盗撮・のぞきで解雇される?職場に知られる理由や回避する方法など

盗撮・のぞきで解雇される?職場に知られる理由や回避する方法など

監修
監修福岡法律事務所 所長 弁護士 谷川 聖治 弁護士法人ALG&Associates

盗撮やのぞき行為をしたとしても、勤務先から直ちに懲戒解雇されるわけではありません。
懲戒解雇されるかどうかは、犯行態様や被害範囲はもちろんのこと、勤務先の規定などによって異なります。

そこで本記事では、盗撮・のぞきによる懲戒解雇に着目し、盗撮・のぞきが会社に知られてしまう理由や盗撮・のぞきによる懲戒解雇を防ぐ方法などについて、詳しく解説していきます。

盗撮・のぞき行為をしてしまい、勤務先から懲戒解雇されるのではないかとご不安な方は、ぜひご参考になさってください。

盗撮・のぞきで懲戒解雇される可能性はある?

盗撮・のぞきで勤務先から懲戒解雇される可能性はあります。
ただし、勤務先の就業規則や犯行態様、処分結果次第では、懲戒解雇されない可能性も十分に考えられます。

そもそも懲戒解雇とは、従業員の規律違反に対して会社が行う制裁的解雇のことをいいます。そのため、「勤務先が定める就業規則に違反したか否か」で、懲戒解雇されるかどうかが決まります。

勤務先の就業規則に、「刑法やその他刑罰法規の各規定に違反する行為を行った場合は解雇する」と定められ、従業員に周知されていた場合には、懲戒解雇となる可能性もゼロではありません。

また、民間企業に勤める従業員なのか、それとも公務員なのかという点でも違いがあります。どのような違いがあるのか、次項にて詳しく解説していきます。

会社員の場合

会社の就業規則によって決まる

民間企業は、各企業によって異なる就業規則があるため、会社の就業規則次第で懲戒解雇となるかが決まります。

懲戒解雇は、職を失うだけでなく、退職金が支払われない可能性もあるなど大きな不利益を受ける解雇です。

そのため、犯罪行為を行ったとしても、懲戒解雇が有効となる条件を満たさない限り、懲戒解雇は無効と定められています(労契法15条)。

では、労働契約法15条が定める「懲戒解雇が有効となる条件」について、次項で詳しくみていきましょう。

懲戒解雇が有効となる条件

労働契約法15条が定める「懲戒解雇が有効となる条件」は、次のとおりです。

<懲戒解雇が有効となる条件>

  • 使用者が労働者を懲戒することができる場合
    ➡ 懲戒解雇について定めた就業規則がある場合
  • 解雇に客観的に合理的な理由があること
    ➡ 合理性が認められること(誰がみても道理にかなっていること)
  • 社会通念上相当であること
    ➡ 相当性が認められること(世間一般の常識として相応しいと捉えられること)

これらの条件が認められない場合の懲戒解雇は、会社が(労働者を解雇できる)権利を濫用したものとして、無効となります。

盗撮・のぞきをした状況も考慮される

盗撮・のぞきをした状況は、懲戒解雇が有効となる条件である「合理性・相当性」に影響します。たとえば、職場で盗撮・のぞき行為を行った場合は、企業の秩序を乱す行為として懲戒解雇に合理性と相当性があると認められやすいです。

一方で、私生活上での盗撮・のぞき行為は、企業の秩序とは無関係であることから、合理性と相当性が認められず、懲戒解雇が無効となりやすいです。

ただし、私生活上での盗撮・のぞき行為であっても、企業の秩序と関係があると認められれば、懲戒解雇が有効となり得ます。

つまり、懲戒解雇の認否を判断するうえでは、「盗撮・のぞきをした状況」も考慮されるということです。

解雇以外の懲戒処分になる可能性もある

盗撮・のぞき行為による懲戒解雇を回避できたとしても、解雇以外の懲戒処分を下される可能性があります。

どのような懲戒処分を下すかは会社次第ですが、以下のような懲戒処分を下されることがあります。

  • 戒告、訓戒、譴責(けんせき)処分
    労働者に対して、厳重注意を与える懲戒処分のこと
  • 減給処分
    労働者の給与を減額する懲戒処分のこと
  • 出勤停止、停職、懲戒休職処分
    一定期間、労働者の就労を禁止する懲戒処分のこと
  • 降格、降職処分
    労働者の役職または職務上の資格を下位のものに下げる懲戒処分のこと
  • 諭旨解雇(ゆしかいこ)、諭旨退職(ゆしたいしょく)処分 など
    労働者に対して退職を勧告する懲戒処分のこと

公務員の場合

懲戒免職される可能性は高い

公務員は、国や社会のために働く職業であるため、民間社員よりも懲戒処分を下される可能性が高いです。

国家公務員は「国家公務員法82条1項1号・3号」に、地方公務員は「地方公務員法29条1項1号・3号」において、以下のように定められています。

<職員の懲戒処分について>

  • 規則に違反した場合
  • 全体の奉仕者たるにふさわしくない非行があった場合

上記のいずれかに該当する場合は、職員に対して免職、停職、減給または戒告等の懲戒処分を下すことができるとされています。

そのため、私生活上の盗撮・のぞきであっても、悪質性が高ければ懲戒免職になる可能性が高いです。

公務員の懲戒処分の指針とは

国家公務員の場合は、行政機関である人事院の懲戒処分の指針についてという法令に基づき懲戒処分が決定します。この指針は、国家公務員に限らず、地方公務員の懲戒処分を行う際にも参考にされています。

指針上職員の懲戒処分は、犯行動機やその態様、故意・過失の度合い、他職員や社会への影響などに加え、日頃の勤務態度などのさまざまな事情を考慮し、総合的に判断すると定められています。

また、以下の事情に該当する場合には、より重い懲戒処分を検討できるとされています。

<より重い懲戒処分を検討できる事情>

  • 動機、態様がきわめて悪質であるときまたは結果がきわめて重大であるとき
  • 職員の職責が特に高いとき
  • 公務内外に及ぼす影響が特に大きいとき
  • 過去に類似の非違行為を行ったことを理由に懲戒処分を受けたことがあるとき
  • 処分の対象となり得る複数の異なる非違行為を行っていたとき

禁錮以上の処分を受けた場合は失職する

公務員は執行猶予が付いたとしても、禁固以上の処分を受けると自動的に失職します。

そのため、盗撮・のぞき行為で罰金、拘留、科料の刑罰が科せられた場合には、失職しません。これは、国家公務員法および地方公務員法にて定められています。

盗撮・のぞき行為は、2023年7月13日から新たに撮影罪として処罰されることになりました。それまでは、各都道府県が定める迷惑防止条例違反や軽犯罪法違反として処罰されていましたが、より厳罰化するため新たに施行されました。

撮影罪の法定刑は、「禁固以上の処分」に該当するため、有罪判決が下された場合には失職します。

<撮影罪の法定刑>

「3年以下の拘禁刑又は300万円以下の罰金刑」

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盗撮・のぞきが会社にばれてしまう理由とは?

盗撮・のぞきが会社に知られてしまうのは、主に次のような理由からです。

  • 社内に被害者や目撃者がいる
  • 実名報道によって発覚する
  • 警察から会社へ連絡がいく
  • 無断欠勤の長期化によってばれる

では、それぞれの理由について、詳しく解説していきます。

社内に被害者や目撃者がいる

犯行現場が会社だった場合は、被害者や社内にいた目撃者から会社に通報されてしまう可能性が高いです。

被害者や目撃者からの通報を受けた会社は、まず事実確認を行います。
特に、接客業を伴う場所での盗撮・のぞき行為であれば、会社の信用問題にも大きくつながるため、会社は加害者の特定を急ぐでしょう。

会社に関係する場所での盗撮・のぞき行為は、そうでない場所で行う場合よりも会社に知られてしまうリスクが高いといえます。

実名報道によって発覚する

盗撮・のぞき行為で逮捕された場合、実名で報道されてしまう可能性もあります。
メディア上で実名報道がなされれば、高確率で会社に知られてしまうでしょう。

実名報道される基準は明確ではありませんが、公務員による事件は社会的な関心が高いとされているため、実名報道がされやすい傾向にあります。

警察から会社へ連絡がいく

盗撮・のぞき行為が会社と関係している場合は、警察から会社に直接連絡がいく可能性が高いです。

たとえば、会社に関係する場所や人に対して盗撮・のぞき行為がなされた場合には、捜査を行うために警察は会社に連絡するでしょう。

事件の加害者を特定したい場合や、加害者の犯行を裏付ける証拠を収集したい場合、会社と関係している以上、「会社への捜査は必要不可欠である」と判断されやすいです。

従業員に対する事情聴取や加害者の人柄・勤務態度などについて、聞き込みが行われるでしょう。

無断欠勤の長期化によってばれる

盗撮・のぞき行為で逮捕されると、最大23日間身柄を拘束される可能性があります。
身柄拘束中は、当然会社に行けず無断欠勤となるため、その結果事件が会社に知られてしまいます。

逮捕による身柄拘束は、基本的に警察官と検察官の取り調べが終了し、検察官が勾留請求の判断を下すまで続きます。逮捕直後は、弁護人以外との面会を禁じられているため、自分から家族や会社に連絡できません。

その結果無断欠勤となってしまい、連絡を取れない点を不信に思った会社が自宅に連絡して事件が知られてしまいます。

盗撮・のぞきで解雇を防ぐ3つの方法

盗撮・のぞきによる解雇を防ぐためには、会社に「罪を犯した」という事実が知られる前に素早く手を打つことが大切です。

そのためには、主に以下3つの方法が重要となります。

  • 早期に弁護士に依頼して示談交渉する
  • 逮捕や実名報道を回避する
  • 早期釈放や不起訴処分を目指す

では、それぞれの方法について、詳しく解説していきます。

➀早期に弁護士に依頼して示談交渉する

解雇を回避するためには、早期に被害者と示談して会社に知られないようにすることが効果的です。

示談は、事件の当事者同士の和解を意味するため、示談後に会社へ連絡がいくことはまずありません。ただし、自ら被害者との示談を進めるのではなく、法律の専門家である弁護士に依頼することが重要です。

被害者が存在する犯罪での示談交渉は、被害者の心情に配慮した丁寧な対応が必要となります。また、弁護士であれば、示談に必要な手筈をきちんと整えられ、示談成立の可能性を高められます。

加害者に嫌悪感を抱いている被害者も、「弁護士であれば」と話し合いに応じてくれるため、より円滑に示談交渉を進められます。

②逮捕や実名報道を回避する

逮捕や実名報道を回避できれば、会社に知られるおそれは低くなります。

捜査機関に逮捕されると、「実名報道」と「長期間の身柄拘束」によって会社に知られる可能性が高まります。
しかし、逮捕されなければ、実名報道も長期間の身柄拘束も受けずに済みます。

弁護士であれば、逮捕回避に向けた弁護活動やアドバイスができるため、より効果的に逮捕を回避できます。万が一逮捕されたとしても、「逮捕の必要性がない」と捜査関係者に訴えかける等、実名報道を回避するための弁護活動も行ってもらえます。

③早期釈放や不起訴処分を目指す

逮捕されても、早期釈放や不起訴処分となれば、解雇を回避できる可能性があります。

また、在宅事件となれば、普段通りの生活を送りながら事件の手続きを受けられます。在宅事件は、軽微な犯罪や逮捕の必要性がない場合に認められやすいです。

在宅事件とは?

捜査機関からの身柄拘束を受けずに事件の手続きを進められる刑事事件のこと。

なお、通常の逮捕で釈放される場合は、以下のタイミングで手続きが行われます。

  • 逮捕後勾留前に釈放
  • 勾留後起訴前に釈放
  • 起訴後の釈放(=保釈)

このうち、①逮捕後勾留前に釈放であれば、逮捕されてから勾留を決定するまで3日であることから、欠勤を3日間に抑えられます。

釈放が認められない場合は、不起訴処分の獲得を目指し、前科が付くのを回避することが大切です。

盗撮・のぞき事件で解雇を避けるためにもすぐに弁護士にご相談ください

盗撮・のぞきによる解雇を回避するためには、被害者との示談成立がもっとも効果的です。

被害者との示談成立は、早期釈放や不起訴処分の獲得に大きくつながります。
また、逮捕の必要性がないことを訴え、身柄拘束を受けない在宅事件で手続きを進めることも解雇の回避につながります。

ただし、これらを実現するためには、刑事事件に精通した弁護士の力が必要です。

弁護士であれば、被害者との示談交渉を早急に進め、円滑に対応できます。
示談交渉に時間を要する場合には、逮捕の必要性がないことを主張し、在宅事件として手続きするように働きかけます。

盗撮・のぞき事件で解雇を回避したい方は、なるべく早めに弁護士にご相談ください。弁護士が事件に着手できるタイミングが早ければ早いほど、弁護活動の幅が広がり、解雇回避を実現できます。

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監修 : 福岡法律事務所 所長 弁護士 谷川 聖治 弁護士法人ALG&Associates

保有資格弁護士(福岡県弁護士会所属・登録番号:41560)

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