刑事事件の手続きの流れ|逮捕から起訴/不起訴・判決まで
何らかの罪を犯した場合、その犯罪事実が捜査機関に認知されると、刑事事件として事件化します。
刑事事件の手続きに対して、多くの方が「犯人はすぐに逮捕して有罪にするべきだ」という考えをもたれていますが、刑事事件の手続きの流れは、法律によって厳格に定められています。
なぜなら、判決が確定するまでは被疑者を無罪と推定し、被疑者の人権を侵害するような捜査を行ってはならないとされているからです。
そこで本記事では、刑事事件の手続きの流れについて着目し、各手続きの内容を流れに沿って詳しく解説していきます。
目次
刑事事件手続きの流れ(フローチャート)|事件発生・逮捕~起訴・判決まで
刑事事件の手続きは、主に捜査・起訴・公判手続(裁判)の3段階にわかれています。
これらは、「犯人と犯罪の事実を明らかにして科すべき刑罰を定める」ために必要な手続きとされています。
刑事事件は、主に次のような流れで進んでいきます。
- 事件発生
- 1.警察による捜査・逮捕
- 2.検察による処分決定(起訴/不起訴)
- 3.公判手続(裁判)
- 4.判決(有罪/無罪など)
ただし、犯人の年齢が20歳未満、いわゆる未成年者である場合には、異なった手続きが行われます。
民法上は、18歳未満の者が未成年者と定められていますが、18歳・19歳は「特定少年」と位置付けられるなど、刑法では取り扱いが異なっています。
犯人が成人である一般的な刑事事件は、逮捕から判決が下されるまでに厳しい時間制限があります。そのため、弁護士が被疑者の弁護活動を行う場合には、限られた時間の中で効率的に活動を進めていく必要があります。
では、各手続きについて、もう少し深く掘り下げていきましょう。
①警察による捜査
警察や検察などの捜査機関が捜査を始めるきっかけ、いわゆる捜査の端緒として多いのは、110番通報によるものです。刑事事件は、捜査機関に犯罪が認知されることではじめて事件化します。
捜査の端緒となるもの
- 110番通報
- 職務質問
- 自首
- 被害届・告発・告訴
- 現行犯逮捕 など
事件化した後は、被疑者の特定や事件の全貌を明らかにするために、警察等によって、事情聴取や実況見分、家宅捜索などの捜査が行われます。被害者や目撃者がいる事件であれば、はじめに事情聴取が行われるでしょう。
被疑者がある程度特定できている場合には、さらなる証拠を押さえるために家宅捜索が実施されます。家宅捜索は、裁判所の令状に基づき行われる強制処分であるため、拒否することはできません。
②逮捕
警察等の捜査で被疑者が特定された際、被疑者に「証拠隠滅のおそれ」「逃亡のおそれ」が認められる場合には、逮捕による身柄拘束が行われます。
逮捕には、通常逮捕・現行犯逮捕・緊急逮捕の3種類があり、それぞれには次のような違いがあります。
- 通常逮捕
警察が裁判所から発布される逮捕状をもって行う逮捕のことをいいます。
いわゆる一般的な逮捕のかたちです。 - 現行犯逮捕
「犯行に及んでいる最中またはその直後」に限り、逮捕状なしで行える逮捕のことをいいます。
現行犯逮捕は、私人逮捕(一般人による逮捕)が認められています。 - 緊急逮捕
殺人や強盗など、一定以上の重大な罪を犯した場合に、逮捕状なしで行える逮捕のことをいいます。
現行犯逮捕との違いは、逮捕した後に裁判所から逮捕状の発布を受ける必要があることです。
いずれかの方法で逮捕された後は、留置場に収容され、警察による取り調べを受けます。逮捕直後は、たとえ家族であっても面会することはできません。
これは、証拠隠滅や逃亡を阻止するためです。ただし、弁護士だけは、逮捕直後であっても制限なしに面会することができます(これを、接見といいます)。
弁護士による接見について
弁護士による接見は、刑事事件の弁護において重要なポイントです。
弁護士から、「警察や検察からの取り調べをどのように受けるべきなのか」、「今後どのように行動すればよいのか」などについてのアドバイスを得られることは、早期釈放や量刑の減軽に大きくつながります。また、弁護士を通じて家族や会社とやり取りすることも可能です。
なお、弁護士は、私選弁護人と国選弁護人にわけられ、逮捕直後であれば私選弁護人(=自分で選べる弁護士)をつけられます。一方、国選弁護人は、弁護士を雇う経済力がない場合に裁判所(国)が費用を負担し選んでもらえる弁護士ですが、勾留されるまではつけられないため、注意が必要です。
逮捕後72時間以内の弁護活動が運命を左右します
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逮捕直後から勾留決定までは弁護士のみが面会・接見できます。ご家族でも面会できません。
③送致(送検)・勾留請求
警察の取り調べには、逮捕してから48時間という時間の制限があります。その後は、検察に被疑者の身柄と事件の資料を引き継がなければなりません。これを、一般的に送致(送検)といいます。
警察から送致を受けた検察は、再度被疑者の取り調べを行いますが、ここでも“裁判所に対して勾留請求を行うか否か”を決定しなければなりません。
勾留請求とは、検察が裁判所に被疑者の身柄を引き続き拘束するように求める請求のことをいいます。勾留請求が認められると、はじめに10日間の勾留が実施され、その後捜査状況によって10日間の延長が認められています。つまり、最大で20日間勾留による身柄拘束を受けるおそれがあります。
ただし、人権侵害にもつながる可能性のある勾留には、法律で定められた要件があります。
以下の要件が認められなければ、勾留は実施されません。
勾留の要件
- 被疑者に罪を犯したことを疑うに足りる相当な理由があること
- 被疑者に住居不定・証拠隠滅のおそれ・逃亡のおそれがあること(いずれか1つに該当すること)
- 被疑者に勾留の必要性があること
国選弁護人とは
勾留請求が認められると、国選弁護人をつけられます。
国選弁護人とは、経済的な貧困などを理由に自分で弁護士をつけられない被疑者・被告人に対して、国が費用を負担して選ぶ弁護士のことをいいます。
国選弁護士のメリットには、まず費用負担が少ない点が挙げられるでしょう。国に弁護士を選んでもらえるため、自分で弁護士を探す手間が省ける点もメリットといえます
デメリットとしては、「勾留されるまで利用できない」や「国選弁護人を解任・変更できない」ことなどが挙げられます。また、被疑者・被告人の資産が50万円未満に限り利用できるなど、資力要件も必要です。
この点、自分で選任できる私選弁護人であれば、弁護士費用の負担はあるものの、逮捕直後から弁護士に弁護活動を行ってもらえます。また、途中で弁護士を解任・変更することも可能です。
示談のタイミングと重要性
被害者が存在する刑事事件の場合は、被害者との示談成立の有無が刑事処分の判断において非常に重要視されます。
被害者との示談成立は、被害者が加害者である被疑者・被告人に対して事件に対する処罰を求めないことを意味します。そのため、早急に着手するべき弁護活動といえるでしょう。
被害者との示談交渉は、弁護士でなくても行うことができますが、加害者側に強い怒りや恐怖を感じている被害者は、そう簡単に交渉のテーブルにはついてくれません。
この点、弁護士であれば、被害者の恐怖心を軽減できるため、示談交渉を円滑に行えます。特に刑事事件に精通した弁護士であれば、被害者の心情に配慮した示談交渉を進めてもらえ、より円滑な解決が期待できるでしょう。
④起訴/不起訴の判断
「被疑者を起訴するかどうか」は、検察が勾留期間満了までに判断します。
起訴とは、検察が、裁判所に対して、被疑者を刑事裁判にかけ、科すべき刑罰を審理するように求めることで、公訴提起とも呼ばれています。一方、不起訴は、起訴の反対で、被疑者を刑事裁判にかけないことを指します。なお、起訴されると、被疑者の立場は被告人に変わります。
起訴後は、裁判で判決が下されるまで勾留が継続されますが、起訴前とは異なり、保釈請求が行えるようになります。保釈請求は、保釈保証金の納付を条件に被告人の身柄拘束を一旦解くという制度です。
保釈請求は、起訴後でなければ申請できませんが、起訴前に証拠不十分が理由で身柄拘束が解かれる場合もあります(これを、処分保留といいます)。
不起訴獲得のためにできること
不起訴を獲得するためには、刑事事件に精通した弁護士に依頼することが有効です。
日本の刑事事件における有罪率は、99.9%と非常に高い数値を誇っています。
この数値は、起訴されれば100%に近い確率で有罪判決が下されることを意味し、無罪獲得への壁の高さを表わしています。しかし、刑事処分の判断は、犯罪行為の悪質性や常習性、示談成立の有無などのさまざまな情状を考慮したうえで下されます。
そのため、「犯罪行為に悪質性や常習性が認められない」「被害者と示談成立している」などの情状を適切に主張できれば、不起訴獲得に大きく近づけます。「再犯防止のための取り組みが整っている」点も有利な情状となるでしょう。
刑事事件を得意とする弁護士であれば、このような情状の証明・主張を適切に行うことができます。
⑤公判手続(裁判)
第一審の公判手続は、起訴されてから約1~2ヶ月以内に行われます。
通常の裁判(一般的な裁判)の他に、「略式裁判」といって書面で審理を行う簡易な裁判手続きがあります。略式裁判は、100万円以下の罰金または科料に相当する事件に限り行える裁判手続きで、公開された裁判が行われないことが特徴です。
公判期日では、検察側が被告人の犯罪事実を立証し、弁護士側がそれに対して反論していきます。これを繰り返し行い、最終的に裁判官が被告人に対する判決を下します。裁判終結までの期間は、事件によって異なりますが、大体3ヶ月~1年程度が多いでしょう。
なお、通常の裁判・略式裁判に関わらず、起訴され有罪判決が下されれば、前科が付きます。前科は、就職困難や信用損失などの社会的影響が大きく、回避するためには裁判で無罪判決を獲得する必要があります。
⑥判決・上訴
裁判所の判決内容に不服がある場合は、上級の裁判所に審理のやり直しを求めることができます。これを、「上訴」といいます。
有罪判決には以下の種類があります。
- 実刑判決
刑の執行が猶予されず、直ちに刑が執行される判決 - 全部執行猶予付き判決
言い渡された刑期の全部が猶予される判決 - 一部執行猶予付き判決
言い渡された刑期の一部が猶予される判決 - 刑の免除判決
有罪となるものの、刑が免除される判決(過剰防衛が成立した場合など)
有罪と判断された場合は、上記いずれかの判決が下されることになります。
前科が付くことによる不利益
刑事裁判を経て有罪判決が下されると、前科が付きます。
前科は、「公的な資格の停止やはく奪」「資格取得や海外渡航の制限」といった不利益を受けるおそれのあるマイナスな経歴で、生涯消えません。
「履歴書に前科は記載するべきか?」という質問を多くいただきますが、履歴書に賞罰欄が設けられていなければ記載する必要はありません。
賞罰欄があるにもかかわらず前科を記載しなかった場合は、経歴詐称となるので注意しましょう。口頭の面接で前科の有無を尋ねられた際に「なし」と答えた場合も同様です。
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ご自身やご家族が逮捕されてしまった場合は、弁護活動を直ちに開始することが肝要です。
刑事事件の手続きには時間制限があり、想像している以上に早く進むという落とし穴があります。「逮捕されてもすぐに起訴されないだろう」という安易な考えは危険です。限られた時間の中、早期釈放や不起訴獲得に向けた弁護活動を円滑かつ適切に行うためには、刑事事件に強い弁護士に依頼することがもっとも有効です。
刑事事件で逮捕されお困りの方は、お気軽に弁護士法人ALGへご相談ください。
