迷惑防止条例違反とは?行為例や罰則、逮捕された場合の流れを解説
公共の場での痴漢や盗撮は、各都道府県が定める迷惑防止条例の対象行為です。
これらの行為を行った場合は「迷惑防止条例違反」として処理され、状況次第では逮捕される可能性もあります。
迷惑防止条例は、痴漢や盗撮の他にも、法律の手が届かないさまざまな行為を規制している重要な条例です。
この記事では、迷惑防止条例違反に着目し、迷惑防止条例違反となる行為や罰則、逮捕後の流れなどについて、詳しく解説していきます。
目次
迷惑防止条例違反とは?
迷惑防止条例違反とは、各都道府県が制定する「公共の場や乗り物での迷惑行為を規制し、住民生活の平穏と公共秩序の維持を目的とする条例」に違反する行為です。
迷惑防止条例は、痴漢や盗撮行為、つきまといや嫌がらせなど、公共の場において住民の平穏な生活を脅かす迷惑行為を禁止・規制しています。
正式名称は都道府県によって異なり、東京都では「公衆に著しく迷惑をかける暴力的不良行為等の防止に関する条例」といいます。
一方、愛知県では「愛知県迷惑行為防止条例」が正式名称です。
迷惑防止条例に違反すると、逮捕されて刑事罰を科される可能性があります。
ただし、条例の内容は都道府県によって若干異なるため、違反成立時に科される刑罰の内容も異なる場合があります。
迷惑防止条例違反となる行為の具体例と罰則
迷惑防止条例違反となる行為には、次のようなものが挙げられます。
- 痴漢
- 盗撮
- つきまといなどの嫌がらせ
- 卑猥な言動
その他、「強引な客引き」「押し売り行為」「ダフ屋」なども違反行為の一例です。
なお、迷惑防止条例の内容は都道府県によって若干異なるため、違反時に科される罰則も異なる場合があります。
痴漢
東京都の迷惑防止条例では、「公共の場所又は公共の乗物において、衣服その他の身に着ける物の上から又は直接に人の身体に触れること」という行為が禁止されています。
例えば、電車内で女性の臀部を触るなどの痴漢行為は、当該規定に基づいて処罰されます。
痴漢行為の罰則は、6ヶ月以下の拘禁刑または50万円以下の罰金です。
なお、電車内の痴漢行為でも、被害者の下着の中にまで手を入れるなど悪質性が高い行為だった場合は、不同意わいせつ罪として処罰される可能性もあります。
痴漢で成立する罪や刑罰について、さらに詳しく知りたい方は以下のページをご覧ください。
痴漢は何罪に問われるのか?盗撮
東京都の迷惑防止条例では、以下のような盗撮行為を禁止しています。
第5条の1第2項
人の通常衣服で隠されている下着又は身体を、写真機その他の機器を用いて撮影し、又は撮影する目的で写真機その他の機器を差し向け、若しくは設置すること
対象となる場所・乗り物は、次のとおりです。
- 住居、便所、浴場、更衣室など、通常衣服を外す場所
- 公共の場所、公共の乗物、学校、事務所、タクシーなど、不特定多数が利用する場所や乗物
罰則は、東京都だと「1年以下の拘禁刑または100万円以下の罰金」で、常習なら「2年以下の拘禁刑または100万円以下の罰金」となります。
現在は法改正によって撮影罪が施行されたため、盗撮行為は内容に応じて撮影罪・迷惑防止条例違反のどちらかで処理されます。
盗撮で逮捕される場合については、以下のページをご覧ください。
盗撮・のぞきはどこから犯罪?つきまといなどの嫌がらせ
迷惑防止条例では、特定の者へのつきまといや待ち伏せ、連続した電話・メールなどの嫌がらせを禁止しています。
「特定の者に対して、不安や迷惑を与える行為を反復して行うこと」が処罰の対象です。
東京都の場合、罰則は「1年以下の拘禁刑または100万円以下の罰金」で、常習だと「2年以下の拘禁刑または100万円以下の罰金」となります。
常習性や悪質性が高いと、より重く判断されます。
ストーカー規制法との違いは、恋愛感情に限定されない点です。迷惑防止条例は、恨みや妬みといった悪意の感情に基づく行為全般を規制しています。
卑猥な言動
迷惑防止条例では、公共の場における痴漢・盗撮以外の“卑猥な言動”も処罰対象です。
「卑猥な言動」には、性的発言の強要や下着の色を聞く、性的な画像を見せるなどの行為が該当します。
卑猥な言動かどうかは、言動の内容や態様、被害者が羞恥心や不快感を抱いたか、といった要素を考慮し、総合的に判断されます。
冗談や軽い気持ちで行ったとしても、客観的にみて卑猥であれば処罰対象となり得るため、注意が必要です。
東京都の条例では、「50万円以下の罰金または拘留もしくは科料」の罰則が科せられます。
迷惑防止条例に違反した場合のリスク
迷惑防止条例に違反すると、主に以下のようなリスクが生じます。
- 逮捕される可能性がある
- 刑事罰が科せられ前科がつくおそれがある
- 会社を解雇される可能性がある
- 家族にバレるおそれがある
逮捕される可能性がある
警察が「逃亡や証拠隠滅のおそれがある」と判断した場合は、迷惑防止条例違反により逮捕される可能性があります。
逮捕されると、最長で23日間の身柄拘束を受けるおそれがあります。
捜査機関からの取り調べが最長3日間、その後の勾留も最長20日間に及ぶためです。
身柄を拘束されている間は、仕事や学校に行けなくなり、社会生活に大きな影響を及ぼします。リスクを最小限に抑えるには、早期段階で身柄拘束を解くことが重要です。
逮捕の種類や要件、流れについて詳しく知りたい方は、以下のページをご覧ください。
逮捕にはどんな種類がある?刑事罰が科せられ前科がつくおそれがある
起訴されて有罪判決が下された場合、刑事罰が科せられて前科がつきます。
前科は、「過去に有罪判決を受けた経歴」であり、一度つくと死ぬまで消えません。
科される刑罰の重さは関係なく、罰金刑であっても前科はつきます。
前科がつくと、資格の取得や職業が制限されたり、社会的信用を失ったりするおそれがあります。
制限の幅は刑罰の内容などによって異なりますが、医師や看護師、公務員、弁護士などは、前科がつくことで影響を受けるおそれがあるため注意が必要です。
前科が及ぼす影響について詳しく知りたい方は、以下のページをご覧ください。
前科がつく影響は?会社を解雇される可能性がある
迷惑防止条例違反が成立した場合、会社を解雇されるおそれがあります。
例えば、刑事事件を起こして前科がつくことが、会社の就業規則で解雇事由となっている場合は、会社から懲戒解雇の処分を受ける可能性があります。
会社によって処分は異なるものの、事件が知られると社内での立場や信用を大きく損なう可能性があるでしょう。
特に、痴漢や盗撮などの性犯罪は、世間の目が厳しい傾向にあります。
被害者が会社関係者の場合は、捜査の一環として事情聴取が行われるため、会社に知られる可能性も高いです。
家族にバレるおそれがある
迷惑防止条例違反で逮捕されると、ご家族の生活にも影響が及ぶ可能性があります。
突然の逮捕や捜査は、家族に強い精神的ショックを与え、日常生活や家庭環境を揺るがす大きな要因となり得ます。
勤務先や周囲に犯罪の事実が知られることで、家庭内の空気が一変するおそれもあるでしょう。
特に、性犯罪に関わる迷惑防止条例違反などは、配偶者との信頼関係が大きく損なわれ、結果として離婚に至るケースも少なくありません。
逮捕後72時間以内の弁護活動が運命を左右します
刑事弁護に強い弁護士が迅速に対応いたします。
逮捕直後から勾留決定までは弁護士のみが面会・接見できます。ご家族でも面会できません。
迷惑防止条例違反で逮捕された場合の流れ
迷惑防止条例違反で逮捕された場合は、主に次のような流れで手続きが進んでいきます。
- 1.逮捕
警察からの取り調べを受け、逮捕後48時間以内に検察に送致されます。
送致後は検察から取り調べを受け、送致後24時間以内に、検察官が勾留請求を行うかどうかの判断を下します。 - 2.勾留
検察官が裁判官に対して勾留請求を行い、請求が認められると、まず10日間の勾留(身柄拘束)が実施されます。勾留は、状況に応じてさらに10日間延長される可能性があります(最大で20日間の勾留が可能)。 - 3.起訴・不起訴の決定
検察官は、勾留が終了するまでに起訴・不起訴の決定を下します。 - 4.刑事裁判
検察官が起訴した場合は、刑事裁判が開かれます。 - 5.判決
裁判が進むと、最終的に裁判官から有罪・無罪の判決が言い渡されます。
逮捕された後の流れや保釈のタイミングなどをさらに詳しく知りたい方は、以下のページをご覧ください。
逮捕された後の流れは?迷惑防止条例違反で初犯なら不起訴になる?
違反行為を行ったのが初めてで、被害者との示談も成立しているような場合は、不起訴を獲得できる可能性があります。
示談が成立していなくても、初犯で軽微なケースであれば不起訴となる可能性があるでしょう。
犯罪歴のない初犯の場合、不起訴を獲得するためには「被害者との示談成立」や「反省・謝罪と明確な再発防止策の提示」が大きなポイントです。
ただし、初犯で軽微なケースでも、悪質性が高いと認められれば起訴される可能性は十分にあります。
起訴後の有罪率はとても高いため、拘禁刑を免れても、罰金刑は科される可能性が高いでしょう。
不起訴にしたい・前科をつけたくない方は、以下のページも併せてご覧ください。
不起訴処分とは?迷惑防止条例違反に時効はあるのか?
迷惑防止条例違反には「公訴時効」が定められており、多くのケースで3年となっています。
刑事事件における公訴時効とは、検察官が被疑者を起訴できる期限を指します。
つまり、公訴時効が過ぎると検察官は被疑者を起訴できず、原則として刑事責任も問われません。
起算点は「違反行為を行った日」となるため、違反行為から3年が経過すると、公訴時効が完成するケースが多いです。
迷惑防止条例違反をしてしまった場合の対処法
自首をする
自首とは、捜査機関に発覚する前に、自ら警察へ出頭して犯罪事実を申告する行為です。
自首が成立すると、反省していることが伝わりやすくなり、検察官や裁判官に有利に評価してもらえる可能性があります。
不起訴や執行猶予付き判決の獲得に大きくつながるケースも少なくありません。
ただし、自首の成立には、いくつかの条件を満たす必要があります。
自首をした方がよいのか判断できず不安な場合は、事前に弁護士に相談すると安心です。
必要に応じて同行を依頼すれば、適切な手続きや取り調べのサポートを受けることができます。
被害者と示談交渉する
被害者との示談成立は、不起訴獲得や減軽の可能性を高める重要な要素です。
示談交渉では、まず被害者に対して真摯に謝罪し、示談金の支払いを約束します。
また、示談金の支払いを条件に、加害者への刑事処罰を求めないことを約束してもらうのが一般的です。
早々に示談が成立すればよいですが、被害者との示談交渉は決して容易ではありません。刑事事件に詳しい弁護士に任せることで、より円滑かつ適切に進められるでしょう。
刑事事件における示談について、さらに詳しく知りたい方は、以下のページをご覧ください。
刑事事件における示談とは?早い段階で弁護士に依頼する
不当な逮捕や起訴を回避するためには、できるだけ早い段階で弁護士に依頼することが重要です。
刑事事件に詳しい弁護士であれば、迷惑防止条例違反で逮捕されても、勾留や起訴の回避に向けた弁護活動を行ってもらえます。
逮捕後は手続きが非常に早く進み、最長でも23日以内に起訴するかどうかが決まります。
弁護士への依頼はなるべく早めに行い、早期段階から法的サポートを受けることが大切です。
また、弁護士は逮捕直後から接見(面会)可能なため、すぐに弁護方針を構築してもらい、行動を起こすことができます。
迷惑防止条例違反に関するよくある質問
迷惑防止条例違反の起訴率はどのくらいですか?
迷惑防止条例違反としての起訴率は公表されていませんが、2024年の検察統計表によると、撮影罪の起訴率は約67.3%でした。
撮影罪は、盗撮行為に適用される罪であり、犯行態様によっては迷惑防止条例違反として処罰されることもあります。
なお、不同意わいせつ罪の起訴率は約34%です。不同意わいせつ罪は、痴漢行為に適用される罪であり、撮影罪と同じく迷惑防止条例違反になることもあります。
統計表のデータだけを見ると、盗撮の起訴率はやや高めですが、「被害者との示談成立」などの事情によって不起訴になるケースも少なくありません。
迷惑防止条例違反の示談金の相場はいくらですか?
迷惑防止条例違反の示談金相場は、一般的に10万~50万円程度といわれています。
痴漢行為の場合は30万~50万円程度、盗撮行為は10万~50万円程度が相場です。
犯行態様が悪質であったり、被害者の処罰感情が強かったりすると、示談金がさらに高額になることもあります。
弁護士であれば、被害者に適切な示談金額を提案し、スムーズに示談交渉を進めることができます。
一人で示談交渉を進めるのが難しい場合には、刑事事件に強い弁護士に相談するとよいでしょう。
迷惑防止条例違反で実刑になるのはどんなケースですか?
迷惑防止条例違反で実刑になりやすいのは、常習性や悪質性、前科があるケースです。
「犯罪行為を繰り返している」「盗撮写真を第三者に提供している」などの場合は、処罰の必要性が高いと判断され、実刑を受ける可能性が高まります。
たとえ初犯であっても、被害程度が大きく、反省の姿勢がない場合は、実刑判決が下されやすくなります。
実刑を回避するためには、早急に弁護士に相談し、被害者との示談交渉を優先的に行うことが大切です。
また、謝罪文を提出するなどして、反省の態度を示すことも重要となります。
迷惑防止条例違反で逮捕されないケースはありますか?
「逃亡や証拠隠滅のおそれがない」と判断された場合、逮捕されずに済む可能性があります。
逮捕は、人の身体的自由を奪う重大な手続きであり、簡単に行うことはできません。
逮捕の理由や必要性がない限り、原則行われないのが基本です。
例えば、身分を明らかにしたり、反省の姿勢を見せたりすると、「逮捕の必要性がない」と判断されやすくなります。
初犯で被害程度が軽微な場合も、逮捕されにくいでしょう。
また、被害や社会的影響が小さい場合は「微罪処分」と判断され、警察から注意や指導を受けて事件が終了となるケースもあります。
迷惑防止条例違反で実名報道されますか?
社会的関心の高い事件や被害が重大な場合は、迷惑防止条例違反でも実名報道される可能性があります。
迷惑防止条例違反は、比較的軽微な犯罪に適用されやすく、実名報道されるケースは少ないのが実情ですが、一定の条件が重なれば報道されることもあります。
実名報道されると、情報がインターネット上に残り続け、「就職活動に悪影響が及ぶ」などの不利益を受けるおそれがあるでしょう。
実名報道を阻止するには、逮捕や起訴を回避することが大切です。
弁護士に早急に弁護活動を開始してもらい、適切な対策を講じる必要があります。
迷惑防止条例違反のおそれがある場合はすぐに弁護士へご相談ください
迷惑防止条例違反に問われた場合、逮捕前・逮捕後どちらにおいても、弁護士による適切な弁護活動を進めることが重要です。
早期段階から進められれば、長期間の勾留を阻止し、不起訴獲得の可能性を高められるでしょう。
できるだけ有利な結果を得るためにも、刑事事件に詳しい弁護士に相談・依頼し、迅速に弁護活動を始めてもらうことがポイントです。
依頼が早ければ早いほど、活動できる範囲も広がるでしょう。
弁護士法人ALGには、刑事事件の知識だけでなく、豊富な経験をもつ弁護士が複数名在籍しています。
これまでの経験を活かした法的サポートの提供が可能なため、まずはお気軽にご相談ください。
