起訴とは?起訴までの流れや行うべきことを解説
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起訴されると、裁判にかけられることになるというのは、広く一般に知られていると思います。
以下では、起訴されるとどうなるのか、起訴までの流れ、起訴されたくない場合はどうすればよいか等のテーマについて、述べていきます。
目次
刑事事件における起訴とその種類
起訴とは、検察官が被疑者を裁判にかけることを決めることをいいます。
起訴には、法廷での裁判を求めるもの(公判請求)、書面審理で罰金を課す手続きを求めるもの(略式起訴)があります。
通常の起訴
身柄事件で公判請求された場合、起訴後も勾留が続いてしまいます。
身柄が釈放されないままだと、裁判の時、裁判所には、警察署の留置所または拘置所から行くことになります。
在宅起訴
在宅起訴は、被疑者が身柄拘束されていない状態で公判請求されることを言います。
在宅起訴の場合、裁判の時、裁判所には、自宅から行くことになるでしょう。
略式起訴
略式起訴は、公判請求と異なり法廷での裁判を開くことなく、書面審理のみで罰金を課する手続きを求めることです。
法廷での裁判を開かずに書面審理のみということは、被疑者の言い分を直接聞くことなく、刑罰を課する手続きですので、略式起訴をするには、被疑者の同意が必要である、100万円以下の罰金又は科料に相当する事件であることなど、略式起訴をするための特有の条件があります。
不起訴
不起訴は、捜査の結果、検察官が被疑者を起訴しないことを決定することをいいます。
不起訴になれば、前科がつかないことを意味しますので、不起訴処分を獲得することは、極めて重要です。
起訴されたらどうなる?
起訴されると、裁判を受けなければならなくなります。
また、起訴されると、被疑者から被告人に呼称が変わる、身柄事件の場合は、保釈請求が可能になる等の変化があります。
立場が変わる
起訴される前は、被疑者と呼称されますが、起訴されると、被告人と呼び名が変わります。
被疑者の場合、捜査のための取調べが実施されますが、被告人となると、原則として、取調べは行われません。
また、身柄事件の場合、起訴されて被告人になると、保釈請求が可能となります。
身柄の拘束が続く
身柄事件の場合、起訴されると、勾留が継続します。起訴後の勾留の期間は2か月間で、その後、1か月ごとに更新されます。
起訴後、裁判が終わり、執行猶予判決となれば、釈放されますが、起訴から裁判が終わるまで、罪を認めている自白事件でも1~2か月程度はかかります。
裁判が長引くと、1か月ごとの更新が延々と繰り返され、起訴後の勾留がずっと続くということになるでしょう。
在宅事件の場合、起訴されても在宅事件のままで、勾留されないのが通常です。
生活への影響が大きくなる
起訴後の勾留身柄事件において、起訴後も勾留が続きますが、裁判が終わり、執行猶予判決となれば、釈放されます。
もっとも、前述のように、起訴から裁判が終わるまで、罪を認めている自白事件でも1~2か月程度はかかります。
勾留されていると、仕事や学校等に行けないことはもちろん、家族との面会も平日のみで、時間も1日20分程度しか許されません。
ですので、起訴後も勾留が続くことは、肉体的、精神的苦痛が増大することはもちろん、社会生活上、大きな不利益となるでしょう。
そのため、身柄事件で起訴された場合は、一日も早く釈放されることが重要であり、保釈請求をすることが重要となります。
起訴までの流れ
以下では、身柄事件、在宅事件の起訴に特有なことや、起訴まで期間の目安等にてついて解説します。
身柄事件の起訴までの流れ
身柄事件の場合、逮捕後、勾留された上で起訴されますが、勾留満期の前日には、検察庁内部では起訴することを決定していることが多いです。
留置場にいる被疑者に起訴されたことが伝わるのは、勾留満期当日に留置場の職員を通してということが多いでしょう。
起訴・不起訴決定までの期間
逮捕から始まる身柄事件の場合、起訴されるまで、逮捕期間が2~3日、勾留期間が10日~20日です。
勾留満期日が土日祝日に当たる場合、直前の平日に起訴がなされるのが実務であることも考慮すると、身柄事件の場合、短くて10日前後で起訴、長くて20日前後で起訴(最長23日)となるでしょう。
在宅事件の起訴までの流れ
在宅事件の場合、身柄事件の逮捕、勾留のように時間制限がありませんので、起訴されるまでの期間は、一定ではありません。
被疑者や事件関係者の取調べや現場検証等、警察の捜査が一通り終われば、在宅事件でも事件を検察庁に送致するのですが、この警察から検察庁への事件送致までの時間が、数か月以上かかることもあります。
在宅事件の場合、いつ検察庁に事件送致されるのかについて、折を見て警察に確認しながら進めるということも、よくあります。
起訴された場合の有罪率
起訴された場合の有罪率は、99%を超えています。高い有罪率の理由は、いくつか考えられます。
まず、多くの事件で、被告人が罪を認めている事件(自白事件といいます)が多く、そのような事件は、当然、有罪となるでしょう。
また、否認事件の場合、検察官が起訴するか否かにあたり、証拠上、立証が困難な事件は不起訴とし、起訴する事件を厳選しているという面も影響しているでしょう。
起訴後の勾留と保釈について
勾留されている状態で起訴されれば、起訴後も勾留が継続します。
起訴後、勾留されている状態から釈放されるためには、保釈請求をすることが一般的です。
保釈は、起訴後、裁判所に保釈請求書を提出します。
裁判所は、勾留している側の検察庁に、保釈の可否についての意見を求めます。そして、検察庁から、意見が戻ってきたら、裁判所は保釈の可否について判断します。
保釈と聞くと、保釈保証金さえ納めれば釈放されると考えられがちですが、お金さえ準備できればどんな事案でも保釈されるというわけではありません。
まず、裁判所が保釈の可否を判断し、裁判所が保釈を相当と認めた事案であって初めて、保釈保証金の話となります。
起訴されたくない場合は?
罪を認めている事件を前提とすると、起訴されてしまうと、懲役刑、罰金刑なり、前科がついてしまいます。
そのため、起訴されないため、不起訴処分を獲得することが重要です。
不起訴処分の獲得
被害者が存在する犯罪では、被害者と示談できるか否かが、不起訴処分獲得のために極めて重要となります。
そして、被疑者が被害者の連絡先を知ろうとしても、警察等の捜査機関は、被疑者に対して被害者の連絡先を教えることは、通常ないでしょう。
弁護士であれば、被害者の連絡先を教えてもらえる可能性があります。そのため、不起訴処分獲得には、弁護士に依頼することが必要となるでしょう。
起訴前・起訴後に弁護士ができること
起訴前にできること
被害者が存在している犯罪では、示談のための活動が重要です。
そのほか、警察官、検察官による取調べに対する対策が重要です。
捜査機関は、被害者と被疑者の言い分が異なっていると、被害者の言い分を被疑者に押し付けてきて、被疑者の言い分を聞いてくれないということが考えられます。
そのため、必要な法的知識をアドバイスするだけでなく、弁護士が取調べに同行するという活動も考えられます。
起訴後にできること
容疑を認めている事件では、裁判記録を検討し、被告人に有利な事情を被告人の刑ができる限り軽くなるために裁判所に提出すべき証拠を収集します。
被害者が存在する犯罪では、被害者と示談することが重要な点は、起訴前と変わりません。
起訴に関するよくある質問
在宅起訴と略式起訴の違いがよくわかりません。
在宅起訴は、留置場での身柄拘束をされていない状態で、起訴されることをいいます。
略式起訴は、一定の軽微事件で、犯罪の成否に争いのない事件において、略式手続という書面審理で罰金を課する裁判を求めることを言います。
在宅起訴は、起訴される際に、身柄拘束されているかどうかであり、略式起訴のように、裁判の方式の問題ではありません。
例えば、交通事故関連の在宅起訴の例をあげると、初犯の方が、飲酒運転をしてしまった場合、略式起訴で罰金が課されるということが考えられます。
同じく初犯の方でも、飲酒運転の上、人身事故まで起こしてしまった場合、略式起訴ではなく、公判請求されるということが考えられます。
被害者と示談出来た場合、起訴を取り消してもらうことはできますか?
起訴された後に、被害者と示談が成立した場合、示談の成立を理由に起訴が取り消されることはありません。起訴後に示談が成立しても、何かしらの刑事罰を受け、前科が付くことは避けられないでしょう。
ですので、起訴されないようにする、前科を付けないようにするには、検察官が起訴する前に、示談を成立させ、不起訴処分を獲得することが必須となります。
なお、起訴後に示談については、裁判において、被告人に有利な証拠となります。具体的には、検察官が示談の成立を前提に求刑したり、裁判官が示談を減軽要素として考慮したりすることが一般的です。
被害者との示談の成立の有無が、実刑か執行猶予の分かれ目となる事件も多くありますので、起訴後に示談することが意味がないということでは、ありません。
起訴と逮捕は何が違いますか?
起訴は、捜査の結果、被疑者を裁判にかけることを言います。
逮捕は、捜査の初期段階で、逃亡や罪証隠滅を防ぐため、犯罪の嫌疑がある者(被疑者)の身柄を拘束することをいいます。
逮捕された事件でも、証拠不十分で不起訴となったり、被害者と示談が成立したため不起訴となることは数多くあります。ですので、逮捕されたら起訴されるという関係にはありません。
起訴された後、裁判までの期間はどれ位かかるのですか?
起訴後、第1回公判期日は、1か月~2か月後となることが多いです。
起訴された被疑事実を被告人が認める事件であれば、第1回公判期日で審理が終結し、1週間~3週間後の第2回公判期日で判決が言い渡され、裁判が終了します。
起訴された事件を否認する事件の場合、何回裁判が開かれるか、どれくらいの期間がかかるかは、事件及び否認の内容、検察官の立証方針等によります。
ご家族が起訴されるかもしれない場合、一刻も早く弁護士へご連絡ください
上記で解説したように、起訴されることを防ぐには、起訴される前に被害者と示談しなければならないといったように、早い段階での弁護活動が重要です。
起訴前の示談に限らず、弁護士に依頼するのが早ければ早いほど、弁護士ができることが増えると言っていいでしょう。
ですので、ご家族が起訴されるかもしれない場合、できるだけ早く弁護士にご相談ください。