脱法ハーブの所持は何罪に問われる?逮捕後の流れ、対処法など
脱法ハーブ(だっぽうハーブ)とは、法律でまだ規制されていない合成薬物を含む植物片や混合物のことで、「合法ドラッグ」や「違法ドラッグ」といった名称で呼ばれていた時期もあります。
これらは、当時の法制度の隙間を突いて規制を逃れていたため、「脱法」という言葉が使われていました。
しかし、平成26年の法改正により危険ドラッグと名称が変更され、厳格な取り締まりの対象となりました。
本記事では、脱法ハーブの所持によって問われる罪や、逮捕後の手続き・対応方法について詳しく解説していきます。
目次
脱法ハーブの所持は何罪に問われる?
脱法ハーブの所持は、主に医薬品医療機器等法違反または都道府県の条例違反に問われる可能性が高いです。脱法ハーブを営利目的なしに所持していた場合、3年以下の拘禁刑もしくは300万円以下の罰金または併科が刑罰として科せられる可能性があります。
なお、営利目的で所持していた場合には、さらに重い刑罰が科せられます(5年以下の拘禁刑もしくは500万円以下の罰金または併科)。
医薬品医療機器等法違反
脱法ハーブに含まれる成分が医療品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律(通称:薬機法)で規制されている指定薬物の場合は、医療品医療機器等法違反が成立します。
薬機法は、医療品や医療機器、化粧品などの品質や有効性、安全性を確保して国民の健康と安全を守るために制定されています。規制されている指定薬物の種類は、約3000化合物以上あり、現在もなお指定数は増え続けています。
そのため、現在規制されていない化合物でも、今後指定される可能性は十分にあります。かくいう脱法ハーブも、含まれる化合物の大部分は、大麻の成分である合成カンナビノイドですが、昔はまだ規制されていませんでした。
しかし、現在では、大麻と同様の強い有害性を持つ薬物として、さまざまな種類の合成カンナビノイドが指定薬物に指定されています。
都道府県の条例違反
脱法ハーブの所持は、各都道府県が薬物の規制について独自に定めた条例に違反する可能性があります。薬機法は、主に厚生労働省が指定した指定薬物を規制していますが、指定されていない薬物を条例で規制している都道府県もあります。
つまり、厚生労働省の規制対象となっていない化合物が使用されている脱法ハーブでも、都道府県の条例に違反する可能性があるということです。
しかし、法の網の目をくぐった脱法ハーブは、現在でも若者を中心に乱用が広がっています。
厚生労働省は、脱法ハーブを成分分析して検出した化合物を指定薬物に指定しますが、市場に流通している脱法ハーブの多くは、指定薬物の成分構造を一部だけ変えたものです。そのため、指定薬物の取り締まりは、今後さらに強化されていくことでしょう。
脱法ハーブの所持で逮捕されることはある?
脱法ハーブの所持は、使用せず単純に所持していただけでも逮捕される可能性があります。
所持していた脱法ハーブの成分が厚生労働省の規制する指定薬物である場合は、医薬品医療機器等法(薬機法)第76条の4に違反します。平成26年の法改正によって単純所持も規制対象となりました。
第76条の4
指定薬物は、疾病の診断、治療又は予防の用途及び人の身体に対する危害の発生を伴うおそれがない用途として厚生労働省令で定めるもの(以下この条及び次条において「医療等の用途」という。)以外の用途に供するために製造し、輸入し、販売し、授与し、所持し、購入し、若しくは譲り受け、又は医療等の用途以外の用途に使用してはならない。
脱法ハーブと知らずに所持していた場合はどうなる?
脱法ハーブと知らずに所持していた場合も、罪に問われる可能性は十分にあります。
指定薬物だと知らなくても、刑法第38条3項で「法律を知らなかったとしても、そのことによって、罪を犯す意思がなかったとすることはできない」と定められているからです。
しかし、同条には「ただし、情状により、その刑を減軽することができる」とも定められているため、事情次第では減軽される可能性があります。
脱法ハーブの多くは、“健全なハーブ”と謳い、観賞用やお香などと称して市場で堂々と販売されています。“ハーブ=健康的なもの”と判断し、指定薬物だと知らずに購入してしまう人は少なくありません。化学式に改変を加えた法逃れの脱法ハーブは、想像以上に市場に流通しているため、注意が必要です。
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脱法ハーブの所持で逮捕された後の流れ
脱法ハーブは成分の鑑定が必要なため、現行犯ではなく後日逮捕(通常逮捕)となるケースが多く、以下のような手続きが進みます。
後日逮捕の流れ
- 1.逮捕
後日逮捕の場合は、裁判所が発布した逮捕状をもって捜査機関が逮捕しに自宅を訪れます。このとき、捜索差押許可状により家宅捜索の後に逮捕される場合もあります。逮捕後は、警察から取り調べを受けます。 - 2.送致
警察は、逮捕後48時間以内に事件と身柄を検察に引き継ぎます(送致)。送致後は、検察から取り調べを受けます。 - 3.勾留
検察は、送致後24時間以内に被疑者の身柄拘束を継続する勾留請求を行うかどうかを決定します。勾留請求がなされ、裁判所が認めた場合は、まず10日間の勾留が実施されます。勾留は捜査状況に応じてさらに10日間の延長が可能です。 - 4.起訴・不起訴の決定
検察は、勾留満了日までに起訴・不起訴の決定を下します。 - 5.刑事裁判
通常起訴された場合は、公開の法廷で刑事裁判が開かれます。
脱法ハーブの所持で逮捕された場合の対処法
脱法ハーブの所持で逮捕された場合の対処法には、次のようなものが挙げられます。
- 早急に弁護士に依頼する
- 薬物依存から脱却し反省の態度を示す
上記の行為は、刑事処分の判断に大きな影響を与えます。早期釈放や不起訴処分を獲得したい場合には、これらをきちんと押さえることが大切です。
以下で、対処法を詳しく解説していきます。
早急に弁護士に依頼する
弁護士への早急な依頼は、脱法ハーブを含む薬物事犯において、効力のある対処法です。
特に刑事事件に精通した弁護士であれば、早期釈放や不起訴処分に向けた弁護活動を円滑かつ適切に行えるため、刑事処分の判断に大きな影響を与えます。
逮捕直後の面会も、弁護士の場合は禁じられることなく接見として行えます。接見で捜査機関の取り調べに対するアドバイスや今後の弁護方針を教えてもらえるのは、不安の軽減にもつながるでしょう。
不起訴処分を獲得できない場合は、保釈請求や執行猶予付き判決の獲得に向けた弁護活動を行います。対応に不安がある場合でも、弁護士が適切にサポートしてくれるため安心です。しかし、刑事事件の手続きは、想像しているよりも早く進んでいきます。
弁護士への依頼が遅くなれば、行動できる範囲が狭くなり、十分な法的サポートを受けられなくなる可能性があります。そのため、弁護士への依頼は、なるべく早めに行うのが得策です。
薬物依存から脱却し反省の態度を示す
脱法ハーブを含む薬物は、依存性が高く、使用を止めるのが困難であるため、再犯のおそれが重視されやすい傾向にあります。そのため、「薬物依存から脱却している」「事件について深く反省している」などの姿勢を示して、再犯の可能性が低いことを主張する必要があります。
再犯の可能性が低いと判断されやすいのは、以下のような行動です。
- 脱法ハーブの入手ルートを包み隠さずに供述して、深い反省を示す
- 薬物依存の治療や自助グループの参加、更生施設に入所する
- 家族が協力体制である など
これらの行動により、裁判所が再犯のおそれが低いと判断すれば、起訴されたとしても、執行猶予付き判決が下される可能性があります。更生に向けた努力の主張・立証を適切に行うことが大切です。
脱法ハーブの所持で逮捕された・されそうな場合は、なるべく早く弁護士法人ALGにご相談ください
脱法ハーブの所持は、故意でなくても逮捕される可能性がある犯罪行為です。脱法ハーブを含む薬物の規制は、法改正や監視体制の強化によって厳しくなっているものの、法の網の目をくぐってやり取りされる薬物は未だに沢山あります。そのため、健康に良いと考え、知らずに脱法ハーブを手にされてしまう方もいらっしゃるでしょう。
薬物事件では、早期段階から更生に向けた取り組みの準備を行う必要があります。刑事処分を判断する検察官や裁判官に対して、再犯のおそれが低いことなどを主張・立証できれば、有利な刑事処分が下される可能性があります。ある程度の時間が確保できれば、弁護士は充実した弁護活動が行えます。
脱法ハーブの所持で逮捕された・されそうな場合には、なるべく早めに弁護士にご相談ください。
