警察から呼び出しがきたらどうする?逮捕の可能性や対処法、今後の流れなど
ある日突然、警察から呼び出しを受けることがあります。
警察からの呼び出しには様々な理由があり、呼び出しに適切に対応しなければ、逮捕されてしまう可能性があります。
そこで本記事では、警察からの呼び出しに着目し、
- 警察から呼び出しがくる理由
- 逮捕の可能性やその対処法
- 逮捕後の流れ など
について、詳しく解説していきます。
目次
警察から呼び出しがくる4つの理由
警察から呼び出しがくる主な理由には、次の4つが挙げられます。
- 被疑者として呼び出される
- 参考人として呼び出される
- 重要参考人として呼び出される
- 身元引受人として呼び出される
いずれの理由も、「事件と何らかの関わりがある人物」と思われていることに違いはありません。
では、それぞれの理由について、もう少し掘り下げて解説していきます。
①被疑者として
事件の被疑者として、警察などの捜査機関から呼び出しを受けることがあります。
被疑者とは、捜査機関から犯罪の疑いをかけられた人物のことをいい、マスコミ用語では「容疑者」と呼ばれています。
警察からの呼び出しは、電話で行われることが多いですが、電話口で被疑者として疑われていることについての詳細は答えてもらえないことがほとんどです。
そのため、事件について身に覚えがある場合には、すぐに弁護士へご相談されることをおすすめします。
警察からの事情聴取に適切に対応しなければ、後ほど不利益を被ることになる可能性があります。
②参考人として
事件の参考人として、警察などの捜査機関から呼び出しを受けることがあります。
参考人とは、事件について参考となる情報や知識を有しているとされる人物のことをいい、事件の目撃者や専門家、被疑者の家族・知人などが呼び出されます。
③重要参考人として
重要参考人とは、参考人ではあるものの、「被疑者になる可能性がある人物」のことをいいます。
つまり、被疑者といえるほどの嫌疑は十分に固まっていないが、犯人の可能性が高い人物であることを意味します。
その後被疑者になる可能性もあります。
④身元引受人として
身元引受人とは、被疑者の身体を拘束しない代わりに、被疑者の行動や生活を監督する人物のことをいいます。
身元引受人となり得る人物は、「被疑者を監督できること」が条件であるため、被疑者と同居している家族や勤務先の上司または友人などが挙げられます。
なお、スーパーで少額の商品を万引きしたなどの軽微な犯罪の場合は、身元引受人がいることによって早期に釈放されることがあります。
警察からはどのような方法で呼び出されるのか?
警察からは、以下の方法で呼び出されるケースが多いです。
- 電話
- 手紙(呼び出し状)
- 自宅や職場などに訪れる など
このうち、特に電話や呼び出し状が用いられることが多く、呼び出し状には出頭を希望する日時や警察署名が記載されています。
また、警察が突然自宅や職場に訪れることも少なくありません。
基本的には自宅となりますが、事件が職場と関係する場合には、職場に訪れる可能性もあります。
警察からの呼び出しにかかる期間
警察からの呼び出しにかかる期間は、様々です。
事件が発生した後すぐに呼び出されることもあれば、1ヶ月や半年後、なかには1年以上経過した後に呼び出されることもあります。
警察が「呼び出しを行おう」と判断するのは、捜査の状況・警察の考え次第でもあります。
すぐに話を聞きたいと考えるのであれば早急に呼び出しを行いますし、もう少し証拠を固めてから話を聞きたいと考えるのであれば、証拠がある程度揃うまで呼び出しをすることはないでしょう。
警察からの呼び出しは任意?拒否できる?
逮捕を許可する「逮捕令状」を示されていない状況での呼び出しは、あくまで任意であるため、拒否することができます。
しかし、何の理由もなく呼び出しを拒否し続けることは、証拠隠滅や逃亡のおそれがあると判断されかねないため、おすすめしません。
証拠隠滅や逃亡のおそれがあると警察に判断されれば、逮捕の必要性が認められ、逮捕される可能性を高めてしまいます。
そのため、呼び出しには協力する姿勢を示した方が、不利益を被るおそれを回避することができます。
なお、呼び出しに応じた後に行われる取り調べについても、適切な対応を行うことが大切です。
仕事などで行けない場合はどうすればいい?
警察からは、基本的に平日の日中に呼び出されることが多いです。
土日に呼び出されることもありますが、日によってはどうしても都合がつかない場合もあるでしょう。
そのような場合には、呼び出しに応じられない具体的な理由、たとえば、「出張中のため行けない」「病院を予約しているため行けない」など、詳しい事情を述べて、日程調整したい旨を伝えましょう。
警察から呼び出しに応じたあとの流れ
警察からの呼び出しに応じた後は、警察署内で事件についての取り調べを受けることになります。
取り調べとは、事件の関係者から直接話を聞くことをいい、事情聴取も同じ意味合いですが、実務では取り調べと呼ぶことがほとんどです。
取り調べの主な目的は、「事件の真相を明らかにすること」にありますが、後に行われる刑事裁判の有効な証拠とするためであることが最大の目的だと考えられます。
取り調べの際に話した内容については、供述調書として作成され、警察側が裁判で利用することができる証拠となります。
ただし、呼び出し後の取り調べに応じるかは強制ではなく、あくまで任意であるため、取り調べの最中に退席することもできます。
被疑者の取り調べの流れ
被疑者として警察の取り調べを受ける場合の流れは、主に以下のとおりです。
- 黙秘権の告知
取り調べでは、最初に警察官から黙秘権の告知を受けます。
黙秘権とは、取り調べなどにおいて、自分の意思に反して言いたくないことは言わなくていい権利のことを指し、黙秘することによって不利益を受けることはありません。被疑者として疑われている場合は、必ず告知されます。 - 弁護人選任権の告知
次に、弁護人選任権の告知を受けます。
弁護人選任権とは、弁護人を選任する権利です。逮捕後そのまま勾留された場合、経済状況から弁護士費用を負担することが難しければ、国が弁護士費用を負担して、弁護人を依頼する被疑者国選弁護制度を利用することができます。勾留されるまでは、自費で弁護士費用を負担して弁護人(私選弁護人)を選任することができます。 - 取調官との質疑応答
犯行に至るまでの経緯や動機など、捜査機関が捜査した内容をもとに質疑応答が行われます。
取り調べに要する時間は、2~3時間程度の場合が多いです。 - 供述調書の確認と署名・押印
取り調べの内容について、警察官がまとめた「供述調書」が渡され、朗読されます。
内容に問題ない場合は、供述調書に署名・押印します。
取り調べ終了
取り調べを受ける前に弁護士に相談を!
警察から呼び出しを受けた際、多くの人は驚き、冷静に判断することができなくなるでしょう。
どうしていいか分からず、途方に暮れてしまわれる人もいらっしゃるはずです。
このような状態で取り調べを受けると、誤った対応をしてしまい、取り返しのつかないことになってしまうおそれがあります。
そのため、取り調べを受けた後は、なるべく早めに弁護士へご相談されることをおすすめします。
弁護士であれば、取り調べに同席することはできませんが、警察署への出頭に付添うことができます。
なにより、取り調べに対するアドバイスを事前に受けることができるため、適切に対応することができます。
万が一、警察から不当な取り調べを受けたとしても抑制してもらえるため、安心です。
逮捕後72時間以内の弁護活動が運命を左右します
刑事弁護に強い弁護士が迅速に対応いたします。
逮捕直後から勾留決定までは弁護士のみが面会・接見できます。ご家族でも面会できません。
警察からの呼び出しに応じると逮捕される?
警察からの呼び出しに応じる=逮捕される、ということではありません。
ただし、取り調べの内容次第ではそのまま逮捕される可能性があるため、注意が必要です。
たとえば、取り調べを行う前の捜査で、ある程度犯人の目星がつけられており、それを裏付ける証拠の数も多ければ、取り調べの後に逮捕される可能性は高いと考えられます。
しかし、捜査が思うように進んでおらず、藁をも掴む思いで取り調べを行っているような場合は、取り調べの後に逮捕される可能性は低いでしょう。
また、「逃亡や証拠隠滅のおそれがある」など、逮捕するうえで必要となる“逮捕の必要性”を満たすかどうか、という点も判断基準となります
呼び出し後に逮捕された場合の流れ
警察からの呼び出しを受けた後に逮捕された場合は、以下のような流れで手続きが進んでいきます。
- 逮捕後48時間以内に検察官へ送致される
警察は被疑者を逮捕後、48時間以内に検察官へ事件の書類とともに引き継ぎます。 - 送致後24時間以内に勾留請求の要否が判断される
今度は検察官による取り調べが行われ、24時間以内に裁判所へ勾留請求するかどうかの判断を下します。 - 勾留決定後10日間(最大20日間)の身柄拘束が行われる
勾留請求が認められると、10日間(最大20日間)の留置場生活を送ることになります。 - 刑事事件として起訴するか判断される
起訴されると、刑事裁判にかけられることとなり、被疑者から「被告人」へと呼び名が変わり、裁判を受けることになります。
警察から2回目以降の呼び出しはあるのか?
警察から1回だけでなく、2回、3回と呼び出しを受ける場合があります。
任意同行・任意出頭は、いずれも「任意」であるため、2回目以降も拒否できることに変わりはありません。
しかし、何の理由もなく警察署への出頭を拒否することは、逃亡や証拠隠滅のおそれがあると判断されやすく、逆に怪しまれてしまうため、おすすめしません。
警察からの呼び出しは、疑いが晴れるまで続く可能性が高いです。
被疑者が判明した場合や証拠が揃った場合など、警察が事件について十分に捜査したと判断するまでは続くと考えた方がよいでしょう。
また、頻繁に呼び出しを受けることもあれば、1ヶ月以上間が空くこともあります。
在宅捜査など、起訴するまでに厳格なタイムリミットがない場合には、1ヶ月以上空くことが多いです。
警察から呼び出されたらすぐに弁護士に相談すべき理由
警察から呼び出しを受けた後すぐに弁護士へ相談した方がよい理由は、主に次のとおりです。
弁護士に相談すべき理由
- 警察署へ出頭する前に、今後の見通しについての説明を受けることができる
- 不当な逮捕の回避や不起訴処分獲得に向けた弁護活動をしてもらえる
- 被害者との示談交渉を進めてもらえる など
警察から呼び出しを受けた後に行われることは、事件についての取り調べです。
取り調べで応答した内容は、警察官によってすべて「供述調書」として記録されるため、誤った応答をしてしまうと逮捕されてしまう可能性があります。
そのため、取り調べの前に弁護士へ相談し、適切な取り調べの対応についてアドバイスを受けるなどの事前準備をしておくことが大切です。
警察から呼び出された場合によくある質問
犯行の身に覚えがない場合は警察からの呼び出しを無視してもいいですか?
警察からの呼び出しが、「参考人として」捜査に協力してほしいための呼び出しである場合もあります。
また、全くの人違いである場合もあり得ます。
無視することで疑いが深まってしまうおそれがあるため、警察の呼び出しには基本的に応じた方がよいでしょう。
警察からの呼び出しは会社や学校にばれますか?
警察から呼び出しを受けたことを、会社や学校に知られることは基本的にありません。
ただし、事件が会社や学校に関係している場合、たとえば、犯行現場である場合や周りに関係者がいる場合には、警察が会社や学校に連絡する可能性があります。
「どうしても会社や学校に知られたくない」という場合は、その旨を警察へ伝えてみると配慮してもらえるかもしれません。
被疑者として呼び出されている場合は難しい可能性が高いですが、事件の参考人として呼び出されている場合は配慮してもらえる可能性があります。
いずれにしても、1度警察へ相談してみるとよいでしょう。
警察からの呼び出し後の取り調べで嘘をつくとどうなりますか?
警察からの取り調べに対して、嘘をつくと、不利にはたらく可能性があります。
嘘をつくことは、「反省していない」と判断され、信用を失うことにつながります。
刑事裁判にかけられた場合、裁判官の心証が不利に傾く可能性もあるため、嘘をつくことは避けましょう。
また、嘘をつくことにより、捜査機関からさらに怪しまれてしまう可能性を高めます。
その結果、不起訴から起訴へと判断が変わる可能性も否定できません。
事実と異なることを口にすることで得られるメリットは何一つありません。
警察から強く言われたり、聞かれたりしても、事実と異なる場合はきちんと否定することが大切です。
警察から呼び出されたら刑事事件に強い弁護士法人ALGにすぐご相談ください!
警察から呼び出しの電話や郵便があっても、不安を抱いたり、慌てたりする必要はありません。
まずは、どのような理由で呼び出されているのかを警察へ確認するところからはじめましょう。
そして、取り調べにはなるべく応じるようにし、できるだけ早めに弁護士へご相談されることをおすすめします。
弁護士であれば、これから受ける取り調べについて、適切にアドバイスすることができます。
また、何かご不安に思われていることがあれば、その場でお答えすることも可能なため、不安の軽減につながります。
ひとりで抱え込み、冷静な判断ができないまま取り調べに応じることは、かえって悪い結果を招きかねません。
警察から呼び出しをされてお困りの方は、お気軽に弁護士法人ALGへご相談ください。
