痴漢は何罪に該当する?逮捕された場合の刑罰や流れなど


家族が痴漢の容疑で逮捕されてしまった時、どうすればよいでしょうか。
以下では、痴漢に関する知識等について、解説していきます。
目次
痴漢は何罪になるのか
痴漢という言葉は、世間一般に知れ渡っている言葉ですが、例えば、電車内や路上で、被害者の臀部を触るといった行為が痴漢の典型例でしょう。
痴漢は、各都道府県によって定められている迷惑防止条例で処罰されることが多いですが、態様が悪質な場合、不同意わいせつ罪で処罰されることもありえます。
迷惑防止条例とは
迷惑防止条例は、各都道府県によって定められている条例で、痴漢、盗撮、客引き、スカウト行為、つきまとい行為等が規制の対象となっています。
なお、迷惑防止条例というのは、略称で、例えば東京都であれば、公衆に著しく迷惑をかける暴力的不良行為等の防止に関する条例が正式名称です。
痴漢で迷惑防止条例に問われるケースで圧倒的に多いのは、電車内での痴漢です。その態様は、被害者の臀部や陰部を衣服の上から触る、自己の陰茎を被害者に押し付けるといったものが考えられます。
不同意わいせつ罪とは
法改正により、かつての強制わいせつ罪が不同意わいせつ罪となりました。不同意わいせつ罪は、被害者の意思に反してわいせつ行為をした場合に成立しうる犯罪です。
痴漢でも、臀部や陰部を直接触るといった態様が悪質なものとなると、不同意わいせつ罪で処罰される可能性があります。
痴漢で起訴された場合の刑罰
痴漢を理由に処罰を受ける場合、罰金か拘禁刑となるでしょう。
適用される法令が迷惑防止条例か不同意わいせつ罪か、前科の有無等で、刑罰が罰金か拘禁刑か変わってくるでしょう。
迷惑防止条例の刑罰
東京都の迷惑防止条例の場合、常習ではない場合、痴漢の刑罰は、6月以下の拘禁刑または50万円以下の罰金です。迷惑防止条例で処罰される場合、初犯の場合、罰金30万円となることが多いと思われます。
痴漢で罰金を受けたにもかかわらず、再び痴漢の再犯をしてしまった場合、罰金50万円となったり、初犯の時と再犯までの期間が短いと判断された場合は、裁判にかけられて、拘禁刑となることもあるでしょう。
不同意わいせつ罪の刑罰
不同意わいせつ罪は、6か月以上10年以下の拘禁刑であり、罰金刑はありません。
罰金刑が無いということは、罰金刑を課す手続きであり略式手続がとられることが無いことを意味します。不同意わいせつ罪で起訴は、公判請求となり、裁判の結果、拘禁刑となります。
痴漢の態様での不同意わいせつ罪の場合、初犯であれば、執行猶予付きの判決となる可能性もあるでしょう。
再犯の場合、示談の有無、再犯までの期間等にもよりますが、実刑となることを覚悟して裁判に臨むべきでしょう。
逮捕後72時間以内の弁護活動が運命を左右します
刑事弁護に強い弁護士が迅速に対応いたします。
逮捕直後から勾留決定までは弁護士のみが面会・接見できます。ご家族でも面会できません。
痴漢で逮捕された場合に知っておくべきポイント
不起訴や罰金刑でも前科はつくのか
痴漢の容疑をかけられても、不起訴となれば、前科はつきません。
迷惑防止条例の場合、罰金刑もありえますが、罰金刑も刑罰の1種ですので、罰金刑も前科となります。
前科をつけないようにするには、前述のように、不起訴処分を獲得する必要があります。不起訴処分を獲得するためには、被害者と示談することが重要です。
被害者と示談するには、弁護士が示談のための活動をする必要があり、弁護士に依頼することが必要となります。
初犯でも懲役などの刑罰を受けることはあるのか
例えば、電車内での痴漢で、迷惑防止条例違反に留まる態様であり、初犯の場合であれば、拘禁刑(近年の法改正により、懲役刑と禁固刑は、拘禁刑に一本化されます)ではなく、罰金刑に留まることでしょう。
反対に、行為態様が悪質であった場合、不同意わいせつ罪で処罰される可能性があります。不同意わいせつ罪は、罰金刑が定められていませんので、有罪となれば、必ず拘禁刑となります。
迷惑防止条例、不同意わいせつ、いずれとなるにしても、不起訴であったり、軽い処分となるには、被害者と示談することが極めて重要となります。
執行猶予がつかずに実刑になることはあるのか
執行猶予とは、主に、拘禁刑に付せられるもので、執行猶予期間を定め、執行猶予期間を無事過ごすことができれば、判決で言い渡された拘禁刑の期間刑務所に行かなくて済むという、社会内での更生の機会を与える制度です。
例えば、1年の拘禁刑に3年間の執行猶予が付された場合、3年間、執行猶予が取消されなければ、実際には刑務所に行かなくて済みます。
刑事裁判になった場合、執行猶予が付くかどうかは、被告人や家族にとって、最重要といってよいでしょう。
逮捕後に被害者と示談をする必要性はあるのか
示談は、民事上の和解契約の一種であり、刑事事件において示談といえば、加害者が被害者に一定の金銭を支払い、それと引き換えに、被害者は、被害を受けた事件について、加害者を許すことを内容とすることが多いです。
示談が成立して、被害者が処罰を望まないということになれば、不起訴となったり、被疑者にとって、有利な処分となる可能性が高まります。
逮捕されたら弁護士に相談・依頼すべきか
逮捕されたら、直ぐに弁護士への依頼を検討しましょう。弁護士に依頼すれば、逮捕後、勾留を防ぐ活動をおこなうことにより、勾留を避けることできる可能性があります。
逮捕されても、逮捕後、勾留されるか否かで、身柄拘束期間が大きく異なりますので、勾留を避けるための活動は非常に重要です。
痴漢で逮捕された後の流れ・手続き
逮捕されたら、48時間以内に検察庁に送られ、検察官は、24時間以内に釈放するか、勾留請求をするか判断します。検察官が勾留請求すると、裁判官が勾留質問を実施し、被疑者を釈放するか、勾留決定をするかを判断します。
前述のように、勾留されないことは、非常に重要であるため、弁護士に直ぐに相談しましょう。また、被害者と示談ができれば、不起訴処分等、被疑者に有利な処分が得られる可能性が高まります。
被害者と示談交渉してもらうためも、弁護士に依頼することが必要です。
逮捕を伴わない在宅事件であった場合、身柄拘束の問題は生じませんが、最終処分を被疑者に有利なものとするために、被害者と示談する必要性があることは、同様です。
痴漢で逮捕された場合は、出来るだけすぐに弁護士にご相談ください
痴漢で逮捕された場合、勾留を防ぐ等、身柄拘束からの解放、及び、被害者との示談、この2点において、弁護士の果たす役割は大きいです。
ご家族が痴漢で逮捕された場合、速やかに弁護士にご相談ください。