実況見分とは?流れや実況見分調書、立ち会い時の注意点について
交通事故や刑事事件の当事者になると、警察から実況見分への立ち会いを求められることがあります。
実況見分に立ち会う際は、警察官に事実関係を正確に伝えることが重要です。しかし、はじめて実況見分に立ち会う場合、どのような流れで行われるのか、どのように対応すれば良いのかなど、不安を感じる方も多いでしょう。
本記事では、実況見分の概要や流れ、立ち会う際の注意点などについて、詳しく解説していきます。警察から実況見分への立ち会いを求められている方は、ぜひ参考になさってください。
実況見分とは?
実況見分(じっきょうけんぶん)とは、交通事故や刑事事件が起きた現場で、警察が当事者や目撃者とともに当時の状況を再現し、事実関係を確認する捜査手続きです。
例えば交通事故では、人身事故が発生した場合に実施されることが多いです。主に加害者・被害者・目撃者などが立ち会い、事故の発生状況や過失の有無を明らかにします。
実況見分と現場検証の違い
実況見分と現場検証は、どちらも事故現場などで当時の状況を確認する捜査手続きですが、任意か強制かに違いがあります。
実況見分は、裁判官の令状を必要としない「任意捜査」であり、当事者の同意を得て行われます。
一方、現場検証は、裁判官が出す「検証許可状」に基づく「強制捜査」であり、立ち会いを拒否することは基本的にできません。主に飲酒運転やひき逃げなど、事件性のある犯罪が発生した場合に行われます。
捜査内容は似ていますが、強制力が異なるため混同しないように注意しましょう。
実況見分の流れ
実況見分は、事故や事件について警察へ連絡した当日または後日に、当事者や関係者の立ち会いのもとで行われます。
例えば、交通事故の加害者が立ち会う場合の一般的な流れは次のとおりです。
- 警察へ連絡する
- 実況見分の日程調整をする
- 実況見分に立ち会う
スムーズに進めるため、各ステップの注意点を確認しておきましょう。
①警察へ連絡する
交通事故が発生したら、まずは警察へ速やかに連絡します。
警察への事故連絡は、道路交通法で義務づけられており、怠れば罰則の対象となるおそれがあります。
特に人身事故の場合は、実況見分が行われるのが一般的です。事故連絡を怠ると実況見分が実施されず、事故の状況を適切に記録してもらえない可能性があるため注意が必要です。
交通事故の加害者となった場合は、慌てずに怪我人の救護や安全を確保した後、速やかに警察へ連絡(110番通報)しましょう。
②実況見分の日程調整をする
すぐに実況見分を行えない場合は、警察から後日日程調整の連絡を受けます。
実況見分は、事故直後にその場で行われることもありますが、「当事者の怪我が重い」「事故の被害が甚大で二次被害の防止が優先」などの場合は、後日改めて実施されるのが通常です。
警察から日程調整の連絡が来たら、落ち着いて日時を確認し、忘れずにメモしておきましょう。
また、実況見分まで期間が空く場合は、正確な記憶を保つためにも事故当時の状況を整理しておくと安心です。
③実況見分に立ち会う
日程が決まったら、実況見分に立ち会います。
実況見分では、警察官からの質問に答えながら、事故当時の状況を説明します。
確認される主な内容は次のとおりです。
- 走行速度
- 信号の色
- 交通規制の状況
- 相手を視認した場所、タイミング
- 衝突地点
- 危険の認識の有無
- 天候や路面状況 など
ドライブレコーダーの映像がある場合は、事故状況を客観的に確認できる重要な資料となるため、提出して捜査に協力しましょう。
また、説明する際はご自身の記憶に基づき、事実を正確に伝えることが大切です。曖昧な回答や憶測は避けましょう。
実況見分が終了すると、確認内容をまとめた実況見分調書が作成されます。
実況見分調書は刑事事件の証拠になる?
実況見分調書は、刑事事件において重要な証拠となります。
実況見分調書とは、警察が実況見分の結果を客観的に記録した、証拠能力の高い書類です。刑事記録の一部として保管され、刑事裁判や示談交渉において証拠として利用されます。
刑事事件では、実況見分調書の内容が起訴・不起訴の判断や裁判の結果に影響することもあるため、慎重な対応が必要です。
警察官に伝えた内容が正しく記載されているか確認し、事実と異なる記載があれば、その場で訂正を求めましょう。
実況見分調書に記載される内容
実況見分調書に記載される内容は、主に以下のとおりです。
- 実況見分を行った日時、場所
- 現場の路面状況(乾燥、濡れ、凍結など)
- 交通規制の有無
- 信号や標識
- 車両の情報(損傷状況、停止位置など)
- 当事者や立会人の説明内容(速度、視認位置、衝突地点など)
- 現場の痕跡や証拠
- 凶器などの押収物・遺留品の発見場所および状態
- 写真や図面による現場の再現
実況見分に立ち会う際の注意点
立ち会いを拒否しない
実況見分への立ち会いは任意ですが、できる限り参加することをおすすめします。
実況見分に立ち会わない場合、相手方の主張だけで調書が作成される可能性があります。その結果、認識に偏りが生じ、過失割合や責任の判断で不利になるおそれもあるため、立ち会って自身の主張も実況見分調書に反映させるべきです。
自らの視点から事故や事件の状況を説明できる実況見分は、加害者としての主張を記録に残す貴重な機会ともいえます。当日はできるだけ立ち会い、当時の状況を正確に伝えましょう。
嘘をつかず正確に伝える
実況見分に立ち会う際は、加害者として自分が見聞きした状況をできる限り正確に伝えることが重要です。
相手方と主張が食い違っても、無理に合わせたり、曖昧な表現を使ったりすることは避けましょう。証言の信用性が低下し、適切な実況見分調書が作成されないおそれがあります。
また、証言が二転三転すると虚偽の供述を疑われるリスクもあるため、相手方の主張が自身の記憶と異なる場合は、はっきりと否定しましょう。
その場の雰囲気や相手方の証言に流されず、自分の認識を一貫して主張することが大切です。安易に妥協すると、自分に不利な実況見分調書が作成される可能性が高まります。
実況見分調書の内容をしっかり確認する
実況見分調書は、後から訂正を求めるのが難しいため、記載された内容をしっかり確認しておくことが重要です。
警察から内容の確認を求められた際は細部まで目を通し、自分の説明と異なる点はないかをきちんと確認しましょう。
説明と異なる点がある場合は、安易に署名・押印せずにその場で訂正を求めることが大切です。確認を怠ると不利な実況見分調書が作成され、交渉や裁判で不利益を受ける可能性が高まります。
実況見分で弁護士に相談するメリット
実況見分の目的や見通しがわかる
あらかじめ弁護士に相談すると、実況見分の目的やその後の見通しを知ることができます。
目的を知らないまま立ち会うと、求められた説明の意味や重要性を理解できず、思わぬ発言をしてしまうことがあります。曖昧な記憶で説明した内容が調書に残ると、その後の捜査や裁判で不利益が生じかねません。
事前に弁護士から「実況見分で何を明らかにするのか」「実況見分の結果によりどういった展開が予想されるのか」などのアドバイスを受けておくことで、誤解や認識のずれを防ぎ、適切に対応できる可能性が高まります。
刑事手続きを見据えた準備ができる
刑事手続きを見据えた準備ができるのも、弁護士に相談するメリットのひとつです。
実況見分後に作成される実況見分調書は、起訴・不起訴の判断や刑事裁判の量刑などに影響し得る重要な証拠です。示談交渉や損害賠償に関わることもあります。
弁護士に相談しておけば、適切な説明をするためのアドバイスを受けられ、不必要に不利な内容が記録されるリスクを減らせます。不利な点がある場合も、早い段階で反論や対応方針を検討することが可能です。
警察の取調べの内容や刑事事件における示談については、以下のページをご覧ください。
逮捕後72時間以内の弁護活動が運命を左右します
刑事弁護に強い弁護士が迅速に対応いたします。
逮捕直後から勾留決定までは弁護士のみが面会・接見できます。ご家族でも面会できません。
実況見分に関するよくある質問
実況見分は事故から何日後に行われますか?
実況見分が後日行われる場合、事故から数日~数週間以内に行われることが多いです。
一般的に、警察からの呼び出しは事故後1ヶ月以内が多いとされていますが、事故の内容や警察署の状況によって前後します。
また、事故の当事者が救急搬送されたり、重い怪我を負ったりしたケースでは、治療が落ち着いてから呼び出しの連絡が来ることもあります。
実況見分にはどのくらい時間がかかりますか?
実況見分にかかる時間は、数十分~2時間程度が目安です。
また、立ち会い後は警察署で1時間ほど事情を聞かれることが多いので、手続き全体だと2~4時間程度かかるでしょう。
ただし、事故の状況や当事者の人数などによって所要時間は前後するため、実況見分に立ち会う際は、時間に余裕をもって臨むことをおすすめします。
交通事故の実況見分は加害者のみで行われることはありますか?
交通事故の実況見分は、加害者のみで行われることもあります。
例えば、次のようなケースです。
- 被害者が救急搬送された
- 被害者が入院中で現場に来られない
- 被害者の怪我が重く、立ち会うことが難しい
加害者のみで実況見分を行った場合は、被害者の回復後に改めて聴取や追加の実況見分が実施される可能性があります。
実況見分に立ち会えない場合どうすればいいですか?
やむを得ず実況見分に立ち会えない場合は、警察に事情を説明し、後日実施してもらえるか相談しましょう。後日行う場合は、記憶が鮮明なうちに事故・事件状況を詳細にメモしておくことが大切です。
ご自身の認識を正確に反映した実況見分調書を作成してもらうためにも、都合がつかない場合は正直に伝え、可能な限り実況見分に立ち会えるようにしましょう。
実況見分で弁護士に立ち会ってもらうことはできますか?
実況見分は、弁護士に立ち会ってもらうことができます。
ただし、事故・事件の直後に弁護士を呼ぶのは難しいため、後日行われる実況見分で日程を合わせて立ち会ってもらうのが一般的です。
弁護士が立ち会うことで、不利な説明や誤解を防ぎやすくなります。
実況見分が終わった後はどうなりますか?
実況見分の後は、警察署で聞き取り捜査が行われ、実況見分調書や供述調書が作成されます。
調書の作成後は内容を確認し、問題がなければ署名します。
その後、捜査結果をもとに検察官が起訴・不起訴を判断し、起訴された場合は刑事裁判へ進む可能性があります。
交通事故の場合は、民事上の損害賠償や示談交渉への対応も必要です。
刑事事件の手続きの流れを詳しく知りたい方は、以下のページをご覧ください。
実況見分に不安があれば弁護士へ相談しましょう
実況見分への立ち会いは、不利な調書が作成されることを防ぐためにも重要です。しかし、初めての対応で不安を感じる方も多く、自分の主張をどう伝えるべきか悩む場面もあるでしょう。
説明の仕方によっては、調書の内容や示談・裁判の結果に影響する可能性があるため、慎重な対応が必要です。不安がある場合は、早めに刑事事件に詳しい弁護士へ相談することをおすすめします。
弁護士法人ALGでは、刑事事件に精通した弁護士が「実況見分のポイントや注意点」を丁寧に説明し、必要に応じて同席も行います。ご自身の主張が正しく伝わるようサポートしますので、実況見分の立ち会いに少しでも不安がある場合は、お気軽にご相談ください。
