名誉毀損で訴えられたらどうする?流れや対処法をわかりやすく解説

名誉毀損で訴えられたらどうする?流れや対処法をわかりやすく解説

監修
監修福岡法律事務所 所長 弁護士 谷川 聖治 弁護士法人ALG&Associates

インターネットやSNSの投稿がきっかけで「名誉毀損で訴える」と告げられたり、突然相手から訴状を送ると言われたりするケースが増えています。名誉毀損で訴えられたり、訴えると脅されたりした場合は速やかに弁護士に相談するべきです。

名誉毀損に該当すると、民事・刑事の双方で責任を問われる可能性があります。

本記事では、名誉毀損に着目し、名誉毀損で訴えられた場合の流れ対処法などについて、詳しく解説していきます。

名誉毀損とは

名誉毀損とは、不特定多数が見聞きできる場で、他人の社会的評価を下げる事実を示し、名誉を傷つける行為を指します。刑法230条では名誉毀損罪として処罰の対象とされ、民法709条の不法行為にも該当する可能性があります。

社会で信用を失うことは、仕事や人間関係に直結するため、個人の名誉は重要な権利です。他人の評価を不当に下げる行為が法律で規制されているのは、こうした社会生活上の不利益を防ぎ、個人の尊厳を守るためです。

名誉毀損罪の構成要件

名誉毀損罪が成立するのは、次の3つの構成要件を満たした場合に限られます。

  • 公然性
    摘示された事実を不特定または多数の人が認識できる状態(SNS上での投稿やテレビでの発言等)。
  • 事実の摘示
    人の社会的評価を下げるような事実を指摘する行為。
  • 毀損
    事実の摘示によって、実際に人の社会的評価が下がった状態。

ただし、「毀損」に関しては、実際に人の社会的評価が下がったか確認するのが困難であるため、「公然性」と「事実の摘示」が認められれば、「毀損」も同時に認められます。

また、条文には、“その事実の有無にかかわらず”と明記されているため、摘示した内容が虚偽であっても名誉毀損罪は成立します。

なお、名誉毀損罪は「具体的な事実」の摘示が必要であるため、以下の発言のように、個人の主観的な意見や感想は構成要件を満たさず、罪に問われる可能性は低いです。

  • 〇〇の店は料理があまり美味しくない
  • 君の考えは間違いだと思う
  • ほんと馬鹿だな など

名誉毀損にあたる行為・言葉の例

名誉毀損罪に問われるおそれがあるのは、以下のような行為・言葉です。

具体例

  • 職場で「〇〇さんは不倫している」と噂を流す
  • 「〇〇さんは前科持ちだ」とSNS上に投稿する
  • インターネットに「〇〇会社はブラック企業でもうすぐ倒産する」と書き込む
  • ブログやホームページに「〇〇さんは風俗で働いている」と書き込む
  • 「〇〇会社は悪徳な詐欺グループ」と記載したビラを配る など

このような行為や言葉は、その内容が事実かどうかにかかわらず、他人の名誉を傷つけたと判断されます。

侮辱罪や信用毀損罪との違い

名誉毀損罪と類似する罪には、「侮辱罪」や「信用毀損罪」が挙げられますが、これらは次のような点に違いがあります。

  • 名誉毀損罪と侮辱罪
    名誉毀損罪は、公然と事実を摘示して人の名誉を傷つける行為であるのに対し、侮辱罪は事実を摘示せずに公然と人を侮辱する行為です。両罪の違いは、「事実の摘示の有無」にあります。
    【例】
    名誉毀損罪:「〇〇さんは不倫している」など具体的な事実を示している。
    侮辱罪:「バカ」や「ブス」など具体的な事実を示していない。
  • 名誉毀損罪と信用毀損罪
    名誉毀損罪は、人の社会的評価である名誉を保護の対象としているのに対し、信用毀損罪は人の経済的評価である信用を保護の対象としています。両罪の違いは、「保護の対象」にあります。

名誉毀損で訴えられたらどうなる?

名誉毀損は、刑事裁判で訴えられると逮捕され、民事裁判で訴えられると損害賠償請求される可能性があります。被害者は、相手に対して刑事と民事の両面から責任を追及できるため、両方の責任を同時に追及されることもあります。

次項でそれぞれの方法を詳しく解説していきます。

慰謝料などの損害賠償を請求される

名誉毀損とみなされた場合、被害者から民事裁判を起こされ、慰謝料などの損害賠償を請求される可能性があります。

名誉毀損で損害賠償請求される費目は主に慰謝料です。個人に対する名誉毀損行為であれば10万~50万円程度、法人に対する名誉毀損行為であれば50万~100万円程度が相場とされています。

民事上では、名誉毀損行為は不法行為に該当し、故意または過失によってその行為が行われると、被害者による損害賠償請求が可能となります。

民事責任を追及するには、以下の要件を満たす必要があります。

  • 名誉毀損罪の構成要件を満たしている
  • 名誉毀損行為により、被害者に損害が発生した
  • 被害者の損害と名誉毀損行為に因果関係が認められる

名誉毀損で民事訴訟を起こされた場合の流れ

被害者から名誉毀損を理由に民事訴訟を起こされた場合は、基本的に以下の流れで手続きが進みます。

  1. 裁判所から訴状が届く
    裁判所が被害者(原告)の訴状を受理すると、被告に訴状の写しと期日呼出状などが送られます。
  2. 答弁書を作成して裁判所に提出する
    被告は、裁判所から訴状等の書類を受け取った後、訴状に対する答弁書を作成して期日までに裁判所に提出します。答弁書には、自分の主張や反論を記載します。 提出した答弁書は第1回期日前に裁判所から原告に送付されます。
  3. 第1回口頭弁論期日が行われる
    第1回口頭弁論期日では、原告側と被告側からの主張や証拠が提出されます。裁判所はこれらを踏まえて争点を整理し、審理を進めます。
  4. 期日の続行
    原告側と被告側の主張や提出された証拠に基づき、証拠調べなどが行われます。
  5. 和解の勧試(かんし)
    裁判官は、原告側と被告側の主張を踏まえた和解案を提示し、和解解決を試みます。ここで双方が裁判所の和解案に合意すると、和解成立となり、和解調書が作成されます。
  6. 判決が下される
    和解が不成立となると、裁判所はこれまでの結果を踏まえて判決を下します。

刑事告訴される

名誉毀損として、被害者が刑事告訴した場合は、起訴され刑事裁判が行われる可能性があります。
刑事裁判で有罪判決が下されると、3年以下の拘禁刑または50万円以下の罰金が科せられます。

ただし、名誉毀損罪は親告罪であるため、被害者が警察や検察などの捜査機関に対して加害者を罰してほしいと告訴しない限り、警察の捜査は開始されません。

そのため、告訴される前に示談を成立させることが重要です。告訴前に示談を成立できれば、逮捕を回避できます。しかし、名誉を傷つけられた被害者は、通常加害者に対して強い怒りや恐怖感を抱いているため、示談交渉は簡単ではありません。

名誉毀損で刑事告訴された場合の流れ

刑事事件の流れ

被害者から名誉毀損を理由に刑事告訴された場合は、基本的に以下のような流れで手続きが進みます。

  1. 警察による捜査が開始される
    被害者が作成した告訴状を警察が受理すると、捜査が開始されます。
  2. 在宅または身柄事件として立件される
    犯人に「逃亡や証拠隠滅のおそれ」が認められない場合は、身柄を拘束しない在宅事件として立件されますが、そうでない場合には身柄事件(逮捕・拘留される)として立件されます。なお、名誉毀損罪は、比較的軽微とされる事案が多く、在宅事件として立件されやすい傾向にあります。
  3. 検察官によって起訴・不起訴の判断が下される
    捜査が進むと、検察官によって起訴または不起訴の判断が下されます。このとき、不起訴と判断されれば、刑事裁判は開かれず、通常の日常生活に戻れます。被害者の名誉を毀損した事実を裏付ける証拠や嫌疑が不十分な場合は、不起訴と判断されやすいです。
  4. 刑事裁判が開かれる
    起訴されると、刑事裁判が開かれ、裁判官によって最終的な判断が下されます。

インターネットやSNSでの名誉毀損について

インターネットやSNS上の書き込みによって名誉毀損罪に問われる可能性は、十分あります。最近は、SNSでの書き込みが原因で、投稿者が責任を問われるケースが増えています。

SNSは匿名で利用できることが多く、「身元はわからないだろう」と考えてしまいがちです

しかし、プロバイダ(インターネットを接続する事業者)に対して発信者情報開示請求を行えば、投稿者を特定できます。

そのため、匿名であっても、相手の名誉を傷つける投稿をすると、刑事・民事の両面で責任を負う可能性があります。

インターネットやSNSでの投稿が名誉毀損罪に問われるおそれがあるのは、以下のようなケースです。

  • 〇〇さんは、〇〇さんと不倫関係にある
  • 〇〇店で食事していたら、虫が混入していた
  • 〇〇さんは、今世間を騒がせている殺人者の身内だ など

インターネット上の名誉毀損に関する裁判例

インターネット上の名誉毀損に関する裁判例を解説します。

令和4年(わ)568号・18号 大津地方裁判所 令和5年6月23日判決

<事件の概要>
被告人は、元妻であるAの名誉を毀損しようと考え、自己のスマートフォンを使用して「Twitter(現在はX)」にAとその家族の写真を掲載し、以下のような書き込みをしました。

  • 「私を騙しうちにし、連れ去り補助をしている者」
  • 「まさに誘拐一家」 
  • 「息子を誘拐し、法外な金銭を要求」
  • 「僕を地獄の底に落とした殺人鬼達」 など

書き込みは、複数回にわたり行われ、Aについて、「職業は保育士ですが、絶対に子供を任せないでください。子供に危害を加える危険があります。」などと投稿しました。

<裁判所の判断>
裁判所は、被告人が行った投稿内容について、以下の点から被告人による行為だと推認しました。

  • Aのことを「元嫁」、被告人とAとの間の子を「息子」と表現している点
  • Twitter(現在はX)のアカウントは元妻が作成したもので、元妻の電話番号が登録されている点 など

そして、投稿内容がAの氏名だけでなく、住所や顔写真も掲載した上で、Aが犯罪行為に関与したかのような印象を与えるものであり、犯行態様は悪質であると判断しました。

また、被告人は元プロ棋士として相応の知名度があったため、広範囲に拡散されている事実を認めました。

これらを踏まえて裁判所は、「動機や経緯に酌むべき点は認められない上に、被告人は不合理な弁解を続けていて反省の姿勢も認められない」と評価しました。裁判所は、被告人に対して※懲役1年6月の有罪判決を下しました。

※懲役は、法改正により2025年6月1日から拘禁刑として一本化されています。

名誉毀損で訴えられた場合の対処法

名誉毀損で訴えられた場合には、次のような方法で逮捕を回避する必要があります。

  • 弁護士に依頼する
  • 相手と示談交渉する

逮捕されれば、長期に渡り身柄を拘束される可能性があり、仕事や対人関係に悪影響を及ぼします。相手の名誉を傷つけた事実は変えられないため、早期段階から対処法を押さえることが大切です。

弁護士に依頼する

弁護士への依頼は、名誉毀損で訴えられた場合の対処法としてもっとも有効です。
そもそも名誉毀損罪に該当しないケースも一定数あります。

名誉毀損などの刑事事件に詳しい弁護士であれば、状況を踏まえたうえで、今後どのように対応すればよいかの弁護方針を立ててくれます。

具体的に、弁護士であれば以下のような対応が可能です。

  • 名誉毀損に該当する行為かどうかを適切に見極めてくれる
  • 被害者との示談交渉をすべて任せられる
  • 刑事告訴された場合は、刑事裁判に係る手続きをすべて任せられる
  • 逮捕直後から接見(面会)できるため、会社や家族への対応をお願いできる
  • 検察官や裁判官に対して、有利な事情を主張・立証してもらえる など

弁護士費用については、各弁護士・法律事務所によって相場が異なるため、無料相談などを利用して相性の良い弁護士を選ぶとよいでしょう。

相手と示談交渉する

名誉毀損で責任を問われている場合、被害者との示談成立はとても重要です。
示談が成立すれば、被害者が刑事告訴しない方針に転じる可能性が高まり、刑事事件化を回避できることがあります。

また、すでに捜査が始まっている場合でも、不起訴処分を得られる可能性が高まります。

示談金の額はケースによって異なりますが、一般的には名誉毀損の慰謝料相場(個人で10万~100万円程度)を目安に話し合われることが多いです。

ただし、被害者の感情や投稿内容の悪質性によって金額が大きく変動するため、弁護士などの専門家の助言を受けながら交渉を進める必要があります。

名誉毀損の訴えに時効はある?

名誉毀損の訴えには、刑事上も民事上も以下のような時効が定められています。

刑事上の時効 名誉毀損罪:「損害および加害者を知った日から3年」
親告罪:「加害者を知った日から6ヶ月」

民事上の時効 「損害および加害者を知った日から3年」または「不法行為があった日から20年」

刑事上の時効は、名誉毀損罪と親告罪で内容が異なります。親告罪である名誉毀損罪は、被害者からの刑事告訴がないと起訴できないため、被害者は加害者を知った日から6ヶ月以内に刑事告訴しなければなりません。

そのため、親告罪の時効が完成すると、加害者を訴えられなくなります。また、民事上の時効が完成すると、被害者は加害者に対して損害賠償請求もできなくなります。

名誉毀損で訴えられた・訴えると脅された場合は、早急に弁護士法人ALGにご相談ください

名誉毀損で訴えられたり、訴えると脅されたりした場合は、刑事・民事責任を追及される可能性があります。刑事告訴されれば、警察が捜査を開始し、場合によっては逮捕されるかもしれません。

逮捕となれば、長期間の身柄拘束を受けるため、仕事や対人関係に大きな影響が及ぶだけでなく、前科が付く可能性も高まります。事態の悪化を防ぐためには、刑事事件に精通した弁護士による弁護活動が必要です。

また、弁護士への相談は早ければ早いほど、弁護活動の幅が広がるため、名誉毀損で訴えられそうな場合には、なるべく早めに弁護士にご相談ください。

弁護士法人ALGには、刑事事件を得意とする弁護士が在籍しており、お電話での相談も可能です。まずはお気軽にお問い合わせください。

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監修 : 福岡法律事務所 所長 弁護士 谷川 聖治 弁護士法人ALG&Associates

保有資格弁護士(福岡県弁護士会所属・登録番号:41560)

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