任意出頭とは?目的や出頭を拒否できるか知りたい!

任意出頭とは?目的や出頭を拒否できるか知りたい!

監修
監修福岡法律事務所 所長 弁護士 谷川 聖治 弁護士法人ALG&Associates
任意出頭とは?目的や出頭を拒否できるか知りたい!

ある日、警察や検察から出頭を求められたら、動揺してしまうのも無理はありません。

疑われる心当たりがあれば、「自分は逮捕されてしまうのではないか?」と不安になるでしょう。

そして、「できれば行きたくない」と考えてしまってもおかしくありません。

確かに、「任意」という言葉からは、行くのも行かないのも自由であると読み取れます。

しかし、安易に「任意だから行かない」という判断を下すのは危険な場合があるのです。

ここでは、任意出頭とは何か、どのように対応すべきか等を解説します。

任意出頭とは

任意出頭とは、捜査機関が捜査のために、期日を定めて被疑者(又は参考人)を呼び出して警察署等に出頭させることです。

任意という言葉からわかるとおり、捜査機関に強制する力があるわけではなく、建前としては拒否することが可能であり、退去することも自由というのが原則です。

しかし、被疑者が出頭を拒むと逮捕されるリスクがある状況と考えられることから、被疑者として任意出頭を求められた際には、求めに応じるかどうか、慎重に対応すべきではあります。

任意同行と任意出頭の違い

任意出頭と似たもので任意同行がありますが、2つの大きな違いとしては、出向かせるか、同行させるかという点にあります。

任意同行とは、警察官が被疑の居宅等を訪れて、警察署等へ被疑者を同行させることをいいます。

任意同行は、「任意出頭を要請したら被疑者に逃げられる」「任意出頭を要請しても出頭に応じない可能性がある」等と捜査機関が判断した場合に用いられるケースが多いです。

任意同行も任意出頭と同じく、断ることは可能ですが、正当な理由なく拒むことはリスクが伴います。

例えば、朝の出勤時等に任意同行を求められれば、断りたいと思うのも無理はないですが、慎重に対応した方が良いでしょう。

任意出頭の目的とは

捜査機関が任意出頭を要請する目的として、要請された者が被疑者である場合と、被疑者ではない場合が考えられます。

被疑者である場合に、逮捕せずにあえて任意出頭を求める理由としては、まだ証拠が固まっていないため、任意の捜査によって自白を得ようとしていることが考えられます。

また、すでに逮捕状を請求する段取りができているケースでは、あえて任意で出頭してもらうことで被疑者の名誉を守るという観点もありますが、逮捕すると48時間以内に検察官送致しなければならないため、まずは任意出頭させて取り調べることで、捜査機関が時間を稼ごうとしていることも考えられます。

被疑者でない場合には、参考人の1人としての証言を求められる等のケースが考えられます。

任意出頭を拒否できるか

結論としては、任意出頭にはなるべく応じた方が良いものの、慎重に対応すべきでしょう。

警察を訪れること等を考えると、怖いと感じてしまい、できれば出頭したくないと思ってしまうかもしれません。

そうでなくても、忙しくてあまり時間を使いたくない等の事情はあるでしょう。

しかし、任意出頭を拒否したり無視したりすることは、捜査機関が逃走、証拠隠しの疑いを深めたり、その結果逮捕を決断するリスクが生じるおそれがあります。

この点について、もう少し掘り下げていきます。

任意出頭を拒否した場合

原則を考えれば、任意なのだから、出頭するか否かは呼び出された者の自由ということになります。

しかし、出頭を拒否することにはリスクがあります。

例えば、警察から疑われている状況で任意出頭を無視すると、逃亡しようとしている、または犯罪の証拠を隠滅したりしようとしている、と認識され、逮捕されてしまうかもしれません。

また、一定の要件を満たす軽微な罪を犯した場合(侮辱罪等)には、正当な理由なく出頭を拒むことが逮捕の要件とされているケースもあり、逮捕する要件を満たすと考えられてしまうおそれもあります。

つまり、自身が被疑者である状況で任意出頭を拒否すると、逮捕されるおそれが生じてしまうということです。

任意出頭を無視するとどうなる?

任意出頭を無視すると、拒否した場合と同様の事態が生じるおそれがあります。

つまり、「任意だから行かなくても良いだろう」と安易に考えて、任意出頭を要請されても無視してしまうと、警察に逮捕されるリスクがあるということです。

また、自身が多数存在する被疑者の1人であるというケースでは、任意出頭要請を無視したことで、捜査機関からの「何かやましいことがあるのではないか?」という疑いを深められてしまうおそれがあります。

さらに、何度か被疑者を呼び出して捜査した結果、警察が在宅のまま検察官送致する方針を考えていた場合であっても、被疑者が急に任意出頭を無視しだすと、警察の方針が被疑者を逮捕する方針に変わってしまうおそれもあります。

任意出頭の連絡があり不安を感じる場合は、弁護士に一度ご相談ください

任意出頭は、任意という言葉とは裏腹に、安易に断るわけにはいかないものです。

そのため、原則的には応じるべきだと考えられるものの、出頭した後でどのように対応すべきなのかわからず、強い不安を覚えてしまっても無理はありません。

そこで、任意出頭を求められた際には、弁護士に相談することをおすすめします。

刑事事件を多く扱っている弁護士であれば、伺った事情等から、捜査機関が任意出頭を求めている意図を推測できることがあります。

その場合には任意出頭に応じるべきか否かという点や、応じるのであればどのような点に注意すべきか等についてのアドバイスが可能です。

また、任意出頭に応じるとしても、被疑者として取り調べを受ける際には、捜査機関にとって都合の良い供述調書を作成されてしまわないように注意する必要があります。

そのような点以外にも様々なアドバイスが可能であるため、任意出頭を求める連絡があった際には、ぜひ弁護士にご相談ください。

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事情聴取はどのような内容か

任意出頭に応じるとしても、警察がどのような意図を有しているのかについて、不安に思う方もいらっしゃるでしょう。

ただ事情を聴かれるだけなら良くても、その他の意図があることを警戒してしまうのは当然です。この点について、以下で解説します。

なお、事情聴取について詳しく知りたい方は、ぜひこちらも併せてご覧ください。

事情聴取はどんなことをするの?

逮捕されることはある?

任意出頭に伴う不安として、「出頭したら逮捕されてしまうのではないか?」と考える方も少なくないようです。

これはケース・バイ・ケースですが、捜査機関が逮捕する方針を固めている状況では、逮捕すると48時間以内に検察に送致しなければならない等の事情から、時間を稼ぐ等の目的で任意出頭を求められることがあります。

この場合、逮捕されないように努めながら、少なくとも起訴されることがないように、事前に弁護士に相談しておくのが望ましいでしょう。

逮捕後の流れについては、こちらで解説していますので、ぜひご一読ください。

逮捕された時の流れ

取り調べの途中退席は可能?

任意出頭をした際に、退去するのは自由であることが原則です。

ただし、退去する際にも、捜査機関に「逃走しようとしているのではないか?」と疑われてしまうおそれがあるため、帰らねばならない予定がある場合には、事前に伝えておいた方が良いでしょう。

なお、任意出頭した際に逮捕されてしまうと、自由に帰ることができなくなってしまいます。

逮捕によるリスクがあることは、あらかじめ考慮しておく必要があります。

事前に対策をしておきましょう

任意出頭に応じたものの、逮捕されてしまうリスクは否定できません。かといって、安易に出頭を拒否することにもリスクがあります。

逮捕されてしまうと、家族にも会えない時間が何日も続くことになってしまいます。逮捕されてから「どうしよう」と考えるのでは遅いのです。

そこで、事前に弁護士に相談し、対策を練っておくことをおすすめします。

弁護士であれば、任意出頭に応じるべきかどうかの判断や、事情聴取の際の対応についてアドバイスすることができます。

もし逮捕されてしまっても、弁護士であれば面会することができるため、心強い味方となれるでしょう。

そして、被害者が存在する事件である場合には示談交渉を進める等、起訴されずに済むように手を尽くしておくのも可能となります。

逮捕されてから対応を考えるよりも、先手を打った対応が可能ですので、ぜひ弁護士にご相談ください。

任意出頭に関するよくある質問

以下で、任意出頭に関してよくある質問にお答えしていきます。

任意出頭の日程を何度も変更すると不利になりますか?

日程の変更要請は、あくまでも任意であることから、原則として問題ありません。

正当な理由があれば、スケジュール調整をしてもらえる場合もあります。

しかし、大した理由もなく日程の変更を求めれば、捜査機関に逃走のリスクがあると考えられてしまうおそれがあります。

そこで日程の変更を求めるのは本当に重大な用事がある時だけにする等、日程調整を慎重に行うことはもちろん、弁護士を間に入れて日程への配慮を求めるといった、捜査機関が逮捕に踏み切らないように対処する必要があるでしょう。

検察からの呼び出しと警察からの呼び出しの違いは何ですか?

検察から呼び出しを受けた場合には、主に警察からすでに聴取されたことについての確認であると考えられます。

起訴するか否かを判断するのは検察官であるため、この聴取は重要なものです。

しかし、警察から呼び出されていないのに、検察から呼び出されたというケースもあるようです。

これは、他者の起訴を判断するために、参考人として呼ばれているとも考えられますが、汚職事件等の特殊な犯罪に関しては、最初から検察に呼び出されるケースもありますので、注意が必要です。

任意出頭の際に自白すれば減刑の可能性はありますか?

自主が成立する状況であれば、減刑される可能性はあります。

例えば、「罪を自白した時点で捜査機関から犯人と疑われていた場合、自主は成立しない」等、自主が成立するには一定の要件があります。

任意出頭を求められた時点で、すでに捜査機関から犯人と疑われているケースは決して珍しくはありませんので、必ずしも自主が成立するとはいえないのが実情です。

しかし、自発的に罪を自白した事実が、量刑を判断する際に考慮される場合もあるため、自主が成立しなければ無意味というわけではありません。

地方に住んでおり、関東の警察署への任意出頭を求められたのですが、出頭拒否しても良いですか?

事件が発生した場所が遠方である場合、主にその場所を管轄区域とする警察署が管轄警察署となるため、例えば地方在住の方が関東への旅行中に事件を起こしたケース等では、居住地から離れた警察署等から連絡がくることが考えられます。

また、インターネットを利用した犯罪では、管轄が警視庁になる場合も少なくないようです。

それらのケースでは、任意出頭に応じた場合、交通費だけでもかなりの金額になることが考えられます。

そして、基本的に警察等から交通費は支給されませんので、可能であれば出頭を拒否したくなるかもしれません。

しかし、いくら遠方の管轄であっても、むやみに出頭を拒否すれば逮捕されるリスクがあることに変わりはありません。

「遠いから行きたくない」という理由で出頭を拒否するのはやめておくべきでしょう。

任意出頭の連絡がありお困りなら弁護士が力になります

任意出頭を求められたら、すぐに弁護士へご相談ください。

任意出頭は、“任意”とはいえ、拒否する際には逮捕されるリスクを考慮しなければならないため、捜査機関が有する強制力を意識しなければなりません。

かといって、大人しく出頭しても逮捕されてしまうケースもあるため、出頭すればすべてが解決するわけでもありません。

そのため、捜査機関から呼び出されれば、どのように対応すれば良いのかがわからなくても当然でしょう。

刑事事件に精通している弁護士であれば、任意出頭の呼び出しに対する対応の最善策を検討し、アドバイスすることが可能です。

また、事情聴取の際に気を付けるべきことに関する助言や、逮捕を防ぐための活動、逮捕されてしまった際の面会、そして起訴を予防するための活動ができることも、弁護士ならではのメリットであるといえます。

刑事事件は早期に対応することが重要です。出頭に関する判断を下す前に、ぜひ一度ご相談ください。

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監修 : 福岡法律事務所 所長 弁護士 谷川 聖治 弁護士法人ALG&Associates

保有資格弁護士(福岡県弁護士会所属・登録番号:41560)

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