盗撮・のぞきは犯罪行為!刑罰や逮捕された場合の流れなど解説

盗撮・のぞきは犯罪行為!刑罰や逮捕された場合の流れなど解説

監修
監修福岡法律事務所 所長 弁護士 谷川 聖治 弁護士法人ALG&Associates

相手の許可や正当な理由がないのに、密かに相手を盗撮・のぞき見る行為は、れっきとした犯罪行為です。

盗撮・のぞき行為は、いくつかの法令で取り締まられているため、犯行態様によってどの法令で罰せられるかが決まります。

また、「どのような目的で」「どのような犯罪行為をしたのか」といった犯行態様次第では、その他の犯罪にも抵触するおそれがあります。

そこで本記事では、盗撮・のぞき行為に対する刑罰に着目し、刑罰内容逮捕された場合の流れなどについて、詳しく解説していきます。

盗撮・のぞきは犯罪行為となる

盗撮やのぞき見とは、一般的に「相手の許可なく相手を密かに撮影・のぞき見る行為」を指します。

ただし、この行為のすべてが盗撮・のぞき行為に該当するわけではありません。行為の内容が犯罪として認められる基準を満たした場合に限り、犯罪行為とみなされます。

基本的には、通常衣服で隠されている相手の下着や身体を撮影・のぞき見すると犯罪行為とみなされ、刑事事件へと発展していくおそれがあります。

行為が犯罪とみなされた後は、行為の内容によってどの犯罪で検挙するかが決まります。盗撮やのぞき行為は、比較的軽微な犯罪として扱われていますが、逃亡や証拠隠滅のおそれがある場合には、逮捕される可能性があります。

また、盗撮やのぞき行為のために無許可で相手の住居や公衆トイレ等に侵入した場合には、侵入行為も処罰対象となります。

盗撮やのぞき行為は、その他の犯罪にも抵触するおそれのある犯罪行為です。

盗撮・のぞきの犯罪行為に対する刑罰

盗撮・のぞき行為については、以下のような犯罪が成立する可能性があります。

  • 撮影罪(盗撮)
  • 迷惑防止条例違反(盗撮/のぞき)
  • 軽犯罪法違反(盗撮/のぞき)
  • 住居・建造物侵入罪(盗撮/のぞき)
  • 児童ポルノ禁止法違反(盗撮)

盗撮・のぞきの犯罪行為が、その他の犯罪にも抵触して罪が成立した場合、さらに重い刑罰が科せられることになります。

では、これらの罪に問われた場合にどのような刑罰を受けることになるのか、次項にて詳しく解説していきます。

①撮影罪

盗撮・のぞき行為は、撮影罪(性的姿態撮影等処罰法)が成立する可能性があります。

撮影罪とは、2023年7月13日から新しく施行された法律で、盗撮・のぞき行為の厳罰化を目的としています。

撮影罪ができるまでは、各都道府県が定める迷惑防止条例もしくは軽犯罪法違反が適用されていました。

しかし、盗撮やのぞき行為は減少せず増加傾向にあったため、撮影罪による厳罰化が図られました。

そのため、施行日以降の盗撮・のぞき行為には、撮影罪が適用されます。また、盗撮・のぞき行為が未遂に終わった場合でも、処罰の対象となります。

撮影罪の法定刑

「3年以下の拘禁刑または300万円以下の罰金」

②迷惑防止条例違反

迷惑防止条例違反は、各都道府県が独自で定めている「迷惑防止条例」に違反した際に成立します。

住民生活の平穏を守るため、公衆に著しく迷惑をかける暴力的不良行為等の防止が目的とされており、違反した場合には、以下のような刑罰が科せられます。

迷惑防止条例違反の刑罰(東京都の場合)

「1年以下の懲役または100万円以下の罰金」

なお、条例内容は各都道府県によって若干違いがあるものの、東京都を参考とする都道府県が多かったため、東京都の条例内容とあまり変わりありません。

③軽犯罪法違反

軽犯罪法違反は、比較的軽微な犯罪に適用される「軽犯罪法」に違反した際に成立します。

軽微な犯罪を取り締まることによって重大犯罪への発展防止が目的とされており、違反した場合には、以下のような刑罰が科せられます。

軽犯罪法違反の刑罰

「1日以上30日未満の拘留または1000円以上1万円未満の科料」

軽犯罪法違反は、拘留(身柄拘束)または科料(罰金)を科す法律であるため、刑罰は比較的軽いです。

迷惑防止条例違反の刑罰は、1年以下の懲役または100万円以下の罰金であるため、軽犯罪法違反の方が軽い刑罰内容であることがわかります。

④住居・建造物侵入罪

住居・建造物侵入罪とは、「正当な理由なく他人の住居や看守する建造物に侵入した際に成立する犯罪」です。

盗撮・のぞき目的での侵入は、当然正当な理由に該当しないため、盗撮・のぞき行為だけでなく侵入行為に対する刑罰も受ける必要があります。一つの犯罪行為で複数の罪が成立する場合には、より重い刑罰が科せられます。

また、住居侵入罪・建造物侵入罪の両罪は、侵入が未遂に終わっても処罰の対象となり、刑罰が科せられます。

住居・建造物侵入罪の刑罰は、以下のとおりです。

住居・建造物侵入罪の刑罰

「3年以下の懲役または10万円以下の罰金」

⑤児童ポルノ禁止法違反

児童ポルノ禁止法違反は、18歳未満の未成年者のわいせつな写真や動画等を規制し、処罰するための法律である「児童ポルノ禁止法」に違反した際に成立します。

また、児童ポルノをどのように扱ったかによって、異なる刑罰が科せられます。

児童ポルノ禁止法違反の刑罰

所持・保管:「1年以下の懲役または100万円以下の罰金」
製造:「3年以下の懲役または300万円以下の罰金」
陳列:「5年以下の懲役もしくは500万円以下の罰金または併科」 など

盗撮・のぞきでも犯罪にならないケースはある?

盗撮・のぞき行為が犯罪とみなされるのは、通常衣服で隠されている相手の下着や身体を撮影・のぞき見た場合です。

そのため、“衣服を着た状態の相手”を撮影したり、のぞき見たりした場合は、犯罪とみなされないケースが多いです。

ただし、相手の許可を得ずに執拗に盗撮やのぞき見を繰り返すような場合には、犯罪とみなされる可能性があります。

また、迷惑防止条例では「卑猥な言動」についても取り締まられているため、衣服を着た状態でも女性の胸を中心に撮影するなどの撮影態様によっては、その態様が卑猥な言動として認められ、迷惑防止条例違反に問われる可能性があります。

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盗撮・のぞきの犯罪行為で逮捕された場合の流れ

盗撮・のぞき行為で逮捕された場合は、基本的に次のような流れで手続きが進んでいきます。


  • 逮捕後、警察による取り調べを受ける
  • その後48時間以内に被疑者の身柄が検察に送致される
  • 送致後は検察の取り調べを受け、24時間以内に勾留請求を行うかどうかの判断が下される
  • 裁判官から勾留請求が認められると、はじめに10日間の勾留が行われる
    ※必要に応じて、さらに10日間の勾留が延長できる
  • 逮捕されてから最大23日間以内に、検察によって被疑者を起訴するかどうかの判断が下される

警察に逮捕されてから起訴するかどうかの判断が下されるまでは、最大で僅か23日間しかありません。刑事事件は想像以上に早いスピードで手続きが進んでいきます。

逮捕されないこともある?

そもそも被疑者を逮捕するには、逮捕の理由逮捕の必要性が認められる必要があります。

逮捕の理由
被疑者が罪を犯したことを疑うに足りる相当な理由があること

逮捕の必要性
逃亡、証拠隠滅のおそれがあること

そのため、逃亡や証拠隠滅のおそれがないと判断されれば、逮捕を回避できます。

特に、自首や被害者との示談成立は、逮捕の回避に大きくつながります。

ただし、自首を成立させるためには、捜査機関が犯人を特定する前に捜査機関に自分が罪を犯したことを申し出る必要があります。そうしなければ、自首として取り扱ってもらえません。

盗撮・のぞきによる犯罪で弁護士に依頼するメリット

盗撮・のぞき行為を弁護士に依頼すると、主に次のようなメリットを得られます。

  • 被害者との示談交渉
  • 不起訴処分の獲得に向けた弁護活動
  • 早期保釈が期待できる

これらの活動の結果次第では、刑事処分の判断の際に有利な情状として考慮されます。

たとえば、被害者との示談交渉が成立すれば、早期釈放や不起訴処分の獲得に大きく近づけるでしょう。

刑事処分を少しでも軽くするには、弁護士の力が必要不可欠といえます。

では、それぞれのメリットについて、さらに詳しく解説していきます。

被害者との示談交渉

被害者との示談交渉を弁護士に一任できる点は、弁護士に依頼する最大のメリットといえます。

事件の当事者である被害者との示談成立は、「和解」を意味するため、有利な情状として考慮されやすいです。捜査機関に逮捕される前に被害者と示談成立できれば、逮捕を回避できる可能性も高まります。

しかし、被害者やその家族の大半は、盗撮・のぞき行為をした加害者本人やその家族との接触を拒みます。被害者側から拒まれてしまうと、示談交渉は諦めざるを得ません。

弁護士であれば、被害者の心情に配慮した交渉が可能なため、被害者側が示談交渉に応じてくれやすくなります。

不起訴処分の獲得に向けた弁護活動

不起訴処分の獲得に向けた弁護活動を行ってもらえるのも、弁護士に依頼するメリットの一つです。

盗撮・のぞきで起訴されてしまうと、高い確率で有罪判決となり、前科がつく可能性があります。

前科は、社会生活上に大きな悪影響を与え、一生消えません。日本の有罪率は非常に高いため、前科を回避するには不起訴処分の獲得に向けた弁護活動を行う必要があります。

弁護士であれば、「犯行態様に悪質性や常習性が認められない」といった被疑者の有利となる情状を適切に主張・立証できるため、不起訴処分の獲得に大きく近づけます。

早期保釈が期待できる

弁護士に依頼した場合、早期保釈が期待できます。

盗撮・のぞきで逮捕されて拘留が認められると、最大で23日間の身柄拘束を受けます。その後起訴されれば、刑事裁判が終わるまで身柄拘束が続きます。

このような長期間の身柄拘束は、会社や学校から懲戒処分や退学処分を受けるリスクが大きいため、起訴後の保釈申請は重要なポイントとなります。

なお、保釈されるためには、保釈の要件を満たす必要があります。裁判所が指定する保釈保証金を支払うだけでは保釈されないため、保釈要件をきちんと理解しておくことが大切です。

盗撮・のぞきの初犯と再犯の処分の違い

盗撮・のぞき行為を「はじめて行った=初犯」か「再び行った=再犯」なのかという点は、刑事処分の判断に大きく影響します。再犯の方が、初犯よりも重い刑罰が科せられる可能性が高く、裁判官の心証も悪くなります。再犯は、さまざまな面で不利な扱いを受けやすいため、初犯と再犯の処分の違いをきちんと理解しておくことが大切です。

では、次項にてそれぞれの処分の違いについて、詳しく解説していきます。

初犯のケース

盗撮・のぞき行為が初犯である場合は、処分が軽くなる可能性が高いです。 起訴前であれば、不起訴処分を獲得できる可能性が高まり、起訴後であれば、減軽となる可能性が高まります。

なお、初犯とみなされるのに明確な基準はありませんが、主に以下の要件を満たしていれば初犯となります。

  • 刑事事件の前科前歴がなく、初めて罪を犯した場合
  • 刑事事件で初めて有罪判決が下され、刑が確定した場合(前科一犯目である場合)

ただし、初犯とみなされれば、かならず処分が軽くなるというわけではありません。

初犯でも、「悪質性が認められる」「被害範囲が広い」「余罪が複数認められる」などの場合には、重い処分が下されます。

再犯のケース

盗撮・のぞき行為が再犯である場合は、処分が重くなる可能性が高いです。

罪を繰り返した事実は不利な情状となるため、不起訴処分の獲得や減軽の実現が遠ざかります。

再犯の場合に不起訴処分の獲得や減軽を実現するには、「再犯防止プログラムの利用」や「被害者との示談成立」を行う必要があるでしょう。

これらの行動は、刑事処分の判断を行ううえで有利な情状として働きます。また、被疑者・被告人に家族がいる場合は、「カメラを持たない」「カメラに鈴を付ける」といった“盗撮が容易にできない環境づくり”を家族の協力のもとで行えれば、この点も有利な情状として働きます。

執行猶予中に盗撮・のぞきをしたケース

執行猶予期間中に盗撮・のぞき行為をした場合は、即時執行猶予が取り消され、刑罰が直ちに執行されます。

執行猶予が取り消された場合は、今回行った盗撮・のぞき行為についても、刑罰が施行されるのが基本となっています。

この場合、猶予されていた刑罰に加えて盗撮・のぞき行為で確定した刑罰が科せられます。猶予されていた刑罰と今回で確定した刑罰の合計期間刑務所へ収容されることになるでしょう。

【例】

猶予されていた刑罰
懲役3年 執行猶予5年

盗撮・のぞき行為で確定した刑罰
懲役3年


合計6年刑務所へ収容される

ただし、執行猶予中の再犯であっても、刑罰が確定するまでは刑務所に収容されません。なぜなら、禁錮刑以上の刑罰が確定するまでは執行猶予の取り消しができないからです。

盗撮・のぞきをしてしまった場合はすぐに弁護士にご相談ください

法改正により、盗撮・のぞき行為は以前よりも厳しく取り締まられるようになりました。科せられる刑罰の内容も重くなり、犯行態様次第ではさらに厳しい刑罰が科せられる可能性も高いです。

逮捕されて身柄拘束が長期化すれば、社会的信用を失い、家族の関係性も悪化してしまいます。

早期釈放や不起訴処分の獲得、減軽の実現を可能とするためには、弁護士の力が不可欠です。特に刑事事件に精通した弁護士であれば、豊富な知識と経験を活かし、充実したサポートができます。

有利な情状となる要素の主張・立証を適切に行えるため、処分を軽減できる可能性が高まります。

弁護士法人ALGには、刑事事件に精通した弁護士が多数在籍しているため、幅広いサポートが可能です。盗撮・のぞき行為をしてしまいお困りの方は、ぜひお気軽にご相談ください。

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監修

監修 : 福岡法律事務所 所長 弁護士 谷川 聖治 弁護士法人ALG&Associates

保有資格弁護士(福岡県弁護士会所属・登録番号:41560)

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