逮捕された時の流れを図で分かりやすく解説します


自分や家族が突如逮捕されてしまった場合、どうなるのか不安に思われるかもしれません。
逮捕されてしまった場合、速やかに対応することにより、早期釈放となることもあります。
以下では、逮捕された場合の流れ等について解説いたします。
逮捕後の流れ

逮捕されたら、48時間以内に検察官に送致されます。検察官は、検察官送致から24時間以内に、勾留請求するか、釈放するかを判断します。
検察官が勾留請求した場合、裁判官が勾留質問をおこない、勾留決定するか、釈放するかを判断します。
裁判官が勾留決定した場合、検察官が勾留請求をした日から、10日間勾留されることになります。勾留は、最大10日間、延長されることもあります。
警察による逮捕・取り調べ
逮捕後、警察官は、被疑者を取調べ、身上関係の調書、事件についての弁解録取書等を作成します。
そして、警察官は、刑事訴訟法の規定に基づき、被疑者及び証拠書類等を検察官に送致します。
逮捕の種類
通常逮捕
通常逮捕とは、裁判官が発布する逮捕状に基づく逮捕です。逮捕の可否について、裁判官の事前審査を受けるということです。
現行犯逮捕
現行犯逮捕とは、現に犯罪を行っている者、または、行った直後の者に対する逮捕です。
通常逮捕と異なり、裁判官による令状は不要であり、また、捜査機関だけでなく、私人でも現行犯逮捕することができます。
緊急逮捕
緊急逮捕とは、一定の重大犯罪について、十分な嫌疑がある場合で、逮捕状の発布を待っていては、被疑者が逃亡したり、証拠隠滅されるおそれが高い場合に、逮捕状を事前に取得することなく逮捕することを言います。
緊急逮捕の場合、逮捕後、直ちに逮捕状を裁判官に請求する必要があります。
検察への送致・送検
逮捕後、48時間以内に被疑者の身柄と捜査資料が検察官に送致されます。検察官は、被疑者を取調べた上で、24時間以内に、勾留請求するか、釈放するかを判断します。
釈放されたら、在宅事件として、引き続き捜査の対象となります。
送致されない場合
刑事訴訟法246条には、警察が犯罪の捜査をしたときは、検察官に事件送致をしなければならない旨定められています。
ただし、微罪処分となれば、検察官に事件送致されません。微罪処分となるのは、検察庁が指定した一定の罪名(窃盗、暴行等)の事件であること、犯情が軽いものであること等の条件があります。
勾留
勾留は、逮捕に引き続いて行われる身柄拘束処分です。勾留されると原則10日、勾留延長されると最大20日、留置施設に留置されます。
逮捕だけで勾留されずに釈放されれば、2,3日で済みますので、勤務先に逮捕されたことが発覚せずに済むことも多いでしょう。
勾留されてしまうと、勤務先の欠勤が相当期間に及ぶことはもちろん、逮捕されたこと等を勤務先に伝えざるをえなくなることが多いでしょう。
勾留と拘留は別物です
勾留と拘留は、いずれも「こうりゅう」と読みますが、意味は異なります。
勾留は、これまで述べてきたように、捜査段階において、逮捕に引き続いて行われる身柄拘束処分です。
また、勾留されたまま起訴されると、起訴後も勾留が継続します。
起訴前、起訴後、いずれの勾留も刑罰ではありません。
それに対して、拘留は、刑事裁判の結果、刑罰として課されるもので、30日未満、刑事施設にて身体拘束されます。なお、拘留は、実務上、課されることは少ないといえます。
起訴・不起訴の決定
起訴するかどうか決定するのは、検察官です。検察官が、起訴した場合、裁判になります。
検察官が不起訴とした場合、裁判になりません。
起訴の種類
起訴には、公判請求と略式起訴があります。
公判請求は、裁判官、検察官、被告人、弁護人が出席している法廷での裁判をおこなうものです。
略式起訴は、法廷での裁判を開かず、書面審理のみで被告人に罰金を課す手続きです。
不起訴の種類
不起訴は、法務省の事件事務規定によれば、20種類あります。実務上、不起訴の理由として多いのは、起訴猶予、嫌疑不十分等です。
起訴猶予(処分保留)とは
起訴猶予は、犯罪の成立は証拠上明らかであっても、被疑者の性格、年齢及び境遇、犯罪の軽重及び情状並びに犯罪後の情状を考慮して、検察官が起訴しないことを決定することを言います。
例えば、被害者と示談が成立した場合に起訴猶予となることが多いでしょう。
起訴後、保釈されるには
裁判所が保釈を許可するか否かで、一番重視するのは、保釈した場合、証拠隠滅のおそれがどれ程あるか という点でしょう。
証拠隠滅されると、適正な裁判が実現できなくなると考えられるからです。
ですので、保釈請求の際には、証拠隠滅のおそれが低い事案であることを説得的に主張することが重要です。
身元引受人の有無も重要ではあるのですが、あくまで、証拠隠滅のおそれの有無、程度に比べると、重要性は落ちるでしょう。
証拠隠滅のおそれが高いと判断される事案では、いくらしっかりした身元引受人がいたとしても、保釈が許可されるのは困難だと思われます。
起訴後の勾留について
起訴前の被疑者段階で勾留された状態で起訴された場合、引き続き、起訴後も勾留されます。
起訴後の勾留期間は、2か月ですが、その後、1か月ごとに更新可能です。
そして、1か月ごとの更新は、裁判が終了するまで続くでしょう。
刑事裁判
刑事裁判は、公開の法廷でおこなわれるもの、書面審理でおこなわれるものがあります。
日本の刑事裁判の有罪率は99%を超えています。
逮捕後72時間以内の弁護活動が運命を左右します
刑事弁護に強い弁護士が迅速に対応いたします。
逮捕直後から勾留決定までは弁護士のみが面会・接見できます。ご家族でも面会できません。
有罪判決を受けた場合
有罪判決の内容が懲役刑や禁固刑といった矯正収容施設に収容することを内容とする判決であった場合、執行猶予付きの判決であるか、在宅事件か身柄事件かで、判決後が異なります。
執行猶予付きの判決であった場合、執行猶予が取り消されない限り、刑務所に行くことはありません。
実刑判決であった場合、在宅事件の場合、判決が確定しない限り、収容されることはありません。
身柄事件の場合、勾留中であれば、引き続き勾留され、保釈中の場合、実刑判決により、保釈の効力が無くなり、勾留されることになります。
実刑判決とは
刑罰には、例えば、罰金刑、懲役刑、禁固刑とあります。
実刑判決となると、罰金刑なら罰金額を支払う義務が生じ、懲役刑、禁固刑なら、一定期間、矯正収容施設に収容されるということになります。
執行猶予付判決とは
執行猶予付き判決は、裁判所が定めた執行猶予期間について、執行猶予を取り消されることなく過ごせば、判決で言い渡された、刑罰を受けなくてもよくなる判決です。
懲役刑や禁固刑であれば、執行猶予付きの判決であれば、執行猶予が取り消されない限り、実際には刑務所に行かなくても済みますので、執行猶予付きの判決となるか否かは、極めて重要です。
なお、実務上、罰金刑について、執行猶予付判決となることは、ほぼありません。
逮捕後、早期に釈放されるためには
逮捕後、勾留されずに釈放されると、逮捕から2~3日で釈放されます。逆に、勾留されると、逮捕から2~3日に加え、10日間~20日間、留置施設に収容されたままとなる可能性が高まります。
逮捕から2~3日程度であれば、逮捕されたことを職場に伝えなくて済むということも多々ありますが、逮捕からさらに10日間拘束された場合、職場に伝えずに済むということは困難なのではないでしょうか。
早期に釈放されることによって、逮捕されたことを職場に知られないまま、職場復帰できることは、早期釈放の大きなメリットの1つです。
いかに早く弁護士へ依頼できるかがポイント
逮捕されてしまった場合、早期釈放のためには、勾留されないことが重要です。弁護士に依頼すれば、逮捕された被疑者のために、検察庁、裁判所に対して、被疑者を勾留しないように交渉する活動等をすることができます。
また、勾留される前に早期に示談を成立させ、勾留を防ぐことができることもあります。
逮捕されてしまった場合、弁護士の助力を得ることは、必須と言えますので、弁護士に依頼することをお考えください。
不起訴の獲得
不起訴になれば、前科はつきませんので、不起訴処分獲得は重要です。
被害者が存在する犯罪では、被害者と示談することが、不起訴処分獲得のために重要です。
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弁護士へ依頼できるタイミング
国選弁護人と私選弁護人では、選任できる時期、選任できる対象が異なります。
⇒国選弁護人の場合
被疑者段階の場合、国選弁護人選任の要件の1つとして「勾留されていること」がありますので、勾留された以降でないと、国選弁護人が選任されることはありません。
国選弁護人は、逮捕前はもちろん、逮捕されてから勾留前の、勾留を防ぐ活動をすることはできないのです。
⇒私選弁護人の場合
私選弁護人は、逮捕後、勾留前に選任することができるため、勾留を防ぐ活動ができることは、前述しました。
また、私選弁護人であれば、逮捕前から選任することができますので、逮捕しないように警察と交渉する、逮捕前に被害者と示談する等の活動をすることもできます。
私選弁護士依頼の重要性について
被疑者段階での国選弁護人は、少なくとも、勾留された後でなければ、請求することはできません。
また、国選弁護人は、弁護士会が作成した名簿に基づいて指名されますが、どのような弁護士が国選弁護人となるかは分かりません。
刑事事件の経験がほとんど無い弁護士が国選弁護人となることもあります。
私選弁護人は、上述したように、逮捕前後を問わずに選任できますし、どの弁護士を私選弁護人として選任するかは、ご依頼様自身で選ぶことができます。
出来るだけ早く弁護士へご相談下さい
ご家族が逮捕されてしまった、自分自身が逮捕されるかもしれないといった場合、できるだけ速やかに弁護士にご相談ください。
逮捕前にご相談いただけたら、逮捕を防ぐ活動をすることにより、逮捕されることを防げるかもしれません。
逮捕直後であれば、勾留を防ぐ活動をすることにより、勾留されることを防げるかもしれません。
当然ですが、逮捕された後では、逮捕を防ぐ活動はできません。
依頼するのが早ければ早いほど、弁護士ができることも多くなるといえます。
刑事事件の疑いをかけられたら、できるだけは早めに弁護士ご相談ください。