書類送検と逮捕の違い|前科はつく?その後の流れや対処法を解説

書類送検と逮捕の違い|前科はつく?その後の流れや対処法を解説

監修
監修福岡法律事務所 所長 弁護士 谷川 聖治 弁護士法人ALG&Associates
警察署

刑事事件に関与すると、「書類送検」や「逮捕」といった言葉を耳にしますが、その違いや意味を正確に理解している方は多くありません。これらは、どちらも刑事事件における手続きですが、身柄拘束の有無やその後の流れに大きな違いがあります。

刑事事件の手続きは、想像以上に早く進んでいくため、書類送検や逮捕された場合は、早期段階から適切に対応する必要があります。

本記事では、書類送検と逮捕の違いをはじめ、前科との関係や事件後の流れ、取るべき対処法などについて、詳しく解説していきます。

書類送検と逮捕の違い

書類送検と逮捕は、主に身柄拘束の有無手続きのタイミングが異なります。

【書類送検】
警察が捜査を終えた後、被疑者の身柄を拘束せずに事件に関する書類や証拠を検察に送る手続き。

【逮捕】
逃亡や証拠隠滅のおそれがあると判断された場合に、被疑者の身柄を拘束する手続き。

身柄拘束は、身体の自由が制限される重大な手続きといえます。そのため、書類送検と逮捕では、その後の生活への影響が大きく異なりますが、いずれも早期に弁護士へ相談して適切な対応を取ることが重要です。

書類送検とは

書類送検とは、警察が捜査を終えた後、被疑者の身柄を拘束せずに捜査資料や証拠を検察に送る手続きで、在宅事件とも呼ばれます。

書類送検となるのは、比較的軽微な犯罪や被疑者に逃亡・証拠隠滅のおそれがないと判断された場合です。たとえば、万引きや軽微な暴行事件などは、書類送検される可能性が高いでしょう。

書類送検は、被疑者となった段階でも身柄拘束を受けないため、これまで通りの日常生活を送れるのが特徴の一つです。

逮捕とは

逮捕とは、犯罪の嫌疑がある人物(被疑者または容疑者)の身柄を拘束する手続きで、身柄事件とも呼ばれます。逮捕は、被疑者に逃亡や証拠隠滅のおそれがある場合に警察が逮捕状を取得して行います。

逮捕には、以下の3つの種類があります。

  • 通常逮捕
    裁判所が発布した逮捕状に基づいて行うもっとも一般的な逮捕
  • 現行犯逮捕
    犯罪が行われている最中または直後の場合に逮捕状なしで行う逮捕
  • 緊急逮捕
    重大な犯罪で逮捕状を取得する時間的余裕がない場合に一定の条件のもとで行う逮捕

逮捕は、被疑者の身体の自由を一時的に奪う重大な手続きであり、逮捕後に勾留請求がなされれば、最大で23日間の身柄拘束(勾留)を受けることになります。不当な逮捕や勾留を回避するには、早急に弁護士へ相談して対処する必要があります。

書類送検されるか・逮捕されるかの判断基準

書類送検されるか・逮捕されるかの判断基準には、主に犯罪の種類や被疑者の状況、逃亡や証拠隠滅のおそれの有無などが挙げられます。捜査機関は、これらの要素を総合的に考慮したうえで手続きをどのように進めるかを決定します。

以下では、「犯罪の種類」と「被疑者の状況」の2つの要素に注目して解説していきます。

犯罪の種類

書類送検か逮捕かを分ける要素の一つに、犯罪の種類が挙げられます。

たとえば、大規模な詐欺事件や組織的犯罪では、証拠隠滅や共犯者との口裏合わせのリスクが高いと考えられるため、逮捕される可能性が高いです。

また、性犯罪や傷害事件などは、被害者の保護や再犯防止の観点から、被疑者の身柄拘束が必要と判断されることが多いです。一方で、万引きや軽微な交通違反など、法定刑が科料や罰金程度の軽い犯罪では、身柄拘束の必要性が低いと判断され、書類送検で済む傾向にあります。

犯罪の種類ではありませんが、否認事件(被疑者が容疑を認めない)の場合は、逮捕される可能性が高まります。証拠隠滅や逃亡のおそれがあると判断されるからです。

被疑者の状況

刑事事件では、被疑者の生活状況や過去の行動、社会的信用度なども、書類送検か逮捕かを判断する際の要素とされています。

書類送検または逮捕と判断されやすい状況は、それぞれ以下のとおりです。

書類送検と判断されやすい状況

  • 社会的地位が安定している場合
  • 反省の態度がみられる場合

逮捕と判断されやすい状況

  • 住所不定、連絡先不明の場合
  • 犯罪を繰り返している場合(常習性が認められる)
  • 容疑を否認している場合

反省の態度を示していれば、必ず書類送検になるわけではありません。しかし、「自発的に被害者との示談を進めている」「供述に一貫性がある」などの誠実な対応がみられると、逮捕の必要性が低いと判断されることがあります。

書類送検や逮捕をされると前科がつく?

前科は、書類送検や逮捕をされた段階ではまだつかず、検察官に起訴されて刑事裁判で有罪判決が確定した段階でつきます。書類送検や逮捕は、あくまで捜査の一環であり、刑事手続きの初期段階に過ぎません。

ただし、書類送検や逮捕をされた事実は、前歴として捜査機関のデータベースに記録されます。前歴は、捜査機関の捜査対象となった履歴ですので、捜査機関内部での情報に留まり、外部に漏れることはありません。

前科も同様に、記録・保管されるのは捜査機関と市区町村のデータベースに限られますが、前科があると資格の取得が制限されるため、就職活動に悪影響が及ぶ可能性があります。また、面接時に「前科はありますか?」と問われた際に、「ありません」と答えると、経歴詐称と判断され、不利益を受ける可能性があります。

前科と書類送検の関係については、以下のページをご覧ください。

書類送検されたら前科がつく?前科と書類送検の関係

書類送検された後に逮捕されることはある?

書類送検された後でも、検察官が「身柄拘束を行う必要がある」と判断すれば、逮捕状が請求されます。

たとえば、以下のようなケースは、書類送検後に逮捕される可能性が高いといえます。

  • 新たな証拠が見つかった
    捜査の進展により、逃亡や証拠隠滅のおそれが高まったと判断されると、逮捕状が請求される可能性があります。
  • 被疑者が呼び出しに応じない・連絡が取れない
    捜査機関の取り調べに誠実に対応しないと、逮捕の必要性が高まる可能性があります。
  • 容疑を否認している・供述に不自然な点がある
    供述の信用性が疑われると、証拠確保のために逮捕される可能性があります。

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書類送検・逮捕された後の流れ

書類送検や逮捕は、初期段階の刑事手続きであるため、その後もさまざまな手続きを踏んでいきます。その後に行われる手続きによって、最終的に前科がつくかどうかが決まります。

以下では、書類送検(在宅事件)と逮捕(身柄事件)のそれぞれの流れを解説していきます。

書類送検された後の流れ

在宅事件の流れ

書類送検の場合は、身柄拘束を伴わないため、以下のように手続きが進んでいきます。

  • 1.捜査開始
    警察が事件の捜査を行い、証拠や供述を集めます。
  • 2.書類送検
    捜査が完了すると、警察が捜査書類と証拠を検察官に送ります(送致)。
  • 3.在宅起訴
    検察が起訴・不起訴の決定を下します。在宅起訴された場合は、在宅のまま刑事裁判に進み、不起訴とされた場合は、事件終了となります。
  • 4.刑事裁判
    略式起訴や正式裁判が行われ、裁判官から有罪・無罪の判決が下されます。
  • 5.判決
    ここで有罪判決が確定した場合は、前科がつきます。

書類送検されるのは、被疑者に逮捕の必要性がないと判断された場合です。そのため、新たな証拠や余罪などが確認されなければ、起訴されても在宅起訴となる可能性が高いです。

在宅ですので、被疑者はこれまで通りの生活を送りながら、捜査機関からの呼び出しなどに対応していきます。

逮捕された後の流れ

逮捕された後の流れ

逮捕の場合は、身柄拘束を伴うため、以下のような厳格な手続きが進んでいきます。

  • 1.逮捕
    警察が逮捕状に基づき、被疑者の身柄を拘束します。
  • 2.送致
    逮捕から48時間以内に被疑者の身柄と事件の資料が検察に引き継がれます(送致)。
  • 3.勾留
    検察は送致から24時間以内に勾留請求(身柄拘束の延長)するかどうかを判断します。勾留請求がなされ、裁判官がそれを認めた場合は10日間の勾留が実行されます。勾留はさらに10日間の延長が可能なため、裁判官が認めれば、最大20日間の身柄拘束が続きます。
  • 4.起訴・不起訴の判断
    勾留期間中または勾留期間終了までに、検察官は起訴・不起訴の判断を下します。
  • 5.刑事裁判
    起訴された場合は、正式裁判または略式裁判が行われ、裁判官から有罪・無罪の判決が下されます。
  • 6.判決
    ここで有罪判決が確定した場合は、前科がつきます。

逮捕された時の流れを図で分かりやすく知りたい方は、以下のページをご参考になさってください。

逮捕された時の流れを図で分かりやすく解説します

書類送検・逮捕された場合の対処法と注意点

書類送検や逮捕は、今後の刑事処分に大きな影響を与える局面といえる段階です。ここでの対応次第では、不起訴や減刑となる可能性を高められるかもしれないからです。

そのため、以下のポイントを押さえて、冷静かつ誠実に対応することが大切です。

検察からの呼び出しや取り調べには誠実に対応する

「検察からの呼び出しを無視する」「取り調べを拒否する」などの行為は、印象を悪くさせ、逮捕や勾留のリスクを高めるため、注意が必要です。仕事などで都合が悪い場合は、日程調整を申し出ることができますが、取り調べなどは原則平日の昼間に行われます。

しかし、具体的な理由を伝え、それが正当な理由である場合には、別の日時への変更に応じてもらえます。そのため、捜査機関からの呼び出しや取り調べなどに対して、連絡をせずに欠席するような行為は控えましょう。

どうしても出席できない場合には、弁護士に依頼して代わりに対応してもらうのが有効です。特に刑事事件を得意とする弁護士であれば、円滑かつ適切に手続きを進めてもらえるため、安心して任せられます。

不起訴獲得のために示談交渉する

被害者が存在する刑事事件の場合は、被害者との示談成立が不起訴処分となる可能性を高めます。示談が成立すると、被害者の加害者(被疑者・被告人)に対する処罰感情が和らぐため、殺人事件などの重大事件を除き、「起訴の必要性が低い」と判断されやすいからです。

また、万が一起訴された場合でも、被害者との示談成立は、被告人にとって有利な情状となります。

ただし、被害者との示談成立は、決して容易ではなく、示談交渉の場を設けるのも困難となるケースが多いです。そのため、刑事事件に精通した弁護士に依頼して、適切かつ被害者の心情に配慮した交渉を行う必要があります。

起訴された場合は裁判に備える

起訴された場合は、刑事裁判に向けた準備を行う必要があります。略式起訴で罰金刑となる場合でも、金額の予測を立てて支払いの準備をしておくことが大切です。正式裁判の場合は、証拠の収集や弁護方針の計画など、専門的な対応が不可欠となります。

そのため、弁護士と連携して裁判で有利となる証拠の収集や主張の準備を進めておきましょう。そうすることで、無罪判決や減刑、執行猶予付き判決を獲得できる可能性を高められます。

また、起訴された段階でまだ被害者との示談が成立していない場合には、引き続き示談交渉を行うことが大切です。裁判官から判決が下される前に示談を成立できれば、有利な情状として考慮されます。

刑事事件に強い弁護士に相談すべき理由

刑事事件では、弁護士の存在がその後の刑事処分に大きな影響を与えます。
特に、刑事事件に強い弁護士に相談すれば、以下のような法的サポートを受けられます。

  • 早期接見
    逮捕直後は、弁護士以外の者との面会が禁止されます。この点、弁護士には接見交通権があるため、逮捕直後から接見(面会)でき、状況の確認や精神的な支援を行えます。
  • 取り調べに対する対応のアドバイス
    捜査機関の取り調べでは、供述内容によって事件の行方が左右されることがあります。弁護士は、黙秘権の使い方や適切な回答方法をアドバイスできるため、不利な供述を避けられます。
  • 勾留阻止や早期釈放の働きかけ
    逮捕後に勾留が決定した場合、最大で20日間身柄を拘束される可能性があります。弁護士であれば、勾留に対する意見書を提出するなどで、早期釈放の働きかけができます。
  • 示談交渉による不起訴獲得
    被害者との示談成立は、不起訴処分や減刑となる可能性を高めます。弁護士は、感情的な対立を回避しながら適切な条件で示談を進められます。
  • 裁判に向けた弁護戦略の立案
    裁判で有利な結果を得るためには、有利となる証拠の収集や弁護方針の構築が不可欠です。弁護士は、過去の判例や法的知識を活かして、戦略的な弁護活動を行えます。

書類送検・逮捕に関するよくある質問

書類送検や逮捕をされると会社にバレますか?

書類送検や逮捕された事実が、捜査機関から直接会社に知らされることはありません。
ただし、以下のような場合は、会社に知られる可能性があります。

  • 実名報道された場合
    ニュースやネットの記事で名前が公開されると、会社関係者に知られる可能性があります。
  • 被害者や目撃者が会社に通報した場合
    事件関係者が会社に直接連絡した場合は、会社関係者に知られる可能性が高いです。
  • 警察が職場関係者に事情聴取する場合
    会社に関連する事件の場合は、警察が証拠品の確認や事情聴取のために会社に捜査依頼をすることがあります。

書類送検であれば、有給休暇などを利用しながら取り調べに対応できますので、会社に知られずに済む可能性があります。

しかし、逮捕となれば、長期間に渡って身柄を拘束される可能性があるため、会社に言い訳ができなくなり、最終的に知られてしまう可能性があります。

書類送検された人の不起訴率はどのくらいですか?

書類送検された後の不起訴を示す統計はありませんが、検察統計調査によれば、令和6年の刑事事件全体の起訴率は約32.6%となっているため、不起訴率は約67.4%といえます。これは、検察が受理した被疑事件のうち、約3分の2が不起訴処分となっていることを意味します。

特に書類送検された事件は、比較的軽微な事案が多いため、不起訴となる傾向はさらに高いと推測されます。ただし、事件の内容や被害程度、示談の有無などによって起訴・不起訴の判断は変わるため、不起訴の獲得を目指すには、刑事事件に精通した弁護士による対応が不可欠です。

家族が逮捕されたのですが、いつ釈放されますか?

逮捕されたあとに釈放されるタイミングは、事件の内容や捜査の進み具合、そして勾留されるかどうかによって大きく変わります。釈放が認められる場合には、以下のような流れで身柄の拘束が解かれる可能性があります。

  • 勾留されなかった場合
    ➡ 逮捕から最大3日以内に釈放される可能性があります。
  • 勾留された場合
    ➡ 逮捕から最大23日以内に釈放される可能性があります。
  • 起訴された場合
    ➡ 基本的には、裁判が終わるまで身柄拘束を受ける必要がありますが、保釈請求によって釈放を求められる可能性があります。

家族が逮捕された場合は、できるだけ早く弁護士に相談することがとても重要です。弁護士は、逮捕直後から本人と面会(接見)することができ、状況の把握や精神的なサポートを行うだけでなく、釈放に向けた法的な準備や働きかけもしてくれます。早期に対応することで、勾留の回避や保釈の可能性を高めることができるため、迅速な相談が鍵となります。

書類送検や逮捕をされたら早急に弁護士法人ALGにご相談ください

書類送検や逮捕をされた場合、その後の刑事処分の判断を有利なものとするためには、早期段階から適切な弁護活動を行う必要があります。書類送検や逮捕は、刑事手続きの初期段階に過ぎず、ここで対処しなければ、前科がついて今後の生活に深刻な影響を及ぼす可能性があります。

書類送検は身柄拘束を伴いませんが、刑事事件に精通した弁護士に依頼することで、円滑かつ適切な弁護活動が可能となります。対応を弁護士にお願いできるため、これまで通りの日常生活を送りながら、不起訴処分の獲得に向けた準備ができます。

弁護士法人ALGには、刑事事件に精通した弁護士が複数名在籍しており、充実した法的サポートの提供が可能です。書類送検や逮捕をされてお困りの方は、お気軽に弁護士にご相談ください。

逮捕後72時間以内弁護活動が運命を左右します

刑事弁護に強い弁護士が迅速に対応いたします。
逮捕直後から勾留決定までは弁護士のみが面会・接見できます。ご家族でも面会できません。

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監修 : 福岡法律事務所 所長 弁護士 谷川 聖治 弁護士法人ALG&Associates

保有資格弁護士(福岡県弁護士会所属・登録番号:41560)

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