不倫の慰謝料が払えない!5つの対処法と払わない場合のリスク

不倫をしていたことが不倫相手の配偶者にばれると、慰謝料を請求される可能性があります。
慰謝料を請求されると、実際に不倫をしていた場合は支払いを逃れることはできません。
そのため、相場より高額な慰謝料を一括で支払うよう請求されたなど、無理な慰謝料額や支払い条件で合意をしないように注意が必要です。
また、払えないからと無視してしまうと裁判を起こされたり、さらに不利な条件になることもあります。
本記事では、不倫の慰謝料を請求されているものの、支払えずに困っている方に向けて、わかりやすく解説いたします。
目次
不倫の慰謝料が払えない場合の5つの対処法
慰謝料を請求されたけれども、どうしても請求された慰謝料額が支払えない場合には、次の5つの対処法が考えられます。
- 減額を交渉する
- 分割払いを交渉する
- 不倫相手に分担をしてもらう
- 親に払ってもらう
- 弁護士に相談する
次項で、それぞれ詳しく解説していきます。
①減額を交渉する
まずは、請求相手と話し合いを行って、提示された慰謝料を減額できないか交渉してみてください。
請求相手にただ「減額して欲しい」というだけでは納得しないので、次のような理由があって考慮して欲しいと真摯に伝えましょう。
納得してもらえれば減額に応じてもらえる可能性があります。
- 請求された慰謝料の金額が相場より高い
- 支払い能力がない
- 不倫した期間が短い、回数が少ない
- 不倫を誘ってきたのは相手からである
- 不倫が発覚しても婚姻関係が継続している
- 職を失った、降格させられたなど社会的制裁を受けた など
もっとも、上記のような減額されやすい事情がなくても、ご自身が真摯に反省して謝罪する姿勢を見せることで、請求相手の気持ちが緩和し、減額に応じてもらえる可能性もあります。
②分割払いを交渉する
請求された慰謝料額を支払うだけのお金がなく、請求相手に減額交渉しても応じてもらえなかった場合は、分割払いにしてもらえないか打診してみてください。
慰謝料を請求する側からすれば、分割払いを認めると支払いが滞るリスクを負います。
そのため、分割払いを認めてもらえるのであれば、強制執行認諾文言付の公正証書の作成を提案するのもひとつの手です。
強制執行認諾文言付の公正証書を作成しておくと、万が一、支払いが滞った場合には、強制執行の手続きを行って、給与や預貯金などの財産を差し押さえて回収することができますので、分割払いが滞る心配を払拭できます。
また、慰謝料全額を分割払いにするのではなく、一定の慰謝料額をまとめて支払った後に残額を分割払いにする方法を提案すると、分割払いに応じてもらいやすくなります。
③不倫相手に分担をしてもらう
不倫は、不倫をしていた当事者二人の共同不法行為となりますので、ご自身だけでなく不倫相手にも慰謝料を支払う責任があります。
よって、自己の負担分を超えて慰謝料を請求された場合は、不倫相手に超過した負担分の慰謝料を請求できる権利があります。
この超過負担分を請求する権利を求償権といいます。
例えば、不倫相手の配偶者が、ご自身だけに慰謝料全額の支払いを求めてきた場合は、求償権を行使して、不倫相手の負担割合相当分を不倫相手に支払ってもらうようにできます。
慰謝料の負担割合は、基本的に折半となりますが、不倫の関係を積極的に進めた側の割合が大きくなることもあります。
④親に払ってもらう
基本的に、慰謝料の支払義務があるのは不倫した本人だけで親や家族には慰謝料の支払義務はありません。
しかし、不倫した本人が、次のようなことを親に相談し、親が代わりに支払うことに同意すれば、親の意思によって慰謝料を支払ってもらうことは可能です。
- 不倫したこと
- 慰謝料請求されていること
- 請求されている慰謝料を支払えない事実 など
※親が慰謝料支払いの連帯保証人になっているケースは親にも支払義務があります。
⑤弁護士に相談する
慰謝料を請求された場合は、弁護士に相談して進めることをお勧めします。
弁護士に相談すれば、次のようなメリットがあると考えられます。
- 法的に妥当な慰謝料相場を知ることができる
- ご自身のみでは対応が難しい減額や分割払いの交渉について的確なアドバイスが受けられる
- 最適な解決方法を提案してもらえる
- 複雑に揉める前に解決できる可能性が高まる
- 今後起こり得るトラブルを未然に防げる など
請求された慰謝料を支払えずに困っている方のなかには、弁護士に相談すると費用がかかることを懸念している方もいらっしゃるかと思います。
しかし、弁護士のなかには、初回の相談料は無料としているケースも多くありますので、無料相談を利用しながら弁護士に相談するのが有用です。
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不倫慰謝料が払えない場合に確認すべきこと
不倫の慰謝料を請求されて、支払えない場合に確認すべきことがあります。
具体的には、次のような場合が考えられます。
- そもそも不倫慰謝料を払う必要があるのか
- 慰謝料請求は誰から送られてきたか
- 請求された不倫慰謝料が相場より高くはないか
次項で、それぞれ詳しく解説していきます。
そもそも不倫慰謝料を払う必要があるのか
不倫の慰謝料請求をされて支払義務が生じるのは、「不貞行為」があったときです。
「不貞行為」とは、夫婦間の貞操義務に反して、配偶者以外の者と肉体関係を持つことを指します。
そして、肉体関係を持つにあたって、既婚者であることを知っていた(故意)、あるいは、既婚者であることを気付ける状況にあったにもかかわらずに知らずにいた(過失)場合に慰謝料の請求ができます。
よって、不倫の慰謝料を請求されても支払わなくていいケースもあります。
具体的には、次のようなケースです。
- 肉体関係を持っていない、あるいは性交類似行為がない
- 既婚者だと知らなかった、または知らないことに過失がなかった
- 不倫をしたときに、すでに夫婦関係が破綻していた
- 時効が成立している
- すでに十分な慰謝料を支払っている など
不倫の慰謝料を請求するための条件については、下記ページでさらに詳しく解説しますので、ぜひご覧ください。
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慰謝料請求は誰から送られてきたか
通常、慰謝料請求する際は、内容証明郵便の書面が送られてくることが多いです。
まず、内容証明郵便の差出人が誰なのか確認してください。
考えられるのは、次の3つのパターンです。
- 慰謝料請求する本人
- 行政書士や司法書士
- 弁護士
慰謝料請求する本人が差出人の場合は、弁護士や司法書士などの専門家に相談せずに請求しているため、内容が大変感情的な文章になっていることが多いです。
感情的になっている相手と争うと、事態はさらに悪化しますので「相手は何を要求しているのか」を冷静に判断して対処するのが有用です。
行政書士や司法書士が差出人の場合、行政書士や司法書士には本人を代理して交渉することはできないため、慰謝料請求に関して真剣だけれども、裁判所の手続きに発展させるつもりはなく、交渉での解決を望んでいるという、請求者本人の意思が読み取れます。
迅速かつ誠意ある対応をすれば、減額や分割払いなどの交渉に応じてもらえる可能性があります。
差出人が弁護士の場合は、請求相手は、確実に慰謝料を受け取りたいという強い意思があり、裁判所の手続きに発展するのも辞さない姿勢を示している可能性が高いといえます。
交渉を得意とする弁護士に対して、ご自身が有利になるように直接交渉するのはハードルが高いですので、ご自身も弁護士に相談、依頼して交渉することをお勧めします。
請求された不倫慰謝料が相場より高くはないか
慰謝料請求は、請求相手が一方的に金額を決めて請求できるため、慰謝料を相場より高めに設定して請求しているケースが多く見受けられます。
まずは請求された慰謝料額を確認してください。
不倫の慰謝料相場は、不倫が原因で離婚したかどうかで異なり、次表が相場となります。
離婚した場合 | 200万円~300万円程度 |
---|---|
離婚しなかった場合 | 50万円~100万円程度 |
慰謝料の請求額が相場より高い場合は、減額交渉してみましょう。
そのほかにも、不倫期間が短い、回数が少ない、相手夫婦の婚姻期間が短いなどの事情は、通常より被った精神的苦痛は小さいと評価されて減額事由になりますので、減額交渉の材料になり得ます。
不倫の慰謝料を払えないからと無視した場合のリスク
不倫の慰謝料請求をされたけれども、慰謝料を払えないため、踏み倒せるのではないか、支払いから逃げることができるのではないかと考えて、無視してしまうと、次のようなリスクがあります。
- 相手が感情的な行動に出る可能性がある
- 強制執行の可能性がある
- 裁判に発展する可能性がある
次項で、それぞれ詳しく解説していきます。
相手が感情的な行動に出る可能性がある
慰謝料の請求相手は、不倫をされた時点で、すでに怒りや悲しみを抱えている状態です。
そのうえで、慰謝料の支払いを無視されると、怒りに拍車がかかり、思わぬ行動に出る可能性があります。
例えば、職場を訪ねてくる、不倫した事実を親族や知人に流布する、自宅に押しかけてくるなどです。
職場の人や親族、知人に不倫を知られると、ご自身に対する信頼がなくなり、社会的評価が低くなるおそれがあります。
また、自宅に押しかけられて警察沙汰になって大ごとになるおそれもあります。
強制執行の可能性がある
慰謝料の支払いに関して合意した際に強制執行認諾文言付きの公正証書を作成した場合や、調停や裁判など裁判所の手続きで慰謝料の支払いが確定した場合に、慰謝料を支払わないでいると、請求相手から強制執行の手続きを行われて、給与や預貯金などの財産を強制的に差し押さえられるおそれがあります。
給与の差し押さえは、手取り給与(税金などを控除した残額)の4分の1まで差し押さえることができ、慰謝料の金額に達するまで差し押さえが継続します。
また、職場の人にも慰謝料トラブルを抱えていることが知られてしまいます。
裁判に発展する可能性がある
請求相手が慰謝料を請求したにもかかわらず、無視すると、裁判を提起してくる可能性があります。
裁判を提起された場合には、訴状が自宅に届きますが、訴状が届いたにもかかわらず、また放っておくと、請求相手の言い分を全面的に認めたことになり、相手方の言い分通りの判決が下されます。
判決が確定すると、請求相手から強制執行の手続きが行われて、財産を強制的に差し押さえられてしまいます。
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不倫慰謝料が払えない場合のよくある質問
不倫で退職し無職になったのですが慰謝料を払えない理由になりますか?
無職を理由に慰謝料の支払い義務はなくなりません。不倫をした以上は無職であっても責任を取らなければいけません。
しかし、現実的に無職で収入がない場合、相手方も慰謝料の支払いを期待できずあきらめざるを得ない状況となることはあり得ます。
また、相手方からすると、慰謝料を払ってもらえない状況にあるので、相手に無職である事実を伝えることで、減額の交渉をするか分割払いの交渉に応じてくれる可能性があります。
シングルマザーのため慰謝料を払えない場合は免除されることはありますか?
シングルマザーという理由や、お金がないので払えないという理由では、慰謝料は免除されません。
慰謝料の請求をされたにも関わらず、無視をして払わないでいると、裁判を申し立てられる可能性もあります。
強制執行の手続きで給与を差し押さえられると、勤務先にあなたが慰謝料トラブルを抱えていることを知られることにもなります。
まずは相手にシングルマザーである状況やお金がないことを真摯に伝え、減額の交渉をするか分割払いの交渉をしてみましょう。
不倫の慰謝料を払わない方法はありますか?
不倫の慰謝料を請求されても払わないでいいケースもあります。
具体的には、肉体関係がなかった場合や既婚者だと知らなかった・知らないことにも過失がなかった場合、不倫をした時点ですでに請求者の夫婦関係が破綻していた場合、すでに時効が成立している場合などは、慰謝料を払わなくて済みます。
また、不倫相手が慰謝料全額をすでに支払っている場合も、慰謝料の二重取りはできませんので、ご自身は慰謝料を支払う必要はありません。
上記のいずれかに該当する場合は、請求相手に慰謝料を支払う事情がないことを丁寧に伝えてみてください。
不倫の慰謝料を払えない場合、親に請求されますか?
ご自身で不倫の慰謝料を払えなかったとしても、親に請求がいくことはありません。
不倫した責任はあくまでも不倫をした当事者が取るもので、親には関係がないためです。
ただし、例外的に、慰謝料の支払いについて親が連帯保証人になっている場合は親に慰謝料請求がされてしまいます。
また、親が不倫を積極的に助長していたような事情がある場合も、親も共同不法行為者として不倫慰謝料の責任を負う可能性があります。
不倫慰謝料の追加請求をされましたがこれ以上は払えない場合、拒否することはできますか?
拒否できるかどうかは、ケースバイケースといえます。
例えば、一度合意したにもかかわらず、その後も不倫関係を継続していた場合や、口頭で合意してしまった場合は追加で慰謝料を支払わなければならない可能性があります。
しかし、清算条項を入れた示談書や公正証書を作成している場合は、両者が合意のうえで解決したものと主張することができるため、追加請求されても慰謝料を支払う必要はありません。
清算条項とは、合意時の不倫行為に対して、これ以上お互いに慰謝料を請求したり、請求されたりしないことを確認するものです。
慰謝料を支払ったにもかかわらず、慰謝料を追加で支払う必要が生じてしまわないように、清算条項を入れた示談書や公正証書をきちんと作成するようにしてください。
借金してでも慰謝料を払えと不倫相手の配偶者から言われました。金融機関などから借金をしてまで払うべきですか?
借金を強制する法律はありませんので、請求相手から「借金してでも慰謝料を払え」と言われても借金することが嫌であれば拒否できます。
借金をして一括で慰謝料を支払うことで、短期間で問題を解決でき、請求相手との関わりをなくすこともできるのは最大の利点だと考えられます。
一方で、借金をして慰謝料を支払うと、借金には利息が発生するので、通常の慰謝料に加えて利息分を返済しなければなりません。
返済期間が長ければ長いほど、支払う利息金は高額になり、返済すべき金額はどんどん膨らんでいきます。
仮に返済を滞納してしまうと、遅延損害金が発生するうえ、信用情報機関のブラックリストに登録されてしまうおそれもあります。
そのようなリスクがあることを考慮して、どのように慰謝料を支払うかは慎重に検討するべきです。
借金が多く自己破産を考えています。自己破産をした場合でも不倫慰謝料は支払わなければいけませんか?
裁判所に自己破産を申し立てて、免責許可を受けることができれば、税金の支払いといった一部を除いて、基本的に債務の返済は免除されます。
この債務の返済の免除には、慰謝料の支払義務も含まれます。
ただし、「破産者が悪意で加えた不法行為に基づく損害賠償請求権」や「破産者が故意または重大な過失により加えた人の生命又は身体を害する不法行為に基づく損害賠償請求権」であれば、非免責債権となります。
非免責債権とは、たとえ破産者が免責を受けても支払い義務が残る債権をいいます。
不倫したご自身の行為が、上記の不法行為にあてはまる場合は、たとえ自己破産をしても慰謝料は免責されず、請求されることになります。
不倫慰謝料が払えない場合は放置せずに、すぐに弁護士にご相談ください
不倫の慰謝料を請求された場合、踏み倒したり放置したりすることはかえって事態を悪化させてしまう危険があります。
不倫の慰謝料を請求されて支払いができなくて困っている方は、すぐに弁護士にご相談ください。
状況によっては慰謝料を支払わないでよい場合もありますし、請求された慰謝料を減額できる場合もあります。
不倫の慰謝料を請求された方は、まずは弁護士法人ALGにお問い合わせください。
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保有資格 弁護士(福岡県弁護士会所属・登録番号:41560)