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子供を連れて別居|子供に与える影響や扶養などの手続きについて

子供に与える影響や扶養などの手続きについて

夫婦の関係が悪くなってしまった時、別居を考える方もいらっしゃることでしょう。お子さんがいるご家庭では、子供の存在が最も気がかりなのではないでしょうか。しかし、相手の同意なく子供を連れて別居した場合、子供の連れ去りと判断される場合もありますので注意が必要です。

この記事では、子供を連れた別居に着目し、別居が子供に与える影響や、子供の連れ去りとならないよう注意点などを解説していきます。

別居に関するお悩みは弁護士にご相談ください

別居が子供に与える影響

別居が子供に与える影響は以下の3つが考えられます。

  • ①子供が精神的に不安定になる
  • ②大人の顔色ばかり窺う
  • ③引きこもりなどになりやすくなる

次項ではそれぞれについて解説していきます。

子供が精神的に不安定になる

急に片親がいなくなるわけですから、子供は不安に感じうつ病などを発症する可能性もあります。
もしかしたら、別居後に、子供は家庭で安らげなくなり、常に緊張状態になってしまうかもしれません。親に対し、疑心暗鬼になってしまい、「今度は自分が捨てられるのでは」と不安な生活を送るようになることもあります。

大人の顔色ばかり窺う

不安な気持ちから、大人の顔色をうかがう子供になってしまう可能性もあります。
顔色をうかがうのは、両親だけではありません。家庭での出来事の影響は学校生活や日常生活にも現れるため、ほかの大人の顔色をうかがい、おどおどとした態度になりやすくなる可能性もあります。
子供はいい子にしていようという気持ちが働くため、ストレスをため込みやすくなります。

引きこもりなどになりやすくなる

なんでも我慢してしまうことにより、自分の殻に閉じこもり、引きこもりになってしまう可能性もあるでしょう。
引きこもりだけでなく、反動で不良行為を行う子供もいます。

なんでも我慢してしまう場合、家庭ではなく友人などのグループに心の癒しを求めるでしょう。
そのグループが悪いグループだった場合、仲間と一緒に不良行為をしてしまう危険性もあります。

別居する際の子供の扶養について

両親が別居をした場合、税制上・社会保険上において、子供はどちらの扶養に入り、扶養控除が適用されるのでしょうか。子供を扶養対象とするためには、それぞれ以下のような条件があります。

【税制上の扶養】
単に別居しただけで、税制上の扶養控除は外れず、子供が両親のどちらと生計を一にしているかがポイントとなります。ただし、所得税の控除を受けるためには、子供の年齢が16歳以上であることが必要です。その他にも、子供の年収要件などがあります。

【健康保険上の扶養】
健康保険の扶養は、別居の実態に即して判断されます。
別居時の扶養が認められるためには、子供に一定額の送金していることなどが条件となります。

なお、別居中の夫婦それぞれが会社の健康保険に加入し、送金等により夫婦双方が子供を扶養していと認められた場合、子供をどちらの被扶養者とするかについては、主に以下の基準があります。

(1) 被扶養者とすべき者の員数にかかわらず、被保険者の年間収入(過去の収入、現時点の収入、将来の収入等から今後1年間の収入を見込んだものとする。)が多い方の被扶養者とする。

(2) 夫婦双方の年間収入の差額が年間収入の多い方の1割以内である場合は、被扶養者の地位の安定を図るため、届出により、主として生計を維持する者の被扶養者とする。

(参照・令和03年04月30日保国発第430001号保発第430002号)

子供の扶養を妻へ変更する手続き

社会保険を夫から妻へ変更する手続きは以下のとおりです。

①夫は異動届を提出し、資格喪失証明書の発行を受ける
夫は会社で健康保険被保険者異動届を提出します。この届を提出することによって、妻や子供が扶養から外れて、夫の会社の健康保険を使用することができなくなります。また、扶養から外れた妻子または子は速やかに健康保険証を返却する必要があります。
②妻の社会保険(健康保険)に加入する
新たに妻の社会保険に加入する際は夫の会社から取り寄せた資格喪失証明書が必要です。

【夫が協力してくれないとき】
上記のように子供を妻の社会保険に加入させたいときは「資格喪失証明書」が必要となります。そのような時には、夫に書類を用意してもらう必要があります。
しかし、夫が協力をしてくれない場合は各保険者(健康保険組合等)の判断に委ねられています。
そのため、夫の協力がどうしても得られない場合は、保険者に相談してみましょう。

無断で子供を連れて別居をするのは違法になる?

無断で子供を連れて別居してしまうと、連れ去り別居となる可能性があります。
「連れ去り別居」とは、配偶者のどちらかが、相手の同意なく、子供を連れて勝手に別居してしまうことで、違法になる場合もあります。
次項で解説していきます。

違法となる可能性のあるケース

「連れ去り別居」が違法な連れ去りと判断されるケースとして、具体的には以下のような事例があります。

  • 保育園や小学校から相手に無断で子供連れ出した
  • 子供を待ち伏せて連れ去り別居を強行した
  • 面会交流後、子供を監護親の元に帰さない

このような行為をおこなうと、違法として、未成年者略取罪に該当し、刑事罰に問われる可能性もあります。
また、刑事手続きとは別に、違法な連れ去り行為だと家庭裁判所が判断すれば、連れ去り別居を強行した側について、監護者、親権者としての適格がないと判断されてしまうこともあります。その場の感情で、子供を連れ去ることはせず、子供を相手方から引き離したい場合は、弁護士などの専門家にまず相談し行動した方が良いでしょう。

違法にならないケース

次のようなケースであれば、両親が合意していなくても違法ではないと判断されることもあります。

  • 子供に対する虐待があった
  • 配偶者にDVをしていて子供への影響が懸念されていた

つまり、子供の生命身体等に危険が生じ得る場合には、違法ではないと判断されることがあります。
相手が連れ去り別居をした際に、あなたからDVを受けていたことを主張される可能性もあります。その場合は、その主張が虚偽であることを強く主張する必要があります。

連れ去り別居や別居後に子供を連れ去られてしまった場合の対処法

連れ去り別居や、別居後に子供を連れ去られてしまった場合の対処法として以下のような方法が挙げられます。

  • ①監護者指定・子の引き渡し審判
  • ②審判前の保全処分
  • ③人身保護請求

次項では、それぞれについて詳しく解説していきます。

監護者指定・子の引き渡し審判

監護者指定審判は、離婚した夫婦や別居中の夫婦の間で、子供の監護者を定める裁判手続きです。
調停を申立てることもできますが、事件の性質上、迅速な解決が望まれること、当事者が激しく対立することが多いことから、実務上は、審判を申し立て、家庭裁判所の審判官にどちらが監護者にふさわしいか判断してもらうことが多いと言えます。
これまでの監護実績、今後の監護計画や監護体制、経済状況、監護補助の有無、子供の意思など、さまざまな要素を総合的に考慮して、子の福祉の観点から、どちらが適切な監護者であるか判断されます。

審判前の保全処分

審判前の保全処分とは、権利の対象を仮に確保することなどを求める手続きのことをいいます。裁判所が行う審判の確定まで待っていると、権利の実現が事実上困難となってしまう場合に備えて、この審判前の保全処分を申し立てます。

子供をすぐに相手方から取り戻したいというケースで申し立てする「監護者指定・子の引き渡し審判」は、通常、裁判所の決定が出るまでに数ヶ月かかる手続きです。
緊急を要する場合、裁判所の決定を待っている間に子供が適切な監護を受けられず、心身に重大な危険が生じてしまうようなケースもあるでしょう。
そのような場合に審判前の保全処分を申し立てします。申立てが認められれば、家庭裁判所が仮に子供の引き渡しを命じてくれます。

人身保護請求

人身保護請求とは、法律上の正当な手続きを取らないで、身体の自由を拘束されている者が救済を求めるものです。人身保護請求は拘束に顕著な違法性がある場合のみ、救済のために必要な処分が認められることになっています。

過去の判例では、顕著な違法性があるかについて、以下のような判断を示しています。

  • 共同親権者による拘束の場合、拘束者が子を監護することが、請求者による監護に比して子の福祉に反することが明白であることを要する
  • 非親権者・非監護者による子の拘束は、原則として違法性が顕著な場合に該当する

別居中の子供との面会について

面会交流とは、離婚後や別居中に子供と同居していない方の親と子供が面会を含む親子としての交流を行うことです。
面会交流は子供の健全な育成のために必要不可欠と考えられており、別居中であっても子の権利として行うべきだとされています。

面会交流については以下のリンクで詳しく解説しています。ご参考ください。

子供のための面会交流を実現したい方へ

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別居の際に話し合うべき子供に関すること

別居の際に話し合うべき子供に関することは以下のとおりです。

  • ①離婚した場合の親権について
  • ②別居中の婚姻費用について

次項では、それぞれについて解説していきます。

離婚した場合の親権について

別居後離婚を想定している場合は、親権についても話し合っておきましょう。

日本では、従前は母親が親権を持つ場合が多く見られましたが、現在では父親が親権を持つケースも増えています。
親権を決めるうえで大事なのは、親が「親権を持ちたい」という気持ちではなく、「どちらと一緒に暮らす方が子供にとって幸せか」ということです。

子供に「どちらと一緒に暮らしたいか?」と聞きたくなると思いますが、聞かれた子供はショックを受けてしまうかもしれません。聞く場合はタイミングに注意しましょう。

離婚後の親権については以下のリンクで詳しく解説しています。ご参考ください。

別居中の婚姻費用について

婚姻費用とは、夫婦が婚姻生活を維持するために必要な費用のことをいいます。
民法第752条は、「夫婦は同居し、互いに協力し扶助しなければならない」と定めています。そのため、夫婦は互いに扶助する必要があるため、婚姻費用を分担しなければなりません。もちろん、別居や離婚に向けた話し合いをしていても、互いに生活を保持する必要があり、婚姻を継続している間は収入の多い方が、少ない方に対して金銭を支払うこととなります。

婚姻費用については以下のリンクで詳しく解説しています。ご参考ください。

別居の際に子供に対してすべきこと

別居や離婚に踏み切る前に子供のケアを忘れてはいけません。
そのために伝えるべきことは以下のとおりです。

  • ①子供のことを愛していると伝えること
  • ②別居は誰のせいでもないこと
  • ③別居の理由を説明すること
  • ④子供との時間を作ること

次項ではそれぞれについて詳しく解説していきます。

子供のことを愛していると伝えること

大事なことは、両親ともに子供が大好きだと伝えてあげることです。
子供と暮らせない親も子供が嫌いになったわけではないと伝えないと、子供は「嫌われたのかも」と思ってしまいます。

そして、別居していても親はいつまでも子供の親だということを伝えてあげましょう。会いたくなったら、できる限り会えるようにしてあげることも大事です。

別居は誰のせいでもないこと

子供は、別居は自分のせいだと思って罪悪感を抱くケースもあります。そのようなことにならないためにも、別居は誰のせいでもないこと、特に子供のせいではないことを伝えてあげましょう。

また、別居中に配偶者の悪口を言うことはやめましょう。

別居の理由を説明すること

曖昧にしがちな別居理由ですが、子供は真実を知りたがっています。
難しいから、と避けてしまわず子供に伝わりやすい言葉で伝えてあげましょう。

すぐに話すことは辛い状況もあるかもしれません。その場合は落ち着いたら子供に話をしてあげましょう。

子供との時間を作ること

別居したからといって、忙しさを理由に子供との交流を減らさないようにしましょう。
別居したからこそ、子供の不安を取り除く努力が必要です。できる限り一緒にいる工夫をしてください。

子供は、親が別居で忙しく、構ってもらえないとわかっています。うちの子は手がかからず、お利口だとは思わず、子供は我慢をしていると理解してあげましょう。

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子供と別居する際によくある質問

子供と別居する際によくある質問に答えていきます。

子供が別居中の面会交流をしたくないと言った場合はしなくてもいいですか?

相手に会うことが子供の健やかな成長を妨げる場合、面会交流を拒否したり、制限したりすることができます。
例えば、

  • 暴力をふるう
  • 子供を連れ去るおそれがある
  • 子供が会いたがらない
  • 面会交流をすると子供が不安定になる

といった事情がある場合は、面会交流を間接的なものに制限したり、拒否したりすることができます。

家庭内別居と別居ではどちらのほうが子供への影響が少ないですか?

家庭内別居では、学校などを変えなくて済むというメリットもありますが、子供は両親の不仲を目の当たりにし続けるというデメリットもあります。
一概には言えませんが、離婚を考えているのなら子供のことを考えると、別居の方が良いこともあるでしょう。

子供を連れて別居をする場合は弁護士にご相談ください

両親の別居は子供にとって大きな負担となりますが、別居を決意した親側もまた不安な気持ちでいっぱいなのではないでしょうか。

私たち弁護士法人ALGには、離婚問題や夫婦問題に詳しい弁護士が多数在籍しています。
あなたの悩みや望みを丁寧にヒアリングし、アドバイスしていきます。
また、別居期間を経て離婚をお考えの方の中には、どのくらい別居したらよいのか、離婚の話し合いをどのように切り出したらよいのか、悩まれている方もいらっしゃるのではないでしょうか。弁護士はいつでもあなたの味方ですので、子供を連れた別居にお悩みの際は私たちにご相談ください。

 

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弁護士法人ALG 執行役員 弁護士 谷川 聖治
監修 :弁護士 谷川 聖治 弁護士法人ALG&Associates執行役員

保有資格 弁護士(東京弁護士会所属・登録番号:41560)

東京弁護士会所属。私たちは、弁護士名、スタッフ名(司法書士1名を含む)を擁し()、東京、宇都宮、埼玉、千葉、横浜、名古屋、神戸、姫路、大阪、福岡、バンコクの11拠点を構え、全国のお客様のリーガルニーズに迅速に応対することを可能としております。