コカインで逮捕されたら何罪が成立する?罰則や流れ、対処法など
コカインは、南米原産の「コカの葉」から作られた無色の結晶または白色の粉末状の薬物です。コカインは精神刺激薬にも分類されており、特定の外科手術においては局所麻酔としても使用されています。
「麻酔として使用されているなら、問題ないのでは?」と思いがちですが、医療目的以外のコカインの使用や所持は法律で厳しく規制されています。そのため、軽い気持ちで使用すると、拘禁刑が科せられるおそれがある犯罪行為です。
本記事では、コカインで成立するおそれのある罪やその罰則、逮捕された後の流れや対処法などについて、詳しく解説していきます。
目次
コカインで逮捕されたら何罪が成立する?罰則は?
コカインで逮捕された場合は、麻薬及び向精神薬取締法違反の罪に問われる可能性があります。
麻薬及び向精神薬取締法とは、免許のない者の麻薬及び向精神薬に関連する行為を取り締まるとともに、麻薬中毒者に対して必要な医療措置を行う法律です。
コカインは、麻薬及び向精神薬取締法で麻薬に位置付けられており、主に以下の行為が禁じられています。
規制対象の行為
- 製造
- 所持
- 施用(使用)
- 譲渡、譲受
- 輸入、輸出
罰則については、行為別・営利目的(財産上の利益を得る目的)の有無によって異なるため、注意が必要です。
罰則
- 所持、施用、譲渡、譲受
営利目的がない場合:7年以下の拘禁刑
営利目的がある場合:1年以上10年以下の拘禁刑、又は情状により1年以上10年以下の拘禁刑及び300万円以下の罰金 - 製造、輸入、輸出
営利目的がない場合:1年以上10年以下の拘禁刑
営利目的がある場合:1年以上の有期拘禁刑、又は情状により1年以上の有期拘禁刑及び500万円以下の罰金
①製造
コカインを製造する行為は、麻薬及び向精神薬取締法の第20条で以下のように禁じられています。
2 麻薬製造業者、麻薬製剤業者又は家庭麻薬製造業者でなければ、家庭麻薬を製造してはならない。但し、麻薬研究者が研究のため製造する場合は、この限りでない。
条文では、「麻薬研究者」「麻薬製造業者」「家庭麻薬製造業者」以外の者がコカインを製造する行為を禁じています。なお、麻薬研究者は、都道府県知事の免許を受けなければなりませんし、麻薬製造業者や家庭麻薬製造業者は、厚生労働大臣の免許を受ける必要があります。つまり、コカインを製造するためには、免許が必要になります。
②所持
コカインの所持は、麻薬及び向精神薬取締法の第28条に違反する行為として、以下のように禁じられています。
第二十八条 麻薬取扱者、麻薬診療施設の開設者又は麻薬研究施設の設置者でなければ、麻薬を所持してはならない。ただし、次に掲げる場合は、この限りでない。
- 麻薬を処方箋により調剤された者
- 麻薬を処方箋により調剤された者が死亡したため所持していた相続人または相続人に代わって財産を管理する者
- 許可を受けている麻薬取扱者、麻薬診療施設の開設者、麻薬研究施設の設置者
この条文の「ただし、次に掲げる場合は、この限りではない」とは、次の者はコカインを所持していても処罰の対象とはしないことを意味します。
③施用(使用)
コカインの施用(使用)は、麻薬及び向精神薬取締法の第27条に違反する行為として、以下のように禁じられています。
第二十七条 麻薬施用者でなければ、麻薬を施用し、若しくは施用のため交付し、又は麻薬を記載した処方箋を交付してはならない。ただし、次に掲げる場合は、この限りでない。
なお、法律では、麻薬研究者などが適切に麻薬を利用する行為を「使用」とし、それ以外の者が利用する違反行為を「施用」と区別しています。また、コカインの施用は、所持と同様に次の者が処罰の対象外として条文に明記されています。
- 麻薬研究者、麻薬施用者
- 麻薬を処方箋により調剤された者
④譲渡・譲受
コカインの譲渡・譲受は、麻薬及び向精神薬取締法の第24条または第26条に違反する行為として、以下のように禁じられています。
(譲渡し)
第二十四条 麻薬営業者でなければ、麻薬を譲り渡してはならない。ただし、次に掲げる場合は、この限りでない。
(譲受け)
第二十六条 麻薬営業者、麻薬診療施設の開設者、麻薬研究施設の設置者又は大麻草栽培者でなければ、麻薬を譲り受けてはならない。ただし、次に掲げる場合は、この限りでない。
コカインの譲渡・譲受も、条文で次の者を処罰の対象外として明記しています。
- 麻薬診療施設の開設者、麻薬施用者、麻薬営業者
- 麻薬を処方箋により調剤された者が施用する必要がなくなったため、麻薬診療施設の開設者又は麻薬小売業者に譲り渡す場合
- 麻薬を処方箋により調剤された者が死亡したため、相続人または相続人に代わって財産を管理する者が麻薬診療施設の開設者又は麻薬小売業者に譲り渡す場合
- 麻薬を処方箋により調剤された者が麻薬小売業者から譲り受ける場合
⑤輸入・輸出
コカインの輸入・輸出は、麻薬及び向精神薬取締法の第13条または第17条に違反する行為として、以下のように禁じられています。
(輸入)
第十三条 麻薬輸入業者でなければ、麻薬を輸入してはならない。ただし、本邦に入国する者が、厚生労働大臣の許可を受けて、自己の疾病の治療の目的で携帯して輸入する場合は、この限りでない。
(輸出)
第十七条 麻薬輸出業者でなければ、麻薬を輸出してはならない。ただし、(以下第十三条と同文)。
基本的には、厚生労働大臣の許可を受けているかつ治療目的で携帯する場合を除くコカインの輸入・輸出が処罰の対象とされています。また、1度許可を受けた場合でも、その都度許可を得る必要があります。
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コカインで逮捕された場合は初犯でも実刑になる?
コカインで逮捕された場合は、たとえ初犯であっても実刑判決が下される可能性があります。
コカインを含む薬物事犯は、依存性が強く再犯率が高い特性があるため、「初犯」という事情が刑事処分の判断で有利に働かない場合があります。たとえば、初犯であってもコカインの施用量や頻度が多く、依存症が強い場合には、「再犯のおそれがある」と判断されやすいです。
そうなれば、実刑判決を下して刑事施設での更生プログラムを提供される可能性が高いでしょう。しかし、被疑者や被告人にとって有利となる事情を適切に主張・立証できれば、執行猶予が付く可能性があります。
- 執行猶予とは?
有罪判決を受けた場合に、刑の執行が一定期間猶予される制度です。猶予期間中に再び罪を犯さなければ、刑の執行は免除されます。
コカインで逮捕された後の流れ
コカインで逮捕されると、主に次のような流れで手続きが進んでいきます。
逮捕後の流れ
- 警察から取り調べを受け、逮捕から48時間以内に検察へ送致される
- 検察から取り調べを受け、送致から24時間以内に勾留請求を行うかが判断される
- 勾留請求が認められると、はじめに10日間の勾留を受ける(最大で20日間の勾留が可能)
- 勾留満了日までに、検察官によって起訴・不起訴が判断される
- 起訴されると、刑事裁判が開かれる
コカインを含む薬物事犯は、「薬物をトイレや川に流す」などで証拠の隠滅が容易に行えるため、逮捕による身柄拘束を受けやすいのが特徴です。そのため、逮捕の回避は容易ではありません。
逮捕された後は、警察及び検察から個別で取り調べを受け、その内容は「供述調書」として記録されます。供述調書は、裁判で使用される可能性があるため、不利な供述調書の作成を避ける必要があります。
コカインで逮捕された・逮捕されそうな場合の対処法
コカインで逮捕された・逮捕されそうな場合の対処法としては、以下の方法が有効です。
- 弁護士に相談する
- 正直に事実を話す
- 起訴された場合は保釈を目指す
- 再犯防止に取り組む
上記の方法を取れば、早期釈放や不起訴処分を獲得できる可能性が高まります。特に、弁護士への相談は、起訴・不起訴の判断まで時間が限られている刑事事件において、もっとも重視する必要のある対処法です。
弁護士に相談する
弁護士への相談は、早期釈放や不起訴処分を獲得できる可能性を高めるうえで、もっとも有効な対処法といえます。特に、刑事事件に精通した弁護士であれば、これまで培ったノウハウを活かした弁護活動を適切かつ円滑に行えます。
具体的には、以下のような弁護活動が可能です。
- 逮捕直後からすぐに接見(面会)できる
- 自首する場合は、途中まで同行してもらえる
- 刑事処分の判断で有利となる事情の主張や立証をしてもらえる
- 早期段階から弁護方針を構築してくれるため、安心して任せられる
- 捜査機関からの取り調べに対する適切な対応の仕方についてアドバイスをもらえる など
上記の弁護活動は、被疑者・被告人にとっていずれも大きなメリットとなります。「どのように対応すればよいのか」「今後どのように手続きが進んでいくのか」などが分からない状況は、不安が募るばかりです。
このような状況で頼れる弁護士の存在は、抱えている不安の軽減に大きくつながります。
正直に事実を話す
コカインの入手ルートや関係のある組織などの情報を正直に話す行為は、「反省している」と受け取られやすいです。その結果、刑事処分の判断で有利な事情として考慮してもらえる可能性があります。
コカインを含む薬物事犯は、組織犯罪であるケースが多く、捜査機関は犯罪組織の壊滅を目指して動きます。しかし、組織的な背後関係の解明は決して容易ではないため、組織に関する情報は欲しくて仕方ないのが捜査機関の本音です。
そのため、コカインをどのように・誰から入手したのかを話せば、「反省の姿勢がある」と受け取ってもらえる可能性が高いです。
ただし、薬物事犯に関わる組織は、反社会的勢力であるケースが多く、情報を話すことで組織から目を付けられる可能性があります。そのような場合には、その旨もきちんと捜査機関に伝える必要があります。
起訴された場合は保釈を目指す
検察官から起訴された場合は、長期間の勾留を回避するために保釈を目指す必要があります。
保釈とは、裁判所が定める保釈保証金の納付によって、起訴後勾留されている被告人の身柄拘束が一時的に解かれる制度です。保釈が認められると、被告人は釈放され、日常生活を送りながら裁判が終わるのを待ちます。
なお、収めた保釈保証金については、保釈期間中に被告人が逃亡した場合は返還されず、保釈条件を守った場合は返還されます。保釈が認められた後も、「逃亡しない」「証拠隠滅を行わない」「裁判を欠席しない」などの保釈条件を守る必要があります。
また、保釈を認めてもらうにあたり、いくつかの条件があります。これらの条件を満たすためには、有利な証拠と説得力のある保釈請求書の作成が必要となるため、弁護士に依頼されることをおすすめします。
保釈の条件については、以下のページをご覧ください。
再犯防止に取り組む
依存性が強く、再犯率の高い薬物事犯では、再犯防止の取り組みが刑事処分の判断で重視されます。 再犯防止の取り組みには、次のような活動が挙げられます。
再犯防止活動の例
- 専門医による治療やカウンセリングの参加
- 薬物再乱用防止プログラムの参加
- 自助グループへの参加
- 再犯防止に向けた地域活動や啓発活動などの参加
- 家族が協力体制である など
これらの活動は、再犯防止活動として認められ、実際にこれらの活動を行っている場合や釈放後に行う準備が整っている場合には、「再犯のおそれは低い」と判断してもらえます。
ただし、再犯防止の取り組みをきちんとしていると検察官や裁判官に訴えるには、証拠を提示して適切に立証しなければなりません。
コカインなど薬物事件を起こしてしまったら、早急に弁護士法人ALGにご相談ください
コカインなどの薬物事件は、証拠隠滅を防ぐために、逮捕による身柄拘束を受けやすい実情があります。また、依存性が強く、再犯率も高いため、たとえ初犯であっても犯行態様次第では実刑判決が下される可能性のある犯罪行為です。
組織犯罪も疑われやすいことから、捜査機関からの取り調べも長時間に及ぶ可能性があります。逮捕による身柄拘束や起訴後の勾留が長期に渡れば、仕事や家族関係にも悪影響を及ぼす可能性が高いです。実刑判決や長期間の身柄拘束を回避するためには、弁護士による弁護活動をどれだけ早く広範囲に行えるかが重要となります。
弁護士への相談は、早ければ早いほど活動範囲を大きく広げられるため、コカインなどの薬物事件を起こしてしまった場合には、なるべく早めに弁護士にご相談ください。
