護・管理するための施設です。そのため、身元引受人が来て手続きを行えば、すぐに退室できます。
犯罪捜査のための収容ではない点が、留置場や拘置所とは異なる大きな違いです。
刑務所
刑務所は、裁判で拘禁刑の実刑判決を受けた者(受刑者)が収容される施設で、法務省が管轄しています。拘禁刑とは、令和7年6月1日に施行された法改正により、従来の禁錮刑・懲役刑が一本化されてできた新しい刑罰です。
廃止された従来の禁錮刑・懲役刑とは異なり、拘禁刑では、受刑者の特性に応じた更生プログラムが提供されます。こうしたきめ細やかな処遇の実現は、受刑者の改善更生や再犯防止により効果的と考えられ、導入に至りました。そのため、受刑者は自分の特性に応じて提供された更生プログラムや刑務作業を通じて、社会復帰を目指します。
刑務所は、刑期が満了するか仮釈放が認められるまで長期間収容されるのが特徴です。留置場や拘置所とは異なり、刑務所には受刑者しか収容されません。
留置期間は最短48時間・最長23日
留置場に収容される期間は、最短で逮捕から48時間・最長23日と法律で厳格に定められています。捜査機関から逮捕された後は、主に以下のような流れで手続きが進みます。
- 1.逮捕
逮捕後は、警察による取り調べを受けて、逮捕から48時間以内に事件と身柄が検察に引き継がれます。 - 2.送検(送致)
送検後は、検察による取り調べを受けて、送検から24時間以内に検察官は勾留請求を行うかどうかを判断します。 - 3.勾留
検察官が裁判所に対して勾留請求を行い、それが認められると、まず10日間の勾留(身柄拘束)が実施されます。捜査状況次第では、さらに10日間の延長が可能なため、最大で20日間の勾留を受ける可能性があります。
検察官は、勾留期間中または勾留が終了するまでに起訴・不起訴の判断を下します。起訴されると身柄は拘置所に移送されますので、留置期間は「逮捕から起訴するまでの期間」を指します。
留置場の内部はどんなところか?
留置場の内部は、格子扉のついた居室で6人程度が入れる共同室となっています。机や椅子、柵などはなく、簡易的なトイレのみが設置されています。留置場には、男女別で収容され、戸籍上の性別でどちらの房に収容するのかが決められます。
しかし、女性用の留置場がある警察署は数少ないため、収容先の警察署に女性用の留置場がない場合には、一番近くの女性用留置場がある警察署に移送されます。
冷暖房については、フロア単位で管理されており、各居室に個別の空調は設置されていません。施設によっては、浴室や運動場があり、決められた時間に利用できますが、厳しく制限されているため、精神的負担が大きい環境といえます。
警察署の構造や時代によって異なる
留置場の構造は、警察署の建設や改修時期によって大きく異なります。たとえば、1980年以前に建てられた留置場は、看守台を中心に扇形に居室が配置され、看守が全体を見渡せるような構造でした。
一方で、1980年以降は、受刑者のプライバシーや処遇改善が重視されて構造が変化しました。居室は横並びに配置され、居住面積や弁護士と接見する接見室などが広げられました。
このような留置場の設備改善は、被疑者の処遇改善が目的とされています。処遇改善を目的とする理由には、過去に発生した不適切な取り調べや非人道的な扱いによる冤罪問題の反省が挙げられます。
かつては、このような違法な取り調べや非人道的な扱いは、冤罪の温床になるとされ、社会問題化していました。
現在では、冷暖房や運動スペースなどを備える留置場も増えていますが、警察署によって設備や環境が異なるため、詳細については個別に確認する必要があります。
留置場での生活はどんなものか?
留置場での生活は、起床や食事、就寝時間などが決められ、規則正しい生活となっています。刑務所とは異なり、日常生活を送るために十分な設備が備わっていますが、決められたスケジュールに沿って生活しなければなりません。
以下では、留置場での1日の流れや食事内容、入浴・洗濯などについて、詳しく解説していきます。
1日の流れ
留置場での1日の流れは、主に以下のような厳格なスケジュールに従って進んでいきます。
例
- 午前7時 起床、掃除
- 午前8時 朝食、運動
- 正午 昼食
- 午後1時 運動
- 午後6時 夕食
- 午後9時 就寝
日中は、警察官や検察官による取り調べや、弁護士・家族との面会が入ることがあります。取り調べがない時間は、読書や書き物など、他の収容者に迷惑をかけない範囲で自由に過ごせます。
また、健康を維持するために、午前や午後には運動時間が設けられていますが、外部との接触や私物の使用は厳しく制限されます。運動時間は、30分程度設けられていますが、サッカーや野球などの球技は使用できず、できるのはランニングや体操、筋トレなどです。
なお、1日のスケジュールは、各留置場によって若干異なるため、上記流れはあくまで一般的な例として留めておきましょう。
食事内容
留置場では、栄養バランスを考慮した献立が朝・昼・夕の3食提供されます。食事内容は質素で、白米やみそ汁、煮物などが中心ですが、「自弁」という制度を利用して、自費で弁当やお菓子などを注文することができます。
ただし、自弁を利用するには、逮捕時に所持していた現金や家族からの差し入れによる現金が必要となります。警察署によって自弁で頼めるメニューは異なりますが、現金があれば提供された食事で足りない場合に自弁を利用して食事を購入できます。
なお、留置場で提供される食事は、警察署が契約した外部の弁当業者が作ったものですので、提供時には冷めていることがほとんどです。一方、拘置所では所内で調理されるため、温かいまま提供されます。
入浴・洗濯
留置場での入浴は、原則週2回、少なくとも5日に1回以上可能で、入浴時間は1回あたり20分程度とされています。しかし、夏場は週2回で冬場は週1回としている留置場もあり、時期によってルールが異なる可能性がある点に注意が必要です。
洗濯については、留置場の職員が週1回程度まとめて行うため、衣類の差し入れや着替えの準備が重要です。
逮捕後72時間以内の弁護活動が運命を左右します
刑事弁護に強い弁護士が迅速に対応いたします。
逮捕直後から勾留決定までは弁護士のみが面会・接見できます。ご家族でも面会できません。
留置場で面会や差し入れはできる?
留置場での面会や差し入れは、接見禁止処分が下されていなければ、勾留決定後に可能となります。接見禁止処分とは、逃亡や証拠隠滅のおそれがあると判断された場合に、弁護士以外の人物とのやり取りを禁じる処分です。
この処分が下されている期間中は、弁護士以外の人物との面会はもちろんのこと、手紙のやり取りも禁じられます。
逮捕されてから72時間以内は面会できない
逮捕後72時間は、捜査機関による取り調べが最優先されるのと同時に、証拠隠滅防止のため、家族であっても面会できません。
逮捕直後から面会が可能となれば、「共犯者と口裏を合わせる」「家族に証拠を隠滅するように依頼する」などのおそれがあるからです。そのため、逮捕後72時間の間に面会できるのは、弁護士のみと決められています。
逮捕後72時間が経過し、検察官が裁判所に勾留請求を行い、それが認められると、10日間の勾留が実施され、この段階でようやく弁護士以外の人物との面会が可能となります。しかし、面会は1日1回まで、面会時間は15~30分程度と制限され、面会時には警察官が立ち会います。
この点弁護士は、逮捕直後から自由に面会できるため、取り調べに対する対応の仕方や今後の弁護方針について相談できます。早期釈放や不起訴処分の獲得を目指すには、弁護士の力が不可欠です。
差し入れできるもの
留置場に差し入れできるもの・差し入れできないものは、主に下表のとおりです。
| 差し入れできるもの | 衣服・下着、歯ブラシ、メガネやコンタクトレンズ、手紙や写真、本や雑誌、現金など |
|---|---|
| 差し入れできないもの | 食べ物、飲み物、タオルやハンカチ、靴、シャンプー、医薬品、たばこ、ゲームなど |
留置場によって若干内容は異なりますが、食べ物や嗜好品などの差し入れは認められていません。また、施設内での事故防止の観点から、衣類はひもやフードのないものに限られ、本や雑誌のホチキスは取り外す必要があります。
なお、差し入れは直接手渡しできず、警察署の窓口で手続きを行います。そのため、「収容先の警察署のHPを確認する」「問い合わせる」など、事前に留置場のルールを確認しておくことが大切です。
留置場内では、現金があれば、石鹸や歯ブラシなどの生活必需品を購入することができます。石鹸やシャンプーなどは、検査が困難な物品とされているため、差し入れたい場合には現金を差し入れると良いでしょう。
留置場から釈放されるには弁護士のサポートが必要
留置場からの釈放を目指すには、以下の3つのうち、いずれかを実現させる必要があります。
- 不起訴を目指す
- 被害者と示談する
- 保釈請求をする
これらの実現は、一人では困難であるため、弁護士によるサポートが不可欠です。弁護士であれば、逮捕直後から面会できるため、実現に向けた弁護活動をすぐに行えます。その結果、実現できる可能性を高められるため、釈放を希望される方は、弁護士への相談を検討する必要があります。
不起訴を目指す
不起訴処分が下されると、翌日に釈放され、前科もつきません。そのため、刑事事件に精通した弁護士の法的サポートを受け、不起訴処分を目指すことが釈放を実現させるために重要です。
不起訴処分を獲得するには、反省文の提出や被害者支援団体、弁護士会等へ寄付するなどの行動を示す必要があります。
また、薬物乱用による依存症がある場合には、治療や自助グループへの参加などが有利な情状となり、不起訴処分の獲得に近づきます。
弁護士は、有利な情状となる行動のサポートや検察官に不起訴の妥当性を主張するなどの弁護活動を行えます。これにより、不起訴処分を獲得できる可能性が高まるため、弁護士によるサポートが必要です。
被害者と示談する
被害者が存在する刑事事件の場合は、被害者との示談成立が釈放実現の大きな鍵となります。示談の成立は、加害者の反省だけでなく、被害者の許しを示す重要な証拠とみなされます。そのため、逃亡や証拠隠滅の危険性が低いと判断され、釈放される可能性が高まります。
しかし、加害者に対して強い怒りや恐怖心を抱いている被害者との示談成立は、決して容易なものではありません。場合によっては、示談交渉の場を設けるのも困難となるでしょう。
この点弁護士は、被害者の心情に配慮しながら示談交渉を行えるため、適切な内容で示談を成立できる可能性があります。
保釈請求をする
起訴された後も身柄が拘束されている場合は、保釈を申請して釈放を目指すことができます。保釈請求は、「保釈請求書」を本人またはその家族、弁護士などが提出することで手続きが進みます。保釈請求書には、保釈を許可すべき理由を具体的に記載する必要があるため、弁護士に任せると安心です。
保釈を認めるかどうかは裁判官が最終的に判断しますが、その際には検察官にも意見を聴取します。保釈が認められると、一時的に身柄が釈放され、裁判が終了するまで自宅で過ごせます。
ただし、裁判所から提示された保釈保証金の納付に加え、住居の制限や事件関係者との接触禁止など、保釈を認めるにあたって遵守すべき条件が提示されます。
納付した保釈保証金は、遵守すべき条件を守れたら全額返還されますが、違反すれば、返還されず、保釈も直ちに取り消されます。
留置場からの釈放は早急に弁護士へご相談ください
逮捕直後は、たとえ家族であっても面会が許されず、孤立した状況に置かれます。逮捕後72時間が経過しても、その後接近禁止命令が下されれば、さらに長期間もの間弁護士以外の人物との面会が禁じられてしまいます。
身柄拘束による社会生活への影響は甚大で、場合によっては、対人関係にも悪影響を及ぼす可能性があります。このような事態を避けるためには、刑事事件に精通した弁護士に相談し、速やかに弁護活動を開始する必要があります。
弁護士であれば、逮捕直後から接見(面会)が可能なため、取り調べの対応や釈放に向けた戦略を立てることができます。また、被害者との示談交渉も任せられるため、不起訴処分の獲得が期待できます。
一日でも早く留置場から釈放されるためにも、なるべく早めに弁護士にご相談ください。
