保釈が認められる条件とは?保釈金や流れ、弁護士への依頼など解説

保釈が認められる条件とは?保釈金や流れ、弁護士への依頼など解説

監修
監修福岡法律事務所 所長 弁護士 谷川 聖治 弁護士法人ALG&Associates

保釈とは、起訴された被告人の勾留を一時的に解く制度のことで、保釈保証金の納付を条件としていますが、必ず認められるわけではありません。保釈申請を認めてもらうためには、保釈条件を守る必要があります。

そこで本記事では、保釈が認められる条件に着目し、保釈申請を行うための条件起訴から保釈までの流れについて、詳しく解説していきます。保釈申請が通らない場合の対処法についても解説していきますので、ぜひご参考になさってください。

保釈とは?

保釈とは、起訴後に実施される勾留から一時的に身柄拘束を解くことができる制度です。
保釈を望む場合は、裁判所に対して「保釈申請」を行う必要があり、起訴後であればどのようなタイミングでも行えます。

刑事事件には、有罪判決が出るまでは、被告人を罪を犯していない人(=無罪)として扱わなければならない原則があります(これを、無罪推定の原則といいます)。

起訴後の勾留は、基本的に裁判が終結するまで継続されるため、被告人が受ける社会的影響は甚大です。

保釈制度は、このような被告人の不利益を小さくするために施行されました。

保釈と釈放の違い

刑事事件では、保釈と混同しやすい言葉に釈放が挙げられます。
「身柄拘束が解かれる」という点においては、どちらも同じ意味をもっていますが、2つの言葉には以下のような違いがあります。

  保釈 釈放
タイミング 起訴されてから判決が出るまでの間 ・逮捕後
・勾留後
・刑の執行が終わった後 など
身柄拘束を解かれる期間 一時的な場合のみ 一時的な場合と永久的な場合がある
請求の有無 請求可能 請求不可(検察が判断するため)
保釈保証金の有無 必要 不要

表をみると、保釈は釈放よりも限定的で永久に身柄拘束が解かれるわけではないことがわかります。

一方で釈放は、被疑者・被告人が自ら請求することはできず、検察官の裁量に委ねられていることがわかります。

保釈の種類

保釈には、権利保釈・裁量保釈・義務的保釈の3種類があり、まず権利保釈の可否から検討されます。
検討される順としては、「権利保釈→裁量保釈→義務的保釈」になります。

最後に検討される義務的保釈は、実務上、滅多に行われるものではないため、実際に行われる保釈のほとんどは権利保釈か裁量保釈でしょう。

権利保釈 法律で定められた以下の除外事由に該当しない限り、原則認められる保釈のこと

【除外事由】
・重大な罪を犯した
・重罪の前科がある
・犯した罪に常習性がある
・証拠隠滅のおそれがある
・証人威迫のおそれがある
・氏名、住所が不明である
裁量保釈 権利保釈ができない場合に、裁判官が被告人の情状を考慮して認める保釈のこと
義務的保釈 勾留が不当に長引いた場合に認める保釈のこと

保釈申請が認められるための条件

裁判所に対する保釈申請が認められる条件は、権利保釈・裁量保釈・義務的保釈ごとに異なります。
各保釈に定められた条件を満たさなければ、保釈申請は通りません。そのため、各保釈の条件について、きちんと理解したうえで保釈申請を行う必要があります。

では次項にて、各保釈の条件について詳しく解説していきます。

権利保釈の条件

権利保釈の条件

  1. 死刑・無期懲役もしくは短期が1年以上の懲役・禁錮刑に該当する罪を犯していないこと
  2. 死刑・無期懲役もしくは長期10年以上の懲役・禁錮刑に該当する前科がないこと
  3. 常習性がないこと
  4. 証拠隠滅のおそれがないこと
  5. 被害者・告発者・目撃者などに報復行為をするおそれがないこと
  6. 氏名・住所が明らかであること

上記1~6までの条件をすべて満たすことで、権利保釈が認められます。
保釈除外事由のうち一つでも該当してしまうと、権利保釈は認めてもらえません。

裁量保釈の条件

権利保釈が認められない場合に検討される裁量保釈は、刑事訴訟法第90条にて以下のように定められています。

「裁判所は、保釈された場合に被告人が逃亡し又は罪証を隠滅するおそれの程度のほか、身体の拘束の継続により被告人が受ける健康上、経済上、社会生活上又は防御の準備上の不利益の程度その他の事情を考慮し、適当と認めるときは、職権で保釈を許すことができる」

つまり、「裁判所が被告人に関わるさまざまな情状を考慮し、保釈するべきだ」と判断した場合には、職権で保釈を許可できるということです。そのため、裁判官に保釈の必要性と相当性を訴え、認めてもらうことが裁量保釈の条件です。

義務的保釈の条件

最後に検討される義務的保釈は、刑事訴訟法第91条1項にて以下のように定められています。

「勾留による拘禁が不当に長くなったときは、裁判所は、第八十八条に規定する者の請求により、又は職権で、決定を以て勾留を取り消し、又は保釈を許さなければならない」

つまり、「被告人の勾留が不当に長くなった」場合には、勾留を取り消して保釈を許可しなければならないということです。

なお、不当に長い勾留は、単なる時間の長さだけを意味するものではありません。事件の内容や犯罪の軽重などの事情も含めて総合的に判断されるため、裁判官の裁量によって不当に長い勾留か否かが決まります。

逮捕後72時間以内弁護活動が運命を左右します

刑事弁護に強い弁護士が迅速に対応いたします。
逮捕直後から勾留決定までは弁護士のみが面会・接見できます。ご家族でも面会できません。

保釈申請を行うための条件

保釈申請を行うための条件は、主に次の3つです。
なお、保釈申請は、起訴された後から手続きできます。

  1. 保釈申請できる人
  2. 保釈金(保釈保証金)の納付
  3. 身元保証人の必要性

では次項にて、各条件について詳しく解説していきます。

保釈申請できる人

保釈申請は、誰でも行えるわけではありません。
主に以下の人物からの申請に限り、認められています。

保釈申請できる人

  • 被告人本人
  • 被告人の弁護人
  • 法定代理人(未成年の場合→その両親 など)
  • 保佐人
  • 配偶者
  • 直系の親族
  • 兄弟姉妹 

上記に該当する人物が、裁判所または裁判官に対して保釈請求書を提出することで保釈申請が行えます。

しかし、被告人やその家族が何のアドバイスもなく保釈請求書を作成することは難しく、弁護人が作成するケースがほとんどです。

弁護士であれば、保釈請求書の作成を円滑に行え、難航することなく手続きを進められます。

保釈金(保釈保証金)の納付

保釈申請には、原則保釈金(保釈保証金)の納付が必要です。
保釈金は、保釈を認めた被告人の逃亡や証拠隠滅を防ぎ、きちんと裁判に出席させるためのいわば保証金です。
そのため、逃亡や証拠隠滅することなく裁判に出席して判決が下された場合には全額返金されます。

保釈金の相場は、150~300万円程度とされていますが、「犯罪の軽重」や「被告人の資力」などによって異なることもあります。保釈金の金額は、保釈を認めた裁判所で判断され、約1週間程度で審査結果が伝えられます。

なお、保釈申請は認められたものの、保釈金が支払えない場合には、以下の方法があります。

保釈金が支払えない場合

  • 日本保釈支援協会の立て替え制度を利用する
  • 全国弁護士協同組合連合会の保釈保証制度を利用する
  • 準抗告・抗告を行う
  • 有価証券や被告人以外の人の保証書を提出する など

身元引受人の必要性

身元引受人の有無は、保釈申請を行うための条件に含まれていません。
しかし、身元引受人がいることは、逃亡や証拠隠滅のおそれがないことの立証に大きくつながります。

身元保証人の役割は、保釈後の被告人を監督することです。

そのため、身元引受人には同居の家族がなるケースが多いですが、家族が遠方にいる・頼ることができない場合などには、会社の同僚や上司が身元引受人となるケースもあります。

ただし、同居していない人物が身元引受人となる場合は、同居している人物と比べて、「被告人を監督できる環境とはいえない」と判断されやすい傾向にあります。

保釈申請は弁護士に依頼した方がいい?

保釈申請を行う場合は、その手続きを弁護士に一任した方が望ましいです。
ただ単に保釈申請を行うだけでは、裁判所から保釈を認めてもらえない可能性が高いからです。

この点、弁護士であれば、保釈請求書の作成はもちろんのこと、裁判所への説得も適切に行えます。保釈するにあたり、裁判所は「被告人が犯した罪の重さ」と「被告人の資力」を重視します。

弁護士によって、被告人の犯した罪に常習性・悪質性がないことや、被告人の資力が十分にあることなどを主張・立証できれば、保釈申請が認められやすくなります。

また、保釈する際に裁判所から科せられた条件についても、弁護士から助言を得られるため、不利益を受ける心配も少ないです。そのため、保釈申請を検討される場合は、まず弁護士にご相談されることをおすすめします。

保釈された後も条件を指定されることがある

保釈された後も、以下のような条件を裁判所から指定されることがあります。

  1. 保釈中の住居の指定
  2. 被害者への接触禁止
  3. 共犯者同士の接触禁止

次項では、これらの指定条件について、さらに詳しく解説していきます。

保釈中の住居の指定

保釈の条件として、裁判所から保釈中の住居を指定された場合、裁判所から指定された住居以外で外泊すると、条件違反となります。

場合によっては、制限住居離脱罪に問われる可能性もあります。
ただし、裁判所の許可があれば指定住居以外の外泊も可能です。

制限住居離脱罪とは?

保釈中に裁判所の許可なく、裁判所に指定された期間を超えて制限住居を離れることで成立する犯罪です。
成立した場合は、「2年以下の拘禁刑」が科せられます。

被害者への接触禁止

保釈の条件として、裁判所から被害者への接触禁止を指定されることがあります。

被害者が存在する犯罪で、特に暴行罪や傷害罪、不同意わいせつ罪などの性犯罪に問われて起訴されている場合は、高確率で被害者への接触禁止を命じられるでしょう。実際に裁判所から命じられた場合は、被害者と直接会うことはもちろんのこと、電話やメールでの接触も許されません。

共犯者同士の接触禁止

被告人の起こした事件に、「共犯者がいる」と考えられる場合は、裁判所から共犯者同士の接触禁止を指定されることがあります。

共犯者がいる場合は、被告人が保釈後に共犯者と接触して事件について口裏を合わせる可能性が高いと考えられています。こうした口裏合わせを防止するため、共犯者と直接会う、電話やメールをするなどの接触がすべて禁止されます。

逮捕後72時間以内弁護活動が運命を左右します

刑事弁護に強い弁護士が迅速に対応いたします。
逮捕直後から勾留決定までは弁護士のみが面会・接見できます。ご家族でも面会できません。

保釈条件は後から変更できる?

裁判所から指定された保釈条件は、保釈された後に変更できます。
特に多い変更内容は、引っ越しやその他の事情による保釈中の住居変更です。

保釈条件を変更したい場合は、被告人自らまたは弁護士が裁判所に対して制限住居の変更を申し立てることで、変更することが可能です。ただし、裁判所が認めなければ変更できないため、変更するに足りる理由が必要となります。

保釈条件に違反した場合の罰則

裁判所が決定した保釈条件に違反すると、保釈が取り消され、再び身柄を拘束されます。
また、裁判所に預けた保釈金の全額または一部が没収されることもあるため、注意しなければなりません。

保釈条件の具体例には、次のようなことが挙げられます。
なお、制限住居や旅行の制限については、裁判所から許可を得られた場合に限り、引っ越しや旅行が可能です。

  • 制限住居
  • 被害者、共犯者への接触禁止
  • 裁判所への出頭義務
  • 旅行の制限
  • 証拠隠滅、逃亡を図らない など

起訴から保釈までの流れ

保釈流れ

起訴後に保釈申請してから保釈されるまでの流れは、主に以下のとおりです。

保釈申請の流れ

  • 起訴後に保釈請求を行う
    裁判所に「保釈請求書」を提出すると、保釈申請の手続きが開始されます。
  • 裁判官面接・検察官の意見提出が行われる
    検察官から保釈に対する意見書が提出されます。
    意見書は、【(保釈を)「相当」「不相当」「しかるべく」 】3つのいずれかで提出されます。
  • 保釈許可決定が下される
    裁判所が保釈を認めた場合は、保釈許可決定が下され、認めない場合は、保釈却下決定が下されます。
  • 保釈金の納付を行う
    保釈決定書に記された保釈金の納付を裁判所に行います。
  • 釈放指揮が行われる
    保釈金の納付後、検察官は被告人が身柄拘束を受けている施設長に対して「釈放指揮書」を作成します。
    釈放指揮を受けた施設は、釈放の準備を進めます。
  • 釈放される

保釈申請の必要書類

保釈申請時には、保釈請求書に加えて以下の書類が必要となります。

保釈申請時の必要書類

  • 保釈請求書
  • 身元引受書
  • 住民票
  • 上申書
  • 示談書の写し
  • 嘆願書 など

保釈後の被告人を監督する人物を記載した「上申書」や、被告人の家族が保釈を望む旨が記載された「嘆願書」の提出は、保釈される可能性をより高めます。

保釈申請が通らない場合の対処法

保釈申請が却下された場合は、準抗告もしくは抗告で不服申し立てができます。

準抗告と抗告の違いは、“誰が下した処分に対して不服を申し立てるのか”という点にあります。
そのため、第一回目の公判期日前に却下された場合は、準抗告で不服を申し立てることになります。

  • 裁判所や捜査機関である検察が下した処分に対して不服を申し立てる場合 ➡ 準抗告
  • 裁判所が下した処分に対して不服を申し立てる場合 ➡ 抗告

準抗告・抗告を行うと、保釈を却下した裁判官とは別の裁判官が被告人の保釈を再度見直します。
これにより保釈が認められる場合も少なくないため、保釈を却下された際は不服申立てを検討しましょう。

保釈の条件についてお困りのことがあればすぐに弁護士にご相談ください

保釈が認められる条件は細かく定められていますが、裁判官の裁量に委ねられている以上、確実に保釈される保障はありません。保釈される可能性を高めるためには、刑事事件を得意とする弁護士の力は必要不可欠でしょう。

弁護士であれば、保釈許可に有効となる書類の作成を行い、適切かつ円滑に保釈申請の手続きを行えます。身柄拘束を受けている中で保釈申請の助言を得られ、動いてもらえることは、精神的負担の軽減に大きくつながるはずです。

また、弁護士に依頼することで、保釈が認められない場合でも、準抗告・抗告の手続きを進めてもらえます。

弁護士法人ALGには、刑事事件に精通した弁護士が多数在籍しております。
保釈申請を行うか悩まれている方は、お気軽に弁護士法人ALGへご相談ください。

逮捕後72時間以内弁護活動が運命を左右します

刑事弁護に強い弁護士が迅速に対応いたします。
逮捕直後から勾留決定までは弁護士のみが面会・接見できます。ご家族でも面会できません。

監修

監修 : 福岡法律事務所 所長 弁護士 谷川 聖治 弁護士法人ALG&Associates

保有資格弁護士(福岡県弁護士会所属・登録番号:41560)

プロフィールを見る

緊急で無料法律相談受付

60分無料法律相談(24時間予約受付)