ヘロインで逮捕されたら?罰則や流れ、対処法などを弁護士が解説
ヘロインは、けしを原料とする薬物で、けしからアヘンを摂取して抽出したモルヒネから合成されます。純粋なものは白色粉末で、粉末や棒状などのさまざまな形状があります。
ヘロインは、麻薬及び向精神薬取締法において、コカインと同様に「麻薬」として位置づけられているため、ヘロインに関連する行為はすべて犯罪行為に該当します。
本記事では、ヘロインで逮捕された場合の罰則や逮捕後の流れ、事件を起こしてしまった場合の対処法などについて、詳しく解説していきます。
目次
ヘロインとはどういう薬物か?
ヘロインとは、モルヒネを合成してつくられた薬物で、化学的には「ジアセチルモルヒネ」と呼ばれています。覚醒剤や大麻などの薬物のなかでも、ヘロインは特に依存性が強く、離脱症状も1番強いと言われています。
ヘロインを摂取すると、暖かさや幸福感を味わえますが、効果が切れれば骨や臓器がバラバラになるほどの激しい痛みにより失神や死亡に至る場合があります。
そのため、効果が切れたときの痛みをおそれるなどの大きな不安感が常にあるせいで、ヘロインの摂取が止められなくなります。
ヘロインに溺れると、地獄のような苦しみを味わうことになります。
ヘロインで逮捕された場合の罰則
ヘロインは、「麻薬及び向精神薬取締法」または「麻薬特例法」で厳しく取り締まられています。
規定されている罰則については、ヘロインをどのように利用したのか(行為)によって下表のとおり、内容が異なります。
| 罰則 | 営利目的の場合 | |
|---|---|---|
| 所持・施用(使用)・譲渡・譲受 | 10年以下の拘禁刑 | 1年以上の有期拘禁刑又は情状により500万円以下の罰金を併科 |
| 輸入・輸出・製造 | 1年以上の有期拘禁刑 | 無期又は3年以上の拘禁刑又は情状により1000万円以下の罰金を併科 |
ヘロインは特に依存性が強いため、コカインやMDMAなどの麻薬よりも重い刑罰が規定されており、営利目的の場合にはさらに刑罰が重くなります。
また、営利目的の場合には、無期懲役となるため、裁判員裁判の対象事件となります。
- 裁判員裁判とは?
死刑または無期懲役に該当する罪、または故意の犯罪行為によって被害者を死亡させた罪の場合に、国民から選ばれた裁判員が裁判官と一緒に刑事裁判に参加する制度です。
初犯の場合は執行猶予を獲得できる?
ヘロインの施用(使用)や所持が営利目的ではなく、「自分が使うため」の単純な目的の場合には、初犯であることが有利な事情として働き、執行猶予を獲得できる可能性があります。
ただし、ヘロインは薬物のなかでも特に依存性が強いため、ヘロインの施用頻度によっては、「再犯のおそれがある」と判断される可能性があります。そのように判断されれば、執行猶予が付くどころか実刑判決が下される可能性が高くなります。
初犯を有利な事情として捉えてもらうには、「再犯のおそれが低い」と判断してもらわなければなりません。そのためには、再犯防止活動への取り組みを主張し、適切に立証する必要があります。
再犯防止活動には、専門医による治療や更生プログラムへの参加などが挙げられます。
再犯や営利目的の場合は実刑の可能性
再犯や営利目的でヘロインを利用した場合は、実刑判決が下される可能性が高いです。
自分や第三者の財産上の利益を得るためを目的とした犯罪行為は、薬物事件以外の刑事事件においても重い刑罰が科せられます。
ただし、営利目的が故意ではない場合、たとえば、「脅されて従うしかなかった」などの場合には、不起訴や執行猶予が付く余地があります。
このような場合には、次のような対策を講じて再犯や営利目的でのヘロインの利用が不利な事情として考慮されないようにする必要があります。
- 捜査機関の取り調べで不利な供述調書を作成されないようにする
- 医師や家族などに証人になってもらう
- 故意ではないと分かる証拠を示し、立証する など
ヘロインで逮捕された後の流れ
ヘロインを含む薬物事犯は、現行犯逮捕または後日逮捕による身柄拘束を受けるケースがほとんどです。
捜査機関から逮捕された後は、主に以下のような流れで手続きが進みます。
- ①警察からの取り調べを受ける
警察から事件の動機や目的などを聴取され、逮捕から48時間以内に事件と身柄が検察に引き継がれます。 - ②検察からの取り調べを受ける
警察に引き継がれた後は、検察からも事件の動機や目的などを聴取されます。 - ③勾留請求を行うかどうかの判断が下される
検察に事件と身柄を引き継がれた後は、24時間以内に検察から勾留請求(身柄を引き続き勾留する)を行うかどうかの判断が下されます。 - ④勾留
勾留請求がなされると、まず10日間の勾留(身柄拘束)を受けます。勾留は、捜査状況によって10日間の延長が可能です。 - ⑤起訴、不起訴の判断が下される
勾留満了日までに、検察から起訴・不起訴の判断が下されます。 - ⑥刑事裁判
起訴されると刑事裁判が開かれ、裁判官から判決が下されます。
ヘロイン事件は勾留される可能性が高い
ヘロインを含む薬物事犯は、証拠の隠滅が容易であるため、再犯防止の観点から勾留や勾留延長される可能性が高い犯罪類型とされています。
勾留とは、逮捕された被疑者や被告人の身柄を刑事施設に拘束する手続きで、証拠隠滅や逃亡を防ぐために行われます。
勾留が長期間に渡れば、仕事や人間関係に悪影響を及ぼす可能性が高くなるため、勾留を回避もしくは保釈を目指した活動を行う必要があります。
保釈は、裁判所から指定された保釈保証金を納めることで身柄拘束が一時的に解かれる制度です。
保釈を求めるための手続きである「保釈請求」は、起訴後に可能となるため、勾留された場合は起訴前に準備を進め、起訴された直後に保釈請求を行います。ただし、保釈が認められるには、いくつかの条件を満たさなければなりません。
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ヘロイン事件を起こしてしまった場合の対処法
ヘロイン事件を起こしてしまった場合の対処法には、次のような方法が挙げられます。
- 弁護士に依頼する
- 再犯防止活動に取り組む
これらの対処法をきちんと押さえれば、早期釈放や不起訴処分を獲得できる可能性をより高めることができます。
各対処法の具体的な内容については、次項で詳しく解説していきますので、ぜひご参考になさってください。
弁護士に依頼する
薬物事犯に関わらず、刑事事件で早期釈放や不起訴処分を目指すには、弁護士への相談が不可欠です。
弁護士による弁護活動は、被疑者や被告人にとって有利となる事情の主張や立証に必要となります。
弁護士は、具体的に以下のような活動を行えます。
- 逮捕直後から接見(面会)できるため、弁護活動の構築を早期に行える
- 自首する場合は、途中まで弁護士に同行してもらえる
- 捜査機関からの取り調べが正当であるかどうかを判断してもらえる
- 取り調べに対する適切な対応の仕方を助言してもらえるため、不利な供述調書の作成を防げる
- 保釈が認められるための準備を行ってもらえる
- 被疑者や被告人にとって、有利となる事情の主張・立証を正しく行ってもらえる
- 連絡の取れない家族や会社との架け橋になってもらえる など
上記活動は、弁護士だからこそ可能な活動といえます。特に刑事事件を得意とする弁護士であれば、これまでの経験を活かした弁護活動が可能です。
再犯防止活動に取り組む
薬物事犯は、依存性が強く再犯率が高い犯罪類型であるため、早期釈放や不起訴処分の獲得を目指すには、再犯防止活動の取り組みを主張・立証する必要があります。「再犯のおそれがある」と判断されれば、実刑判決が下される可能性が高いからです。
被害者が存在しない薬物事犯では、被害者との示談成立による減刑を目指せません。そのため、具体的な再犯防止活動の取り組みを明示し、社会に戻った後に再び罪を犯す可能性が低いことを訴える必要があります。
そうしなければ、有罪判決が下され、拘禁刑が科せられる可能性が高いです。拘禁刑が科せられると、被告人の特性に応じた更生プログラムを受けることになります。
<再犯防止活動の例>
- 専門医による治療
- 支援施設への入所
- 自助グループへの参加 など
ヘロイン事件で逮捕された・逮捕されそうな場合は、早期に弁護士法人ALGにご相談ください
ヘロインは、薬物のなかでも離脱症状が強く、そこから逃れたいがために繰り返し使用している犯行態様であるケースが多いです。刑事処分の判断では、薬物の使用量や頻度なども考慮されるため、何もしないままでは実刑判決が下される可能性が高いです。
少しでも有利な刑事処分を獲得するには、被疑者や被告人にとって有利となる事情の主張及び立証が必要です。主張と立証の実現には、弁護士による弁護活動が不可欠であるため、ヘロイン事件で逮捕された・逮捕されそうな場合には、なるべく早めに弁護士にご相談ください。
弁護士であれば、逮捕直後から面会できるため、早期段階から弁護活動に着手できます。また、弁護士への相談が早ければ早いほど、活動範囲を広げられるため、なるべく早めにご相談されることをおすすめします。
