集団痴漢で逮捕されたら?単独との違いと対処法
痴漢というと、1人の男性が1人の女性に対して、突発的に行う犯罪だと思う人が多いでしょう。
しかし、インターネットで犯罪に関する情報のやり取りが行われるようになったことにより、痴漢を行いやすい場所の情報等が出回ってしまい、犯行を行う時間帯についての打ち合わせも行われるようになってしまいました。
それにより登場した、新たな犯罪の形態が集団痴漢であり、これについて以下で解説します。
目次
集団痴漢とは?
集団痴漢とは、主にインターネットで打ち合わせをした集団が、事前に決めておいた電車の車両等において、1人の女性に狙いを定め、取り囲むようにして痴漢行為に及ぶ犯行手口です。
インターネット上以外では接点のない集団によって行われる場合が多く、女性が抵抗することや、逃げ出すことが難しくなる等、悪質な手口であるため、満員電車の多い日本において問題となっています。
痴漢については、以下の記事で詳しく解説しています。
痴漢について詳しく見る痴漢による刑罰
痴漢を罰する際に成立する罪は、犯行の態様によって2種類が考えられます。それらについて、以下で解説します。
迷惑防止条例違反
迷惑防止条例は都道府県ごとに定められていますが、痴漢の中で、強制わいせつ罪が成立しない行為について違反が成立します。
主に、着衣の上から身体を触る行為等が該当します。
東京都の条例で定められている刑は、6月以下の懲役または50万円以下の罰金です。
迷惑防止条例違反については、以下の記事で詳しく解説しています。
迷惑防止条例違反について詳しく見る強制わいせつ
強制わいせつ罪は、被害者に一方的にキスをしたり、被害者の衣服の中に手を入れて直接身体に触れたりする等の行為について成立します。
衣服の上から触った場合であっても、悪質な場合には成立することがあります。
この罪を犯した者は、6月以上10年以下の懲役に処されます。
強制わいせつについては、以下の記事で詳しく解説しています
強制わいせつについて詳しく見る集団痴漢で逮捕されたら
集団痴漢によって逮捕された場合についても、他の犯罪で逮捕された場合と、基本的には同じ手続きが行われます。
しかし、単独痴漢の場合と比べると、犯行が集団によって行われているために、逮捕されやすくなる等の相違点があります。
ただし、犯罪を行っても、必ず逮捕されるわけではありません。
逃亡してしまうおそれや、証拠を隠滅するおそれがある場合等、身柄を拘束する必要がある場合にのみ逮捕されます。
集団痴漢については、そのようなリスクが高いと高確率で認定されると考えられます。
逮捕後の流れについては、以下の記事で詳しく解説しています。
逮捕後の流れについて詳しく見る釈放される可能性について
集団痴漢と単独痴漢の場合で、釈放される可能性に違いはあるのかについて、以下で解説します。
単独痴漢の場合
単独痴漢の場合、加害者が初犯である場合には、在宅事件となる場合が多いようです。
かつては、痴漢で逮捕されると身柄を長期間拘束されることが多く、特に被疑事実を認めない場合には、自白を強要されることがありました。
しかし、痴漢冤罪事件が社会問題となり、恐喝を目的として痴漢事件を捏造する者も現れたこと等から、痴漢の疑いで逮捕されても、長期間の勾留は行わないケースが増えてきていると言われています。
集団痴漢の場合
集団痴漢の場合には、すぐに在宅事件となることはなく、加害者の身柄が長期間拘束されるおそれがあります。
一般的に、共犯者が存在する場合に加害者を釈放すると、罪を軽くしたり免れたりするために、口裏合わせ等の証拠隠滅が行われるリスクがあると考えられるからです。
これらの理由から、集団痴漢の場合には、単独痴漢の場合と比べて、勾留する必要性が高いと認定されるでしょう。
また、集団痴漢の加害者を釈放すると、その中の誰かが、被害者と同じ電車に乗ってしまう等、接触するリスクがあると判断されるケースがあります。
これも、集団痴漢の加害者が釈放されにくくなる要因と考えられます。
ご家族が集団痴漢で捕まった場合、すぐに釈放されない可能性がほとんどです。
ご家族が集団痴漢を行って逮捕された場合、早期に釈放される可能性は低いでしょう。
さらに、逮捕されてから72時間は、家族であっても面会することができないのが原則であり、面会が可能になるのは、早くても逮捕の4日後となる場合が多いです。
その間に面会できるのは弁護士だけであるため、逮捕されたらすぐに弁護士へ依頼することをおすすめします。
弁護士にご依頼いただければ、自由に面会することが可能であるため、ご家族とのやり取りを行ったり、早期釈放に向けてのサポートをしたりすることが可能です。
処分に違いはあるか?
集団痴漢の場合であっても、不起訴処分や起訴猶予処分になるか、起訴されて裁判を受けるかという点については、単独痴漢の場合と同じです。
しかし、量刑を決める際には、犯行の計画性や態様の悪質性等が考慮されるため、集団痴漢の場合には、量刑が重くなることが考えられます。
可能であれば、なるべく早期に被害者との示談を成立させる等、不起訴処分や起訴猶予処分となるように取り組んでおくことが望ましいでしょう。
逮捕後72時間以内の弁護活動が運命を左右します
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逮捕直後から勾留決定までは弁護士のみが面会・接見できます。ご家族でも面会できません。
集団痴漢で早期釈放を目指すなら
集団痴漢で逮捕され、帰宅できない状態が長期間に及べば、学校や会社へ行くことができない等、生活への影響が懸念されるため、できる限り早期での釈放を求める必要があります。
しかし、集団痴漢の場合には、証拠の隠滅等が懸念され、早期に釈放される可能性は低いでしょう。
そこで、被害者との示談を成立させたり、犯行を行った電車の路線は利用しないと誓約したりする等の方法で、釈放しても問題ないと考えられる状態にすることが必要です。
被害者と示談交渉をする
性犯罪の示談金の相場は定まっておらず、個別の事情や交渉によって大きく変動します。
被害者やその家族の処罰感情が強く、お金を支払って解決することに納得してもらえない場合も少なくないからです。
集団痴漢の場合には、被害者の精神的苦痛がより大きなものになるため、お金で解決が可能なケースであっても、単独痴漢の場合よりも多くの示談金を用意する必要があると考えられます。
さらに、当然のことながら、被害者に対して心からの謝罪を行うことが大切です。
そして、再犯を防ぐための治療プログラムを受ける等、自発的な取り組みを行うことで、被害者に誠意を伝える必要があるでしょう。
弁護士ができること
痴漢で逮捕されてしまった際に、早い段階で弁護士にご依頼いただければ、会社から解雇されないように取り組むことが可能です。
痴漢で逮捕されても、会社へ連絡されるリスクは高くありませんが、長期間勾留される等により無断欠勤が続けば、それによって痴漢の事実が伝わってしまったり、解雇されたりするリスクが高まります。
集団痴漢の場合には、勾留が長期に及ぶおそれがあることから、なるべく早く示談を成立させ、不起訴処分を目指すことが重要だと考えられます。
示談交渉による不起訴獲得は弁護士へ
通常の場合、被害者の住所等は加害者には教えられず、被害者は加害者と接触することを拒むと考えられるため、加害者が自ら示談交渉を行うことは困難です。
しかし、早期に釈放されるためには、被害者との示談を成立させることが不可欠です。
また、示談の成立は、起訴されるか否か、あるいは起訴された場合の量刑にも影響を与えるため、弁護士が示談の交渉を行うことは重要なことです。
被害者との示談交渉は、ぜひ弁護士にご相談ください。
集団痴漢の逮捕でよくある質問?
集団痴漢によって逮捕された事例において、疑問に思われることが多い点について、具体的な事例を交えて以下で紹介します。
私は服の上から触りましたが、一緒に集団痴漢を行った人は下着の中まで手を入れたようです。
集団で行われた犯罪では、各々の行為の悪質さや、集団の中で果たした役割等によって、罪の重さが変わる場合があります。
集団強制わいせつ事件の事例においては、被害者に対して行ったわいせつ行為の悪質さや、被害者の相対的な処罰感情等を考慮して、加害者の各々について量刑に差を設けている事例もあることから、集団痴漢の場合であっても、わいせつ行為の悪質さが区別できるときは、量刑が変わるケースがあると考えられます。
なお、集団強姦事件の事例では、犯行手口を考案したり、仲間を引き入れてメンバーを統率したりしていた者が、特に重い罪を科された事例があるため、集団痴漢の場合であっても、同様の事情がある場合には、重い罪が科されることも考えられます。
集団痴漢のグループと居ましたが、私は触らず撮影をしました。
加害者の集団における打ち合わせに基づいて、撮影する役割を担当していた場合には、共犯と疑われる合があると考えられます。
さらに、実際に痴漢行為を行った者が強制わいせつ罪となった場合、幇助犯と疑われ、強制わいせつ罪に問われるおそれがあります。
強制わいせつ罪に問われなかったとしても、盗撮の容疑がかけられるおそれがあるでしょう。盗撮についても、痴漢と同様に迷惑防止条例違反となり、処罰されます。
盗撮については、以下の記事で詳しく解説しています。
電車内で近くに居たため一緒に逮捕されてしまったのですが、冤罪の場合どうすれば良いでしょうか。
冤罪に巻き込まれてしまった場合、どのような対応が正しいのかは、一概に断言することができません。
逃げるべきであるという説が流れた時もありましたが、逃げてしまうと、逮捕された後、長期間勾留されたり、裁判において有罪となるリスクが高くなったりするおそれがあります。
確かなことは、仮に逮捕されてしまったとしても、曖昧な発言はせずに、一貫して無実を主張することが大切だということです。
近年では、痴漢冤罪の問題が繰り返し取り上げられた影響によって、微細物鑑定やDNA鑑定等の客観的な証拠が重視されるケースも増えています。
最後まで諦めないことが肝心です。
しかし、逮捕されてしまうと、一定の時間内は家族と会うこともできなくなります。
そこで、捜査機関の圧力に負けてしまわないようにするためにも、弁護士に相談することをおすすめします。
集団痴漢で捕まったら、すぐに弁護士へご相談下さい
集団痴漢に加わって逮捕されてしまった場合には、すぐに弁護士に相談することをおすすめします。
刑事事件の弁護には、迅速な対応が必要です。
集団痴漢によって逮捕された場合には、すぐに釈放される可能性は乏しく、勾留が長期間に及ぶリスクもあるため、失業してしまう等、今後の人生に大きな影響を及ぼしてしまうかもしれません。
そのような事態を防ぐためには、早期に被害者と交渉して示談を成立させることで、身柄の拘束を解き、起訴されずに済む可能性を高める必要があります。
逮捕されてしまった際には、ぜひ弁護士にご依頼ください。
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