覚醒剤を無理やり使わされたら逮捕される?対処法など弁護士が解説
自らの意思に反して、他人から無理やり覚醒剤を使わされる覚醒剤事件は決して少なくありません。昨今では、若者の薬物乱用の拡大により、SNSや出会い系サイトなどで知り合った初対面の人から無理やり覚醒剤を使わされる事件が発生しています。
自ら覚醒剤を求めていない=「故意ではない」場合の覚醒剤の使用は、果たして罪に問われてしまうのでしょうか。
本記事では、無理やり覚醒剤を使用させられた場合の対処法や覚醒剤取締法違反となる行為・罰則などについて、詳しく解説していきます。
目次
覚醒剤を無理やり使わされたら罪に問われる?
他人から覚醒剤を無理やり使わされた場合は、故意ではないため、罪に問われません。
覚醒剤の使用で処罰されるのは、その行為に覚醒剤を使用する意思(故意)が含まれているからです。そのため、覚醒剤の使用が故意ではないと認められれば、罪に問われる心配はありません。
ただし、逮捕の段階で故意ではないことが明らかになっていない場合には、事実を確認するためにも捜査機関から逮捕される可能性が高いです。その後は、身柄を拘束されながら警察官からの取り調べを受け、その次に検察官からの取り調べを受けていきます。
取り調べで誤った対応をすると、不利な供述調書が作成されてしまうため、逮捕の段階で素早く対処するには、なるべく早い段階で弁護士に相談することが大切です。
無理やり覚醒剤を使用させられた場合の対処法
無理やり覚醒剤を使用させられた場合の対処法は、主に次のとおりです。
- 故意がないことを主張する
- 緊急避難の要件を成立させる
- 弁護士に相談する
上記の対処法を押さえておけば、不利な状況となるのを未然に防げる可能性が高まります。
具体的な対処法については、次項で詳しく解説していきます。ぜひご参考になさってください。
故意がないことを主張する
無理やり覚醒剤を使用させられた場合は、故意ではないことを主張する必要があります。
覚醒剤使用の罪が成立するのは、故意(自ら覚醒剤を使用する意思)がある場合に限られます。覚醒剤と認識しながら、故意に使用した場合に罪に問われるため、そうでない場合は罪に問われません。
そのため、「覚醒剤とは知らなかった」「合法な治療薬と勘違いしていた」などの場合は、故意ではないことを主張することが大切です。
ただし、この主張においては、大前提として故意ではないことを証明する必要があります。覚醒剤の使用が故意ではなかったことを裏付ける証拠を提示し、適切に主張・立証しなくてはなりません。そうしなければ、故意ではないことを認めてもらえません。
緊急避難の要件を成立させる
緊急避難の要件の成立は、無理やり覚醒剤を使用させられた場合の対処法になり得ます。
緊急避難とは、「本来は罪に問われる行為でも、ある要件を満たせば罪に問われなくなる定め」です。緊急避難が成立する要件は、刑法第37条にて以下のように定められています。
「自己又は他人の生命、身体、自由又は財産に対する現在の危難を避けるため、やむを得ずにした行為は、これによって生じた害が避けようとした害の程度を超えなかった場合に限り、罰しない。ただし、その程度を超えた行為は、情状により、その刑を減軽し、又は免除することができる」
たとえば、相手に包丁を向けられながら、「覚醒剤を使わないと殺す」と脅され、やむを得ず覚醒剤を使用した場合などが挙げられます。
弁護士に相談する
無理やり覚醒剤を使用させられた場合の対処法としては、弁護士への相談が有効です。
故意がないことや緊急避難が成立することの主張立証をするためには、弁護士のサポートが必要不可欠です。早期段階で弁護士に相談すれば、その他にも以下のようなメリットを得られます。
- 逮捕直後から接見できるため、今後の対応を弁護士に相談できる
- 捜査機関からの取り調べに対するアドバイスをもらえる
- 不起訴処分に向けた弁護活動を幅広く行ってもらえる
- 故意がなかった点を証明する証拠を収集してもらえる
- 有利となる情状を検察官や裁判官に主張してもらえる など
覚醒剤事件は、一般的に「証拠隠滅のおそれがある」と疑われ、身柄拘束が長期化しやすい傾向にあります。
身柄拘束が長期に渡れば、解雇や退学など、さまざまな面に悪影響を及ぼす可能性が高まります。この点、弁護士であれば、早期釈放に向けた弁護活動を円滑かつ適切に行えます。
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覚醒剤取締法違反となる行為や罰則
覚醒剤を取り締まる法律である「覚醒剤取締法」に違反するのは、主に次のような行為です。
- 使用
- 所持
- 輸入・輸出・製造
- 営利目的の場合
これらの行為は、覚醒剤取締法にて厳しく取り締まられています。また、犯した行為別・営利目的の有無によって科せられる罰則が異なる点にも注意が必要です。
各行為における罰則については、以下で詳しく解説していきます。
使用
覚醒剤と知りながら使用する行為は、10年以下の拘禁刑に科せられます。
ただし、具体的に何年間拘禁刑とするのかは、覚醒剤の使用回数や使用量などのさまざまな事情が考慮され、最終的に判断されます。覚醒剤の使用量については、尿検査などで確認するのが一般的です。
使用の仕方は、服用、注射、吸引などが挙げられますが、いずれの方法であっても規制された薬物を扱う資格のない者が使用する行為は禁じられています。
また、覚醒剤と知りながら頼まれて他人に注射した場合は、注射された人だけでなく、注射した人も共同所持の罪に問われる可能性があります。
所持
覚醒剤の単純所持は10年以下の拘禁刑が、営利目的の所持は1年以上の有期拘禁刑又は情状により1年以上の有期拘禁刑及び500万円以下の罰金に科せられます。
覚醒剤の所持で科せられる罰則は、単なる所持なのか、それとも営利目的の所持なのかによって内容が異なります。また、実際に覚醒剤を手に持っていなくても、自宅に置いてあれば「所持」と評価される可能性があります。
そのため、覚醒剤が自分のものでなくても、同乗していた車に覚醒剤があった場合や知人から預かった鞄に覚醒剤が入っていた場合には、共同所持を疑われ、逮捕される可能性があります。
輸入・輸出・製造
覚醒剤を輸入・輸出・製造する行為は、1年以上の有期拘禁刑に科せられます。これらの行為に営利目的があれば、無期もしくは3年以上の拘禁刑又は情状により3年以上の拘禁刑及び1000万円以下の罰金の厳しい罰則が科せられます。
覚醒剤を輸入・輸出・製造する行為の多くは、財産上の利益を得るための営利目的です。必要な手順を一人で踏むのはリスクが高いため、「鞄を預かるだけでお金を払う」などと求人を募集し、運び屋として利用するケースは少なくありません。
他人から預かった物でも、携行していた物についての責任を問われる可能性があるため、怪しい誘いには乗らないことが大切です。
営利目的の場合
覚醒剤の所持や輸入・輸出・製造により財産上の利益を得ようとしていた場合には、「営利目的」と判断され、罰則が加重される可能性が高いです。
営利目的とは、自ら財産上の利益を得ようとする行為だけでなく、第三者に財産上の利益を得させようとする行為も含まれます。
営利目的の場合は、自己使用よりも重い罰則が科せられるため、たとえ初犯であったとしても実刑判決を受ける可能性があります。以下のような事情が認められると、営利目的を疑われるでしょう。
- 自己使用分よりも覚醒剤の所持量が多い
- 計量器を所持している
- 新品の注射器を多数所持している
- 多額の現金を所持しているが資金源は不明
- 覚醒剤を小分けにした袋を多数所持している など
無理やり覚醒剤を打たれた・強要された場合は、早期に弁護士法人ALGにご相談ください
他人から無理やり覚醒剤を打たれたり、強要されたりした場合には、覚醒剤の使用が故意ではない点を適切に主張・立証することで罪に問われない可能性があります。
しかし、捜査機関から捜査対象とされた際に、覚醒剤の使用が故意ではなかった点を証明する証拠がなければ、事実確認のために逮捕される可能性が高いです。
特に証拠隠滅が容易である覚醒剤事件は、逮捕による身柄拘束を受けやすい特徴があります。無理やり覚醒剤を使用されたのにもかかわらず、長期に渡り身柄を拘束されれば、仕事や家庭などのさまざまな面に支障を来すおそれがあります。
弁護士であれば、逮捕直後からすぐに接見(面会)できるため、早期釈放や不起訴処分の獲得を目指した弁護活動が可能です。
故意ではない覚醒剤の使用でお困りの方は、なるべく早めに弁護士にご相談ください。
